グリーンイグアナは鋭い爪、強力な顎、背中のトゲトゲ、大きい体など恐竜を思わせる爬虫類です。広々とした自然環境で育つ印象がありますが、飼育環境を整えることで自宅でもペットとして飼育することができます。
今回はそんなグリーンイグアナの生態や特徴、ケージの大きさ、放し飼いの方法、かかる費用など飼育方法について詳しく紹介していきます。
グリーンイグアナとは?
グリーンイグアナはイグアナ科イグアナ属に分類されるトカゲの仲間です。イグアナという言葉は本種をさしていることが多く、代表的なイグアナです。
名前の由来はベビーの頃にきれいな緑色をしていることから名付けられました。成長するにつれて赤褐色や茶褐色、紺色など様々な色に変わります。全身がグレーという個体も珍しくありません。大人になっても緑色の割合が多く、きれいに発色している個体は高値で取引されています。赤色を定着させたレッドイグアナや青系のブルーイグアナという品種改良も生み出されています。
口の下には大きく発達したびらびらがあります。ボビング(威嚇)をするときに、顔を左右上下に揺らすことで、このびらびらも動かして、より体を大きく見せようとします。ほっぺの丸い鱗も同様に、威嚇のためにあると考えられており、オスはメスよりも一回り大きいです。
体系的な特徴としては、ベビーの頃は体は細長くクレスト(背中にある棘)はありません。しかし、成長するにつれて胴体は太くなり、クレストは頭の先から尻尾の付け根まで出てくるようになり、びらびらは大きくなります。
臆病な性格
野生のグリーンイグアナは神経質で臆病な性格をしており、近寄るとすぐに逃げ隠れてしまいます。4月~7月の繁殖時期になるとオスは攻撃性が強くなり、縄張りに侵入した敵には、容赦なく強力な顎や長い爪で攻撃をしてくるようになります。
体の大きさ
グリーンイグアナの大きさは平均して150cm、最大だと180cmまで成長します。イグアナの中でも最大の大きさであり、オオトカゲと異なって体の高さもあるので、他の爬虫類にはない迫力を持っています。
寿命の長さ
グリーンイグアナの寿命は平均して10年~15年です。長生きする個体は20年を超えることがあります。飼育下では運動不足によって短命になりやすく、12年前後で寿命を迎えることが多いです。
グリーンイグアナの生態
グリーンイグアナは南米に位置するメキシコを中心に分布しています。生息地は熱帯雨林や草原地帯に生息しており、木の上で生活していることが多いです。現地では人間が食べるために食用として養殖されており、市場で肉として普通に販売されています。
沖縄県の石垣島では、ペットで飼育されていたグリーンイグアナが脱走や逃がされることで野良化しました。今では繁殖を繰り返して、日光浴をしている姿を比較的容易に見つけることができてしまいます。
完全な草食性で野菜や果物などを食べています。
天敵はワシなどの猛禽類から同じ大型の爬虫類、猫など様々です。子供の頃は天敵が多いですが、大きくなると襲われることはほとんどありません。
太い図体の割には意外にもすばしっこく、敵に攻撃するときはジャンプして近づき、強力な顎で噛みついて左右に振り回したり、尻尾でビンタをしてきます。
グリーンイグアナの飼育環境
グリーンイグアナは体が大きいので、一般的なサイズのケージで満足に飼育することはできず、特注が必要になります。
必要なケージの大きさから飼育を断念する方も多く、飼育には覚悟が必要です。飼育にかかる費用は設備で10万円、月額で2,000円ほどをみておきましょう。
飼育に関しては爬虫類ではなく、しつけができない犬や猫を飼っていると思っておきましょう。
必要なケージの大きさ
グリーンイグアナは木の上で生活しているため、高さのあるケージが必要になります。
ケージの大きさは横幅と奥行きは体と同じ大きさ、高さは体長の1.5倍必要です。体の大きさが200cmの個体だと200cm(横幅)×200cm(奥行き)×350cm(高さ)以上のケージが必要であり、一般にこのサイズのケージは販売されていません。
爬虫類用ケージを作成している専門会社に依頼するか、普段は部屋で放し飼いをし、就寝や外出で家をあけるときだけ猫用のケージか観葉植物用の100cm(横幅)×150cm(高さ)のケージに一時的にいれておく方法がとられます。
ライトは紫外線とバスキングの2つが必要
グリーンイグアナは強い光量を必要としているため、バスキング用の照明と紫外線を含んだUVライトの2つが必要です。
バスキングスポットは35度~40度の高温地帯を作り出し、体を定期的に温めるために使います。UVライトはカルシウムを吸収するビタミンを生成するために必要な紫外線を発生させます。
なるべく光量が強い物を選び、グリーンイグアナの行動を見ながら、光の強さやケージまでの距離などを調整していきます。ライトにしがみつくことがあるので、ライトはケージの外から照射するようにしてください。
グリーンイグアナのライトについては爬虫類に必要なバスキングライトと紫外線ライトで詳しく紹介しているので、ご参考ください。
床材の選び方
グリーンイグアナの床材は掃除のしやすさを優先して、ペット用のトイレシートや新聞紙を使うことが多いです。
ベビーの頃であればヤシガラマットやウッドチップなどの保湿性が高い床材を使えますが、誤食も多いので、あまりおすすめできません。
水浴びできる大きさの水容器
グリーンイグアナは大量に水を飲むので、水容器が必須です。たまに水浴びもするので、体が浸かるくらいの浅いものを用意してあげましょう。
個体によっては動いている水しか飲まないことがあるため、エアレーションをいれるか、ケージの上から水滴を垂らす商品を使うなどして、必ず水を飲むようにしてください。
フンなどがたまって汚れやすいので、毎日新鮮な水に交換して上げましょう。
グリーンイグアナの値段と販売場所
グリーンイグアナの値段は安価で3千円~1万円です。発色の良さによって値段は異なります。だいたい30cm前後のベビーサイズで販売されています。
サイテス2という絶滅が危惧されている生き物に登録されているので、現地から野生種が輸入されることはほとんどなく、南米で養殖された個体が流通しています。
体が大きいことから人気の生き物ではなく、販売しているのを見つけるのは結構大変です。爬虫類専門店に通うか、全国で行われているペット即売会のイベントに参加してみましょう。
グリーンイグアナの飼育方法
グリーンイグアナは体が丈夫なので、飼育環境の用意ができれば、飼育自体は難しくありません。日々の管理としては餌やり、水の交換、フンの掃除になります。
飼育費用は餌代と温度管理の電気代の2つになり、月々に3,000円もいかないくらいです。
性格は個体差が激しく、人になれることもあれば、ずっとなれない個体もいます。なれたと言っても鋭い爪や強力な顎は健在ですので、子供や犬や猫などのペットを飼育している人にはおすすめできません。
放し飼いの方法
グリーンイグアナの放し飼いをするときは、バスキングや水飲み場などはケージの中にしておき、歩き回る場所として部屋を提供します。部屋はしっかりと戸締まりをして逃げ出さないように注意してください。
高いところにいくのが好きなので、高さのあるタンスなどをおいておくと喜んでくれます。壁やタンスなども鋭くとがった爪で引っかけながら上るため、ボロボロにされることを覚悟しておきましょう。
トイレの場所を覚えることはなく、したくなったらするので、フンや尿が部屋中にたまっていくので、こまめに掃除してください。
飼育者になれてくると散歩にいくことができます。最初は庭から初めて、慣れてきたらリードやハーネスをつけて外に行きましょう。爬虫類に理解がある人は多くはないので、なるべく人気が少ない場所で散歩しておくと安心です。
ハンドリングは難しい
グリーンイグアナはベビーの頃から長い間飼育することで飼育者に慣れてくれますが、触られるのは嫌いなので、ハンドリングをすることはできません。
慣れてきたといっても気分のムラが激しいので、毎回手を近づけて威嚇してくるかどうか確認しましょう。噛む力は強く、鋭い爪を持っているので革手袋は必須です。
落ち着いているときは顎の下から腹部にかけてゆっくりとなでて上げることができます。しつこく触っていると、ストレスを感じて噛んできます。
人間を識別する知能があり、一度敵と認識されると、常に威嚇するようになってしまうため、普段のスキンシップがとても大切です。怒らせないように注意してくださいね。
飼育に適している温度と湿度
グリーンイグアナに適している温度は27度~32度です。
現地では昼夜の気温差があるため、通常の温度は30度、バスキングスポットで37度、夜間は25度まで落としましょう。ケージが大きいため温度管理はクーラーで行った方が電気代が安くなります。ベビーの頃は遠赤外線ヒーターでケージ内を上部から暖めます。
おすすめの爬虫類用ヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
湿度は40%~60%を好みます。乾燥しやすい冬には加湿器を作動させておきましょう。
温湿度計をいれて毎日数字をチェックするようにして下さい。
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多頭飼いは出来るの?
グリーンイグアナは縄張り意識が強いので、多頭飼いすることはできません。狭い場所で2頭以上飼育すると喧嘩をしてお互いがボロボロになってしまいます。
グリーンイグアナにおすすめの餌
グリーンイグアナの餌は野菜がメインです。小松菜や水菜、チンゲンサイ、サラダ菜、モロヘイヤ、にんじん、カボチャ、トマトなどを与えましょう。
餌のバリエーションが少ないと、すぐに飽きてしまうので、なるべく多くの野菜を用意します。横たわっている野菜を食べない個体も多く、縦に細長い瓶に野菜をさして、放置しておくことで食べてくれるようになります。
野菜だけでは栄養バランスの偏りが出てくることがあるため、イグアナ専用のイグアナフードを野菜と一緒に与えるようにして下さい。ゴキブリやコオロギなどの肉食性の餌は一切不要です。
餌の頻度
グリーンイグアナの餌の頻度は1日1回、腹八分を目安に与えます。体の大きさの割に野菜しか食べないので、かなりの量をペロリとたいらげますよ。
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グリーンイグアナについてまとめ
今回はグリーンイグアナの生態と飼育法方法について紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
ペットショップで販売されている個体は小さくてかわいいですが、将来的に体が大きくなるため安易に飼育することはできません。また、どれだけなれていても、鋭い牙や尻尾で攻撃されることがあります。
取り扱いには相当に気をつかわないといけませんが、野生味あふれる体の大きさとトゲトゲしさの魅力に取り付かれる人も少なくありません。
飼育環境をととのえ、最後まで飼育するのができるのかを確認してから、飼育に挑戦してくださいね。
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