エボシカメレオンは大型種で、飼育には大きなケージが必要です。値段は安価ですが、飼育は難しく、餌は生きた昆虫を用意して、温度と湿度の管理を徹底しないといけません。この記事では生態や寿命、多頭飼いなど飼育方法を紹介します。
エボシカメレオンの特徴
エボシカメレオンは発達したカスク(トサカ)をもつカメレオンの仲間です。名前の由来は頭部に発達しているトサカが、昔の貴族がかぶっている烏帽子(エボシ)に似ていることから名付けられました。
ほとんどの時間を木の上で生活しており、木の枝を掴みやすいように指が長く発達しています。尻尾も器用に枝に巻きつくことでバランスを取っています。
目は360度見渡せるように飛び出しており、左右の眼球は別々の方向に動かせます。この目の動きは天敵の姿や餌になる昆虫を見つけるのに使われています。餌になる昆虫を見つけるとゆっくりと近づき、射程範囲に入ると粘着力のある舌を一瞬で伸ばして捕食します。
生息地
エボシカメレオンは中東のアラビアに位置するイエメンやサウジアラビアに生息しており、砂漠地帯にある森林に生息しています。そのため他のカメレオンに比べて乾燥や高温に強く飼育がしやすいです。
体の大きさ
エボシカメレオンの大きさはオスの平均は50cm〜60cm、最大だと80cmまで成長する大型種ですが、メスは一回り小さく40cmほどで止まります。大きなケージを用意できない時はメスがおすすめですが、最大の特徴であるトサカはメスの方が小さくなってしまいます。
成長スピードはかなり早く、生後半年で30cm近くまで成長します。
大きくならないカメレオンを求めている方にはコノハカメレオンが人気です。
寿命の長さ
エボシカメレオンの寿命は平均で5年〜7年です。飼育下では5年生きることはあまりありません。カメレオンの中では長生きするほうで、他のカメレオンだと寿命は2〜3年の種類が多いです。
エボシカメレオンの飼育環境
エボシカメレオンの飼育に必要な設備を紹介していきます。ケージは特注サイズになる場合、初期費用で8万円前後をみておきましょう。
飼育ケージの大きさ
エボシカメレオンは木の上での生活が基本となるので、ケージは高さがあることが大切です。必要な大きさは高さが体長の1.5倍、横幅は胴体の部分の2倍は必要です。
体長が50cmの個体だと75cm(高さ)×50cm(横幅)×50cm(奥行き)が目安になります。市販サイズだと高さ60cmが限界なので、市販サイズでいきたい時は大きくならないメスを飼育しましょう。体長が40cmを超えてくると特注の大型ケージを準備する必要があります。
空気の流れで周りの環境を感じるとるため、ケージは通気性のいい、左右と上部がメッシュになっているものがおすすめです。小型のファンや扇風機で弱風をあててください。
臆病な性格でストレスを感じやすいので、ケージが狭いと体調が悪くなりやすく、可能な限り大きなケージを用意することが飼育でもっとも大切なポイントです。
人間や他の生き物が近くにいる環境も苦手なので、人通りが少なく、風通しがいい場所に置いてあげましょう。観察する時間もなるべく少なくしてあげてくださいね。
おすすめの爬虫類用ケージで紹介しているので、ご参考ください。
ライトはバスキングと紫外線の2つが必要
エボシカメレオンには紫外線を浴びるためのUVライトと体を温めるためのバスキングスポットが必要です。
体を温めるときに、バスキングライトに近づきすぎてトサカが火傷することがよくあるので、バスキングライトに近づきすぎないように大きいものを選ぶことで全体の温度をしっかりとあげ、火傷防止カバーをつけておいてください。どちらの照明も近づけないように上部に配置してください。
明るい環境は苦手なので、なるべく暗めのライトを選び、ケージの中には影ができるようにしてください。
エボシカメレオンのライトについては爬虫類に必要なバスキングライトと紫外線ライトで詳しく紹介しているので、ご参考ください。
床材の選び方
床材は湿度を保ちやすいようにヤシガラマットを使うのが一般的です。
床を歩き回ることがないので、新聞紙やトイレットペーパーで代用することも可能です。見た目を気にしなければ、誤飲することがないので、トラブルは少なくなります。
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動きのある水飲み場を用意する
エボシカメレオンは流れている水しか飲まないので、水容器はドリップ式か水容器にエアレーションをして動かす必要があります。
ドリップ式とはケージの上の水が入ったタンクを置き、ちょっとづつ水が垂れるようにしておきます。下には水を受けるための容器を置いておき、水が下にたまると交換を行います。ドリップ式用の水容器があるのでそれを購入しましょう。
カメレオンは体に水分が不足してくると舌の粘度が低くなり、餌を食べにくそうにします。その状態を確認したら水を飲めてないと判断して対策をしてください。
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レイアウトは枝を多めに
エボシカメレオンはヨコに伸びた枝で休むことが多いので、手の大きさにぴったりとハマる太さの枝を選んで、真横か斜め30度くらいに配置してあげましょう。観察を続けることでどの太さがいいか、角度がいいかを調整していきます。
人目や光が苦手なので、隠れられるように飼育が簡単なポトスやガジュマルなどの観葉植物をいれてあげてください。しかし、植物食性で食べられてしまうので、人口植物をいれるほうが管理は楽になります。
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エボシカメレオンの飼育方法
カメレオンは温度と湿度に敏感なので、飼育が難しい生き物です。しかし、その中でもエボシカメレオンは飼育が簡単で、ペットとしての期間が長く、環境適応力もあるので、初めてのカメレオン飼育におすすめです。
状態がいいと綺麗な緑色に、環境にストレスを感じていると茶色になるので、飼育方法が適切か確認する指標にするといいでしょう。
ハンドリングには向いていない
エボシカメレオンは臆病な性格をしているので、触られると強いストレスを感じ、基本的にはハンドリングできません。威嚇されたり、噛まれることがあり、顎の力は強いので注意が必要です。
ベビーの時からうまく人なれさせておくと、ハンドリングをすることができますが、なついてくれるのは一部の個体だけです。
価格と販売場所
エボシカメレオンの生体は2万円〜4万円前後の値段で販売されています。
爬虫類はネット販売が禁止されているので、爬虫類専門店か爬虫類販売に力を入れているペットショップを探す必要があります。春〜夏にかけて入荷されてくるので、その時期になると探してみるといいですよ。
個体によって模様が異なっており、モルフ(カラーバリエーション)も豊富でブルーやトランスルーセントなど珍しい種類はコレクション性も高いので、お気に入りの1匹を見つけ出してくださいね。
飼育に適している温度
エボシカメレオンに適してる温度は24度前後です。冬は暖突か保温球を上部につけて、ケージ全体を温めるようにしてください。
問題は夏場で、高温に弱いので、24度前後を維持できるようにクーラーをつけておく必要があります。
おすすめの爬虫類用ヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
飼育に適している湿度
エボシカメレオンに適している湿度は50%~70%です。
湿度の管理のために、2〜3時間ほどで乾燥するくらいの量を1日2回朝晩に霧吹きしてください。湿度が不足していると脱皮がスムーズにいかなかったり体長が悪くなります。特に脱皮の時には注意して観察してください。
エボシカメレオンの多頭飼いできる?
エボシカメレオンは個体の性格によりますが、多頭飼いをすることができます。
しかし巨大なケージが必要になってくるので、おすすめはできませんし、喧嘩した時に隔離できるように2つ用意しておく必要があるため、ある程度の費用が必要です。
エボシカメレオンの餌と与え方
エボシカメレオンの餌は、他のカメレオンと違い、昆虫だけではなくフルーツや野菜なども食べる雑食性です。
主食はコオロギや昆虫にして、サブに野菜なども与えてください。昆虫食は栄養バランスが偏るので、コオロギには市販のカルシウム剤をまぶしてから与えます。
ミルワームも餌として与えられますが、あまり動かないカメレオンには脂質が高く、肥満になりやすいので、週に1回以下に抑えておきましょう。
餌用コオロギの繁殖と飼育方法で紹介しているので、ご参考下さい。
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餌の頻度と与え方
餌の頻度は毎日体の大きさにあったコオロギを与えるようにしてください。ケージに直接入れると隠れて食べられないことがあるので、プラケースやコップに入れて逃げられないようにし、ケージにそのまま置いておきましょう。
餌を食べないときの対処方法
エボシカメレオンが餌を食べないときは温度か湿度が不足しており、体調不良の事が多いです。まずは環境をチェックしてください。
次に神経質な個体だと、コオロギが大きすぎたり小さすぎると食べないことがあります。また、まぶしたカルシウムパウダーのせいで舌で捉えずづらくなり、嫌がることもあります。
人に見られる環境だとストレスを感じるので、ケージの置き場所を変えて、観察するのを控えるのも効果的です。
エボシカメレオンについてまとめ
エボシカメレオンの魅力はなんといっても大きな体と、立派なエボシであり、大きなケージで飼育することで存分に巨大化を狙ってほしいところです。
60cm超えのカメレオンが捕食する瞬間は迫力満点ですので、ぜひその野性味を堪能してくださいね。
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