ヤマトヌマエビは稚エビを育てるために汽水が必要であったり、体が小さいため特別な餌を用意したりと、繁殖させるのがとても難しい生き物です。
今回はそんなヤマトヌマエビの抱卵から孵化、赤ちゃんの育て方と必要な餌など繁殖方法について紹介していきます。
ヤマトヌマエビの繁殖について
ヤマトヌマエビの繁殖はとても難しいです。5匹程度で飼育していると、成熟したメスが自然と抱卵まではしてくれますが、稚エビを育てるのがとても難しいです。
難しい理由は次の2つです。
チェックポイント
- 汽水を用意しないといけない
- 稚エビはとても小さく、餌切れで餓死しやすい
稚エビは親エビを飼育する淡水の水槽では育てられないため、稚エビ専用の水槽を用意しなければいけません。専用の環境を用意しても、死んでしまうことがよくあります。
それでは、繁殖と稚エビの飼育方法について紹介していきます。
ヤマトヌマエビが抱卵するまで
ヤマトヌマエビを繁殖させたいときは、最初に親エビを5匹~10匹ほど購入してきて繁殖させます。
ウィローモスやアナカリスなどの隠れ家になる水草をたくさん植えておき、3ヶ月ほどしっかりと餌を与えておけば、自然とメスのお腹に黒色の卵が抱卵されていることに気づきますよ。
交尾後から1日程度で抱卵します。
ヤマトヌマエビが抱卵したらどうする?
ヤマトヌマエビが抱卵をしたら、最初に稚エビの餌になるプランクトンを準備しておきます。
プランクトンはコケや水草に付着しているため、水を張ったバケツにたくさんの水草を入れておき、直射日光を当て続けましょう。
抱卵から1ヶ月もすれば赤ちゃんが孵化し出しますが、このときにはバケツの水は緑色のグリーンウォーターとなって、稚エビの餌である植物性プランクトンがたくさん繁殖している証拠です。
次に海水を作るための人工海水の素と塩分濃度を計測する比重計を購入しておきましょう。
お腹の卵が倍ほどに膨れ上がり、卵の中で動く様子が見えてきたら、孵化の前兆です。
ヤマトヌマエビの赤ちゃんが孵化したらどうする?
ヤマトヌマエビの赤ちゃんは、エビの幼生の総称であるゾエアと呼ばれます。
産卵を終えた親は元の水槽に戻してあげましょう。急いで隔離する必要は無いので、隔離ネットやサテライトは必要ありません。
ゾエアの間が最も死亡率が高い時期です。ゾエアになってから2週間~3週間で着底して、稚エビとなればだいぶ楽になりますので、頑張りましょう!
赤ちゃんの水槽の用意
ヤマトヌマエビの赤ちゃんを育てる容器は横幅でガラス水槽やプラケースなどなんでもかまいません。
水量が多いほど水質が安定しやすく、最低でも幅30cmの水槽を用意してください。
フィルターは赤ちゃんを吸い込まないように、吸込み口にスポンジがついているスポンジフィルターを使い、水流はなるべく弱めておきましょう。
水換えの頻度が多くなるため、掃除に手間になる底砂は入れておかない方がいいですよ。
汽水に移動させる
水槽が準備できたら、そこに汽水をいれておき、赤ちゃんを淡水から汽水へと移動させます。
汽水を作り方
- カルキを抜いた水道水を用意する。
- しっかりと賭け混ぜながら人工海水の元をいれて比重を1.023にする。
- 作った海水の量を70%、淡水を30%にして混ぜ合わせる。完成
水中を漂っているゾエアに注意しながら、水槽の水を全て捨て、ゾエアを余った水ごと汽水に移動させましょう。海水については人工海水の作り方で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
適している水温
ヤマトヌマエビの赤ちゃんに適している水温は23度~27度です。水温が高いほど新陳代謝が活性化して、早く育つので、水槽用のヒーターを使いながら27度前後で飼育するようにしてください。
必要な餌
ヤマトヌマエビの赤ちゃんは体がとても小さいので、餌はグリーンウォーターなどのプランクトンかインフゾリアが必要になります。
グリーンウォーターは前述したとおり、時間をかければ自家繁殖させることが出来ます。時間が無いときはどちらもネット通販やショップで販売されているので、購入しに行きましょう。
商品情報と価格をチェック
水換えをする
ヤマトヌマエビの赤ちゃんは餌の食べ残しが多いので、水が汚れやすく、水質悪化の原因になります。
2日に1回は1/4ほど水換えをして、新鮮な状態を維持しましょう。
稚エビになったらどうする?
ヤマトヌマエビの赤ちゃんがゾエアから稚エビに成長しても、継続して汽水で育て続けます。
水換えの頻度はそのままにして、餌は親エビの人工飼料をすりつぶした物を与えましょう。
着底してから3週間ほど育て上げ、そこから親の水槽に戻す準備をしていきます。
急激に淡水の水槽に移動させるとショック死してしまうため、1ヶ月ほどかけて、海水の濃度を60%→40%→20%%→淡水と徐々に減らしていきます。
ヤマトヌマエビの繁殖のトラブル
メスが卵を落としてしまう
ヤマトヌマエビのメスはストレスを抱えており、子供を育てられる環境ではないと判断すると脱卵することがあります。
攻撃されないように隠れ家になる水草をたくさん入れておき、必要以上に観察するのは避けておきましょう。
初めての産卵でも脱卵しやすいので、この場合はあまり気にする必要がありません。
メスが抱卵しない原因
ヤマトヌマエビが抱卵しない原因は主に2つです。
チェックポイント
- 片方の性別しかいない
- 十分に成熟していない。
毎日しっかりと餌を与えているようなら、オスとメスがそろっていない可能性があるため、追加で5匹ほど購入してきましょう。
ヤマトヌマエビの繁殖についてまとめ
今回はヤマトヌマエビの繁殖方法について紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
ヤマトヌマエビの繁殖はとても難しいですが、何度も抱卵してくれるので、一度挑戦してみるのもいいかもしれません。
大切に育てた稚エビが大きく育っていく姿はとても感動的で、飼育者としてこれほどの喜びはないと思いますよ。
-
ヤマトヌマエビの飼育方法|水温や寿命、大きさは?