フグと言えば海水魚のイメージが強いですが、淡水フグは名前の通り淡水でも飼育できる熱帯魚です。小さいヒレをバタバタと動かして頑張って泳いでいる姿がとてもかわいい魚です。体がまるくて、とぼけたような顔も魅力たっぷりです。
今回はそんな淡水フグについて種類やおすすめ餌、病気、寿命、混泳できる魚など飼育方法を詳しく紹介していきます。
淡水フグの生態と特徴
淡水フグとは真水で生きていけるフグのことです。一般的に多くのフグは塩分を含んでいる海水や汽水に生息しており、わかりやすくするために淡水フグと呼ばれています。
淡水フグと言えども河口付近の弱アルカリ性の汽水に生息していることが多く、ショップでも汽水で飼育されていることがあります。慣らすことで淡水でも飼育できるようになりますよ。
淡水フグの性格
淡水フグは気性が荒い性格をしており、目の前で動いているものは鋭い歯で噛みつこうとします。
しかし、水槽飼育で何度か餌を与えていると、ペットとして人になつくようになり、喜んで近づいて来てくれます。とてもかわいい餌のクレクレダンスを見せてくれるようになりますよ。
淡水フグの種類
淡水フグは観賞魚として流通している種類が多く、販売量も多いので、手軽に飼育を始めることができます。
しかし、日本に淡水フグはおらず、東南アジアや南米に生息する熱帯魚です。
もともとは海水や汽水に飼育している種類なので、海水に近い方が元気になるという点も共通しています。
ここでは観賞魚として人気が高い淡水フグの種類を紹介していきます。
アベニーパファー
分布 | インド |
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体長 | 3cm |
水温 | 22度〜28度 |
pH | 6.5〜7.5 |
水質 | 中硬水 |
寿命 | 3年 |
販売価格 | 300円〜500円 |
アベニーパファーは淡水フグの中でもかなり小さい種類です。巻貝などのスネールを食べてくれるので、繁殖しすぎた時の退治役として飼育することがあります。多くのショップで販売されており、体も丈夫なので、初心者におすすめの種類です。
アベニーパファーの飼育方法でさらに詳しく紹介しているので、ご参考ください。
南米淡水フグ
分布 | ベネズエラ、ブラジル |
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体長 | 8cm |
水温 | 22度〜28度 |
pH | 6.5〜7.5 |
水質 | 中硬水 |
寿命 | 5年 |
販売価格 | 2,000円〜3,000円 |
南米淡水フグは黄色の体に5本の黒いバンドがはっきりとでており、とても体色が美しい種類です。水槽内を活発に泳ぐため、見ていて楽しい淡水フグですよ。こちらも純淡水で飼育することが可能ですが、弱アルカリ性を好むので、サンゴ砂やサンゴをいれてあげる必要があります。
歯が伸びていくので、たまに貝類などの硬い餌を与えましょう。
ハチノジフグ
分布 | インドネシア |
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体長 | 10cm |
水温 | 22度〜28度 |
pH | 6.5〜7.5 |
水質 | 中硬水 |
寿命 | 5年 |
販売価格 | 300円〜500円 |
ハチノジフグの体は灰色で、上から見ると8の字に黄色のラインが入っている種類です。純淡水や完全淡水でも飼育することはできますが、好んでいる水質ではないので、長期飼育したいときは汽水で飼育してあげてください。
アカメフグ
分布 | インド、マレーシア |
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体長 | 5cm |
水温 | 24度〜28度 |
pH | 6.5〜6.5 |
水質 | 中硬水 |
寿命 | 2年 |
販売価格 | 500円〜1,000円 |
アカメフグは宝石のような美しい赤色の目をしている淡水フグです。オスは腹部も真っ赤にそまり、非常にきれいになってくれますよ。純淡水で飼育することができますが、販売されていることが少なく、購入したい時はネットで探すことをおすすめします。
テトラオドンムブ
分布 | コンゴ川 |
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体長 | 70cm |
水温 | 25度〜28度 |
pH | 5.5〜6.5 |
水質 | 中硬水 |
寿命 | 5年 |
販売価格 | 10,000円〜30,000円 |
テトラオドンムブは飼育環境でも50cmを超える大型の淡水フグで、水槽は120cm以上のものを用意する必要があります。
餌は金魚やエビなど肉食性のものを好みます。性格はきついので、単独飼育が望ましいです。純淡水で飼育が可能な種類ですよ。
ミドリフグ
分布 | 東南アジア、ベトナム |
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体長 | 7cm |
水温 | 22度〜26度 |
pH | 6.5〜7.5 |
水質 | 中硬水 |
寿命 | 6年 |
販売価格 | 500円〜2,000円 |
ミドリフグはとても愛らしい姿でフグの飼育を存分に楽しめる種類です。
飼育は容易で初心者にもおすすめの種類です。しかし、淡水でも飼育可能と案内されることもありますが、汽水で飼育をしないと長期間飼育することはできません。淡水フグと言うことはできず、誤解しやすいので注意してください。
ミドリフグの飼育方法でさらに詳しく紹介しているので、ご参考ください。
淡水フグの飼育に必要な水槽と設備
淡水フグの飼育は一般的な熱帯魚の設備で飼育することができます。汽水で飼育する時には、塩分対策がされている海水用の設備を用意してあげてくださいね。
水槽の大きさ
淡水フグで人気のアベニーパファーは最大でも7cmほどにしかならないので、小型の45cm水槽から飼育することが可能です。
赤虫などの生き餌が好物のため、小さな水槽では水質悪化しやすく、注意が必要です。45cm水槽で飼育する時はこまめに残り餌を取り除くようにしましょう。
フィルター
45cm以下の水槽だと外掛けフィルター、60cm以上の水槽だとろ過能力が高く掃除が簡単な上部フィルターがおすすめです。
水槽用のヒーター
淡水ふぐは低水温に弱いので、冬は水槽用のヒーターが必要です。昼夜の気温差が激しい春と秋にも作動させておきましょう。
30cm水槽 | 50w 450円 |
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45cm水槽 | 100w 900円 |
60cm水槽 | 150w 1,350円 |
おすすめの水槽用のヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
水槽の蓋
水槽の蓋は水が蒸発したり、ホコリが入るのを防ぎます。隙間なく蓋をしておいてくださいね。
淡水フグの水槽の立ち上げ方法
立ち上げたばかりの水槽には、フンや餌の食べ残しなどの有害物質を無害なものへ分解してくれるバクテリアがいないため、すぐに住めない環境になってしまいます。
そのため、パイロットフィッシュと言って丈夫な飼育して、バクテリアを増やす作業が必要になります。これをしておくことで生存率が大きく変わりますので、きちんと準備しておきましょう。
日本の水道水は中性なので、カルキを抜けばそのまま使えます。井戸や川の水は微生物や細菌が生息しているので、使用しないでください。
水槽立ち上げの手順
- カルキを抜いた水道水を準備する
- 水槽の置き場所を決める
- 水槽と底砂、フィルター、照明をセットする
- 流木や石組みなどレイアウトを行う
- 水をゆっくりと入れる
- フィルターとヒーターの電源を入れて水を落ち着かせる
- パイロットフィッシュを1ヶ月飼育する
- 淡水フグをいれる
水槽の立ち上げ方でさらに詳しく紹介しているので、ご参考ください。
淡水フグの飼育方法
淡水フグは丈夫で初心者にも飼いやすいですが、成長すると気性が荒くなり、攻撃性が増してしまいます。混泳や群泳は難しく、飼育にはコツが必要です。
値段と販売場所
淡水フグの中でも人気のアベニーパファーやミドリフグであれば、ホームセンターや熱帯魚専門店など多くのショップで販売されています。値段は300円〜500円前後で購入することができます。
他の淡水フグは輸入されることも少ないため、ネット通販で探すことをおすすめします。
水槽のレイアウト
淡水フグは餌に冷凍アカムシなど水が汚れやすい餌をあげることが多いため、掃除のしやすさが重要になってきます。水槽のレイアウトは石や砂だけのシンプルなものにしておきましょう。
アベニーパファーであれば、水草水槽で飼育することもできますよ。スネールなどの害虫を食べてくれるので、駆除役としてもおすすめです。
適している水温と水質
淡水フグは22度〜28度の水温を好みます。冬には水槽用のヒーターを入れて、夏は温度が上がりすぎないように直射日光を避けましょう。
水質はの好みはアルカリ性に近いので、底砂は海水魚に使われるサンゴ砂にしてあげましょう。
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おすすめの餌と与え方
淡水フグは肉食性が強く、餌は冷凍アカムシやイトメ、メダカを好んで食べます。他にも水槽に繁殖するスネールを食べてくれます。ミナミヌマエビなどのエビ類も大好物ですよ。
餌の好き嫌いが激しく、人工餌に慣れてくれない個体も多くいます。生涯、冷凍赤虫しか食べない可能性もあるので、きちんと準備できる環境を整えておきましょう。
餌を食べない時は、体調が悪いか、餌に飽きている可能性があります。水温や水質が淡水フグにいいものになっているか確認してあげましょう。水換えも新陳代謝を活性化できるので効果があります。
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混泳について
淡水フグは気性が荒く、動くものにはなんでも噛み付く習性があります。ネオンテトラなどの熱帯魚はヒレをかじられ、エビ類はヒゲをかじられます。
歯が鋭いため、噛み付かれたものはボロボロになってしまうため混泳が難しい熱帯魚です。淡水フグ同士でも幼魚のときは群泳できますが、成長とともに攻撃性を増してくるので、混泳が難しくなります。
基本的には単独飼育が好ましいですが、個体の性格によってはうまくいく例も多くあります。攻撃性があるかどうか、よく観察してあげてくださいね。
病気と治療方法
淡水フグがかかりやすい病気は白点病と尾腐れ病です。
白点病 | 体中に白い斑点ができる病気で、寄生虫が原因です。この寄生虫は高温と塩分に弱いため、水温を28度にしてひとつまみ塩をいれて様子をみましょう。 |
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尾ぐされ病 | 水質悪化が原因で細菌に寄生されてヒレが溶けてくる病気です。こちらも水温を28度にして塩をひとつまみ入れてあげてくださいね |
淡水フグの歯切り方法
淡水フグ特有の症状で前歯が伸び過ぎることがあります。前歯が伸びてきて、極端に伸びてしまうと餌を食べられなくなって、痩せてしまいます。
こうなると歯切りが必要です。方法は濡れたガーゼでフグをつつんで、ニッパ切り取りましょう。
歯切りをしたくないときは、餌に貝殻付きの貝を与えるか、サンゴをいれるか、大き目の砂利をいれて噛ませることで伸びるのを防止できますよ。
淡水フグについてまとめ
今回は淡水フグの特徴や飼育方法について紹介していきましたがいかがでしたでしょうか。
飼育で重要なポイントは他の熱帯魚と違って弱アルカリ性の水質を好むので、ネオンテトラなどの熱帯魚と同じように飼育すると元気が無くなってしまうことです。
サンゴ石や海の砂を入れることでしっかりと水質調整を行ってあげましょう。
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