金魚の稚魚はメダカほど一般的ではなく、その姿を見た人は少ないのではないでしょうか。今回はそんな金魚の稚魚について、死ぬ原因やおすすめの餌、成長速度など飼育方法を詳しく紹介していきます。
金魚の稚魚の飼育は難しい?
金魚の稚魚は体が丈夫なので、他の稚魚に比べれば飼育は簡単です。
金魚は1度の産卵で500個近い卵を産むため、一度に育てなければいけない稚魚の数もかなり多くなります。そのため、選別と呼ばれる他の魚の稚魚飼育ではあまり行わない作業が必要です。
慣れないうちは稚魚の飼育は難しいですが、孵化して最初の2週間を乗り越えると、そのあとは簡単です。
らんちゅうやピンポンパールといった人気の金魚も繁殖させることが出来るので、余裕が出てきたら挑戦してみましょう。
金魚の稚魚の特徴
金魚の稚魚の成長速度は?
生まれたばかりの稚魚はまるでメダカのような見た目で、大きさは5mmです。
稚魚の成長速度は生後1週間で8mm、2週間で10mm、1ヶ月で2cmまで成長し、金魚らしい体型になっていきますよ。
金魚の稚魚の色は?
稚魚は地味な淡い黒色をして生まれてきます。孵化して2ヶ月ほどたつと腹部が黄色くなり、黒い部分が減ってきます。
そこから徐々に赤色や白色の部分が増えてきますよ。この体色の変化を褪色(たいしょく)と呼びます。
2ヶ月たつと親魚と変わらない色になります。
金魚の稚魚飼育で注意すること!死ぬ原因は?
金魚の稚魚は、大人と違って死にそうかな・・と思うことはなく、気がつけば死んでしまっています。
稚魚は体力が少なく、ささいな管理不足で死んでしまうため、しっかりと知識をつけておきましょう。
多い死因
- 餌不足による餓死
- 水質と水温の急激な変化
- 水質の悪化
- 共食い
- 酸素不足
- 水流が強い
餌不足による餓死
稚魚の死因で一番多いのが餓死です。稚魚はいつもお腹を空かせている状態で、大人のように1日2回の餌やりでは間に合いません。
常に餌を食べられるように工夫をする必要があります。
水質と水温の急激な変化
稚魚は環境の変化に弱いので、新しい水を水槽にいれただけでもショック死することがあります。
水換えは同じ水温になるように注意し、水槽は直射日光が当たらない場所や冷暖房の近くに置かないようにしてください。
水質の悪化
稚魚は飼育密度が高くなりがちで、餌の食べ残しもあるため、水質悪化しやすいです。水質悪化が進むと死んでしまいます。
共食いをする
稚魚の成長スピードは個体差があり、大きくならない個体は別の個体に食べられてしまいます。成長が遅い稚魚は選別対象として割り切るのもいいかもしれません。
生存させたいときは隠れ家になる水草をいれるか、体の大きさにあわせて飼育容器を移動させてください。
酸素不足
過密飼育していると酸素不足になりやすいです。エアレーションを入れるか、飼育容器を増やすか、水草をいれてみてください。
強い水流が体力を奪う
稚魚は泳ぐのが苦手て、水流が強いと体力を奪われてしまいます。水面に水草をいれて弱めるか、エアレーションをなくしてしまいましょう。
金魚の稚魚の飼育環境
金魚の稚魚は水質と水温の変化に弱いので、なるべく水換えをしなくてもいい環境を整えることが大切です。
必要な水槽の大きさ
水槽はバケツやガラス水槽、発泡スチロールなどなんでも大丈夫です。可能な限り水量が多い容器を選んでください。
飼育数が多いほど水質悪化が早くなります。多いなと感じたら、飼育容器を増やしてあげましょう。
水深は10cmもあれば十分です。浅めにするときは表面積を広くとってくださいね。
エアレーションをする
エアレーションはなるべく泡が細かくて、水流を発生させないように、勢いが弱いものを購入してください。エアストーンが使いやすいです。
飼育数が少なければ、水草を入れてフィルターなしで飼育するのもおすすめです。必要かどうかは稚魚の様子を見て酸欠になっているかどうかで判断してください。
水草は入れておきたい
水草には稚魚の体を休めたり、水を浄化する力があるので、ぜひともいれておきたいです。
飼育が簡単なアナカリスや浮き草がおすすめです。
底砂は入れない方がいい
底にたまったゴミが目視できるように、底砂を入れない方が掃除が楽です。ただ、敷いてもそこまで邪魔ではないので、好みに合わせると良いですよ。
水温は高めにしておく
金魚の稚魚は親魚と違って寒さに弱いので、春と夏以外は室内で飼育したほうがいいです。
水温は金魚用のヒーターをいれて、少し高めの28度にしておくと、成長スピードが早く、病気の予防にもなります。
金魚の稚魚の水換えは慎重に
金魚の稚魚は水質の変化に弱いので、水換えはかなり慎重に行う必要があります。
普段のメンテナンスではスポイトで少量の水とともに底に溜まったゴミを取り除き、不足した水量分の足し水を行います。
水換えの頻度は1ヶ月に1回、1/6ほど行います。水流を発生させないようにコップで水をすくって、カルキ抜きした水を追加していきましょう。
新しくいれる水の水温差は2度以下になるようにしてください。
金魚の稚魚の餌の与え方
餌はいつから与える?
稚魚にはお腹の卵のうから栄養をとりながら成長していきます。4日前後で卵のうがなくなるので、そこから餌をあげてください。
最初は何が餌かもわからないので、目の前に落として気づかせましょう。親金魚の餌を使うときは、粉々にすりつぶして、食べられる大きさにしてあげてくださいね。
稚魚の餌の量と回数は?
金魚の稚魚の死因で一番多いのが、餌不足による栄養失調で、餌をしっかりとあげることがとても大切になります。
稚魚は胃袋が小さいのでたくさんの餌を食べることができず、餌の回数を増やす必要があります。餌の量は1分前後で食べきれる量にして、1日4〜5回はあげるようにしてください。
金魚の稚魚におすすめの餌
金魚の稚魚の餌におすすめの種類を紹介します。
天然の生き餌はいつでも食べられて、食欲を刺激してくれるので、稚魚餌にもっともおすすめです。人工餌を餌と認識できずに食べないことも多いので、生存率を上げるための餌選びはとても大切です。
体が大きくなってきたら人工餌に切り替えましょう。
グリーンウォーター
グリーンウォーター(青水)とは植物性のプランクトンが多く発生して緑色になっている水のことで、金魚の稚魚の餌としては最強の餌です。
プランクトンは水を汚すことはなく、稚魚がいつでもこのプランクトンを餌を食べることができます。
常に餌がある状態を作れるので餓死の心配が無く、用意できれば生存率は劇的に変わります。屋外飼育だとアオコがよく発生するので、ほとんど放置していても稚魚が育ちます。屋内飼育よりも稚魚を育てるのが簡単です。
水草をたくさんいれてくことで、湧きやすくなりますよ。
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自然で採集するならミジンコ
養殖場ではミジンコを餌に使われるほど使い勝手の良い餌です。水の流れがない、ため池や田んぼの脇に生息しているので、目が細かいあみですくいます。
採集したらバケツにドライイーストをいれておくことで、3週間ほどで繁殖させることができますよ。
ミジンコの繁殖と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
市販の生き餌ならブラインシュリンプ
ミジンコが手に入らないときは熱帯魚の稚魚餌として知られているブラインシュリンプを使います。栄養価が高く、成長スピードがあがるので、死亡率が高い稚魚の時代を早く切り抜けられます。
乾燥した卵がホームセンターなどで販売されているので、孵化させましょう。
ブラインシュリンプの与え方で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
稚魚用の人工餌
金魚の稚魚は稚魚用の餌であれば食べることが出来ます。
個体によっては餌の粒が大きすぎることがあるので、餌を粉々にしてあげてください。
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金魚の稚魚が成長してきたら選別作業をする
金魚の稚魚は一度に500匹ほど生まれてくるので、すべての稚魚を育てることはできません。そこで状態のいい稚魚を残して、悪い稚魚を取り除く選別作業が欠かせません。
孵化してから2週間ほど経過したら選別を始めましょう。
状態が悪い個体の特徴
- まわりよりも成長が遅い個体
- ヒレや全体のバランスが曲がっいたり、欠けている個体
- 体色が悪い個体
金魚の稚魚についてまとめ
今回は金魚の稚魚の育て方について紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
稚魚の飼育になれていないときは、どんどん死んでいくことが不安に感じてしまいます。事前の準備が肝心ですので、餌不足と環境の変化にきちんと対応しておきましょう。
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