ブラックモーリーは飼育と繁殖が簡単で、初心者にもおすすめの熱帯魚です。ほかにもコケを食べてくれたり、混泳も簡単なので、いろんな楽しみ方ができますよ。
今回はそんなブラックモーリーについて混泳相性、コケ取り、油膜取り、水流の強さなど飼育方法を紹介していきます。
ブラックモーリーの生態と特徴
ブラックモーリーは卵胎生のメダカの仲間です。品種改良によって生み出された熱帯魚で、原種はセイルフィンモーリーです。
品種改良された魚ですが、野生に帰化しており、メキシコや中央アメリカに生息しています。流れが穏やかな河川を好みます。
最大の特徴は全身をおおっているツヤのない黒色で、派手な熱帯魚が泳ぎ回る水槽内でも目を引く体色をしています。
体色が真っ黒の理由は、メラニン色素が過剰に発生して黒化しているからです。アルビノ個体は色素がなくなった状態で白化するので、それの逆と考えるといいでしょう。ですので、個体によって黒さにも差が出ており、マーブル模様であったり斑点模様の個体もいますよ。
体の大きさ
ブラックモーリーの大きさは平均して7cm、最大で10cmになります。
寿命の長さ
ブラックモーリーの寿命は平均して2年〜3年です。生後2年を超えた頃から老衰で死ぬ個体が増えてきます。
寿命が近づくと、泳ぎ方に元気がなくなり、色落ちして、水底でじっとするようになります。他の魚がちょっかいをかけないように、隠れ家をつくっておきましょう。
ブラックモーリーは油膜やコケ対策に効果的!
ブラックモーリーは植物食性が強く、ガラス面や流木に発生した藍藻(らんそう)やアオミドロといったコケを食べてくれます。
さらに、他のコケ掃除役と違って、水面にできた油膜も食べてくれます。ただ、油膜はバクテリアの死骸などから発生し、水換えの頻度が少ない時に発生します。なるべく水換えの頻度を増やすことで解決してほしい問題ですね。
他のコケ取りしてくれる生き物についてはコケ掃除してくれる生き物一覧で紹介しています。
水草を食べる
ブラックモーリーの主食は人工飼料です。餌が少なくなったらコケを食べ始めます。あまりにお腹が空くと水草もかじりだすので注意してください。
ブラックモーリーの種類
ブラックモーリーは基本種以外にも、ヒレが長くなる種類がいます。
ブラックモーリー
一般的な種類です。このブラックモーリーから別のブラックモーリーが品種改良されています。
ブラックライヤーモーリー
ブラックライヤーモーリーはブラックモーリーと比べて尾びれが上下に伸びてライヤー状になる種類です。見た目がより派手になるので人気がある種類です。
ブラックモーリーの飼育環境
ブラックモーリーは一般的な熱帯魚用の飼育設備を用意します。初期費用では3万円ほどみておけば十分です。
水槽の大きさと飼育数
ブラックモーリーは小型の熱帯魚なので一番小さな30cm水槽で飼育することができます。
水槽の大きさと飼育数の目安は次の通りです。
30cm水槽 | 3匹 |
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45cm水槽 | 8匹 |
60cm水槽 | 15匹 |
ろ過フィルターの選び方
ろ過フィルターは安価で設置が簡単な外掛け式フィルターがおすすめです。
60cm以上の大きな水槽であれば、ろ過力がある上部フィルターを用意してください。
泳ぐのは苦手なので、水流が強くならないように注意して下さいね。
ライト
ライトは鑑賞をしやすくしたり、発色を良くするために必要です。
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底砂でソイルは使わない
ブラックモーリーの底砂は好みに合わせて選べば良いですよ。
ただし、水質を弱酸性に変えてしまうソイルはやめておいた方が良いです。ソイルは土を粒状に固めて作られており、水草水槽で頻繁に使われる底砂です。
弱酸性でも飼育できますが、好みの水質ではないので、わざわざ選ぶメリットはありません。
冬はヒーターが必要
低水温に弱いので冬はヒーターが必要です。ヒーターなしで飼育することはできません。水温が20度を下回るようなったら準備しておきましょう。
水槽の大きさとワット数の目安はこちらです。
30cm水槽 | 50w 450円 |
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45cm水槽 | 100w 900円 |
60cm水槽 | 150w 1350円 |
ヒーターの寿命や設置方法についてはおすすめの水槽用ヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
水合わせの方法
ブラックモーリーは水温と水質の急激な変化に弱いので、購入してきた個体をすぐに水槽に入れてはいけません。
水槽の水に慣らす方法を水合わせといい、これをしておくことで生存率が大きく変わります。
水合わせの手順
- 袋の水ごとバケツに入れる。
- 30分かけてバケツの水が倍になるように飼育水を入れる
- バケツの水を半分になるまで捨てる
- 30分かけてバケツの水が倍になるように飼育水を入れる
- バケツの水温と水槽の水温差がないことを確認
- ブラックモーリーを水槽に入れる
ブラックモーリーの飼育方法
ブラックモーリーは丈夫な熱帯魚なので、初心者も飼育しやすいです。
値段や販売場所
ブラックモーリーの値段はだいたい100円〜200円販売されています。
繁殖が容易なので販売数が多く、ホームセンターから熱帯魚専門店、ネット通販など多くの場所で見つけることができますよ。
適している水温と水質
ブラックモーリーに適した水温は21度〜28度です。春から秋の間であれば屋外飼育も可能です。水温が20度を下回ると元気がなくなるので、冬は水槽用のヒーターが必要です。
水質の適応能力がかなり高い熱帯魚です。水質は弱アルカリ性を好んでいますが、最初の水合わせを慎重に行うことで弱酸性の水槽で飼育することもできます。
汽水に生息しているため、淡水魚だけではなく、strong>海水で飼育することも出来ます。海水の苔掃除役として導入したいときは、塩分濃度を1週間かけて慎重に濃くしてください。
おすすめの餌と与え方
ブラックモーリーは雑食性で、人工飼料から生き餌までなんでも食べてくれます。
餌の種類は金魚の餌やメダカの餌でも構いませんが、購入するのであれば栄養価が高くて安価なテトラミン、テトラプランクトンなどの熱帯魚専用の餌をおすすめします。
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病気と治療方法
ブラックモーリーは丈夫な魚なので、あまり病気にはかかりませんが、体が小さいので水温や水質の変化には弱いです。
昼夜の気温差が激しい季節や、水を交換するときは注意してくださいね。
白点病 | 白点病は全身が白い点々に覆われる病気で、寄生虫が原因です。導入初期にショップの水槽からもってくることが多く、最初の1週間は特に注意が必要です。感染力が強いため、発症した個体を見つけたらすぐに別の水槽に隔離してメチレンブルーで薬浴しましょう。 |
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エロモナス病 | エロモナス菌が原因の病気で、全身のウロコが逆立つ松かさ病を引き起こします。発症すると治療するのが困難ですが、初期の場合はすぐに別の水槽に隔離してメチレンブルーで薬浴してあげて下さい。定期的に水換えを行って予防することが大切です。 |
ブラックモーリーの混泳相性
ブラックモーリーはおとなしい性格をしているため、多くの熱帯魚と混泳を楽しむことができます。
おすすめの混泳相手
ブラックモリーは水面付近を好んでいるので、生活スペースが異なるネオンテトラやコリドラス、金魚との混泳がおすすめです。もちろんメダカやグッピーとも混泳できますが、数が多くなりすぎないように注意しましょう。
長いものを突く習性があるので、ヤマトヌマエビやミナミヌマエビなどのエビ類のひげは攻撃されます。しかし、泳ぐのが得意ではなくの、ある程度の隠れ家があれば問題にはなりませんよ。
混泳に向いていない相手
ブラックモーリーを食べられる大きさまで成長する中型〜大型魚との魚とは混泳できません。
他にも気性が荒いスマトラやベタとの混泳はさけておきましょう。
混泳の注意点
ブラックモーリーのオスは繁殖期になると縄張り争いで気性が荒くなるでの注意が必要です。他魚のヒレをボロボロにしてしまうこともあるので、混泳には注意しましょう。
ブラックモーリーの飼育数を5匹以上にすることで縄張り意識をなくす方法がおすすめです。
ブラックモーリーの繁殖方法
ブラックモーリーは卵胎生メダカなので、卵を産むのではなく、卵をお腹の中で孵してから稚魚を直接産みます。
水温が25度前後になって繁殖期になるとオスがメスを追いかけるようになります。オスの体当たりが積極的なあまり、メスのストレスを増やすこともあるので、水草などの隠れ家を用意してあげると安心です。
生まれてくる数は、最初は20匹程度ですが、慣れてくると一回の出産で50匹〜100匹の稚魚を産むようになります。
オスとメスの判別方法
オスとメスの見分け方で一番簡単なので尻びれを見ることです。オスは尻びれに生殖器があり、先端が伸長して尖っているのが特徴的です。
他にもオスの体長は6cmでメスは10cmになるので、オスの方が小柄になります。
稚魚の育て方
ブラックモーリーの稚魚は親魚とよく似た真っ黒な姿で生まれてきます。親魚は餌不足になると稚魚を食べてしまうので、隠れ家になる水草を準備するか隔離してあげましょう。
稚魚の餌には栄養価が高く、サイズがちょうどいいブラインシュリンプがおすすめです。市販の卵を購入してきて海水で孵化させることで餌として与えることができますよ。用意できない時は手持ちの人工飼料を手でバラバラにして与えましょう。
稚魚の成長速度は生後1ヶ月で1cm、生後3ヶ月で3cmほどになり親魚と混泳できるようになりますよ。
繁殖しない原因
繁殖をしない時は親の健康状態が悪いことが考えられます。餌を1日2回しっかりと食べているか、水温は適正か、水が悪くなっていないか確認しましょう。
増えすぎた時
ブラックモーリーが増えすぎた時はペットショップや友人に引き取ってもらえないか相談しましょう。自分の飼育できる数を把握しておいて、それ以上増えないように注意してくださいね。
ブラックモーリーについてまとめ
ブラックモーリーは全身がマットブラックに覆われた存在感の強い熱帯魚です。
体が丈夫で飼育しやすいですが、熱帯魚の中でも体色が地味でサブ役になることが多いです。
コケ掃除や油膜取りもしてくれるので、水槽のトラブル解決にもおすすめですよ。
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