アピストグラマは非常に美しい体色をしている熱帯魚で、小型水槽で手軽に飼育することができます。さらに繁殖もさせやすく、繁殖期のオスの美しさは際立ちますので、熱帯魚飼育の全てを味わうことができます。
今回はそんなアピストグラマの生態や特徴、人気の種類、繁殖、混泳できる魚など飼育方法について紹介していきます。
アピストグラマの特徴
アピストグラマはシクリッドの仲間で、南米の水流が穏やかな河川や沼地を中心に広く分布しています。
体色のバリエーションが豊かで赤や青、黄、オレンジなど原色に近い美しい体色を持っている熱帯魚です。
その美しさは水草水槽にぴったりで、繁殖もしやすいのでペアで飼育している方も多くいらっしゃいます。特に繁殖期のオスは縄張り争いのために、性格が攻撃的になりますが、普段以上の美しい輝きを見せてくれるようになります。
体が小さいため熱帯魚の混泳水槽で楽しむことができたりと、初心者にもおすすめの熱帯魚です。
寿命の長さ
アピストグラマの寿命は平均して2年〜3年です。体が丈夫なので、水槽飼育では長生きさせやすいです。
アピストグラマの種類
アピストグラマは種類数が豊富であり、発色や体型が異なってきます。種類によっては水質の適応力が低く、飼育が難しい種類もいます。
なによりもカラーバリエーションが豊富で選ぶのが楽しいので、ぜひお気に入りの1匹を見つけてくださいね。
アピストグラマの人気の種類を紹介していきます。
アピストグラマ・アカシジィ
体長 | 8cm |
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販売価格 | 2,000円〜4,000円 |
販売量も多く人気種です。色彩変異型が発見されており、スーパーレッド、ブルーゴールドなど非常に見応えのある発色を見せてくれる種類を見つけることができますよ。
アピストグラマ・ビタエニアータ
体長 | 10cm |
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販売価格 | 4,000円〜5,000円 |
水質にうるさくなく、初心者にも飼いやすい種類です。背びれが長く、繁殖時期に魅力的な姿を見せてくれます。色のバリエーションが豊富なのでコレクション性が高いです。
アピストグラマ・ボレリーオパール
体長 | 5cm |
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販売価格 | 1,500円〜2,000円 |
体が小さい種類です。こちらも初心者に育てやすく、価格もやすいほうなので、アピストグラマ初挑戦の方に人気があります。
体高があり各ヒレが大きなります。全身が濃いメタリックブルーに染まるので存在感をしっかりとだしてくれますよ
アピストグラマ・エリザベサエ
体長 | 8cm |
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販売価格 | 4,000円〜6,000円 |
アピストグラマの女王とも言われる美しい体色をしておりマニアから強い人気があります。
しかし、水質に敏感で、初心者が飼育するのは難しいです。名前に産地がつけられており、トゥッカーノやチブリアリという名前がついています
アピストグラマ・マクマステリ
体長 | 8cm |
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販売価格 | 2,000円〜3,000円 |
スーパーレッドと言われる個体は全身が濃い赤で発色しておりとても美しいです。
アピストグラマ・トリファスキアータ
体長 | 5cm |
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販売価格 | 1,500円〜2,000円 |
オスは青いメタリックブルーが非常に美しく、メスは全身が黄色くなっており、オスとメスの違が楽しめます。
環境によって色合いが変わるので、光の強さには特に注意しておきましょう。特にマットグロッソ産が人気で特徴的な黒のラインがはいっています。
アピストグラマ・カカトゥオイデス
体長 | 7cm |
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販売価格 | 1,000円〜2,000円 |
丈夫な種類で熱帯魚専門店で養殖された個体が販売されていることも珍しくありません。
赤色の発色箇所によってランクが変わってきており、2箇所の個体はダブルレッド、3箇所の個体はトリプルレッドと呼ばれています。
アピストグラマ・パンドゥロ
体長 | 7cm |
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販売価格 | 1,500円〜2,000円 |
飼育が簡単で入門種におすすめです。淡い白色をしており、尾びれには特徴的なオレンジの色がはいっています。
アピストグラマ・メンデジィ
体長 | 7cm |
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販売価格 | 6,000円〜7,000円 |
高価な種類で、産地によって発色の個体差が大きい種類です。色彩が豊富でコレクション性が高く、マニアに人気があります。
アピストグラマの飼育環境
必要な水槽の大きさ
アピストグラマの飼育には、45cm水槽か60cm水槽が適しています。
体長は10cm前後の小型の熱帯魚ですが、水草や流木などの隠れ家が多くある環境を好むため、水槽はある程度大きさが必要になってきます。
ろ過フィルターの選び方
弱酸性の水質を好んでいるため、水質維持がしやすい底面フィルターか外部式フィルターがおすすめです。
これらのろ過フィルターは水と空気と接する面が少ないので、弱酸性を保つことが出来ます。
もちろん安価な外部式フィルターでも飼育上の問題はありません。
底砂はソイルがおすすめ
底砂は水質を弱酸性に変えてくれるソイルがおすすめです。色揚げ効果が期待できるだけではなく、黒色の底砂がアピストグラマの派手な体色を際立てくれます。
床面に光が反射すると、体色が薄くなってしまうので、必ず底砂を敷くようにしてくださいね。
水槽の立ち上げ方法
立ち上げたばかりの水槽には、フンや食べ残しなどの有害物質を無害な物質へ分解してくれるバクテリアがおらず、すぐに住めない環境になってしまいます。
そのため最初に丈夫なパイロットフィッシュを飼育して、バクテリアを繁殖させる必要があります。アピストグラマの水槽の立ち上げには時間がかかるので、前もって準備しておきましょう。
立ち上げの手順
- 水槽をセットする
- 照明、フィルター、底砂、ヒーターをセットする
- カルキを抜いた水を入れる
- 流木や石組み、水草を植える
- フィルターを稼働させて水の濁りを取る
- パイロットフィッシュを1ヶ月飼育する
- アピストグラマをいれる
アクアリウム水槽の立ち上げ方でも詳しく紹介しているので、ご参考ください。
アピストグラマの飼育方法
購入場所
アピストグラマはホームセンターなどのペットショップで見かけることは少なく、ネット通販や熱帯魚専門店で探す必要があります。
種類だけではなく、個体によっても発色が異なるので、実物を見てから購入を決めてあげたいところです。アピストグラマを多く扱っている専門店もありますので、近くにないか探してみましょう。
飼育に適した水温
アピストグラマに適した水温は22度〜26度です。低水温に弱いので、冬は水槽用のヒーターを用意してください。
飼育に適した水質
アピストグラマは水質の適応力が高く中性〜弱酸性の環境で生きることができます。
弱酸性を好んでおり、それを維持することで発色具合が大きく異なるため、流木やソイル(黒土)、調整剤のブラックウォーターなどをつかって弱酸性の水を作り出しましょう。
せっかく調整した水質を変えてしまわないために、水換えの頻度は週に1回1/5ほどと少なめにしておきます。
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水草レイアウトが似合う
アピストグラマは派手な体色をしているので、水草が生い茂った環境がよく似合います。
底砂には水質を弱酸性に保てるソイルを使い、ミクロソリウムやアヌビアスナナなどの水草をたくさん入れておきましょう。
ソイルは体色の色揚げ効果や水草に必要な栄養が供給されるだけではなく、水質にうるさいアピストグラマの飼育難易度も下げてくれます。さらには繁殖もしやすくなったりとメリットが多いです。
強い水流を好まず、水流を弱める工夫が必要です。水の吐き出し口を壁に向けるか、スポンジなどで緩めてあげるといいでしょう。
かかりやすい病気と治療方法
病気の主な原因は水質悪化か他魚とのトラブルによるストレスになります。ここではアピストグラマがかかりやすい病気を解説していきます。
カラムナリス病 | 水質悪化が原因で細菌に感染したときにかかる病気です。重病になってくると口周りが炎症を起こす口ぐされ病を引き起こします。病気を発見したら飼育水を全て交換してグリーンFで薬浴してあげましょう。 |
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エロモナス病 | 不治の病とも言われている病気で細菌に感染したときにかかる病気です。体から出血をおこす赤斑病になったり、ウロコがめくれる松かさ病になったり、目が飛び出すポップアイといった症状を引き起こします。予防が大切な病気です。日頃からきちんと水換えを行なっておきましょう。 |
アピストグラマの餌
アピストグラマは餌の好き嫌いが少ないため、好みの餌を与えることができます。熱帯魚の餌は種類が豊富で、安価な餌から色揚げ用など、自由に選べます。
おすすめの餌
アピストグラマにおすすめの餌はディスカス用の餌です。値段は高いですが、同じシクリッド向けの餌で色揚げ効果があります。
人口餌への食いつきが悪くなった時は、冷凍赤虫を与えます。成長期に冷凍赤虫をたくさん食べさせると、しっかりと成長して見事な発色を見せてくれるようになります。
同じ餌ばかりだと飽きてしまうことがあるので、2〜3種類の人工飼料を用意してローテーションを組みましょう。たくさんの餌をあげて好物を見つけてあげてくださいね。
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餌を食べない時はどうする?
アピストグラマは臆病な性格なので、新しい環境に慣れていない時は餌を食べないことがあります。2日~3日は問題ないので、様子を見てみましょう。
突然食べなくなったら、水質が悪化しているか餌に飽きてしまっていることが考えられます。水換えを行なったり、生き餌か別の種類の人工飼料を与えてみてください。
アピストグラマの混泳
アピストグラマは混泳向きの熱帯魚ではありません。強い縄張り意識を持っており、自分のテリトリーに侵入した魚は同種、他種に関係なく襲いかかります。
どうしても混泳したいときは、縄張りが被らないように、水槽を広くして、隠れ家になる水草を多く植えておきましょう。この環境であればコリドラスやラミレジィ、ネオンテトラといった小型の熱帯魚と混泳することができます。
また、アピストグラマよりも大きい魚を混泳させるとストレスで体色が薄くなるのでやめておきましょう。ヤマトヌマエビなどの甲殻類も餌になるのでさけておいてください。
アピストグラマの繁殖方法
アピストグラマの繁殖を狙うときは、成熟した親魚を用意することが大切です。好物の餌を毎日しっかりとあげましょう。
水温を27度前後に保っていると繁殖時期に入ります。5匹程度で混泳させていると自然とペアが出来上がりますよ。
ペアができると、とても好戦的になるので、産卵用水槽に移動させます。流木やシェルターの下に産卵するので、水槽に入れておきましょう。
産卵が終わると、稚魚が孵化するまでメスは産卵床を守り続けます。そのときにオスと喧嘩することもあるので、オスは元の水槽に戻してあげてくださいね。
親魚が卵を食べる原因
産卵経験が少なかったり、ストレスを抱えていると食卵することがあります。
産卵後すぐに隔離して、飼育者が孵化させることもできますが、環境の問題なので、隠れ家を増やして次の産卵まで様子をみてあげてください。
稚魚の育て方
アピストグラマの稚魚はメスに守ってもらいながら成長していくので、親と子供を隔離する必要はありません。
泳ぐのが苦手なので、水流は可能な限り弱くして、フィルターに吸い込まれないように注意してください。
最初はヨーサックと呼ばれる栄養袋から栄養を吸収して成長します。生後5日から泳ぎ回って餌を食べられるようになるので、栄養価が高いブラインシュリンプを与えましょう。
生後3ヶ月でメスと稚魚を隔離して、そのまま飼育します。4ヶ月ほどで親魚がいる水槽にもどすことができますよ。
アピストグラマについてまとめ
今回は見事な体色を持っているアピストグラマの生態や飼育方法について紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
しっかりと飼いこむことで、さらに体色は濃くなり、繁殖期には見違えるような美しさを見せてくれるようになります。
健康的に成熟させるために、餌にはこだわりを持って、大切に育ててあげてくださいね。
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