ベタはコップでの飼育だけではなく、繁殖も楽しめる熱帯魚です。グッピーやメダカと比べると繁殖は少し難しいですが、熱帯魚の繁殖初心者でも十分に狙えます。
今回はベタの繁殖に必要なペアリングのコツや産卵数、色の組み合わせなどコツを詳しく紹介していきます。
ベタの繁殖は簡単にできる?
ベタの繁殖は初心者でも狙えるほど簡単な熱帯魚です。しかし、オスがメスを殺してしまうこともあるので、繁殖の手順を守る必要があります。
繁殖方法は珍しく、オスが全身のヒレを広げてメスに猛アピールをしたり、泡巣を作って卵を大切に育て上げてくれます。
特に難しいのはメスの入手です。メスはオスに比べて地味のため人気が少なく、販売量が少ないので購入場所を探すのが大変だからです。
ベタの繁殖時期と周期
ベタの水温が暖かくなる春から夏にかけて繁殖期にはいります。繁殖期になるとオスが勝手に泡巣を作り出すので、見分けることができますよ。水槽で年中行いたい時は水温を23度以上にしてください。
産卵の周期は1度産卵を行うと、1ヶ月後に産卵ができるようになります。
1回の産卵で生まれてくる卵の数
ベタは1回の産卵で最初は10〜40個、平均して50〜70個の卵を産みます。
回数をこなしてくると200個近く産卵しますので、数が増えすぎないように注意しましょう。
ベタの繁殖用水槽とレイアウト
ベタの繁殖用水槽にはコップなどではなく、30cmの小型水槽を用意してください。水槽は大きすぎてもよくありません。
繁殖の時には水底と水面の上下運動をなんどもするので、水深は15cmほどにしておきましょう。水温は27度がおすすめです。
浮き草と蓋、水槽用のヒーター、蛍光灯を準備してあげてくださいね。泡巣を壊さない環境を作ることが大切なので、浮き草と蓋は必ず用意してください。浮き草は育成がとても簡単なアマゾンフロッグピットがおすすめです。
エアレーションは泡巣を壊す可能性があるのでいれないでおきましょう。底砂も入れないベアタンクにしておきます。
ベタのお見合いの方法
ベタのオスとメスは、最初から一緒の水槽に入れると、オスがメスを追いかけ回して繁殖どころではありません。なので最初はお見合いが必要になってきます。
ベタのオスとメスの見分け方
ベタは見た目が派手なのがオス、地味なのがメスなので簡単に見分けることはができます。
それ以外の特徴差もありますが、見分けるためには、しっかりと成熟させる必要があります。
産卵管 | メスは肛門(尻びれと胸ビレの間)に白く突出した産卵管がありますが、オスにはありません。オスとメスの見た目が似ている種類は産卵管で見分けるのが一番簡単です。 |
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尻ビレ | オスは成長とともに尻ビレの最後の部分が長く伸長していますが、メスは短いままです。 |
抱卵したメスを準備
ベタのメスは抱卵すると腹部の卵が白っぽく透けて見えるようになります。この状態になったら繁殖が可能です。
オスに産卵用の泡巣を作ってもらう
ベタのオスは卵を収納するための泡巣を水面に作って繁殖の準備します。普段から泡巣を作っているため、たくさんの泡巣を作っているオスほど繁殖させやすいです。
泡巣は水面付近に水草があると作りやすく、安価な浮き草をいれておくといいですよ。
体調が悪かったり、きちんと成熟していないと泡巣を作らなかったり、量が少なくなります。エアレーションを動かしたり、水面を波立たせたりすると泡巣が簡単に消えるので、注意してください。
ベタのお見合い方法
メスが抱卵し、オスの泡巣ができたら、いよいよお見合いを始めます。オスを繁殖用の水槽にいれて、メスを小さな瓶に入れ、お互いの姿が見えるようにします。
1週間ほどするとオスがヒレやエラを広げてメスにアピールを開始し、メスは腹部に縦縞の婚姻線がでてきます。するとオスはさらに泡巣を大きく、たくさん作っていきます。泡巣が大きくなったら、繁殖の準備がととのった合図ですので、抱卵したメスを繁殖用水槽にいれましょう。
最初はオスがメスを攻撃してしまいますが、1週間ほどは慌てずに様子をみてください。2〜3日後に産卵が始まれば成功です。1週間たってもオスの攻撃がやまずに、メスがボロボロになってしまった時はペアリングの失敗ですので、メスを元の水槽に戻して休憩させましょう。
ベタの産卵方法
ベタのオスは泡巣の下にメスを誘い込み、メスの全身を抱きかかえるようにして産卵をさせます。
オスは産卵された卵を口で拾い集めて、せっせと泡巣の中へ収納していきます。この時に水底と水面の移動を繰り返すので、水深は浅いほうがおすすめなのです。
産卵を終えたメスは先に元の水槽に戻します。水面を波立てないように注意してください。
オスは卵を口に含んだりしてクリーニングを行います。ずっと卵の世話をし続けて、24時間後にいよいよ孵化が始まります。
ベタの稚魚の飼育方法
ベタの稚魚はとても体が小さく、生存率が低いです。稚魚の死ぬ原因のほとんどは餓死なので、餌やりがとても重要です。
餌の与え方
ベタのオス親は稚魚を孵化させた後、ヨークサックと呼ばれる栄養袋がなくなるまで世話を続けます。ヨークサックが2〜3日でなくなると、稚魚が泳ぎ始めるので、餌が必要になります。この時にオス親も元の水槽に戻しましょう。
稚魚は体が小さいので、最初はPSB(生きた微生物が含まれた液体)やインフゾリアを与え、成長してきたら、ブラインシュリンプに切り替えます。人工餌を砕いたものでも大丈夫ですが、食いつきが悪く、餓死する可能性が高くなります。
このまま餌をあげることで順調に成長し、生後4ヶ月で繁殖が可能になります。
水温と水質の管理
ベタの稚魚は水温と水質の変化に敏感なので、生後2~3週間は水換えをせずに、足し水だけで乗り切ります。そのために水槽のサイズをなるべく大きくして水質を安定させましょう。
他にもウィローモスやアナカリスなどの水草を入れることで、水を浄化するだけではなく、餌となるインフゾリアが繁殖したり、稚魚の隠れ家になったりします。
ベタの繁殖で、色や種類の組み合わせはなんでもいい?
ベタの繁殖時の色の組み合わせ
ベタのメスは色や形状の特徴が出にくいので、血統がわかりずらく、掛け合わせたいメスを見つけるのが大変です。
基本的には同種のオスとメスを交配させることで親の特徴を遺伝させることができますが、一部の個体では別のカラーで生まれてきます。
しっかりと組み合わせを考えていきたい時は信頼できるショップを見つけることが大切です。
ベタはどの種類でも繁殖できる?
ベタの原種はスプレンデンスとインベリスの2種類で、どちらも近縁種のため交配することができます。
そして全てのベタはこの2種からの品種改良なので、どんな種類の組み合わせでも繁殖させることができるのです。もちろん原種であるワイルドベタとの繁殖も可能です。
しかし色違いで交雑すると先祖返りする確率が高くなりますので、親魚の色や地味な色など様々な色のベタが生まれ、コントロールが難しくなります。
ベタの近親交配
ベタに限った話ではありませんが、近親交配を続けると体が弱かったり、奇形が生まれやすくなります。
兄弟同士での交配であれば問題はあまりありませんが、その子供同士の交配は避けてください。
ベタの繁殖についてまとめ
今回はベタの繁殖方法を紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
繁殖の時のベタは泡巣を作ったり、大きなヒレでメスを抱え込んだりと、今までにない魅力的な姿を見せてくれるようになります。
高価なベタのオスに合うメスとなると、簡単には入手できませんが、同種を見つけることができたら、ぜひ繁殖に挑戦してみてくださいね。
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