ヤマトヌマエビは水槽の掃除屋として重宝されています。水草を中心としたレイアウトは苔が生えやすく、1ヶ月もたたないうちに見栄えが悪くなります。水槽を美しく保つためにはヤマトヌマエビの存在は必須ともいえるでしょう。
今回はそんなヤマトヌマエビについて飼育のコツを詳しく紹介していきます。
ヤマトヌマエビってどんなエビ?
ヤマトヌマエビはヌマエビ科に分類されるエビの一種で、インド太平洋や日本の河川に生息しています。
体は半透明で黒い斑点がちりばめられています。稚エビは海で生息して、暖流にのって広く分布していき、成体になると川へ移動していきます。雑食性で藻類、生物の死骸などなんでも食べてくれます。せわしく餌を探して前脚を動かす姿がとてもかわいいですよ。
体の大きさ
ヤマトヌマエビは最大で5cmの大きさになります。ヌマエビの中ではかなり大きい種類です。意外と迫力があるので、混泳水槽の脇役として飼育するときは、飼育数をひかえめにしておきましょう。
寿命の長さ
ヤマトヌマエビの寿命は平均で3年です。水質の変化に敏感なので、水槽飼育では病気になる前にphショックが死因となることが多いです。
3年も飼育するとかなり大型になるので、存在感が増してきます。体が大きいほど水槽の苔をたくさん食べてくれるので、大切に育ててあげてくださいね。
脱皮をする
ヤマトヌマエビは成長のために3〜4週間に一度脱皮を行います。
エビ類は硬い殻に覆われており、体の成長に伴ってその殻が窮屈になるからです。脱皮によってちぎれていた足も再生していきます。
脱皮の直前は餌を食べる量が減るので、コケ取りもほとんどしなくなり、水槽の奥に隠れてしまいます。また、脱皮直後のヤマトヌマエビの体は柔らかく、狭い水槽では熱帯魚に狙われることが多いです。水槽には必ず隠れ家になる岩や流木をいれておきましょう。
抜け殻はカルシウムが豊富な餌になるのでそのまま置いておいて問題ありません。
ヤマトヌマエビとミナミヌマエビの違いは?
ヤマトヌマエビとミナミヌマエビはどちらも苔を食べてくれるので、水槽の苔取り要因として十分な活躍をしてくれます。
ミナミヌマエビは大きさが2〜3cmほどとヤマトヌマエビの5cmと比べると小さいです。体が大きいのでコケ取り能力が期待できます。しかし、ネオンテトラなどと混泳するときには体が大きいので目立ってしまうことがあり、そんなときはミナミヌマエビが選ばれます。
寿命でも違いがあり、ミナミヌマエビは1年、ヤマトヌマエビは2〜3年です。
ミナミヌマエビの繁殖は簡単なので、水槽内でどんどん増えていきます。ヤマトヌマエビは孵化後に海へいくため、通常の水槽でその環境を用意することはほとんど出来ないでしょう。
1匹をじっくりと飼育したいときはヤマトヌマエビ、繁殖のサイクルを楽しみたいならミナミヌマエビを選びましょう。
ヤマトヌマエビの方が攻撃性が強いので、ミナミヌマエビとの共存は避けておいた方がいいです。
違いについてはどちらのエビがおすすめ?でも詳しく紹介しています。
ヤマトヌマエビの入手方法
野生で採集する
ヤマトヌマエビは海に近い川の下流にある水草や草木にくっついていますので、網でガサガサすれば捕獲することができます。
しかし、ミナミヌマエビやスジエビほど採集は簡単ではないので、購入した方が早いです。
値段と販売場所
ヤマトヌマエビの値段は1匹あたり100円〜200円です。だいたい3cm〜5cmほど大きさの個体が販売されています。
ホームセンターや熱帯魚専門店、ネット通販など多くの場所で見つけることができます。
ヤマトヌマエビの飼育に重要な水について
ヤマトヌマエビは熱帯魚以上に水質と水温の変化に弱いので、ネオンテトラなどの初心者向けの熱帯魚の飼育に慣れている人でも死亡させてしまうことが多々あります。特に水の交換や購入した時の導入時、昼夜の気温差が激しい秋などのタイミングは注意してください。
飼育に適している水温
ヤマトヌマエビの飼育に適している水温は20度〜25度です。暖かい春や夏であれば屋外でも飼育できます。
低水温に強いので、水槽内の水が凍らなければ冬でもヒーターなしで越冬することができます。鑑賞するのであれば、冬は屋内飼育にして水槽用のヒーターを用意してください。高水温にも弱いので、水温が30度を超える夏は冷却ファンを使いましょう。
水温の急激な変化に弱いので、水換えのときには水温差に注意してくださいね。
適している水質と水換えの頻度
ヤマトヌマエビは弱酸性の水質を好みます。弱酸性を維持してくれる流木やソイルをいれてあげると元気になりますよ。
水質の変化に敏感で、水質が悪化すると熱帯魚よりも先に死にはじめます。週に1回は1/3ほど水換えをして水質が安定するように注意してあげてくださいね。
水槽に入れる前に水合わせをする
ヤマトヌマエビは先ほども記述した通り、水温や水質の変化に敏感な種類なので、水槽に入れる前の水合わせや水換えは慎重に行いましょう。ショップの水には細菌がいるかもしれないので、水槽内に入れずに捨ててくださいね。
水合わせの手順
- ヤマトヌマエビを水ごとバケツに入れる
- バケツの水が倍になるように30分かけて飼育水をいれる
- バケツの水を半分捨てる
- あたらめてバケツの水が倍になるように飼育水を入れる
- 水をギリギリまで捨ててヤマトヌマエビを水槽に入れる
ヤマトヌマエビの飼育方法
ヤマトヌマエビの飼育は水の管理さえできていれば難しくありません。水以外の飼育方法を紹介していきますね。
水槽のレイアウト
ヤマトヌマエビなどのエビ類は熱帯魚の大好物なので、常に魚から見られる環境はストレスに感じることが多いです。流木や石組み、水草などの隠れ家は入れられるだけ入れたほうがいいです。特に流木は餌になるコケも生えてくるので、必須とも言えます。
おすすめの水草は流木に活着することができるアヌビアスナナやミクロソリムなどの葉が硬い種類です。餌不足になると食害にあいやすいので、注意が必要です。ウィローモスであれば、成長が早くて新芽を食べられても被害は大きくなりません。
ガラス面は滑って歩きにくいので、底砂は必ずいれるようにしてくださいね。
おすすめの餌と給餌方法
ヤマトヌマエビは水槽に生えた苔や藻類を食べて生活しています。水草をたくさん入れている水槽だと餌なしで飼育することができます。
熱帯魚専用の餌も大好物ですが、餌をあげると苔を食べなくなるので、掃除役として飼育するときは餌の頻度は1週間に1回にしておきましょう。おすすめの餌はテトラミンなどのフレーク状の餌です。ヤマトヌマエビが抱えやすく食べやすい餌です。
ヤマトヌマエビの餌でも紹介しているので、ご参考ください。
混泳できる魚は?
ヤマトヌマエビは温和な性格で下層に生息しているので、多くの熱帯魚と混泳を楽しむことが出来ます。体が大きいので、ミナミヌマエビほど熱帯魚から攻撃される心配もありません。
おすすめの混泳相手はメダカ、金魚、ネオンテトラ、エンゼルフィッシュ、グッピー、グラミーなどの小型魚です。長いひげを突かれることがあるので、隠れ家になる水草や流木はいれてあげてください。
反対に大型の熱帯魚や下層に住んでいるコリドラスは餌の取り合いになるため混泳に向いていません。
かかりやすい病気や死因、予防方法は?
ヤマトヌマエビは病気にかかることはありませんが、水質悪化や水温の変化に弱く、他の魚よりも飼育難易度が高いです。
死因でもっとも多いのがphショックです。購入してきたときの水あわせはしっかりと行いましょう。1ヶ月も飼育していると水質が安定して長生きしてくれるようになります。日頃からしっかりと水換えを行ってあげてくださいね。
次に多いのが脱走や飛び出し事故です。ヤマトヌマエビはヒーターやエアレーションのチューブをよじ登って上手に脱走することができます。水面までくると急にジャンプをして飛び跳ねてしまいます。蓋の隙間はヤマトヌマエビが通れないくらいにしておいてください。
ヤマトヌマエビの繁殖方法
ヤマトヌマエビは繁殖は非常に難しいエビです。抱卵までは自然にしてくれますが、稚エビは海へ向かう習性があるので、汽水から海水に移る環境を用意しなければなりません。
ヤマトヌマエビの繁殖方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ヤマトヌマエビについてまとめ
水槽飼育では蛍光灯をつけているだけ、どんどんとガラス面や流木、水草にコケが発生してしまい、景観を台無しにしてしまいます。ヤマトヌマエビはそんなコケを食べてくれる頼もしい存在として、アクアリストのなかで人気があります。
しかしながら、水質の変化に敏感なので、ネオンテトラなどの初心者向けの熱帯魚しか飼育したことがない人には少々気難しい一面もあります。それでもしっかりと飼育出来るようになることで、飼育者としてのレベルアップもしていけますので、ぜひ挑戦していってくださいね。
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