ポリプテルスエンドリケリーは恐竜や爬虫類のような見た目と、美しいバンド柄の体色で、多くの人を大型魚の愛好家へと導いてきた熱帯魚です。
今回はそんなポリプテルスエンドリケリーの最大の大きさや成長速度、餌、寿命など飼育方法について紹介していきます。
ポリプテルスエンドリケリーの特徴
ポリプテルスエンドリケリーはデボン紀(1億1千万年前〜3億6千万年前)に出現した古代魚で、アフリカが原産地です。
多くの背びれを持ち、体は硬いウロコで覆われています。普段は水底でじっとしていますが、肺呼吸のために水面に上がってきたりと個性ある熱帯魚です。
ポリプテルスには上顎が突出するタイプと下顎が突出するタイプの2種類がおり、エンドリケリーは後者になります。
最大の大きさと成長速度
ポリプテルスエンドリケリーは最大で70cmを超える大型のポリプテルスです。しかし、水槽飼育では運動量や餌が不足することで40cm〜50cmほどで成長が止まることが多いです。
成長速度は1年で35cmまで成長し、1年半で40cmを超えると成長が緩やかになってきます。
寿命の長さ
ポリプテルスエンドリケリーの寿命は平均して10年です。
体は丈夫で病気にかかるあまりなく、水槽の飼育でも長生きさせやすいです。大切に飼育していると最大で20年は生きるといわれています。
ポリプテルスエンドリケリーの魅力は?
ポリプテルスエンドリケリーは大型のポリプテルスの中で最も人気が高い種類です。
その理由は体色のバリエーションが豊富で、さまざまなタイプがいることです。個体ごとに黒のバンド柄の発色度合いが異なっており、バンドの発色がはっきりと出ている個体はとても綺麗で高値で取引されています。幼魚は模様が変わりやすくて、値段が低めになっていることが多いので、たくさん買って選別する方もいらっしゃいます。
ワイルド(野生種)の魅力は?
エンドリケリーの野生種はチャド、ニジェール、ナイジェリアから輸入されてきます。個体差が大きく、赤っぽかったり、茶色、灰色、黒色まであります。胸ビレが黄緑になる個体もいます。
発色や綺麗さはブリード個体の方が上であることが多いですが、野生種には野生的な豪快さがあります。野蛮な顔つきやゴツゴツしたフォルム、ブリード個体では考えられない凶暴性をもった個体などもいます。
養殖個体では考えられないほどのサイズまで成長する可能性があったりと、長く飼育していく中で楽しみが多い個体だといえるでしょう。
ポリプテルスエンドリケリーの種類
ポリプテルス・エンドリケリー・エンドリケリー
最もポピュラーなエンドリケーで人気が高い品種です。はっきりとした茶色を下地に黒のバンド柄が魅了的です。
ポリプテルス・エンドリケリー・コンギクス
体長が70cmを超えることがあり、ポリプテルスの中でもかなり大きい部類にはいります。活発に水槽内を泳ぎ回るため、観察を十分に楽しむことができるでしょう。体色は薄く、エンドリケリー・エンドリケリーよりもバンドが細い個体が多いです。
ポリプテルスエンドリケリーを大きく成長させるためには?
ポリプテルスエンドリケリーの巨大化を狙うのであれば、水槽の大きさ(特に奥行き)が大切になります。
次に飼育しているポリプテルスエンドリケリーの好物を観察して多めに与えていきます。おすすめの餌は栄養価が高いどじょうです。成長速度が速い体長40cmまでにしっかりと餌をあげて、1年以内に40cmを目指します。
他には新陳代謝を活性化するために、十分なエアレーション、水換えの頻度を多めに週2回1/3ほど交換し、水温を少し高く28度前後にしてあげるといいですよ。
ポリプテルスエンドリケリーの飼育に必要なものと環境
必要なもの
- 120cm水槽
- ろ過フィルター
- ライト
- 底砂
- 水槽の蓋
必要な水槽のサイズ。60cm水槽や90cm水槽で飼育できる?
ポリプテルスエンドリケリーは大型種で、幅90cm×奥行45cm水槽で飼うことはできますが、かなりの圧迫感があります。
個体によっては45cmを超えてくるので、そのときは120cm水槽が必要になります。
遊泳力があるポリプテルスなので、Uターンのための奥行きも大切で60cmは確保してあげると、泳ぎ回る姿が観察できます。
水槽のサイズは体長にあわせて変えてあげらえるとベストです。準備が可能であれば、体長20cmまでは60cm水槽で飼育し、30cmまでは90cm水槽、それ以降は120cm水槽に移動させてあげてくださいね。
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水槽の立ち上げ方法
ポリプテルスエンドリケリーの水槽は大型になるので、水槽の置き場所に注意してください。水槽の立ち上げの手順を紹介しますね。
水槽の立ち上げ手順
- 水槽の置き場所を決める
- 水槽台と水槽をセットする
- フィルターと照明をセットする
- カルキ抜きした水を水槽に入れる
- ヒーターと水温計をセットする
- フィルターを稼働させ、水漏れがないか確認する
- パイロットフィッシュを入れてバクテリアを繁殖させる
- ポリプテルスエンドリケリーをいれる
アクアリウム水槽の立ち上げ方で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ポリプテルスエンドリケリーの飼育方法
ポリプテルスエンドリケリーはとても丈夫な熱帯魚なので、初心者さんにも飼育しやすいです。他の熱帯魚は死ぬような環境でも耐えることが出来るほどです。
しかし、捕食が上手ではないので、混泳させているときは餌不足に注意が必要です。さらに大人しい性格で攻撃されることもあるので、きちんと観察しておきましょう。
飼育で気をつけることは?
ポリプテルスエンドリケリーは肺呼吸をする熱帯魚なので、水位を5cmほど下げてあげましょう。
夜行性で昼間は底でじっとしています。夜間は石などにぶつからないように豆電球を照らしてあげるといいですよ。
水槽からの飛び出し事故が非常に多いため、隙間がないようにしっかりと閉めて、上に重しを置いておきましょう。
値段や販売場所
ポリプテルスエンドリケリーは熱帯魚専門店やネット通販で販売されています。
バンドの発色度合いや体の大きさ、野生種かどうかで値段が変わってきます。養殖個だと7cmほどの幼魚が2,000円程度で販売されています。成魚だと10,000円〜20,000円前後の価格で販売されています。
購入するときは次のポイントに注意して個体を選んでください。
チェックポイント
- 目が潰れていないか。
- 各ヒレの損傷はないか
- 背びれの膜が剥がれていないか
- 左右のヒレの大きさが同じか
- 体が不自然に曲がっていないか
- 体の凹みがないか
- ウロコが乱れていないか
- いつ入荷されたか。半年以上飼育されて体長20cm程度なら餌の量が抑制されており、大きく成長させることが難しいです。野生種なら飼育期間が長い方が寄生虫の心配もなく安心できます。
適している水温
ポリプテルスエンドリケリーに適している水温は22度〜27度です。
低水温に強く、15度前後でも耐えられますが、弱ってしまうのでやめておいてください。
水温が25度以下になる秋から春にかけて水槽用のヒーターをいれておきましょう。
かかりやすい病気
ポリプテルエンドリケリーは水質悪化に強く、自己治癒力もあるので、金魚が死ぬような環境でも生きていくことができます。
しかし、たくさん餌を食べてフンをするので、水質悪化のペースは早く、油断すると危険な状態になってしまいます。こまめな水換えが予防の秘訣ですよ。
マクロギロダクティルスポリプティ
野生のポリプテルスには100%といっていいほど寄生虫がついています。死ぬことはありませんが、嫌がり、体を傷つけてしまいます。治療にはグリーンFゴールドがおすすめですが、古代魚は薬浴に弱いので、規定量の1/3ほどで薬浴してあげましょう。
粘膜の分泌
体の粘膜が剥がれてくる病気です。ストレスが原因で野生の個体に多いです。2日おきに1/5ほど水換えを行ってあげてください。
目の白濁
原因は水質悪化や障害物にぶつかった時の擦り傷です。水換えで直すことができて、2日おきに1/4ほど交換してあげましょう。3日〜1週間程度で完治しますよ。
ポリプテルスエンドリケリーの餌やり
ポリプテルスエンドリケリーは餌の好き嫌いが少ないので、餌やりのトラブルは気になるほど起きません。
おすすめの餌と与える量は?
ポリプテルスエンドリケリーの主食は、成長期には冷凍アカムシやメダカ、和金(金魚)などの食いつくが良い餌を与え、成長が止まるとキャットなどの肉食魚用の人工飼料に切り替えます。
人工飼料への餌付けが良く、幼魚の時からでも食べてくれますが、たくさん食べさせて成長させないといけないので、生き餌を与えることが大切です。しかし、捕食が下手なので、生き餌を食べる様子を観察することが難しく、金魚などは夜間にこっそりと食べていることが多いです。
最終的には人工飼料だけではなく、スーパーで販売されている小アジやワカサギ、牛ハツなどを準備して、餌のバリエーションを増やしておきます。太らないように内臓や脂肪の部分は切り落としておきます。特に牛ハツは脂肪分が少なくて安いので、金魚などの生き餌の代わりに使われることが多いです。
餌の頻度は1日に2回、1〜2分で食べきれる量をあたえてあげてくださいね。
餌を食べないときは?
ポリプテルスエンドリケリーが餌を食べないときは、最初に水槽の水質が悪化していることを疑ってください。1/3ほど水換えをすれば体調が良くなることがあります。
水質が良いときは、餌に飽きているか、まだその餌を食べたことがなく餌とわかっていないのどれかになります。
夜になると落ち着いてくれるので、食いつきが良い生き餌を水槽に入れておき、一晩様子を見てください。
新しい餌の餌付けをしたいときは、最初にいつもあげている餌を与えて、餌の時間と思わせます。その後に食べさせたい餌を与えてみましょう。餌付けされている混泳相手がいると、スムーズに食べてくれる可能性が高くなります。
ポリプテルスエンドリケリーの混泳方法
ポリプテルスエンドリケリーは温和な性格をしているので、多くの熱帯魚と水槽での混泳を楽しむことが出来ます。
おすすめの混泳相手
混泳相性がいいのは上層を生活スペースにしているアロワナ、大型シクリッド、オスカー、ガーパイク、パロットファイヤー、ダトニオなどです。もちろん同じくらいの大きさのポリプテルス同士の混泳も相性がいいですよ。
混泳をさせると生き餌は上層の魚に奪われてしまうため、沈下性の人工飼料に慣らしておいてください。
混泳が難しい相手
ポリプテルスエンドリケリーが食べられる大きさの魚は混泳できません。
同じ大型魚だとプレコは避けましょう。プレコがポリプテルスのウロコを齧り、ボロボロにしてしまいます。生活スペースがかぶる淡水エイもさけておきましょう。
ポリプテルスエンドリケリーのまとめ
今回はポリプテルスエンドリケリーの生態や飼育方法についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
エンドリケリーはバンド模様が美しく、体が大きく育って迫力が出て着るので、ポリプテルスの中でも最も人気がある種類です。
大人しい性格で、ポリプテルス同士だけではなく、他の大型魚との混泳もしやすいので、いろいろな楽しみ方をすることが出来ますよ。
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ポリプテルスの種類と飼育方法|水槽サイズや混泳、大きさは?