レッドビーシュリンプは小さい姿がかわいらしく、体色も美しいので観賞魚として魅力たっぷりです。繁殖も容易なので、稚エビを育てる楽しさも味わえます。
今回はそんなレッドビーシュリンプについて繁殖方法や値段、水槽の立ち上げ方やおすすめの餌など飼育方法を詳しく紹介していきます。
レッドビーシュリンプってどんなエビ?
レッドビーシュリンプはヌマエビ科カワリヌマエビ属に分類されるエビの仲間です。
ブリーダーによって品種改良して作られた種類で、もともとは黒と白色と透明がまざったビーシュリンプという生き物です。突然変異で現れた赤色の体色を持った個体の色を固定化することで赤色になっていきました。
名前の由来は体色の通り、ハチのお腹のような模様をしていることから、ビーシュリンプと名付けられました。
体色の美しさや模様によってグレードと値段が大きく変わる生き物で、鑑賞価値の高い美しいレッドビーシュリンプは非常に高価な値段で販売されています。
体の大きさ
レッドビーシュリンプの大きさは2.5cm〜3cmの小型のエビです。
寿命の長さ
レッドビーシュリンプの寿命は平均して1年〜2年です。病気にはかかりにくいですが、水質の変化に弱く、短命になることが多いです。繁殖をさせずに、餌を控えめ、水温を低くすることで長く飼育することができます。
レッドビーシュリンプの飼育は難しい?
レッドビーシュリンプに限らず、エビの仲間は水質と水温に敏感で、急激な変化が起きるとすぐに死ぬため、初心者向けの熱帯魚と比べると飼育は難しいです。
しっかりと飼育をしていくためには、水質の管理を徹底していく必要があります。
死亡原因として多いのは次の7つです。
チェックポイント
- 水あわせ不足によるpHショック
- 水かえ頻度が多すぎることでバクテリアが不足し、pHが急激に上昇した時
- 夏、冬の水温の管理
- 数が増えすぎた時、酸欠により死亡
- 水換え頻度が少ない時の水質悪化
- 餌不足
- カルシウム不足により、脱皮不全で死亡
最近では水質を安定させるための機材が充実してきたり、レッドビーシュリンプ専用とも言える水質を安定させるソイル(底砂)がありますので、飼育しやすい状況になってきました。
飼育を始めて、最初の3ヶ月を乗り切ることができれば、水質も安定して、問題なく飼育することができます。飼育できる環境が整えれば、繁殖も難しくありません。
レッドビーシュリンプのグレード
レッドビーシュリンプは色の濃さや模様によってグレードがわかれており、ハイグレードの個体は高値で取引されています。
ハイグレードの個体の美しさは圧巻の一言で、美しい個体で埋め尽くされた水槽を眺めることは愛好家の夢となっています。
グレードのランクや名称はこちらになります。専門店ではこれらのランク名で販売されているので、確認しておきましょう。
グレードの種類と特徴
SSS | ひげ、足、尻尾、胴体の全てに濃く美しい白色が出ています。 |
---|---|
SS | 全身に白色が濃く、はっきりと出ています。ひげや足の先端は少し透明です。 |
S | 白色が濃くでています。 |
A | 全体的に美しい印象をうける体色をしています。 |
B | 上位グレードではない体色すべてをさします |
モスラ | 腹部に赤バンドがなく、完全に白くなっています。 |
タイガー | お腹付近の赤バンドが二股に別れています。トラの模様に似ています。 |
日の丸 | お腹の赤いバンドが下まで続かずに、上で斑点になっています。上からみると日本国旗のように見えます |
進入禁止 | 日の丸に似ていますが、上の赤い斑点が横線になっています。上から見ると進入禁止マークに似ています。 |
丹頂 | 頭部の赤いバンドが丹頂鶴のような模様になっています。 |
グレードは体色の濃さや出ている部分によって決まってきます。人によって感じ方が変わってくるので、Sで販売されているのに、Aだったということも珍しくありません。他にも足が赤い個体を赤足と呼んだり、ブリーダーが独自に作成した模様で呼ばれるエビが多くいます。
レッドビーシュリンプのグレード別の値段
レッドビーシュリンプをグレード別に販売しているかどうかは、力のいれ具合で大きく変わります。
エビの専門店になると低いグレードから高いグレードまで多くの種類を見ることができますが、力を入れていない店舗では1つの水槽で低いグレードの個体がまとめて飼育されています。
初心者の方だと低グレードである100円〜300円程度の値段の個体がおすすめです。それぞれの種類別の値段を紹介しますね。
SSS | 3万円〜10万円 |
---|---|
SS | 5,000円〜 |
S | 3,000円〜 |
A | 1,000円〜2,000円 |
B | 100円〜300円 |
モスラ | 1,000円〜2,000円 |
タイガー | 1,000円〜2,000円 |
日の丸 | 1,000円〜1,500円 |
進入禁止 | 500円〜1,000円 |
丹頂 | 2,000円〜4,000円 |
レッドビーシュリンプの飼育環境
レッドビーシュリンプは小型のエビなので、小さい水槽でも飼育できますが、水生生物の慣れていないうちは大きな水槽を用意する方が水質が安定して飼育が楽になります。
底砂はソイル、フィルターは吸い込まれ対策など、普通の熱帯魚飼育とは注意するポイントが異なります。
必要な水槽の大きさ
レッドビーシュリンプの飼育には45cm以上の水槽が必要です。水量が多いほど水質が安定するので、初心者の方は60cm水槽がおすすめです。
グレードアップの繁殖を狙っていくときは、稚エビ育成用、繁殖用、選別漏れ用の3つあると便利です。
飼育数の目安は45cm水槽で15匹、60cm水槽で30m匹、90cm水槽で50匹になります。
ろ過フィルター
一番おすすめのろ過フィルターは底面フィルターです。
底砂にはバクテリアが大量に繁殖しており、底砂を通すことで、強いろ過力を発揮できます。また、水流に弱い稚エビを吸い込む心配もありません
他にも上部フィルターや外掛けフィルターの吸い込み口につけるスポンジも販売していますので、それを使ってもいいですね。
ライト
強い光量のライトを用意しておくと、レッドビーシュリンプが綺麗に発色してくれます。
長時間点灯しておくと、水槽内にコケが生えてくるため、点灯時間と消灯時間を固定し、点灯時間は8時間にしておきます。
底砂はソイルを使う
レッドビーシュリンプの底砂は弱酸性を維持してくれるソイル一択です。この底砂はレッドビーシュリンプ専用の土とも言われるほど一般的なものです。
黒色の丸い砂は色揚げ効果があり、赤色と白色を際立たせてくれるので見た目も綺麗です。
ソイルは1年ほど経過すると崩れてくるので、継ぎ足ししていくかするか、全入れ替えする必要があります。
水質テスター
水質を決定するph(ペーハー)を測定するために使います。安いものだと1500円以下で販売されています。
必須ではありませんが、あまりにもレッドビーシュリンプが死ぬようでしたら、計測することをおすすめします。
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レッドビーシュリンプの飼育で大切な水
水槽の立ち上げ方法
水質は水槽を立ち上げてから、水質が安定するまで1ヶ月はかかるため、レッドビーシュリンプを購入する前に水槽を立ち上げておく必要があります。
立ち上げたばかりの水槽にはフンなどの有害物質を無害な物質に分解してくれるバクテリアがおらず、すぐに住めない環境になってしまうからです。メダカやアカヒレなど丈夫な魚をその水槽で飼育しおき、バクテリアを増やしておく必要があります。
水槽立ち上げの手順
- 水槽の底にソイル(土)を薄く引きます。
- ソイルの上に底面フィルターをおきます。
- 上からソイルを2cmほど引きます。
- その上にアマゾニアパウダーという栄養分が豊富なソイルを振りかけます。
- 冬ならヒーターを設置しましょう
- 他の水槽の飼育水を1/3ほどもってきて入れましょう。最初はバクテリアが必要です。足りない場合はカルキ抜きをした水を追加しましょう。
- 半日程度で水の濁りが治ります。水草を植えていきましょう。
- アカヒレなどの魚をいれて1ヶ月ほど飼育しましょう。バクテリアを増殖させます。
- pH、水質、水温のテストキットを使って、理想的な環境になっているか確認しましょう。
- 問題がなければレッドビーシュリンプをいれましょう。
水槽の立ち上げ方で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
水合わせの方法
レッドビーシュリンプは水温と水質の変化に弱く、ショップの飼育水から自宅の水槽の飼育水に移動させる時は、水あわせが非常に大切です。
この作業をしていないと、数時間以内にphショックで死んでしまう確率が高くなります。
手順を詳しく紹介していきますね。
水合わせの手順
- レッドビーシュリンプが入った袋を水ごとバケツに移す
- バケツの水と飼育水の水温とphをチェックする。
- 差が小さいことを確認する
- バケツの水が倍になるように飼育水を30分かけてバケツに足していく
- バケツの水を半分捨てる
- もう一度バケツの水が倍になるように飼育水を30分かけてバケツに足していく
- 双方の水温とphをチェックする。差が十分に小さければ大丈夫です。
- バケツの水をギリギリまで捨てて、レッドビーシュリンプを水槽に移動させる。
飼育に適している水温
レッドビーシュリンプに適している水温は18度〜24度です。低い水温が苦手なのでヒーターなしで越冬することは出来ません。冬は水槽用のヒーターで加温してください。
30度を超える高い水温も苦手なので、夏は部屋全体にクーラーをつけるか、冷却ファンで水温を下げておきましょう。
繁殖を狙うときは水温を22度〜24度にして、発色をよくしたい時は低めの18度〜20度にするといいですよ。
水温の急激な変化には弱いので注意してください。水槽が大きいほど水温の変化が緩やかになるので、飼育しやすいです。
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飼育に適している水質
レッドビーシュリンプの飼育に適した水質はpH6.0〜6.5の弱酸性と適応範囲がかなり狭いです。
水質の変化に敏感なので、水槽の立ち上げや導入時の水合わせなど日々の管理に手を抜くとすぐに弱ってしまいます。日頃からph測定値で水の状態をチェックすることを欠かさないでください。
水槽の水換えは1週間に1回、1/4ほど行ってあげてくださいね。
レッドビーシュリンプの飼育方法
元気な個体の見分け方
レッドビーシュリンプは体が小さいので、状態が悪いとすぐに死ぬことも少なくありません。購入前にはグレードだけではなく元気な個体かどうかもチェックしてくださいね。
元気な個体の特徴
- 細身ですらっとしている個体。太っている個体は避けてください。
- 前脚を頻繁に動かして、つまつましている。
- 触覚やひげがまっすぐピンとしている。
おすすめの餌と与え方
レッドビーシュリンプにおすすめの餌の種類はソフトテイストというレッドビーシュリンプ専用の人工飼料で、水を含むと膨らんで柔らかくなり、食べやすくなります。
成体であれば赤虫や茹でたほうれん草も好んで食べてくれます。カロチンを多く含んでおり、赤色の色揚げ効果があります。市販のほうれん草は農薬がかかっている場合があるので、自宅で栽培しましょう。
白色を濃くしたいときはカルシウムやミネラルが含まれているシラクラという餌がおすすめです。
餌やりの頻度は1日1回、2分程度で食べきれる量を与えます。餌の食べ残しは水質悪化につながるので、すぐに水槽から取り除くようにしてください。
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おすすめの水草
レッドビーシュリンプは臆病な性格をしているため、隠れ家になる水草を入れておくと落ち着かせることができます。水槽の飼育では必ず水草を入れておきましょう。
おすすめの水草はウィローモスやアヌビアスナナ、ミクロソリウムなどの流木に活着できる種類です。
特にウィローモスは葉が小さいので、葉の隙間が稚エビの隠れ家に最適です。さらに新芽は柔らかくて稚エビの餌にもなるので、生存率を上げる効果も期待できます。
たまに害虫駆除のために水草に薬品をつけて販売しているお店があります。レッドビーシュリンプは薬品に弱いので、必ず無用薬の水草を購入してください。
混泳には向いていない
レッドビーシュリンプは水槽飼育での混泳に向いていません。温和な性格をしているので、他の生き物を攻撃することはありませんが、小型のエビは多くの魚の餌として攻撃される危険性が高いです。
オトシンクルスやコリドラスであれば稚エビを食べないので、混泳は可能ですが、生息層が被ってしまうので、わざわざ混泳させるメリットはありません。
レッドビーシュリンプの繁殖方法と稚魚の育て方
レッドビーシュリンプは飼育ができていれば、繁殖をすることは難しくありません。目安として3ヶ月以上元気に飼育できている水であれば、繁殖は可能になります。最低でも5匹ほど群泳させて、飼育していれば自然と繁殖してくれますよ。
繁殖時期が近づいて来ると抱卵の舞といってオスの親エビが水中をせわしなく泳ぎ始めます。このときメスエビの数が少ないとオスの取り合いになって、メスへの負担も大きくなります。隠れ家になるウィローモスをいれたり、メスの数を4:6と多めに準備できると安心ですよ。
抱卵から孵化まで
レッドビーシュリンプは抱卵してから25日前後で孵化します。水温が高いと早く孵化して、低いと孵化が遅くなります。どちらも稚エビにとってよくないので水温は25度前後を保つようにしておきましょう。
抱卵中も元気に泳ぎ回っているのであまり心配する必要はありません。オスに襲われないように隠れ家だけしっかりと作ってあげてくださいね。
稚エビの育て方
レッドビーシュリンプの稚エビの生存率を上げるためには、水温と水質の安定が必要不可欠です。こちらも親エビを飼育できれば、問題ありません。
稚エビは力がないので、フィルターに吸い込まれないように、吸い込み口にはスポンジをつけておきましょう。また、水流は弱くするために水の吐き出し口をガラス面に向けるなど工夫してください。
餌は稚エビ専用の酵素を与えます。水槽のバクテリアを活性化させる効果がありますが、稚エビも好んで食べてくれますよ。
あとは稚エビの隠れ家になるなるウィローモスを置いておけば、元気に育ってくれますよ。
なかなか繁殖しないとき
繁殖をしない時は親の健康状態がよくないことが考えられます。毎日しっかりと餌を食べているか確認しましょう。他には性別が偏ってオスしかいないという状況も意外に多いです。そんな時は2~3匹ほど親エビを追加してみてくださいね。
高いグレードを作るための選別と見分けるポイント
将来有望な稚エビを産んでくれるかどうか確認するポイントは4つあります。
チェックポイント
- 色は濃いか、先端までしっかりとのっているか
- しっかりとした体つきをしているか。細くないか
- 頭でっかちになっていないか。
- 兄弟同士で繰り返し交配していないか。奇形が生まれやすくなります。
狙っているグレードの作り方
狙っている模様やグレードに近い個体を選別して何度も繁殖させることです。
最初に生まれた特殊模様の個体は血が薄いこともあり、その子供のほとんどが元の模様に戻ってしまいます。
なので繁殖と隔離の選別作業をなんども繰り返して、血を濃くしていく必要があります。油断していると低グレードの個体と繁殖してしまうので、こまめに隔離を行いましょう。
奇形が生まれやすくなるので、同血統の親が繰り返されないように、別親も混ぜるようにしておきます。
自分でハイグレードの個体を作ることもできますが、時間がかかるので、いい個体を購入して繁殖させていくのが近道です。
レッドビーシュリンプについてまとめ
レッドビーシュリンプは赤色と白色のバンド模様が美しく、非常に鑑賞価値の高いエビですが、水質管理が大変とのイメージで飼育に踏み切れない方も多いと思います。実際かなり難しいです・・
ただ、莫大に費用がかかるわけでもなく、専用の設備を整えて、毎日お世話してあげれば、きちんと飼育できる生き物です。
興味を持たれた方はぜひ飼育に挑戦してみてくださいね。
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