ヨロイトカゲは鎧のようにゴツゴツと発達したウロコをもつ、とてもかっこいいトカゲです。その姿はゲームの世界のドラゴンのミニチュア版ともいえる迫力です。
今回はそんなヨロイトカゲの生態や特徴、ペットとして人気の種類であるオオヨロイトカゲやヒナタヨロイトカゲ、おすすめの餌や値段など飼育方法について紹介していきます。
ヨロイトカゲの特徴と生態
ヨロイトカゲは有鱗目ヨロイトカゲ科に分類されるトカゲの仲間です。アフリカの乾燥地帯に生息しており、強い日光を好んでいます。
昼行性の生き物で、夜間は砂に穴を掘ったり、岩の間で休んでいます。朝になると日光浴のために岩場に上り、長い間直射日光を浴びます。
ヨロイトカゲの名前の通り、全身はトゲトゲの鎧のような硬いウロコで覆われており、天敵から身を守ります。逃げ足は遅く、臆病な性格をしているため、自分たちのテリトリーから離れることはあまりありません。生息域の狭さから、5匹~10匹の集団で生活する珍しいトカゲとして知られています。
餌は乾燥地帯に生息している昆虫をメインに捕食しており、そこから水分も摂取しています。
ヨロイトカゲの種類
ヨロイトカゲは種類が豊富で全部で50種類以上存在しています。その中でもペットとして人気のオオヨロイトカゲ、アルマジロトカゲ、ヒナタヨロイトカゲについて紹介していきますね。
種類一覧
- オオヨロイトカゲ
- アルマジロトカゲ
- ヒナタヨロイトカゲ
- ワーレンヨロイトカゲ
- ジョーンズヨロイトカゲ
- ニセヨロイトカゲ
- ディプレッサワーレンヨロイトカゲ
- トロピクスヨロイトカゲ
- クロヨロイトカゲ
- ラージスケールヨロイトカゲ
- ジンバブエヨロイトカゲ
オオヨロイトカゲ
体長 | 30cm~40cm |
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寿命 | 10年 |
販売価格 | 60万円~70万円 |
オオヨロイトカゲはヨロイトカゲ属の中で最も大きな種類です。全身は鋭いトゲ覆われており、素手でつかむことはできません。に現地では頻繁に日光浴をしながら、太陽を見ていることから、サンゲイザー(太陽を見上げるもの)として呼ばれています。Smaug(スマウグ)という名前もあり、中国の小説に登場する「金色の竜」の意味があります。
逸話の通り、強い太陽光を必要としており、飼育には強力なバスキングスポットと紫外線が必須です。狭いケージではバスキングスポットが暑すぎて、クールスポットが作れなくなるので、生体の大きさ以上に、巨大なケージが必要になってきます。
昼行性で普段は土に穴を掘って休んでいます。入荷数が極端に少なく、高価な爬虫類なので飼育以上に見つけることすら難しいです。爬虫類を扱っている動物園で展示されているので、その姿を見に行ってみましょう。
アルマジロトカゲ
体長 | 17cm~20cm |
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寿命 | 10年 |
販売価格 | 30万円 |
アルマジロトカゲは天敵に襲われたときに、尻尾を口でくわえて、アルマジロのように丸まることから名付けられました。ヨロイトカゲの中でもウロコがゴツゴツとしており、より恐竜らしい姿が人気を集めています。
しかし、絶滅危惧種に登録されており、野生種が輸出はされることがなく、一部の養殖された個体がまれに日本に入荷されてきます。かなり高価で数が少ないので、入手は困難です。
アルマジロトカゲの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ヒナタヨロイトカゲ
体長 | 6cm~10cm |
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寿命 | 10年 |
販売価格 | 8,000円 |
ヒナタヨロイトカゲはヨロイトカゲの中でも安価でペットとして最も普及している種類です。先に紹介した2種類と比べるとトゲトゲ感は劣りますが、ほかのトカゲに比べたらウロコは鋭く、ヨロイトカゲの入門種として適しています。
ヨロイトカゲの飼育に必要なケージと器具
必要なもの
- ケージ
- ライト
- 床材
- 水容器
- シェルター
必要なケージの大きさ
ヨロイトカゲは活発に動き回るトカゲではありませんが、バスキングスポットがかなりの高温であり、逃げ場を作るため大きなケージを用意する必要があります。
ケージは60cm(横幅)×45cm(奥行き)が目安です。ケージの高さは必要ありません。爬虫類専用ケージで前開きになっている、グラステラリウムの6030がおすすめです。
おすすめの爬虫類用ケージで紹介しているので、ご参考ください。
ライトは紫外線とバスキングの2つが必要
ヨロイトカゲはアフリカの強い日光を浴び続ける環境に生息しており、飼育で最も重要なのが日光の光を作り出すライトの設置です。ライトにはバスキングライトと紫外線を含んだUVライトの2つが必要です。
バスキングライトはバスキングスポットという40度近い高温地帯を部分的に作り出します。ヨロイトカゲは朝起きたらここで体温を上げてから活動を始めます。
次に紫外線を浴びることでカルシウムの吸収を助けてくれるビタミンDを作り出します。紫外線が不足するとカルシウム不足で骨の病気であるクル病を引き起こします。もっとも紫外線量の多いライトを選んでくださいね。
ヨロイトカゲのライトについては爬虫類に必要なバスキングライトと紫外線ライトで詳しく紹介しているので、ご参考ください。
床材の選び方
ヨロイトカゲの床材には爬虫類専用の砂漠砂を使います。個体によっては頻繁に穴を掘るため、最初は3cmほどの厚みで敷いて、穴を掘るようでしたら5cm以上にしてあげてください。フンをしたらこまめにスコップで取り除きます。
砂漠砂を使い続けていると、菌が繁殖したり臭いが蓄積するので、半年に一回は全交換しましょう。
60cm(横幅)×45cm(奥行き)のケージであれば、厚み3cmなら4.8kg、厚み5cmなら8.1kgの砂が必要です。
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水容器
ヨロイトカゲは乾燥を好んでいますが、水浴びをしたり飲み水として使うことがあるため、全身が浸かるくらいの水容器が必要です。水容器はプラスチック製のタッパでも問題ありません。ひっくり返されないように砂にしっかりと埋めておきましょう。
水は毎日交換して新鮮な状態を保ってください。溺れないように水量は体の半分が浸かるくらいにしておきます。
飲み水として浸かってくれないときは、ガラス面を霧吹きで湿らせて、飲むかどうか試してみましょう。
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隠れ家になるシェルター
ヨロイトカゲは臆病な性格をしているため、隠れ家になるシェルターを必ず入れてあげてください。特にバスキングでケージ内が高温になりやすいため、逃げ場にもなります。シェルターは温めすぎないように注意してくださいね。
ヨロイトカゲの飼育方法
ヨロイトカゲは乾燥地帯に生息しているため、飼育には温度の管理がとても大切になります。最初は慣れないかもしれませんが、様子を見ながらこまめに温度調整をしていってあげましょう。体自体は丈夫なので、最初の1ヶ月を乗り切れれば、比較的容易に飼育することができますよ。
販売場所
ヨロイトカゲはどの種類も販売量が多い爬虫類ではないので、爬虫類専門店でもなかなか見かけることはありません。爬虫類は対面販売が義務付けられているため、ネット通販で購入することができません。ヨロイトカゲの販売であれば宮城県のサンゲイザーさんが有名店です。
お近くの爬虫類店でどうしても見つからないときは、全国で爬虫類販売イベントが頻繁に行われているため、顔を出してみるといいでしょう。
慣れたらハンドリングも出来る
ヨロイトカゲは神経質な性格をしているため、ケージに手を入れると隠れてしまうことが多いです。何度かピンセットで直接餌を与えることで、飼育者の匂いをならしていきましょう。次第に顔を見ただけで近づいてくれたりと、なついていってくれますよ。
体はトゲトゲして痛いですが、動きは速くなく、攻撃性があるわけではないので、容易にハンドリングすることができます。それでもかなりのストレスを与えてしまうため、ハンドリングの時間は1週間に2回、10分ほどにしておきましょう。
飼育に適している温度
ヨロイトカゲが生息している地域は昼夜の気温と日光浴時の温度に差があるので、それを再現する必要があります。温度管理のために温度計を入れて、毎日チェックしてください。
温度設定には3段階あり、昼間は35度のバスキングスポット、30度のホットスポット、25度のクールスポットの3つの地帯を作り出します。夜間は25度のホットスポットと20度のクールスポットを作ります。
場所によって温度を変える理由は、基本的に高温地帯を好んでいますが、暑くなりすぎたら逃げ場になるところが必要だからです。いつまでもバスキングスポットにいるようでしたら温度が足りていないので、温度を上げてください。バスキングスポットにいる時間が短ければ、暑すぎるので温度を下げます。
冬だとケージの底にパネル式のヒーターを底面の1/3ほど設置して、同じように3つの地帯を作り出します。温度が十分に上がらなければ赤外線ヒーターで上部からも温めましょう。
おすすめの爬虫類用ヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
餌は昆虫をメインに
野生のヨロイトカゲは昆虫をメインの餌にしているため、飼育下でも爬虫類専用の生き餌であるコオロギやデュビア、レッドローチを与える必要があります。個体によって好みが変わってくるので、どちらも与えられるように準備しておきましょう。
飼育環境に慣れてくるとピンクマウスや乾燥系トカゲ専用の人工飼料である「レパシー スーパーフード グラブパイ」や「フトアゴフード」を食べてくれる可能性があります。餌付けることができると飼育がとても楽になるので、挑戦してみてくださいね。
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昆虫だけをあげているとカルシウム不足になるため、毎回、爬虫類専用のカルシウム剤である「マルベリーCa」などを昆虫にまぶしてから与えてください。
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餌の頻度はベビーの時は食べられるだけ与えて、大人になると3日に1回程度に抑えます。餌を与えるときは木製で先端が丸いピンセットで、直接口先までもっていきます。ケージ内に昆虫を放つと追いかけ回して怪我をする危険性があったり、食べる様子をしっかりと観察するために必要です。
ヨロイトカゲについてまとめ
ヨロイトカゲは全身が硬いウロコに守られている見た目のかっこよさから乱獲が進み、販売量が極端に制限されて、入手は困難を極めます。種類によっては一般人が届く値段ではなく、動物園で見る珍しい存在になりつつあります。
飼育は生息地のアフリカの乾燥地帯を再現するために、強い日光と紫外線を要求してきます。今までの爬虫類飼育とは全く異なる飼育環境を準備する必要があるといってもいいでしょう。それだけ飼育のやりがいがあり、苦労して用意した砂漠の環境で生き生きと歩き回るヨロイトカゲの姿は、飼育者として最高の喜びだと思います。興味を持たれた方はぜひヨロイトカゲの飼育に挑戦してみてくださいね。
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