リクガメはのっそりと歩き回る姿がとてもかわいい亀です。大人しい性格をしていますが、好物の餌を見つけたときは思いもよらない速度で走り始めたりと、かわいさ満点です。
リクガメと言ってもペットとして普及している種類も多く、体の大きさも異なるので、飼育に必要な環境も変わってきます。
今回はそんなリクガメの生態や特徴、種類、値段、寿命、餌など飼育方法について詳しく紹介していきます。
リクガメとは?
リクガメは爬虫綱カメ目に分類されるカメの仲間です。アフリカ、アメリカ、ロシア、中東、インドネシアと世界中に幅広く分布していますが、その生態は大きくは変わらず、細かい部分を除けば、体の大きさが違うくらいです。
名前の通り陸地に生息しているカメで、水に入ることはほとんどありません。他のカメと比べても乾燥と高温に強く、砂漠や草原の水がほとんど無い環境でも生きていくことができます。
草食性でたくさんの餌を食べるために、1日に1キロほど歩き回る力を持っています。昼行性で、木のくぼみや他の動物が掘った穴を巣穴として、休んでいることが多いです。
リクガメはなつく性格をしている?
リクガメはおとなしい性格の個体が多く、飼い主さんにもなついてくれるので、とても飼育しやすいです。
最初は新しい環境になじめないこともありますが、何度か餌を与えることで人の匂いに慣れていってくれます。顔を覚えてくれると、餌をくれるの?と喜んで近づいてくれるようになりますよ。
喧嘩もしないので、ケージの大きさが合えば、多頭飼いも簡単にできますよ。犬や猫などの他のペットと一緒に飼育するのもおすすめです。
トイレを覚えることは無いので、しつけをすることができません。
リクガメの人気の種類と特徴、値段は?
リクガメの種類はたくさんいますが、今回はペットとして人気がある種類に絞って5種類を紹介していきたいと思います。
リクガメの名称は甲羅の模様や形状、生息地によって決まることが多いです。
ヘルマンリクガメ
分布 | ヨーロッパ |
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体長 | 17cm~20cm |
寿命 | 20年 |
販売価格 | 2万円~4万円 |
飼育難易度 | 容易 |
ヘルマンリクガメは甲羅のオレンジ色と黒色がはっきりとでており、コントラストが美しい種類です。
ペットとして飼育されるリクガメの中では最も人気が高く、見た目の美しさと、小型で飼育しやすいことが魅力です。
生息地によって大きさが異なり、西ヨーロッパに生息する個体は最大で20cm、東ヨーロッパの個体だと35cmまで成長します。
ヘルマンリクガメの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ギリシャリクガメ
分布 | ヨーロッパ、中東、アフリカ |
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体長 | 20cm~25cm |
寿命 | 20年 |
販売価格 | 1万5千円 |
飼育難易度 | 容易 |
ギリシャリクガメは甲羅の模様がギリシャ模様になっている種類です。
繁殖が容易なので、国内外で養殖された個体が販売されています。そのため、値段が安く、販売数も多く、飼育しやすいので初めてのリクガメ飼育にもおすすめです。10cm以下のベビーは温度と湿度変化に弱いので、なるべく大きな個体を購入しましょう。
ギリシャリクガメの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ロシアリクガメ
分布 | ロシア、西アジア |
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体長 | 20cm |
寿命 | 20年~30年 |
販売価格 | 1万円~2万円 |
飼育難易度 | 容易 |
ロシアリクガメは名前の通り、ロシアに生息している種類です。他にもホルスフィールドリクガメと呼ばれています。
正式名称はヨツユビリクガメと言い、4本しか指がありません。この指はショベルのようになっており、砂地に穴を掘るのが上手です。
他のリクガメのように甲羅に際立った模様はなく、黒色の斑点模様が不規則に入っています。
ロシアリクガメの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
インドホシガメ
分布 | パキスタン、インド |
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体長 | 35cm~40cm |
寿命 | 25年~30年 |
販売価格 | 3万円~10万円 |
飼育難易度 | 普通 |
インドホシガメは甲羅の各部分の中心を頂点に、星のような模様になっている種類です。成長するにつれて中心部分はさらに盛り上がり、ゴツゴツとした甲羅になります。
40cmと大型になるため、ケージ内だけでは運動不足になりやすく、飼育していくためには大型のケージを用意するか、部屋を解放するなど工夫が必要になってきます。
インドホシガメの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
パンケーキリクガメ
分布 | アフリカ |
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体長 | 16cm~18cm |
寿命 | 20年 |
販売価格 | 1万5千円~4万円 |
飼育難易度 | 容易 |
パンケーキリクガメは柔らかくて平らな甲羅を持っており、天敵に襲われると石の隙間に逃げて、甲羅を膨らませることで引っこ抜かれないようにする珍しい特徴をもっています。
さらに上下の立体移動が得意で、石の上にも上手に登ることができます。
体の大きさは最大でも18cmとペットとして普及しているリクガメの中では最小種です。
パンケーキリクガメの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
リクガメの入手方法
リクガメの入手方法は主に2つあり、購入する方法と里親募集で譲り受ける方法です。
販売場所
リクガメなどの爬虫類は対面販売が義務づけられているため、ネット通販で購入することはできません。
購入したいときは、爬虫類専門店に行ってみましょう。ホームセンターではなかなか取り扱いしておらず、販売数も少ないので、自由に選ぶことができません。
時期が合えば、日本全国で開催されているペット即売会イベントにいくといいですよ。珍しい種類やモルフがおり、販売数も多いので、お気に入りの子が見つかる可能性が高いです。
絶滅危惧種であるサイテス2に登録されていることが多く、現地からの野生種の輸出はかなり制限されています。ほとんどが海外のブリーダーが養殖した個体です。
10cm以下の赤ちゃんが販売されていることが多いですが、湿度や温度の変化に敏感なので、初心者の方はなるべく大きな大人の個体を購入することをおすすめします。
里親募集から探す
リクガメは体が大きく成長して飼育しきれなかったり、引っ越しを理由に里親募集になっている子を結構見つけることができます。生後2年~3年ですでに20cmくらいを超えている個体が多いです。
飼育者のもとにいったり、目当ての種類がいないことも多いので、定期的に専門サイトをチェックすると良いですよ。
リクガメを飼育するために必要なもの
日本では気温が低すぎることもあり、基本的にリクガメは屋内で飼育するのがおすすめです。飼育用品の初期費用では10万円ほどみておくといいですよ。
必要なもの
- ケージ
- ライト
- ヒーター
- 床材
- 水容器
ケージや水槽に必要な大きさ
リクガメは運動量が多く、ケージを歩き回るので、大きな飼育容器が必要になります。大きさの目安は横幅で体長の5倍、奥行きは体長の3倍は必要です。
飼育している個体によってケージの大きさは変わりますので、横幅で体長が18cm以下の個体だと横幅90cmのケージ、体長が25cm以下の個体だと横幅120cmのケージ、それ以上の個体には横幅で150cmのケージを準備します。
飼育容器は熱帯魚用の水槽や爬虫類専用の前開きになるケージのどちらでも使うことができますよ。飼育ケージを自作する方も多く、ガラスや木材を使って簡単に作ることができます。部屋のインテリアにも合わせたおしゃれな物が欲しいなら、自作するのもおすすめですよ。
おすすめの90cm水槽やおすすめの爬虫類用ケージで紹介しているので、ご参考ください。
ライトは紫外線とバスキングの2つが必要
リクガメは頻繁に日光浴をするので、パスキング用のライトと紫外線を含んだUVライトの2つが必要です。
バスキングライトはバスキングスポットと呼ばれる、40度近くの高温地帯を部分的に作り出すことで、体温を上げることができます。リクガメは朝起きて行動する前や、食後に体温を温めて新陳代謝を活性化する必要があります。
紫外線は爬虫類の飼育に必須の要素で、紫外線を浴びることでカルシウムの吸収を助けるビタミンを生成します。紫外線が不足するとカルシウム不足が原因でクル病という骨の病気にかかってしまい、完治するのが難しいです。
毎日8時間ほど点灯するようにしてください。1日に4回程度は日光浴をしに来ます。
ずっとバスキングスポットの下にいるようなら、温度が低い可能性があるので、照射先に石を置くなどして、ライトとリクガメの距離を短くしましょう。当たる時間が短いようなら、暑すぎるので、距離を離します。個体によって好んでいる温度が異なりますので、よく観察して調整してあげてくださいね。
爬虫類に必要なバスキングライトと紫外線ライトで詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ヒーターは暖突とパネルヒーターを併用
リクガメに適している温度は28度~32度と高温を好んでいるため、年間を通してヒーターが必要になります。
ケージ内の温度を上げるときは床面積では無く、空気中の温度の高さが大切です。甲羅の中はほとんど肺であり、冷たい空気を吸い込むと体調が悪くなってしまうからです。
おすすめのヒーターは「暖突」という製品で、熱効率が高く、ケージ全体を暖めることができますよ。同時にパネルヒーターをケージに底に敷いて床からも暖めます。
夜は温度を25度前後まで下げてあげましょう。夜にも高い状態を維持していると、新陳代謝が活性化され続けて短命になってしまいます。
おすすめの爬虫類用ヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
床材の選び方
リクガメは底に何も敷かないと、ツルツルして踏ん張りがきかず、足腰を悪くしてしまうので、なにかしらの床材をいれてあげる必要があります。
床材にはウッドチップやヤシガラマットなど、吸水性と保湿性が高い物が好まれます。湿度の維持がしやすいので、飼育が楽になりますよ。フンや尿をしたらこまめに交換してください。半年に1回はすべての床材を交換して、ダニの発生や匂い予防をしておきます。
水容器
リクガメは水浴びが好きなので、全身が浸かる大きさの水容器を用意してください。溺れないように、入ったときに顔まで浸からない程度の水位にしておきます。水容器に入りやすいようにフチが浅く、倒されないように重みがあるものを選びます。
水容器の中ではフンや尿も頻繁にしますが、飲み水としても使いますので、毎日交換して新鮮な状態を維持してあげてくださいね。交換するときは水温をケージ内の温度の25度近くまであげておきましょう。
リクガメの飼育方法
リクガメは大きなケージさえ用意できれば、体は丈夫で飼育しやすい生き物です。餌も昆虫などは必要なく、野菜で大丈夫なので、爬虫類の中でも飼いやすさはトップクラスです。
唯一のデメリットとしては、ケージの温度がかなり高くなるため、部屋も暑くなってしまうことでしょうか。ケージ周りの温度も高温になりますので、夏場は大変です。
ケージのレイアウト方法
リクガメのレイアウトでは歩き回るスペースを最大限に確保したいので、水容器など必要最低限の物以外は入れない方がいいです。
どうしてもレイアウトをしたいときは、リクガメが容易に登れるような低いレンガを置いて、少しだけ動きをつくるといいですよ。
岩場に生息しているパンケーキリクガメであれば、上手に石の上に上るので、多くの石を入れて、立体移動を楽しむことができます。
ケージの掃除をする
部屋の掃除や糞をしたときや霧吹きでガラス面がしめって汚れたときに行います。床材に湿気やフンがたまっていると、菌が繁殖して病気の原因になってしまいます。汚れているのを見つけたらすぐに掃除するようにしてください。
温浴をする
リクガメは週に1回は35度近くのぬるま湯で温浴をすることで、甲羅の掃除を行います。温浴するときに新陳代謝が活性化されて、ゴクゴク水を飲むことがありますが、普段から飲めていない証拠ですので、飼育環境の改善余地に気づくきっかけにもなります。便秘の解消にもなりますので、フンの頻度が少なかったり、下痢をしているときは温浴してあげると良いですよ。
散歩させる
運動量が多いので、暖かい日には部屋や庭、ベランダを散歩させるのも運動不足解消におすすめです。
子供の時はカラスや猫など天敵が多いので、襲われないように注意してください。意外にも脱走が上手なので、戸締まりはしっかりとしておきましょう。
リクガメにおすすめの餌と与え方
リクガメは草食性なので、餌はスーパーで販売されている、コマツナ、チンゲンサイ、ニンジン、サラダナ、モロヘイヤ、豆苗、カボチャ、キノコなどの野菜です。他にも野草としてタンポポ、クローパー、春菊などを与えることができます。
人工餌であるリクガメフードやミルワームや赤虫などの昆虫も食べますが、栄養過多になってしまうので、与えるにしても週に1回程度にしておきます。胃も適応していないので、下痢になる可能性が高いです。
野菜ばかり食べていると歯が伸びてくるので、貝殻を入れて、囓らせましょう。放置しているとかみ合わせが悪くなって、餌を食べられなくなってしまいます。
餌の頻度は毎日2回、朝と夜に与えます。食後にバスキングして体を温めないと消化不良になるので、消灯前に餌をあげるのはやめてくださいね。
餌を食べないときは温度不足になっていることが多いです。他にも餌に飽きている可能性があるので、餌のバリエーションを変えてみたり、嗜好性が強いバナナなどの果物をあげてみると良いですよ。
餌代は月に2,000円も超えない程度です。
大人の個体であれば3日程は何も食べなくても大丈夫なので、旅行の時でも大丈夫です。それ以上外出するときは、ペットホテルに預けてくださいね。
亀におすすめの餌で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
リクガメについてまとめ
今回はのっしりと動き回る姿がかわいいリクガメの生態と飼育方法について紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
他の爬虫類ほど爬虫類っぽく無く、餌も野菜中心で育てることができるので、はじめてのペットとして抵抗が少なく人気が高まっています。寿命はかなり長いので、しっかりと準備をして、最後まで責任を持って飼育してくださいね。
今回の紹介で少しでもリクガメに興味を持っていただけたなら、ぜひ飼育に挑戦してみてくださいね。
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