アカヒレはとても丈夫な魚で、お店ではコップや瓶で販売されていることもある魚です。安価で飼育が簡単なことから初心者向けと思われがちですが、きちんとした環境で育てるととても美しく発色してくれる魚です。
今回はそんなアカヒレについて特徴や必要な水槽の大きさ、小型水槽の飼育のコツ、値段、寿命、おすすめの餌、繁殖、混泳など飼育方法など詳しく紹介いたします。
アカヒレの生態と特徴
アカヒレは名前の由来通り、赤いヒレをもった中国原産の魚です。生息地は熱帯ではなく温帯のため、熱帯魚ではありません。長らく中国のみでの生息と思われていましたが、近年ではベトナムでも新種が見つかっており、ベトナムアカヒレと呼ばれています。
褐色がかった体色に銀色のラインが入っています。丈夫で酸欠に強く、コップでも飼育を楽しむことができる魚です。
体の大きさ
アカヒレの大きさは3cmほどの小型の熱帯魚です。
寿命の長さ
アカヒレの寿命は平均して3年です。ストレスや病気に強いので、水槽飼育でも長生きさせやすいです。
しかし、コップで飼育していると水質変化が激しく、1年前後で死ぬことが多いです。
メダカとの違いは?
アカヒレとメダカは体型が似ているので、アカヒレをメダカの仲間と思う方も少なくありませんが、アカヒレは中国の魚でコイの仲間なので、全く別の種類です。なので一緒に飼育していても交雑することはありません。
一番わかりやすいのが体色の違いです。アカヒレは赤褐色ですが、メダカは白っぽくなっています。また、アカヒレの方がスマートな体型をしているので、泳ぎが速く、メダカとの混泳には向いていません。
アカヒレの方が体が丈夫なので飼育が簡単です。メダカはコップで飼育するのは難しいですが、アカヒレなら問題なく飼育することもできますよ。
アカヒレの人気の種類
基本となるアカヒレは1種類しかいませんが、繁殖が容易なので、色違いや体型違いの品種改良が盛んに行われています。観賞魚として市販されている種類を紹介していきますね。
アカヒレ
分布 | 中国 |
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体長 | 3cm |
販売価格 | 50円〜100円 |
一般的なアカヒレで別名でコッピーと呼ばれています。見た目は日本メダカにそっくりです。多くの熱帯魚店で購入することが可能です。
ロングフィンアカヒレ
分布 | 改良品種 |
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体長 | 4cm |
販売価格 | 300円〜500円 |
ロングフィンアカヒレは東南アジアとヨーロッパで改良品種された種類です。伸長した背びれが特徴的で先端が赤くなっています。
優雅にゆったりと泳ぐため非常に存在感があり、アカヒレのなかで最も人気が高い種類です。水質悪化でヒレが溶けやすいので、水槽での飼育をおすすめします。
ゴールデンアカヒレ
分布 | 改良品種 |
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体長 | 4cm |
販売価格 | 150円〜300円 |
ゴールデンアカヒレはアカヒレの突然変異で、赤色の部分の色素が薄く、白っぽい黄色の体色がベースになっている種類です。尾びれ、背びれ、尻びれは赤くなっています。飼いこむとウロコが輝くようになり、見事な体色をみせてくれます。
通常のアカヒレと同じく、丈夫で飼いやすいため人気があります。同種なのでアカヒレと交配することができますが、その場合は遺伝子の強いノーマルのアカヒレが生まれてくることが多なってしまいます。
ベトナムアカヒレ
分布 | ベトナム |
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体長 | 3cm |
販売価格 | 200円〜300円 |
ベトナムアカヒレは名前の通りベトナムで発見された比較的新しい種類のアカヒレです。黒いラインが濃くはいるのが特徴的です。低水温に弱く、最低でも20度以上必要なので冬場はヒーターを準備する必要があります。
アカヒレの飼育環境
アカヒレの飼育に必要な水槽と設備について紹介します。水槽で飼育するなら初期費用は1万円前後を見ておくといいですよ。
水槽の大きさと飼育数
アカヒレはコップでも飼育できるくらい丈夫な魚ですが、観賞魚として飼育するのであれば水槽の大きさは最低でも横幅で30cmは必要です。
飼育数の目安は30cm水槽で3匹、45cm水槽で10匹、60cm水槽で30匹ほど飼育することができます。
水槽の周辺設備
アカヒレの水槽に必要不可欠なのは、水槽の蓋です。驚いて水面から飛び出すことがあるので、隙間なくしておきましょう。
他には外掛けフィルターなどのろ過フィルターがあれば、水質の維持がしやすく、死ににくくなるので、可能ならば入れておいたほうがいいです。飼育数が多い時は酸欠になりやすいので必須です。
蛍光灯はアカヒレの発色を良くし、鑑賞もしやすくなるので、飼育を楽しみたいならぜひ入れておきたいですね。
水槽の置き場所
アカヒレの水槽は騒音などが少なく、直射日光が当たらない風通しのいい場所におきましょう。
どちらもストレスを抱えてしまう要因になり、短命になってしまいます。特に水温の変化が激しい暖房機器の近くは危険ですので、絶対にやめてくださいね。
水槽台のように、水槽を置く台もぐらつかないようにしておいてください。
水槽の立ち上げ方法
水槽立ち上げの手順
- 水槽の置き場所を決める
- 水槽台と水槽をセットする
- 照明、ヒーター、フィルター、底砂をセットする
- カルキ抜きした水を入れる
- 各器具の電源を入れる
- フィルターを1日稼働させて濁りを取る
- アカヒレを入れる
水槽を立ち上げたばかりの時は最初は水質が安定しないので、2〜3匹前後で飼育を始めて徐々に飼育数を増やしていきます。
水槽の立ち上げ方で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
水槽のレイアウト
アカヒレは弱酸性の水で長期間飼育すると赤色が濃く発色するので、とても見応えがある魚になります。水槽のレイアウトは弱酸性の水質を維持しやすいように流木をいれたり、底砂をソイルにしてあげるといいですよ。
水流は強くても大丈夫
アカヒレは泳ぐ力があるため、水槽に強い水流を発生させても問題なく飼育することができます。ろ過フィルターの水流を水槽の中央部分に当ててあげましょう。
しかし、体が小さくて体力は無いので、水槽全体に水流が発生させないようにし、休む場所を作っておいてください。
おすすめの水草
アカヒレは臆病な性格をしているので、水槽には隠れ家になる水草をいれておいてください。特に混泳水槽や繁殖を狙うときは、他の魚がいることで大きなストレスになるため、水草は落ち着ける環境を作るために重要です。
水草を食べることはないので、どんな種類でも大丈夫です。ミクロソリウムやアナカリスなどの丈夫な水草だと飼育しやすいですよ。
水草は水中に溶け込んだフンなどの養分を吸い取って生長するため、水質悪化も遅くしてくれますよ。水草は光合成で酸素供給をしてくれるので、アカヒレ1匹なら、ブクブクなしでも飼育できます。
アカヒレの飼育方法
アカヒレの飼育はとても簡単で、初心者でも簡単に育てることができます。
値段と販売場所
アカヒレの値段は100円前後で3cmほどの個体が販売されています。
瓶で飼育されている個体は200円前後と少し高くなっています。数が欲しいときは水槽で販売しているお店を探しましょう。
そこまで人気がある淡水魚ではないので、頻繁に見かけることはありませんが、ホームセンター、熱帯魚専門店、ネット通販などで見つけることができますよ。
適している水温と水質
アカヒレに適している水槽の水温は15度〜28度になります。低水温に強く5度でも耐えることができます。
完全に水が凍らなければ冬でもヒーターなしで大丈夫ですが、ほとんど動かないので、鑑賞するのであれば水槽用のヒーターを準備してあげてください。反対に高温に弱いので、夏は水温が30度を超えないように注意してください。
水温の変化には弱いので、コップなど水量が少ない水槽で飼育する時は、気温差が少ない春や秋だけにしておきましょう。
水質は弱酸性〜中性を好みます。水質の変化には強いので、とくに注意する必要はありませんが、弱酸性を保っていると発色は濃くなり、色揚げ効果があるため、流木や底砂でソイルを入れて狙うのもいいでしょう。
水換えの頻度は1ヶ月に1回、1/3ほど交換してあげてくださいね。
おすすめの餌と与え方
アカヒレは雑食性の淡水魚なので人工餌、イトミミズ、冷凍アカムシなどなんでも食べてくれます。金魚の餌やメダカの餌でも元気に育ってくれますよ。
おすすめの餌は熱帯魚向けであるテトラミンなどの人工飼料です。熱帯魚の餌は栄養価が高く、メインの餌として使うことができます。色揚げを狙う時は高価ですが、らんちゅう用の餌がおすすめです。
餌の頻度は1日2回、1〜2分程度で食べきれる量を与えてあげてくださいね。
餌を食べない時は水質悪化で体調が悪いことが考えられます。水を1/3ほど交換して様子をみましょう。餌を吐き出す時は餌と認識していないか嫌いなことがあるので、別の餌を与えてくださいね。
旅行中はどうする?
3日程度の旅行であれば餌なしでも飼育できますが、それ以上だと自動エサやり機などが必要になります。水草が多い水槽だと微生物が繁殖しているので、それらを餌に生活させることができますよ。
混泳の相性
アカヒレは性格が温和なので多くの魚と混泳が可能です。
混泳相手は金魚、メダカ、ネオンテトラ、ミナミヌマエビ、コリドラスなどがおすすめです。
反対に混泳に向かない魚は気性が荒いベタやスマトラ、アカヒレを食べられる大きさの中〜大型の熱帯魚です。
繁殖を狙うときは混泳はやめておいてくださいね。
繁殖方法
アカヒレの繁殖は初心者でも簡単です。水温が20〜25度になると繁殖期に入るので、調整してみてください。
アカヒレだけを5匹以上で群泳していると自然とペアができて産卵が行われます。卵は水底にばら撒かれるため、親魚の食卵を防ぐために、すぐに隔離してくださいね。
アカヒレを繁殖方法で詳しく紹介しています。
かかりやすい病気と治療方法
アカレヒは丈夫な魚なので、あまり病気にはなりませんが、まれに白点病になることがあります。
白点病は全身が白い点々に覆われる病気で、輸入したばかりで弱っている時にかかっていることがあります。購入してから2週間は注意して観察しておきます。
発症を確認したときはすぐに別の水槽に移動させて、メチレンブルーで1週間薬浴してください。
アカヒレをコップなど小さい水槽で飼育するときの注意点は?
アカヒレをコップなどの小さい水槽で飼育する時は、3日に1回の水換えを行う必要があります。
小さい水槽ではフンなどの有害物質を無害な物質に分解してくれるバクテリアが全くおらず、生物濾過機能がないので、すぐに住めない環境になってしまうからです。丈夫なアカヒレといえども有害物質に囲まれていては生きていくことができません。
他にも水温の変化に弱いので、昼夜の気温差が少ない春や秋だけにしておいてくださいね。
アカヒレについてまとめ
アカヒレは丈夫な魚ではありますが、きちんとした水槽で飼育すると見違えるような体色の美しさを表現してくれます。
簡単に飼育できるからと思わずに、せっかく飼育するのですから、その魅力を存分に引き出してあげてくださいね。
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