プレコは水槽のコケを食べてくれる掃除役として有名な熱帯魚ですが、美しい体色や特異な体型から熱狂的なファンも少なくありません。生息環境や普通の熱帯魚とは異なります。
今回はそんなプレコの生態や特徴、人気の種類や寿命、餌、水温混泳できる魚など飼育方法を詳しく紹介していきますね。
プレコってどんな熱帯魚なの?
プレコはナマズ目ロリカリア科アンキストルス亜科に分類されるナマズの仲間で、正式名をプレコストムスといいます。
南米のアマゾン川に生息しています。酸素量が豊富な流れが早い川を好んでおり、石や流木にくっつきながら泳いでいます。
植物食性が強く、吸盤状になった口先には無数の小さい歯がついており、これを使って流木や石に付着したコケを削りながら食べています。
泳ぎは苦手ですが、天敵から身を守るためのウロコはとても硬く、表面はザラザラしています。胸ビレには棘があるので、大型魚でも簡単に撃退してしまいます。現地での天敵はワニなどの大型肉食生物になります。
流木にしがみついているプレコが水流でゆらゆらとしている姿はとても可愛いですよ。元々は地味な体色が多かったですが、体色が派手なプレコが発見されて、プレコの単独飼育など人気に火がつきました。
寿命の長さ
プレコの寿命は小型種で5年、大型種で10年〜15年です。病気やストレスに強く、水槽の飼育でも長生きさせやすいです。
かなりの長寿で最高30年生きた記録もあります。責任持って最後まで飼育できるように準備しておいてくださいね。
プレコの種類と特徴
プレコにはとても多くの種類がいます。ここでは熱帯魚鑑賞として人気の9種類を紹介しますね。
タイガープレコ
分布 | アマゾン河上流域 |
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体長 | 7cm |
寿命 | 5年 |
販売価格 | 500円~8,000円 |
タイガープレコは成魚でも10cmに満たない最小の種類です。飼育は簡単で、ネオンテトラなどの小型熱帯魚の水槽で混泳することができます。水草を食べるので、水草水槽には向きませんが、流木や石をレイアウトした水槽ではコケ掃除役として活躍してくれますよ。
価格は5,000円前後と高くなりますが、オレンジをベースに黒いラインがはいったインペリアルタイガープレコという美しい種類もいますよ。
タイガープレコの飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ブッシープレコ
分布 | シングー川 |
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体長 | 15cm |
寿命 | 15年 |
販売価格 | 500円~2,000円 |
ブッシープレコは口や鼻のまわりにかわいらしいヒゲをもった種類です。オスはメスよりもヒゲの量が多くて長いので、より特徴的になります。大食感なので餌不足で痩せてしまわないようにしっかりと餌をあげましょう。
丈夫で飼いやすく、プレコの中でもっとも繁殖が簡単なので、ぜひ飼育に挑戦してみてくださいね。
ブッシープレコの飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
インペリアルゼブラプレコ
分布 | シングー川 |
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体長 | 15cm |
寿命 | 7年 |
販売価格 | 5,000円~30,000円 |
インペリアルゼブラプレコは究極のプレコとも言われる種類です。はっきりとした白黒模様はプレコ愛好家だけではなく、多くのアクアリストを魅了してきました。
飼育は難しくなく、岩と岩の間に生息して、人工飼料も食べてくれるようになります。まだまだ価格の高いプレコですが、ぜひとも飼育に挑戦してみたいですね。
インペリアルゼブラプレコの飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
セルフィンプレコ
分布 | アマゾン河 |
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体長 | 50cm |
寿命 | 10年 |
販売価格 | 500円〜3,000円 |
セルフィンプレコはプレコの中でもよく販売されている種類で、多くのお店で安価に販売されています。しかし、大型のプレコなので飼育には注意が必要です。
別名でセイルフィンプレコと呼ばれ、大きな背びれが特徴なプレコです。
植物食性が強く、たくさんのコケを食べてくれるので、大型魚水槽のコケ掃除役として人気があります。
幼魚のころは植物食性が強いですが、大きくなるにつれて肉食性が強くなります。混泳魚を傷つけることがあるので、肉食性の餌はあげないようにしておきましょう。単独飼育なら積極的にあげても大丈夫ですよ。
セルフィンプレコの飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
オレンジフィンカイザープレコ
分布 | シングー川 |
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体長 | 25cm |
寿命 | 5年 |
販売価格 | 3,000円〜6,000円 |
オレンジフィンカイザープレコは黒を基調にした体色に大きめのイエロースポットがついており、背びれから尾びれにかけて黄色のラインがはいった中型種です。現地では滝のような激流に生息しており、飼育には豊富な酸素量と強力な水流が必要になってきます。
餌付けは悪く、コケやキュウリしか食べないこともあるので、幼魚から人工飼料で餌付けするか、すでにされている魚を購入するのが長く飼育するコツになります。
ロイヤルプレコ
分布 | コロンビア、シングー川 |
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体長 | 45cm |
寿命 | 5年 |
販売価格 | 2,000円〜15,000円 |
ロイヤルプレコはプレコが人気に火がついて多くの種類が輸入される前から、美しい熱帯魚として知られていた種類です。すでに苔取り要因ではなく、高級種として地位を築いていました。
綺麗なグレーの体色にはっきりとした黒のラインが入っています。他のプレコよりも頭が大きく、ぎょろっとした目が特徴的で、怪魚ともいえる種類です
強い水流と流木を好みますので、この2つは必ず用意してあげてくださいね。気性が荒いので単独飼育してください。
アグアプレコ(アドニスプレコ)
分布 | アマゾン河下流域 |
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体長 | 60cm |
寿命 | 10年 |
販売価格 | 2,000円〜5,000円 |
アグアプレコは黒い体に白い点を持ったプレコで、プレコの輸入ラッシュのきっかけになった種類です。
最大で1m近くになることもあり、プレコのなかでも最大の大きさになります。幼魚の時は気が弱く、ほかの攻撃的なプレコとの混泳はさけてあげてくださいね。
サッカープレコ
分布 | アマゾン河 |
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体長 | 50cm |
寿命 | 10年 |
販売価格 | 1,000円〜3,000円 |
サッカープレコのサッカーとは英語で吸い込むという意味のsuckerで、別名でヒポプレコと呼ばれている種類です。
おとなしくて丈夫なので混泳相手として選ばれることが多いです。成長するにつれてコケを食べなくなるので、肉食魚用のタブレット状の人工飼料をあたえましょう。
ブルーアイプレコ
分布 | コロンビア |
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体長 | 30cm |
寿命 | 10年 |
販売価格 | 1,000円〜3,000円 |
ブルーアイプレコは尖った鼻先と黒い体に青い小さな目を持った種類です。飼育は難しくないですが、攻撃的な性格で、単独飼育がおすすめです。
体色が金色になるブルーアイゴールデンプレコもいます。あやしい雰囲気をしており、飼いこむほど渋みが増してきますよ。
プレコの飼育に必要な水槽と器具
プレコは種類別に大きさがまちまちなので、水槽の大きさもそれに合わせて変わってきます。初期費用は小型種だと2万円、大型種だと5万円ほどみておくといいですよ。
水槽の大きさ
プレコの大きさにもよりますが、15cm以下の小型種は45cm水槽、30cm以下の中型種で60cm水槽、大型種だと90cm以上の水槽が必要になります。
アクリル水槽はプレコの歯で傷だらけにされてしまうので、傷つきにくいガラス水槽を使用してください。
ろ過フィルター
ろ過フィルターは削り取られた木くずがスポンジに詰まりやすく、ろ過能力が低下しやすくなります。こまめに物理ろ過のスポンジ部分を清掃する必要があります。そのためスポンジ部分の掃除が簡単な上部式フィルターがおすすめです。
エラ呼吸が苦手で酸素量が多い場所に住んでいるので、サブでエアレーションを追加して、強い水流にたくさんの酸素を水に溶け込ませる必要があります。
照明
夜行性なので強い光を必要としていません。昼夜がわかるようにだけ、1灯式の光量が弱いものをいれておきましょう。
水槽の蓋
水槽の蓋は水の蒸発やホコリの侵入を防ぎます。特に冬場は温度差で水が蒸発しやすので、隙間なく閉めておきましょう。
プレコ水槽の立ち上げ方法
立ち上げたばかりの水槽にはフンや餌の食べ残しなど有害物質を分解するバクテリアがいないため、すぐに住めない環境になってしまいます。
そのため、パイロットフィッシュといって実際に魚を飼育してバクテリアを増やす作業が必要です。これをするかしないかで本命の魚の生存率が変わってくるので、時間に余裕を持って水槽の立ち上げを行なってください。
水槽の立ち上げ方についてはアクアリウム水槽の立ち上げ方!手順や流れ、早くするコツを紹介します。で詳しく紹介しています。
水槽立ち上げの手順
- 水槽の置き場所を決める。電源が近く、安定する場所
- カルキを抜いた水道水を準備する
- 水槽とフィルター、照明、ヒーター、底砂をセットする
- 流木や石組みを行う
- 水をゆっくりと入れる
- パイロットフィッシュを1ヶ月飼育してバクテリアを増やす
- プレコを1匹〜2匹いれる
- 飼育数の数を徐々に増やす
プレコの飼育方法
プレコは丈夫な魚なので、水質や水温の変化に強く、ある程度の餌不足にも耐えることができます。それでも油断して水換えを怠ると元気が無くなって病気にかかってしまいます。
一度病気にかかったプレコを元気にするのはとても難しいので、丈夫だからといって管理は怠らないようにしてください。
適している水温と水質
プレコの適している水槽の水温は22度〜27度です。
高い水温は苦手なので30度を超える夏は冷却ファンを用意してください。冬の低水温に強く、地域によっては日本の河川でも越冬することができます。しかし、10度を下回ると元気がなくなるので、冬は水槽用のヒーターを準備しておきましょう。
昼夜の気温差が激しい春と秋にも作動させていると安心ですよ。
飼育に適している水質
プレコに適している水質は弱酸性です。たくさんの流木をいれておくと、弱酸性を維持することが出来ます。
木くずで水質悪化しやすいため、水槽の水換えは多めに週に2回は1/3ほど行ってください。丈夫な熱帯魚だからといって油断しないようにしてください。
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水槽のレイアウト
プレコは臆病な性格なので物陰に隠れていることが多い熱帯魚です。しかし、プレコを飼育するのであれば、いつでもその姿を楽しみたいですよね。そのため、細長い流木を縦におくレイアウトが人気です。
流木をかじって木屑がたまりやすいので、掃除しやすいように砂をいれないベアタンクで飼育すると楽ですよ。
口にある吸盤で水草の葉をかじり、ボロボロにしてしまいます。基本的には水草はいれないのがおすすめですが、どうしても入れたい時は、プレコが食べにくい細長い種類にしておくといいですよ。
強い水流を好むので、様子を見ながらなるべく強くしてあげてください。運動不足解消にも効果的ですよ。
かかりやすい病気と治療方法
プレコは丈夫な魚なので、あまり病気にはかかりませんが、油断していると水質悪化で弱ってしまいます。また、薬に弱く、治療には時間がかかります。定期的な水換えなど予防を心がけてくださいね。
白点病 | 体表が白い点々に覆われる病気で、25度以下の低水温時にかかりやすくなります。水温を徐々に28度まで引き上げて様子を見てください。 |
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プレコ病 | プレコ特有の病気で突然体色が白くなったり、ふらふらと泳ぐようになります。完治することはなく死んでしまいます。ストレスが原因と考えられているので、過密飼育になっていないか、隠れ家をきちんと用意してあげてください。 |
水カビ病 | 体の表面に白いワタのようなカビがつく病気です。皮膚の傷口から細菌に感染することで発症します。メチレンブルーを規定量の1/5にうすめて1週間薬浴してください。 |
腹水病 | お腹が異常に膨れる病気で、低水温時にかかりやすく、餌の食べ過ぎで消化不良になったときに発症します。水温を28度まであげて、1週間断食してください。 |
尾ぐれさ病 | 尾びれが溶けてくる病気です。水質悪化でカナムリス菌が繁殖した時にかかります。すぐに全ての飼育水を交換して、水温を25度、規定量の1/5に薄めたグリーンFゴールドで薬浴してください。 |
ポップアイ | 目が飛び出す病気で片目と両目の時があります。水質悪化やストレスが原因で一度飛び出すと完治することはありません。初期であれば毎日1/3の水換えをすることで治ることがあります。 |
餓死 | 死因で一番多いのが餓死です。普段から身を隠しているので、痩せていることに気づきにくく、気づいたときには手遅れになります。こまめに体型を確認しておきましょう。 |
プレコの餌やり
野生のプレコはコケや水草、木などを食べる植物食性ですが、魚や動物の死骸なども食べています。
おすすめの餌
水槽で飼育しているプレコの餌は植物性のプレコ専用の人工餌である「テトラプレコ」です。おやつにレタスやキャベツなどの野菜を茹でてあげるといいですよ。
餌の食いつきが悪い時や、幼魚の成長期には冷凍赤虫がおすすめです。人口餌を食べてくれるようになるまで時間がかかるため、冷凍アカムシを幼魚の時から餌付けしておきましょう。
大型になるほど肉食性が強くなりますが、高カロリーで肥満になりやすいため、量を減らつつキャットなどの肉食魚用の人工飼料を与えてください。
餌やりの頻度
プレコの餌の頻度は1週間に1回~2回にします。ほとんど動かないので、多くの餌を必要としていません。しかし、餌がいらないというわけではなく、餌不足になるとどんどん痩せてしまうので、体型を見ながら量を調整してください。
餌の量は2~3分で食べきれる量を与えましょう。時間は昼と夜の寝る前にあげてください。
餌を食べない原因
プレコは臆病な性格で、飼育を始めて1週間は餌を食べない時があります。餓死寸前でも餌を食べない時がある魚なので、レタスなどの野菜に変えてみるか、餌を流木にくくりつけて食べやすいようにしてあげましょう。
夜行性なので一晩おいてみるのも効果があります。どうしても食べない時はイトメやアカムシなどの生の餌を与えてください。人工餌への食いつきはよくないですが、野菜や生き餌にはいい反応をしてくれることが多いですよ。
プレコ水槽におすすめの混泳相手
プレコは水槽に生えたコケを食べてくれるので、混泳相手として人気があります。特にコケが生えやすい水草水槽や、掃除が手間な大型魚水槽の景観を保ちたいときには役立ちます。
しかしな、混泳は意外にも難しく、小型のプレコはおとなしい性格で混泳向きですが、大型種は攻撃性が強く縄張り争いで殺し合いをするほどです。
下層に生息しているので、混泳する時は魚同士が接触しないように大きめの水槽を用意してあげることでうまくいきやすいですよ。
おすすめの混泳相手
タイガープレコやブッシープレコなどの小型種はおとなしい性格で混泳向きです。ネオンテトラやグラミーなど多くの小型熱帯魚と混泳を楽しむことができます。
セルフィンプレコなどの大型種になると生活スペースが異なり、体がプレコよりも大きいアロワナ、ガーパイク、スネークヘッドがおすすめです。
混泳に向いていない魚
プレコを攻撃するような気性が荒い性格であるオスカーなど中型のシクリッドはさけておきましょう。
プレコは水中を泳ぎ回るわけではないので、泳いでいる魚を攻撃することはなく、どちらかと言えば攻撃の対象になってしまいます。
しかし、生活層が同じの淡水エイやポリプテルス、ヤマトヌマエビ、コリドラスとはプレコから喧嘩を仕掛けるので、混泳は避けておいたほうがいいです。
他にもディスカスやエンゼルフィッシュなど体の表面積が広い魚は深夜にウロコをボロボロにされる可能性があるので、一緒に飼うことができません。
混泳の注意点
プレコは混泳相手を選べば問題なく飼育できる熱帯魚ですが、夜行性のため、夜中の寝静まった時間に魚のウロコをボロボロにしてしまったということは少なくありません。
アロワナやダトニオなどの大型魚でも、いつそうなるかわかりませんので、リスクはあると覚えておいてくださいね。
プレコについてまとめ
プレコはカラーバリエーションが豊富でド派手な熱帯魚とはことなり、どちらかというと水底で地味なイメージが強い熱帯魚です。それでも特徴的な頭部の大きさや全身をゆすりながら泳ぐかわいさから熱狂的なプレコマニアが多くいらっしゃいます。
熱帯魚水槽の混泳相手としても優秀で、水槽に発生したコケ取り要員として最高のパートナーになってくます。小型種から大型種まで、メインで飼育している熱帯魚にあったプレコを選ぶことができるのもいいポイントです。
同じ種類で、これほど見た目が変わるのも珍しい魚です。薄暗い水槽で流木にくっつながら、水流でゆらゆらしている専用水槽も見事な雰囲気をかもしだします。ぜひ一度プレコを飼育してみて、その魅力を体験してみてくださいね。