セルフィンプレコは安価で販売されているため、安易に購入をはじめて、大きく成長しすぎたため引き取ってもらったということが少なくない魚です。背びれと尾びれが大きく成長して魅力的な魚であり、大事にすればするほど美しい姿を見せてくれます。
今回はそんなセルフィンプレコを飼育するにあたって、必要になる設備や飼育のコツを詳しく紹介していきます。
セルフィンプレコの生態と特徴
セルフィンプレコはプレコの中でも大型の種類で、飼育環境でも簡単に50cmを超えてきます。アマゾン川で酸素量が多い流れが早い場所を好んで生息しています。
名前の通り大きな背びれを持っているのが特徴的で、流木にくっついている時だけでなく、泳いでいる時も優雅な姿を見せてくれますよ。
吸盤状の口には無数の小さい歯がついており、これをつかって流木や石に付着したコケを毛すり落として食べています。強い水流でも石や流木にしがみつきながら泳ぐことができます。
正式名称はセイルフィンプレコですが、日本では略称のセルフィンプレコで知られています。
寿命の長さ
セルフィンプレコの寿命は平均して10年です。大切に育てると30年近く生きてくれます。
長く生きるためには、水質悪化や水質の急激な変化などストレスや病気の原因になるものをなくしてください。他の魚と接触がない、単独飼育がもっともおすすめです。
老化が近づいてくると、皮膚のハリがなくなったり、ヒレがピンとしなくなります。目も少し濁ってきて、動くこともなくなります。水流を弱めにしたり、水換えの量を減らして負担をかけないようにしてくださいね。
セルフィンプレコの大きさ
セルフィンプレコは小さな幼魚が安価で販売されていますが、最終的にはかなり体が大きくなる魚なので、安易に飼育を始めるのは危険です。どのくらい大きくなるのか紹介します。
体の大きさ
セルフィンプレコは最大で60cmの大きさになるので、まさに巨大なプレコといえます。しかし、水槽飼育だと運動不足で50cm以下の大きさで止まることが多いです。
成長するほど背びれも立派になり、存在感が増してきます。大事に育てて魅力を味わってくださいね。
販売時は10cmにも満たない幼魚であることが多く、大型魚とは知らずに購入される方がとても多いです。大きくならないプレコが欲しい人はタイガープレコやブッシープレコがおすすめです。
成長速度
セルフィンプレコの成長速度はゆるやかです。半年で15cmの大きさまで成長し、1年で30cm、2年で40cmまで成長します。肉食性の餌を与えれば成長速度は早くなりますが、死にやすくなるので、植物性の餌でゆっくりと育ててあげましょう。
大きくなりすぎたらどうする?
お店によっては大きくなったセルフィンプレコを引き取りしてくれることがあるので、相談してみてください。
特にアロワナなどの大型魚を販売しているお店だとコケ掃除に適しているので、快く引き取りしてくれることがありますよ。買取してくれることはほとんどありません。
しかし、安易な気持ちで飼育せず、最後まで責任を持って飼育することが大切です。間違っても川や池に放流するのはやめてください。丈夫な魚なので、日本の生態系を壊してしまう可能性が高いです。
体が大きくならない原因
セルフィンプレコの体が大きくならないときは、餌不足か酸素不足、水温不足のどれかが考えられます。
餌は食いつきがいい肉食性の餌で食欲を刺激して、水温を上げてエアレーションを増やすことで新陳代謝を活性化させましょう。
セルフィンプレコのコケ取り能力
セルフィンプレコは高いコケ取り能力を持っています。体が大きい分、食べるコケの量も多いからです。さらに茶ゴケから緑ゴケまでなんでも食べてくれますよ。
コケ掃除をしたい時、中型以下の熱帯魚水槽ではヤマトヌマエビやオトシンクルス、タイガープレコですが、大型魚水槽ではセルフィンプレコかカラープロキロダスが選ばれることが多いです。
他の生き物についてはコケ掃除してくれる生き物一覧で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
セルフィンプレコの種類
セルフィンプレコには野生種で色違いの種類がいます。オレンジのスポット模様がついたオレンジスポットセルフィンプレコやマーブルセルフィンプレコ、体色が真っ白で目が赤いアルビノセルフィンプレコが人気です。
どの種類も同じ大きさや生態系をしているので、好みの体色を選ぶといいですよ。
セルフィンプレコの飼育に必要な水槽と設備
セルフィンプレコの飼育に必要な水槽と周辺器具を紹介します。初期費用では3万円〜4万円ほどみておくといいですよ。
水槽の大きさと飼育数
アクリル水槽だと口についている歯で傷だらけにされるため、ガラス水槽を使います。水槽の大きさは最低でも横幅で90cmは必要です。60cm水槽以下の大きさでは飼育できないので、用意できない場合は絶対に購入しないでください。
フィルター
流木の削りかすが多くなるので、物理ろ過能力が高くて掃除が簡単な上部式フィルターがおすすめです。酸素供給量も増えるので、セルフィンプレコにぴったりです。
ヒーターなしでは難しい
セルフィンプレコは低水温に強いですが、水温が15度を下回ると元気がなくなり、10度を下回るとほとんど動かなくなります。冬は水槽用のヒーターを用意して、20度以上は保ってあげましょう。
ワット数と電気代の目安は90cm水槽で300Wのヒーター、月の電気代は2,000円ほどです。おすすめの水槽用ヒーターで詳しく紹介しているので、ご参考ください。
セルフィンプレコの飼育方法
セルフィンプレコの飼育はとても簡単です。他の熱帯魚が死ぬような環境でも生き抜くことができます。
しかし、いい環境を用意してあげると体調がよくなり、特徴であるヒレもピンとして綺麗になるので、ちゃんと飼育してあげてくださいね。
値段と販売場所
セルフィンプレコの値段は5cmほどの幼魚が500円〜1,500円で販売されています。20cmを超える成魚だと値段は3,000円を超えてきます。
どこのお店でもコケ掃除役として各水槽に入れていることが多いので、見つけることは簡単です。
ネット通販でも販売されていますが、店舗で簡単に見つけられるので、状態を確認するためにも、お店で買うことをおすすめします。
レイアウトは流木を使う
セルフィンプレコは臆病な性格なので、隠れ家になる流木や石組みをしてあげるとストレスを軽減できます。泳ぐのが苦手なので、混泳する時はいじめられやすく、必ずいれておいてあげましょう。
流木にしがみつくと安心できるので、必ずいれておいてください。突起が少なくて、穴が相手いない流木が大好きです。すぐに隠れてしまうので、水槽をのぞいた時にプレコが活動している姿を見たい時には、棒状の流木を縦に配置して木の裏側に移動できないようにしておきましょう。
水草は餌として食べられる
セルフィンプレコは植物食性が強いので、水草水槽では水草を餌として食べてしまいます。
特にミクロソリウムなどの葉幅のある水草はかじられてしまうので、ウィローモスなどの細い水草をいれましょう。水草なしでも問題ありませんよ。
飼育に適している水温と水質
セルフィンプレコに適している水温は24度〜30度です。高水温に弱いので夏場は冷却ファンを用意してあげてください。
水質は弱酸性〜中性が好きなので、流木をたくさんいれておくことで維持することができます。
流木の切りクズで水が汚れやすいです。週に1回は1/3ほど水を交換してあげましょう。
おすすめの餌とやり方
セルフィンプレコは植物食性なので、幼魚のときは水槽内に発生したコケを餌としてよく食べます。なので、最初は植物食性のプレコ専用フードを与えます。
体長が30cmを超える頃から肉食の傾向が強くなります。苔を食べる量は減り、他の肉食性の大型魚の餌である「キャット」などを食べ始めます。
肉食性が強いといっても、野生化で肉を食べられることはほとんどなく、肉食性の餌をやりすぎると短命になってしまいます。
なるべく植物食性の餌を中心に、食いつくが悪ければ、肉食性の餌を与えるようにしてください。
植物食を与えないと栄養の偏りが起きます。
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繁殖できる?
セルフィンプレコは東南アジアでさかんに養殖されていますが、水槽のような狭い環境での繁殖はかなり難しい魚です。植物性の餌をしっかりと与えて、120cm以上の水槽でゆったりとした環境で飼育をし、繁殖できればラッキーという感じで挑みましょう。
病気と治療方法
セイフィンプレコは丈夫な魚なので、ほとんど病気にかかることはありません。反対に、セルフィンプレコが病気にかかっているときは、水槽全体の状態がかなり悪いということです。
飼育環境下では、たまに突然死することがあり、食生活が原因です。
自然環境のプレコが肉類を食べることはまれであり、たまに昆虫や魚の死骸を食べている程度ですが、水槽飼育では残り餌や混泳魚の死骸を容易に食べられるため、栄養の偏りがおきていると考えらえています。
これを避けるためにも、プレコ専用の植物性の餌を用意してあげましょう。
長期間水槽の掃除を怠ったとき、水質悪化でエロモナスやカラムナリスなどに感染することがあります。薬には弱いので、週に2回、1/3ほど交換して様子みてください。治らなければ規定量の1/5に薄めて薬浴してあげましょう。
セルフィンプレコと一緒に飼える混泳相手
セルフィンプレコは体長30cmを超えたあたりから、肉食性が増して、他の魚のウロコを積極的にかじるようになります。縄張り意識も強くなるので、生活スペースが同じの魚とも喧嘩してしまいます。混泳トラブルが起きないように注意しましょう。
おすすめの混泳相手
セルフィンプレコの混泳相手には、アロワナやスポッテッドガー、パロットファイヤーなど中層を泳ぐ中大型魚がおすすめです。
金魚も20cm近くまで成長するので、金魚水槽で混泳させるとコケ取り役としても活躍してくれます。
小型魚に対しても危害を加えないため、ネオンテトラやグッピー、プラティとの混泳も問題ありません。
たまに、寝静まった時に混泳相手のウロコをなめることがあるので、体表に傷がつくことは覚悟しておいてください。
混泳に不向きな魚
体が円盤状になっているディスカスや淡水エイ、エンゼルフィッシュはウロコがボロボロにされるのでやめておきましょう。
ポリプテルスは生活スペースが同じなので、小競り合いが増えてしまいます。
セルフィンプレコについてまとめ
セルフィンプレコは幼魚が安価に販売されていますが、体がとても大きくなるため、大型の飼育設備が必要になります。小型水槽で混泳をさせたい場合は、タイガープレコやブッシープレコがおすすめです。
体が大きくなって困ったときは、大型魚を取り扱っているアクアリウム専門店に相談してみてください。セルフィンプレコは大型水槽でのコケ取り要因として人気があり、運が良ければ引き取ってもらえる可能性がありますよ。
飼育の際には体が丈夫だからと油断せず、水質や温度管理をきちんと行いましょう。
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