熱帯魚の飼育はグッピーに始まり、グッピーに終わると言われています。熱帯魚を初めて飼育する多くの人は最初にグッピーを飼育し、いろいろな経験をしてからグッピーに帰ってくるということです。それほどにグッピーは飼育が簡単でありながら、奥深い魅力をもっている熱帯魚と言えるでしょう。
今回はそんなグッピーの飼育を楽しんでもらえるように、基本となる飼育方法を詳しく紹介していきます。
グッピーってどんな熱帯魚なの?
グッピーはカダヤシ目グッピー属に分類されるメダカの仲間です。名前の由来は植物学者のグッピーさんに発見されたことから、名付けられました。
生息地は南米に位置するオリノコ川やネグロ川に分布しており、浅くて水の流れが穏やかな場所を好んでいます。
オスの尾びれは体の何倍にも広がり見事です。メスからの求愛を受けるために、オス同士で美しさや大きさを競い合います。
繁殖方法は卵ではなく直接子供を産む卵胎生のメダカの仲間です。飼育下でも繁殖が簡単で、様々な色素を持っているので、国内外で美しさを競い合って、品種改良が盛んに行われています。その美しさは他の熱帯魚の比にはならないほどで、繊細な体色を持ったグッピーが数多く生み出されています。
このように様々な楽しみ方ができるので、鑑賞をする人、繁殖に挑戦する人、品種改良をする人、コンテストに出品する人など、多くの人を魅了している熱帯魚です。
寿命の長さ
グッピーの寿命は平均して1年~2年です。飼育状況でも寿命は変わり、輸入状況が悪い外国産のグッピーだと半年くらいで死ぬことがあります。
長生きさせる方法や老衰の兆候についてはグッピーの寿命で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
グッピーの飼育の楽しみ方、魅力は?
「熱帯魚の飼育はグッピーに始まり、グッピーに終わる」と言われるほど熱帯魚飼育の中心的立ち位置をしています。
その理由は次の5つになります。
グッピーが人気の理由
- 飼育が簡単
- 安価で入手しやすい
- 美しい体色の個体が多い
- 繁殖が簡単
- 品種改良がしやすい
飼育のしやすさはメダカや金魚を超えるほどで、グッピーに慣れてしまうと他の熱帯魚の難しさに驚いてしまうほどです笑
ペットショップに行けば、100円ほどで大量に販売されていますし、自分好みの1匹を選ぶことができます。
さらには繁殖や稚魚を育てることが簡単なので、元気に育った親がいれば、どんどん子供を産んでくれるようになります。稚魚を育てる喜びは熱帯魚飼育の醍醐味ともいえるでしょう。
最後に繁殖が簡単なことから、自宅でもオリジナルの体色や模様を生み出す品種改良ができるようになります。プロの方が作り出したハッとするように鮮やかな原色やメタリックな輝き、色のコントラスト、漆黒など美しい体色の種類がたくさんいます。それらを作る楽しさは熱帯魚飼育の最終地点ともいえますよ。
グッピーの種類はたくさん!名前はどうやって決めているの?
グッピーは品種改良が進み、体色や尾びれの組み合わせによって、いろいろな名前がつけらており、種類数も膨大になっています。メジャーな組み合わせもありますし、なかなか見ることができない珍しい組み合わせも存在しています。
体色、尾びれ、ヒレの形、模様の名称を紹介しますので、探すときなどに使ってみてください。
名前の例
- ドイツイエロー(体色)タキシード(模様)
- ブルー(体色)グラス(模様)
- ライアーレース(尾びれ)コブラ(模様)
- プラチナ(体色)ゼブラ(模様)リボン(ヒレの形)
体色のバリエーション
ノーマル、イエロー、レッド、ゴールデン、アルビノ(ルチノー)、リアルレッドアイアルビノ、タイガー、ブラオ(ブルー)、ヴァイス(ホワイト)、スーパーホワイト、プラチナ、メタリック、アクアマリン(ジャパンブルー)、メタル
尾びれのバリエーション
ファンテール、ライアーテール(レース系)、ライアーテール(ソード系)、ダブルソード、トップソード、ラウンドテール、ピンテール、スピアテール
各ヒレのバリエーション
リボン、スワロー、スーパーセルフィン、ロングフィン、ワイルドフォーム
模様のバリエーション
モザイク、グラス、タキシード、コブラ、オールドファッション、タイガー、ソリッド
グッピーを飼育する水槽と環境を整えよう
グッピーの飼育に必要な水槽や環境について紹介していきます。
小型の熱帯魚なので小さい水槽で飼育ができ、初期費用だと1万円もかからない程度です。レイアウトに凝ったとしても、1万5千円もあれば十分ですよ。
飼育に必要なもの
グッピーは熱帯魚用グッズとして販売されている一般的なもので飼育することができます。
必要なもの
- 水槽
- ろ過フィルター
- 蛍光灯
- ヒーター
- 水槽の蓋
- 熱帯魚用の餌
水槽はバリエーションが豊富で、一般的な長方形のガラス水槽だけではなく、キューブ状のおしゃれなインテリア水槽も出てきています。飼育の目的をしっかりと鑑賞したり、繁殖を楽しんだり、机の上でかわいいインテリアにするなど、どれにするか選んでから決めるといいですよ。
おすすめの水槽や飼育に必要なものについてはグッピーの水槽で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
日々のお世話に必要なもの
日々のお世話で水換えや水槽の掃除が必要になるので、それらの道具も揃えておくと便利です。
必要なもの
- バケツ(水を捨てる用と新しい水を用意するために2つ)
- ホース
- スポンジ
- 移動用の網
飼育数の目安
グッピーの飼育数の目安は30cm水槽で4匹、45cm水槽で7匹、60cm水槽で20匹です。
飼育数は少ないほど水質が安定するので、最初は少なめで飼育し始めましょう。これよりも多く入れるときはサブでフィルターを追加するなど、ろ過能力をあげるようにしてください。
グッピーの飼育方法
グッピーは体が丈夫なので、初心者でも飼育しやすい熱帯魚です。
むしろグッピーに慣れてしまい、他の熱帯魚を飼育するときに、こんなに難しいの・・と思ってしまうことがあるほどです。
値段と販売場所
グッピーは国産と外国産で値段が大きく変わります。
外国産グッピーは東南アジアで大量に養殖されているグッピーのことです。価格は200円〜300円と安価で、派手な色彩をもっていて綺麗ですが、品種の固定がされていないので、親魚と異なる体色の子供が生まれてくることがよくあります。
国産グッピーは日本国内で養殖されたグッピーです。繊細な美しさを持っていることが多く、血統の管理がしっかりとしているので、子供が親と同じ体色で生まれきます。基本的にはペアで販売されており、1,500円〜6,000円くらいの種類が多いです。こちらは販売量が少ないので、熱帯魚専門店やネット通販で探すといいですよ。
最後に、ワイルドグッピーと呼ばれる人の手が加えられていない野生のグッピーがいます。養殖された個体よりも水槽飼育に慣れていないので水質の変化に敏感です。体が大きくで体色に深みを増すことが多いです。とても珍しいので、改良品種や交雑を行わずに大切に育ててあげてくださいね。値段は1,500円〜2,000円ほどになります。
飼育に適している水温
グッピーに適している水温は22度〜25度です。
水質悪化や水温の変化に強いので、多少水質が悪化しても元気に泳ぎ回ることができます。しかし、水が悪くなると体色の艶がなくなり、本来の美しさを引き出すことができないので、注意しておきましょう。
低水温に弱く、15度以下は耐えられないので、冬は水槽用のヒーターをいれてあげましょう。ヒーターなしで飼育することができません。
耐えられる最高の水温は30度です。夏は涼しい場所に置いて、冷却ファンを用意してください。他にも照明の高さをあげたり、水槽を大きくすることで温度を下げることができます。コップでの飼育はやめておきましょう。
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飼育に適している水質
グッピーの適している水質は外国産グッピーだと中性〜弱アルカリ性、国産グッピーだと弱酸性〜中性です。
適応力が高いのであまり気にする必要はありません。体調が悪いと感じたら、水質を戻すために水換えをすれば大丈夫です。
餌は人工餌がメイン
グッピーは餌の好き嫌いがなく、どんな餌でもしっかりと食べてくれます。
おすすめの餌は熱帯魚専用餌のテトラミンやおとひめ、グッピー用の人工飼料です。100均で販売されているメダカの餌も食べてくれますが、栄養価が低いのでメイン餌としては力不足です。
たくさん食べてくれるからといって、餌の与えすぎには注意しましょう。食べ過ぎると短命になってしまいます。
餌の回数は1回2回、1〜2分ほどで食べきれる量を与えてくださいね。
旅行でも1週間程度であれば餌をあげなくても大丈夫です。必要な餌の量を減らすために、水温を22度くらいまで落としておきましょう。水草をたくさん入れておけば、餌になる微生物が自然と発生してくれますよ。
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多くの生き物と混泳できる
グッピーは温和な性格をしているので、多くの小型熱帯魚と混泳が可能です。
生活スペースが異なるオトシンクルスやコリドラス、ヤマトヌマエビなど水底に生息する生き物だとトラブルはほとんどありませんよ。
グッピーとの混泳におすすめの魚で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
かかりやすい病気と治療方法
グッピーの病気で代表的なものはカラムナリス病と白点病です。
カラムナリス病 | カラムナリス菌の寄生によって口腐れ、えら腐れを引き起こします。水質が悪化することで、菌が発生して病気にかかります。症状を確認したらすぐに全換水を行いましょう。病気の個体は別の水槽に隔離して規定量のメチレンブルーで薬浴しましょう。 |
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白点病 | 繊毛虫の一種が寄生して発生する病気で体表やヒレに小さな白点が発生します。購入して1週間ほどはかかりやすいので、注意して観察しましょう。発症した個体は別の水槽に隔離してメチレンブルーで薬浴してくださいね。 |
どの魚もかかりやすい病気については、大きく変わりません。メダカの病気11種類で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
グッピーは繁殖が簡単
グッピーは繁殖がとても簡単な熱帯魚で、オスとメスを購入して混泳させておけば、自然とペアができて1ヶ月もしないうちに繁殖がはじまります。
繁殖を促すために隠れ家になる水草を入れ、餌をしっかりと与えて、水温を25度前後に保っておけば大丈夫です。
繁殖のコツについてはグッピーの繁殖方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
稚魚の育て方
グッピーの稚魚は飼育が簡単です。その理由は生まれたときから他の魚の稚魚に比べて体が大きく、死ににくいからです。
生まれて数時間で泳ぎ始めるので、すぐに餌をあげましょう。餌は親魚のものを小さくすりつぶしたものを食べてくれます。水草をいれておけば、親魚から上手に逃げてくれますよ。
生後3ヶ月で成魚になって繁殖できるようになりますよ。
グッピーの稚魚の飼育方法で紹介しているので、ご参考ください。
グッピーについてまとめ
今回はカラフルな尾びれが美しい、グッピーについて紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
グッピーは値段が安く、体が丈夫で飼育しやすいので、初心者におすすめの熱帯魚です。さらに飼育に慣れてきたら繁殖も楽しむことができます。
美しい国産グッピーのペアを購入してきて、増やしていくのはとても楽しいですよ。
興味を持たれた方は、ぜひ飼育に挑戦してみてくださいね。
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