カラーバリエーションが豊富でトゲトゲの尻尾が魅力的なトゲオアガマですが、草食性で肥満にもみえるポテッとした体をしており、トカゲらしからぬ生態をしています。
今回はそんなトゲオアガマの生態や特徴、おすすめの種類、ハンドリング、床材など飼育方法について紹介していきます。
トゲオアガマの特徴
トゲオアガマは有鱗目(ゆうりんもく)アガマ科に分類されるトカゲの仲間です。アフリカや中東の乾燥した砂漠地帯に生息しています。トカゲの仲間には珍しく、植物の種や葉を好んで食べています。
名前の由来は尻尾にのトゲトゲに発達したウロコです。敵が近づいてくるとこの尻尾で強烈なビンタをかまします。他にも巣穴を掘るのが得意で、巣穴に尻尾を引っかけて、引きずり出されないようにします。
種類数が多く、赤色や緑色、水色などカラーバリエーションが豊富で個体によっては素晴らしい体色を見せてくれます。
体型は胴体が太く平らでポテっとしています。ひっくり返すとお腹は楕円形をしており、ぷにぷにとしています。顔つきはまんまるしており、手足は長く発達しているため、トカゲというよりもカエルに見えなくもないですね。体の大きさの割には小さい目をしており、つぶらな瞳がかわいいです。
トゲオアガマの種類
トゲオアガマは西アジアと北東アフリカに位置する中東に広く分布しており、過酷な環境のため、それぞれの地域でそれぞれの成長を遂げてきました。
そのため種類数が増えていき、体色や体型、模様が大きく異なっています。今回はその中でもペットとして人気の5種類を紹介します。
種類一覧
- サバクトゲオアガマ
- ゲイリートゲオアガマ
- ニシキトゲオアガマ
- トーマストゲオアガマ
- エジプトトゲオアガマ
- クジャクトゲオアガマ
- イエメントゲオアガマ
- ディスパートゲオアガマ
- コウテイトゲオアガマ
- マリトゲオアガマ
- フィルビートゲオアガマ
- モロッコサバクトゲオアガマ
サバクトゲオアガマ
大きさ | 40cm |
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寿命 | 20年 |
価格 | 2万円~4万円 |
サバクトゲオアガマは最も人気がある種類です。体色は赤色をベースに黄色、オレンジなどが不規則に入り、とてもきれいです。モルフ(カラーバリエーション)の開発が盛んに行われており、緑色の部分が多いモルフや、赤色の部分が多いモルフ、黄色の部分が多いモルフがいます。
他の種類に比べると胴体はさらに丸くなっており、ぽてっとしています。
ゲイリートゲオアガマ
大きさ | 30cm |
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寿命 | 20年 |
価格 | 1万5千円 |
ゲイリートゲオアガマは別名でサハラトゲオアガマと呼ばれている種類です。サバクトゲオアガマと体色が似ていますが、より赤みが強く、ほっそりとしているので見分けることができます。
ニシキトゲオアガマ
大きさ | 30cm |
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寿命 | 20年 |
価格 | 2万円~3万円 |
別名でオルナータトゲオアガマと呼ばれている種類です。体色は水色をベースに黄色やオレンジ色の模様が入っていて綺麗です。
トーマストゲオアガマ
大きさ | 25cm |
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寿命 | 20年 |
価格 | 20万円 |
トーマストゲオアガマは小型の種類で、短くて丸い尾が特徴的です。生息数が少なく養殖の成功例も少ないので、とても値段が高くなっています。
エジプトトゲオアガマ
大きさ | 70cm |
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寿命 | 40年 |
価格 | 1万円 |
エジプトトゲオアガマは最も大きくなる種類です。トゲオアガマはもともと胴体が太いので、この太さでこの大きさまで成長すると、オオトカゲ並の迫力が出てきます。
トゲオアガマの飼育に必要な設備
トゲオアガマは巨大化するエジプトトゲオアガマを除けば、市販の飼育設備で飼育することができます。初期費用では5万円ほどみておくといいですよ。
必要なもの
- ケージ
- ライト
- 床材
- 水容器
- シェルター
ケージの大きさと選び方
トゲオアガマは地表を歩き回るトカゲなので、床面積の広さが大切になります。
床面積は横幅で体長の2倍、奥行きで体長と同じ大きさがあれば大丈夫です。体長30cmの平均的なトゲオアガマだと60cm(横幅)×30cm(奥行き)×30cm(高さ)以上のケージがあれば最後まで飼育することができます。爬虫類専用ケージであるグラステラリウム6030だとジャストサイズです。
ケージ内の蒸れには弱いので、ケージは風通しが良い場所に置いておいてくださいね。また、上から覗かれるのを嫌がりますので、鑑賞しにくいですが、目線よりも高い位置におくと落ち着いてくれます。
おすすめの爬虫類用ケージで紹介しているので、ご参考ください。
ライトはバスキングライトと紫外線ライトが必要
トゲオアガマは現地で強い日光を浴び続けているので、飼育下でも同様に強い光が必要です。バスキング用の照明と紫外線を含んだUVライトの2つを用意します。
バスキングスポットは部分的に40度近くの高温地帯を作ることで、活動前に体温を上げるために使います。ただトゲオアガマの場合はバスキングスポットの温度は60度前後必要であり、100Wの最大の強さを持ったバスキングライトと照射先には熱を持ちやすいように石を置いておく必要があります。
温度を上げると同時に紫外線を浴びることで成長に必要なビタミンを作り出します。
光量不足になるとすぐに体調が悪くなってしまいます。バスキングの時間が長すぎると思ったときは温度不足が考えられるので、光量を上げるための対策をしてください。石を積み上げることでライトに近づけてより暑くする方法がよく使われます。
爬虫類に必要なバスキングライトと紫外線ライトで詳しく紹介しているので、ご参考ください。
床材の選び方
トゲオアガマは乾燥している環境を好んでいるため、床材は爬虫類専用の砂漠砂かウォールナッツサンドを使います。厚みは2cm以上が目安ですが、あまりたくさんいれると砂の中の風通しが悪くなってしまうので、多くても4cmほどにしておいてください。
先ほどのグラステラリウム6030だと、砂の量は2.2kgもあれば2cmの厚さになります。
フンや尿をしたらこまめに交換してくださいね。
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水容器
トゲオアガマは野菜から水をとるので、水容器は必要ありません。
隠れ家になるシェルターを用意
野生の個体は夜に寝る場所を確保するために、自分で巣穴を作るくらいに隠れ家を必要としています。内部の湿度は高い方が良いので、水苔を軽く湿らせていれておくといいですよ。
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トゲオアガマの飼育方法
トゲオアガマは大人しい性格で餌も野菜や人工餌を食べてくれるので、とても飼育しやすく、初心者におすすめです。デメリットとしてはケージ内が高温になるので、部屋も暑くなってしまうことです。
なつきやすい性格でハンドリングしやすい
トゲオアガマは大人しい性格でなつくので、ハンドリングに向いています。
物怖じもしないので、手に乗せていると元気に動き回ってくれてハンドリングも楽しいです。落とさないようにだけ注意して上げてくださいね。
ハンドリングをするときはケージの温度と部屋の温度の落差が大きくなりやすい冬や夜間に注意してください。温度が急激に変化するとストレスを感じて体調が悪くなってしまいます。
飼育に適している温度
トゲオアガマに適している温度は27度~32度です。高温部分のバスキングスポットは60度にして、温度勾配(おんどこうばい:場所による温度差)を作り出します。そうすることで自分が求めている温度の場所に勝手に移動してくれるようになりますよ。
現地では昼夜の気温差が激しいので、夜は23度まで落としても大丈夫です。むしろ温度を下げないと、新陳代謝が活性化され続けるので、短命になってしまいます。
冬は最も断熱効果が高い「暖突」をいれて、ケージ全体をしっかりと暖めましょう。温度が上がらないときはケージの下にパネルヒーターを敷いて、床からも暖めます。
おすすめの爬虫類用ヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
飼育に適している湿度
トゲオアガマに適している湿度は30%~40%の乾燥した環境を好んでします。バスキングライトなど強い光量のライトをいれておけば湿度はほとんど上がりませんし、湿度を保つための霧吹きなどのメンテナンスも不要です。
梅雨の時期は湿度が高くなりやすいので、上がりすぎたときは風通しが良い場所にケージをおいたり、除湿機を動かしてあげるといいですよ。
餌は野菜を中心に
トゲオアガマは昆虫と野菜を食べる雑食性ですが、特に植物食性が強いです。餌はコマツナやブロッコリー、豆苗、ニンジン、ひまわりの種、菊の花など旬の野菜をバランス良く与えるようにしてください。
フトアゴヒゲトカゲの人工餌もよく食べてくれますが、肉食性ではないので、与えすぎには注意しましょう。コオロギなどの昆虫も食べますが、わざわざ与える必要はありません。
餌は毎日1回、腹八分を目安に与えます。餌を食べ終わると消化を促進するために体を温めるためにバスキングスポットに向かう必要があります。なので、消灯前には餌をあげないようにしてくださいね。
多頭飼いに向いている?
トゲオアガマは縄張り争いをしないので、多頭飼いに向いています。その時は最低でも横幅で90cmのケージを用意してください。
多頭飼いをしていると餌を食べられていない個体に気づきにくくなるため、餌やりの時間はしっかりと観察しておきましょう。
また、バスキングスポットも取り合いになりますので、飼育している数のトカゲがゆっくりと休める大きさのスポットが必要になります。
トゲオアガマについてまとめ
今回は尻尾がトゲトゲ、ぽてっとしたお腹が魅力的なトゲオアガマについて紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
コオロギなどの昆虫を与える必要が無く、飼育が簡単なので、初心者にもおすすめできるトカゲです。慣れてくるとハンドリングもできますし、元気に動いてくれるので見ているだけでも楽しいですよ。
少しでも興味を持ってくれたなら、ぜひ飼育に挑戦してみてくださいね。
同じ乾燥系のトカゲではフトアゴヒゲトカゲが人気です。フトアゴヒゲトカゲの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、よければご参考ください。
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