ディスカスは円盤状の体型と優雅な泳ぎで多くの人を魅了しています。その美しい姿は熱帯魚の王様と呼ばれるほど有名で、世界中で多くの改良品種も生まれています。
少し前までは飼育が難しい魚として知られていましたが、最近では飼育設備が整ってきて、少しコツを掴めば初心者でも十分に挑戦できる熱帯魚になりました。
今回はそんなディスカスの特徴や性格、寿命、飼育に必要なもの、水替えなど飼育方法について紹介していきます。
ディスカスの特徴
ディスカスは南米のアマゾンに生息するシクリッドの仲間です。体色の美しさから改良品種が盛んで、世界中で美しさを競い合うコンテストも行われています。
発色をよくするためにじっくりと飼いこむのもいいですし、飼育に慣れてきたら繁殖を狙うこともおすすめします。ディスカスはペアの仲がよく、親魚が稚魚を育てる様子も観察できるのでやりがいがありますよ。
水質の変化に敏感で、初心者には飼育が難しい熱帯魚です。しかし、頑張れば頑張るほど、美しい色合いを見せてくれる熱帯魚ですので、ぜひ大切に育ててあげてくださいね。
ディスカスの性格
ディスカスの性格は神経質で、慣れない環境では水槽の奥に隠れてしまって出てきません。自然界でも群泳を基本としており、単独で泳ぎ回ることはほとんどありません。
それでもシクリッドの仲間ですので、水温が暖かくなる繁殖期になると縄張り争いのために、普段のおとなしさからは想像がつかないほど攻撃的になります。大人しいプレコや小型の熱帯魚と混泳させてしまうと、狭い水槽内では永遠に追いかけ続けることがあります。
ディスカスの寿命
ディスカスの寿命は平均して5年~7年です。病気やストレスに弱く、水質の変化に敏感なので、水槽の飼育では5年以内に死んでしまうことも珍しくありません。反対に、上手に育てると10年は生きることができます。
ディスカスの種類
ディスカスはその美しさから改良品種が積極的に行われている熱帯魚です。同じ種類でも色彩が完全に固定されていなかったり、雑種になったりで微妙に模様が異なることもあります。
改良品種は野生種ほどの色味の豊かさや成長によって発色が強くなるということはありませんが、飼育が比較的容易なので、初心者にはおすすめですよ。
ブラウンディスカス
分布 | アマゾン川 |
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大きさ | 18cm |
販売価格 | 2,000円〜5,000円 |
ブラウンディスカスはオレンジ系を代表する種類です。はっきりとオレンジ色になっている個体は少なく、くすんだ茶褐色で他の品種と比べて地味な体色なので、販売量は少なくなっています。値段は3千円前後と安いので、入門種としておすすめです。
ヘッケルブルーディスカス
分布 | ネグロ川、トロムベタス川、マデイラ川 |
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大きさ | 18cm |
販売価格 | 3,000円〜5,000円 |
ヘッケルブルーディスカスは原種のディスカスで、ブルー系の代表種です。
体色は灰褐色から明褐色をベースに細いブルーストライプが全身に入っています。原種ディスカスの中では最も人気の種類で、ブルーの輝きが少なく、派手さはありませんが、落ち着いた雰囲気をもっています。
ロイヤルグリーンディスカス
分布 | テフェ湖、テフェ川、アマゾン川 |
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大きさ | 18cm |
販売価格 | 10,000円〜20,000円 |
ロイヤルグリーン・ディスカスは原種のディスカスです。原種の中では最も派手な色合いをしており、この種から多くの品種改良が生み出されてきました。
体色は黄色味の強い褐色をベースに口元から背びれ、体側にかけてグリーン系のストライプがはいっています。
生息地によって呼び名が異なります。体側に赤い斑点が現れるペルヴィアン・グリーンディスカスと頭部から背びれにかけてストライプが入り、尾びれから腹部にかけて隙間なくライトグリーンがはいったテフェ・グリーンディスカスが人気です。
ターコイズディスカス
分布 | 改良品種(ドイツ) |
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大きさ | 18cm |
販売価格 | 4,000円〜20,000円 |
ターコイズディスカスは独特の青緑色とトルコ石の輝き、色彩が似ていることからターコイズの名称がつきました。原種のグリーンディスカスと原種のブルーディスカスの血統が混ざり合った美しいブルーの輝きをみせてくれますよ。
ブルーダイヤモンドディスカス
分布 | 改良品種(香港) |
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大きさ | 18cm |
販売価格 | 2,000円〜5,000円 |
ブルーダイヤモンドディスカスは全身に明るいメタリックブルーが発色するブルー系ターコイズの頂点に立っている種類です。体側はもちろん、頭部全体、えらぶた、背びれ、尾びれなど全てがブルーに輝いています。
レッドロイヤルブルーディスカス
分布 | 改良品種(タイ・マレーシア) |
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大きさ | 18cm |
販売価格 | 1,000円〜3,000円 |
レッドロイヤルブルーディスカは日本でもっともポピュラーな種類です。ブルーのストライプは細いもの、太いもの、スポット状になるものなど個体差が大きいディスカスです。幼魚だと成長後の模様を想定することが難しいため、美しい個体を育てたければ、7cm以上の個体をおすすめします。
ディスカスの飼育に必要な水槽と設備
ディスカスを飼育で大切なことは、水質が悪化しにくい環境を整えてあげることが大切です。なるべく水量が多い大きな水槽を用意したり、強力なろ過フィルターを用意するほど飼育が楽になります。初期費用では5万円ほどみておくといいですよ。
水槽の大きさ
ディスカスの水槽は熱帯魚飼育に一般的なガラス水槽がおすすめです。透明度が高く鑑賞に優れています。
水槽の大きさと飼育数の目安は60cm水槽で2匹、90cm水槽で7〜9匹、120cm水槽で20匹です。4匹以上の群れで生活していると落ち着くので、90cm以上の水槽を用意するのが理想です。
飼育数が少ないと喧嘩する可能性があるので、60cm水槽で飼育する時はすでにペアになっているディスカスを購入しましょう。
ろ過フィルター
ディスカスは主食になるディスカスハンバーグが水をかなり汚すので、バクテリアを活かした生物ろ過よりも、フィルターの掃除回数を増やす方が大切になります。
90cm水槽では上部フィルターを使って、120cm以上の水槽では特注になりますが、ろ材と酸素量が豊富なオーバーフロー式を使います。
スポンジフィルターや外部フィルターでも飼育はできますが、水換えの量と頻度が多くなり管理が大変です。ろ過能力が適正かどうか心配なときは毎日pHを測定して、変動がないか確かめるようにしましょう。
飼育数を増やしたら酸素欠乏になりやすいので、様子を見てサブで投げ込み式フィルターを追加してあげましょう。
照明器具
ディスカスは照明で体色の見え方が変わってくるので、照明選びはとても大切です。照明には赤系をよく見せるものと青系をよくみせるものと、ミックスしたものがあります。飼育しているディスカスの体色によって使い分けてください。
おすすめの照明は赤と青の細かい部分まで彩度をあげて、水の透明度を高めてくれるミックスタイプの「リプロ ブレイズ」です。
暗い環境を好むため、明るい場所に水槽をおいておけば、昼間は照明をつける必要がありません。照明時間は日没から3時間程度でも大丈夫ですよ。
ディスカスの飼育で大切な水について
ディスカスは水質の変化に敏感な熱帯魚のため、水質の維持がとても大切になります。
水質を安定させるために飼育設備は大きな水槽で、強力なろ過能力が求められます。水槽に入れる前にはしっかりと水あわせを行なって、日々の世話ではこまめに水換えを行う必要があります。それぞれの方法を詳しく紹介していきますね。
水槽の立ち上げ方法
水質の変化がない環境を作り出すためには、水槽の立ち上げが重要です。
なぜなら、最初は水槽内にたまったフンや餌の食べ残しなどの有害物質を無害なものへ分解してくれるバクテリアがおらず、急速に水質悪化が進みやすい環境だからです。実際にパイロットフィッシュと呼ばれる魚を飼育してバクテリアを増やす必要があります。1ヶ月もすれば水質が安定してくるので、毎日測定して入れるディスカスをタイミングを測ってください。
水槽の立ち上げ方で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
水槽の置く場所は直射日光や騒音が小さいところを選んでください。電源が近くにあると管理が楽ですよ。
水槽立ち上げの手順
- 水槽を置き場所を決める
- 水槽と水槽台をセットする
- 照明、フィルター、ヒーターをセットする
- カルキ抜きした水を入れる
- 各器具を稼働させる
- 2時間ほどフィルターを動かして濁りを取る
- パイロットフィッシュで1ヶ月飼育する
- phを毎日測定して安定したのを確認する
- ディスカス用の水を作って水槽に入れる
- ディスカスを水槽に入れる。最初は数を少なめに
水作りの方法
ディスカスは水質の変化に敏感で適応範囲も狭いので、他の熱帯魚と同じように水道水のカルキを抜いたら使えるというわけではありません。
適したpHは6.5前後ですので、それが維持できるように準備が必要です。少し手間がかかりますが、水作りさえできればディスカス飼育は難しくありません。作り方を詳しく紹介するので、水槽の立ち上げや換水のときの参考にしてくださいね。
- 水道水のpHを測定する。7前後
- pH6.0になるようにpH降下剤を入れてフィルターを回して一日様子を見る。水中の二酸化炭素が減って翌日には6.5になります
- ph6.0になるようにpH降下剤を入れて一日様子を見る
- 翌日のpHが上がらないようになるまで繰り返す
- pHが2日間にわたり変化しなければ使用できます。
- 水槽に2時間かけてゆっくりと作った水をいれていきましょう。
適している水温
ディスカスに適している温度は28度~30度と高温を好んでいます。
水温を安定させるために、秋から春にかけて温度調整機能がついた水槽用のヒーターで30度をキープしましょう。反対に32度を超えると元気がなくなるので、夏は冷却ファンが必要です。
ヒーターの必要なワット数は60cm水槽で150W、90cm水槽で300W、120cm水槽で500Wになります。
水合わせ方法
水槽の準備ができたら最終ステップです!ディスカスを購入してきて水合わせを行いましょう。
水合わせとは、水槽の水に徐々に慣らしていく作業のことをいいます。もともとの飼育水と新しい水槽の水では、水温や水質が異なるため、急に移動させるとphショックといって、弱ってしまったり、最悪の時には死んでしまうことがあるからです。
水合わせの手順
- 購入したディスカスを水ごとバケツに入れる
- バケツの水と飼育水の水質に差がないことを確認
- バケツの水が倍になるように、30分かけて飼育水をうつす
- バケツの水が半分になるまで捨てる
- 再度バケツの水が倍になるように30分かけて飼育水をうつす
- バケツの水と飼育水のphを測定して差がないことを確認
- ディスカスを水槽に移動させる。
水槽の水換えの頻度
ディスカスはphを毎日測定して、5.5を下回ると水換えを行う必要があります。換水頻度は水量にもよりますが、多いと3日に1回、1/4ほど交換することになります。毎日の習慣として少しづつ行うようにしてください。換水のときは、phが1以上前後しないように注意しておきましょう。
水換えをせずにディスカスを飼育することはできません。それなりに手間のかかる熱帯魚とわかったうえで飼育を始めてくださいね。
ディスカスの飼育方法
ディスカスの水槽準備ができたら、次は日々のお世話です。ここではディスカスの購入から選び方、飼育方法について紹介していきます。
値段と販売場所
ディスカスの値段は5cm前後の幼魚だと500円〜1,000円、13cm前後の綺麗な成魚だと3,000円〜5,000円で販売されています。カラーが豊富でコレクション性が高く、綺麗な個体は30,000円を超えていることもあります。
ネット通販から熱帯魚専門店までいろんな場所で販売されています。
品種改良種は年間を通してコンスタントに販売されています。野生種であるワイルドディスカスが欲しい時は、アマゾン水系が乾季をむかえる9月〜翌4月頃に多く輸入されてきますので、そのときに熱帯魚店へ向かいましょう。
販売しているお店は多いですが、品種や発色にこだわりたい魚でもあるので、お気に入りのディスカスを見つけるためにはそれなりにお店をまわる必要が出てきます。
元気なディスカスの選び方
ディスカスは成長抑制のために餌が制限されていることがあるので、入荷してからどれだけ経過しているか確認しましょう。
エラの開き具合や表面のウロコの乱れ、ヒレが切れていないかなどチェックしてます。動きが鈍かったり元気に泳いでいない個体は避けてください。
ディスカスはもともとあまり動かない魚なので見極めには慣れが必要です。なるべく多くのディスカスをみて目を養ってくださいね。
水槽レイアウトは掃除のしやすさを優先して
ディスカスの飼育水槽は初心者であれば掃除のしやすさを最優先にしてください。ディスカスは水質の変化に弱く、餌になるディスカスハンバーグは水を汚しやすいからです。
こまめに掃除できるように、レイアウトでは何もいれないベアタンクがおすすめです。飼育に慣れてきたら流木にアヌビアスナナやミクロソリウムを活着させるシンプルなレイアウトへ変えていきます。
おすすめの餌と与え方
ディスカスの餌はディスカスハンバーグが主食になります。ディスカスハンバーグはタンパク質が豊富で、体型と体色を美しくしてくれます。
また、ディスカスは餌の好き嫌いが激しくて餌付けが悪いので、餌やりには苦労します。ショップで与えていた餌を確認しておきましょう。
餌の頻度は毎日2回、2〜3分で食べきれる量を与えます。水質悪化に弱いので、食べ残しをすぐに取り除いてください。
他にも与えれる餌の種類や、餌を食べないときの対策などはディスカスの餌で紹介しているので、ご参考ください。
色揚げ方法と色落ちの原因
ディスカスを色揚げするためには水質を安定させて落ち着ける環境を整え、しっかりと餌を食べさせることが大切になります。
水質を安定させるためには、日々のph測定と水換えを行ってください。群れで生活することを好むので、群泳させます。餌は毎日かかさずにしっかりとあげましょう。
反対にこれらのことができなければ、ストレスを感じたり体調が悪くなって色落ちや黒化してしまいます。体色は状態をチェックするバロメーターにもなりますので、しっかりと観察しておきましょう。
混泳に向いている?
ディスカスは縄張り意識が強いので、混泳には向いていません。
それでも、幼魚のうちから一緒に飼育することで縄張り意識を減らして、群泳させることはできます。混泳をするときも幼魚のうちから一緒に飼育させることが大切です。
混泳相手はエンゼルフィッシュやコリドラス、ポリプテルスなどがおすすめです。
ディスカスの混泳で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ディスカスを繁殖させる方法
ディスカスはいいペアが手に入れば繁殖は十分に狙うことが出来ます。
自分でペアを作るときは、幼魚を10匹ほど購入して自然とペアができるのを待ちましょう。最初からペアになっている成魚を購入するのもいいですね。
産卵は幅の広い部分に行います。ディスカス専用の産卵筒をいれておくと確実なので、用意しておくといいでしょう。
卵はおよそ3〜5日程度で孵化します。孵化したばかりの稚魚は、親魚が体側から分泌されるミルクで世話をしてくれます。1週間たつと親から離れて餌を食べるようになるので、ブラインシュリンプを与えて成長させていきます。
ディスカスの繁殖方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ディスカスについてまとめ
ディスカスは熱帯魚の王様と呼ばれるくらい美しい魚で、憧れの存在でもあります。円盤状のきれいな体型でゆったりと水槽を泳ぐ姿は見ているだけで心が癒やされます。
そんなディスカスが群泳している水槽はいかに見事なことでしょうか!
水質の変化に敏感なことから、初心者の方には敬遠されがちです。最初はとりあえずph測定器を購入してきて、毎日測定することで、水槽内でphはこんな感じに動くんだと把握してみることから初めてみてください。その感覚がわかっていればディスカスの飼育は怖くありません!
ぜひ最高に美しいお気に入りの一匹を見つけて、立派に育て上げてくださいね。
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