ポリプテルスセネガルスは肉食魚でありながら小型サイズで、大きな水槽が必要ではないので、はじめて肉食魚を飼育する人にはぴったりの熱帯魚です。慣らせば人工飼料も食べてくれるので、生き餌に抵抗があっても問題ありません。
今回はポリプテルスセネガルスの水槽の大きさや飼育数、混泳できる魚、おすすめの餌、寿命などもあわせて飼育方法を詳しく紹介していきます。
ポリプテルスセネガルスの生態と特徴
ポリプテルスセネガルスはポリプテルスの仲間です。白亜紀に誕生し、他の魚たちが死ぬような厳しい環境を生き抜いてきました。
ニジュールやセネガルなどアフリカに生息しています。この地域は水温が20度〜32度と熱帯地域で水温は安定しています。泳ぐのが苦手で、水草などの隠れ家が多く流れが穏やかな河川を好んでいます。
体はエナメル質に覆われた硬いウロコで覆われており、背中には10枚ほどの背びれがあります。夜行性で、夜になると円形の小さなヒレで泳ぎはじめて、寝ている魚や昆虫を捕食します。
他のポリプテルスと比べると、上顎よりも下顎が突出するタイプで、緑色の地味な体色をしています。体の横幅がひろいので、がっしりとした印象を受けますよ。
体の大きさ
ポリプテルスセネガルスの大きさは最大で30cmです。水槽飼育だと25cmほどで成長が止まる事が多いです。
成長速度は3ヶ月で15cm、半年で20cm、1年で25cmまで成長します。
寿命の長さ
ポリプテルスセネガルスの寿命は平均して10年です。体が丈夫で長生きさせやすく、大事に育てると最長で15年は生きます。
ポリプテルスセネガルスの種類
ポリプテルスセネガルスのベースは地味な体色でありますが、ポリプテルスに珍しくカラーバリエーションが豊富な種類としても有名です。代表的な種類を紹介していきますね。
ロングフィンセネガルス
販売価格:1,500円〜3,000円
体色はベースのセネガルスと同じですが、背びれの一つ一つが大きく、より強く恐竜をイメージさせる姿をしています。体色が地味なだけに、ワンポイントが際立っているのが魅力的です。
ポリプテルスセネガルス・アルビノ
販売価格:500円〜1,000円
アルビノはポリプテルスセネガルスの色素が抜けた種類で、全身が白色で目が赤色になります。基本種と同じくらい販売量が多いため、簡単に手に入れることができます。体も丈夫なので、初心者も挑戦できる種類です。
ポリプテルスセネガルス・ゴールデン
販売価格:1,000円〜2,000円
ゴールデンは体色が金色というわけではなく、黄色に少しの光沢があるような個体です。突然変異ですが、ゴールデン同士をかけ合わせることで、ゴールデンを増やすことができるため、比較的安価になっております。
ポリプテルスセネガルス・セミプラチナ
販売価格:4,000円〜7,000円
セミプラチナはポリプテルスの突然変異で、体色のほとんどがセネガルスの基本色で一部分にプラチナの光沢があります。
ポリプテルスセネガルス・プラチナ
販売価格:30,000円〜50,000円
プラチナはポリプテルスの突然変異で体色のベースが白色でプラチナのような光沢がある個体です。その姿はまさに白蛇といったところでしょう。
アルビノ種と似ていますが、違いが2つあります。1つはプラチナは目の色が黒色です。アルビノは色が抜けた種類なので、目が赤色になりますが、プラチナは白変種なので目が黒色になります。
2つ目は養殖の難しさです。プラチナはアルビノやゴールデンと違い、プラチナ同士を交配しても生まれる確率が非常に低いため、増やすのが難しく、貴重な種類になります。ポリプテルスセネガルスの中でも圧倒的に高価です。
ポリプテルスセネガルスの飼育設備
ポリプテルスセネガルスの飼育に必要な水槽と周辺設備を紹介します。初期費用で3万円前後をみておくといいですよ。
必要なもの
- 水槽
- ろ過フィルター
- 照明
- ヒーター
- 水槽の蓋
水槽の大きさと飼育数
ポリプテルスセネガルスは最大でも30cmにしかならないので、60cm水槽でも十分に飼育していくことができます。水槽が大きくなれば、群泳もしていけるので、水槽のサイズと飼育できる匹数の目安にしてくださいね。
45cm水槽 | 小型熱帯魚用の水槽なので、セネガルスを飼育することはできません。生後2年までなら可能ですが、そこから先は窮屈な思いをさせてしまいます。最低でも60cm水槽を用意できないなら飼育は避けておきましょう。 |
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60cm水槽 | 60cm水槽なら生涯飼育することができます。単独飼育がおすすめですが、環境次第では3匹までなら飼育できます。その際には、90cm水槽用のフィルターを準備したり、遊泳スペースを広くするために流木や石などの障害物をいれないベアタンクで飼育する必要があります。 |
90cm水槽 | セネガルスは90cm水槽だと最大で15匹ほど飼育することが可能です。しかし、窮屈な印象をうけるので、10匹ほどに抑えておくのが理想です。飼育数が多いと糞の量も多くなるので、ろ過能力が高い上部式フィルターを設置してください |
ろ過フィルターの選び方
ポリプテルスセネガルスはたくさんのフンをするので、ろ過フィルターは掃除がしやすく、物理ろ過に優れている上部フィルターを使います。
1週間に1回はスポンジの様子をチェックして、掃除をしてください。
おすすめの上部フィルターで紹介しているので、ご参考ください。
ライト
ライトは鑑賞をしやすくしたり、発色を綺麗にする効果があります。強い光を嫌がるので、明るすぎないようにしてください。
商品情報と価格をチェック
冬はヒーターが必要
低水温に弱いので、冬はヒーターが必要です。水温は変化が激しいので、夏以外は作動させておくと安心です。
水槽の大きさとワット数、電気代の目安です。
30cm水槽 | 50w 450円 |
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45cm水槽 | 100w 900円 |
60cm水槽 | 150w 1350円 |
90cm水槽 | 300w 2700円 |
おすすめの水槽用のヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
飛び出し防止の水槽の蓋
水面に空気呼吸をしにきたときに、水槽から飛び出すことがあるので、水槽の蓋は必須です。
体は細長くパワーが強いので、隙間なく蓋をして、しっかりと固定しておきましょう。
ポリプテルスセネガルスの飼育方法
ポリプテルスセネガルスは飼育が簡単で体もそこまで大きくならないので、初めて肉食魚を飼いたいと思っている人にぴったりです。
値段と販売場所
ポリプテルスセネガルスは養殖がさかんで、東南アジアでブリードされた個体が多く販売されています。基本の種類やアルビノはホームセンターや熱帯魚専門店で見かけることがよくあります。値段はおよそ500円〜1,000円ほどで販売されています。
ゴールデンやプラチナなどの珍しい種類はネット通販やポリプテルス専門店を探すことをおすすめします。ネット通販だと「かねだい」というお店が有名ですよ。こちらの価格は色の出方などで値段が変わってくるので、実際に見てみるといいでしょう。
水槽の立ち上げ方法
水槽を立ち上げる手順を紹介します。水槽立ち上げて最も重要なポイントはカルキを抜いた水を用意することと、バクテリアを繁殖させておくことの2つです。
バクテリアとはフンなどの有害物質を無害なものへ分解する役割を持っており、これがいないと水槽の環境はすぐに悪くなってしまいます。買ってきた子が1週間もしないうちに死んでしまったということも起こりますので、しっかりと準備しましょう。
立ち上げの手順
- 水槽の置き場所を決める
- 水槽台と水槽をセットする
- フィルターと照明器具、ヒーター、水温計をセットする
- 水槽にカルキ抜きした水を入れる
- 電源を入れてフィルターなどを稼働させる
- パイロットフィッシュを使って水槽のバクテリアを繁殖させる
- ポリプテルスセネガルスをいれる
水槽の立ち上げ方で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
水槽のレイアウト
ポリプテルスセネガルスは臆病な性格なので、身を寄せることができる流木などを置いてあげると落ち着けます。
しかし、驚くと急に泳ぎ始めてぶつかったりして怪我をすることがありますので、刺激しないように気をつけてください。
群泳するときは掃除のしやすさを最優先にしてレイアウトはしないでおきましょう。せめて底砂だけにしておいてください。
適している水温と水質
ポリプテルスセネガルスに適した水温は23度〜27度になります。
低水温に弱く、日本の冬は越冬できないので、火傷が防止できるカバー付きの水槽用のヒーターを準備してあげましょう。
水質は弱酸性がおすすめですが、適応能力が高い熱帯魚なので、あまり気にする必要はありません。日頃から糞や食べ残しはすぐに取り除くようにして、週に1回、1/3ほど換水してあげてくださいね。
おすすめの餌と与え方
野生のポリプテルスセネガルスは水に落ちた昆虫や小魚を捕食しています。餌の好き嫌いが少ないので、人工飼料にも簡単に慣れてくれます。
おすすめの餌は食いつきが良い「キャット」などの肉食魚用の人工飼料です。栄養バランスが整っているので必ず食べられるように餌付けしてください。
体長が15cmを超えるまでは人工飼料を食べてくれないことがあるので、冷凍赤虫からメダカ、和金(金魚)などの生き餌を用意してください。
他にもスーパーで販売されている鳥のササミや牛ハツ、ワカサギを喜んで食べてくれます。太らないように脂肪分である内臓や油の部分は取り除いてくださいね。
餌の頻度は1日2回、1〜2分程度で食べきれる量を与えます。
餌を食べないときは体調が悪いか、餌と認識していないことがあります。水換えを行なったり、エアレーションの酸素量を増やして新陳代謝を活性化していきましょう。餌を吐き出すときは飽きている可能性があるので、餌を変えるか、生き餌を用意してあげると喜びますよ。
かかりやすい病気と治療方法
ポリプテルスセネガルスは丈夫な魚なので、ほとんど病気にかかることはありません。
丈夫だからといって、水換えをしていないと、病気にかかってしまうので、油断しないでくださいね。
マクロギロダクティルスポリプティ
野生のポリプテルスには100%といっていいほど寄生虫がついています。ショップで販売期間が長いときはお店の人が治療していることが多いです。死ぬことはありませんが、体にスレ傷を多く作ってしまいます。グリーンFゴールドだと治癒力が高いですが、薬浴に弱いので、最初は規定量の1/3ほどで薬浴してあげましょう。
エロモナス病
全身のうろこが逆立つ松かさ病や目が飛び出すポップアイを引き起こします。水質悪化によって菌が水槽内に繁殖してしまったことが原因なので、すぐに水を全て交換しましょう。完治は難しいですが、初期であればエルバージュで薬浴することで治ることがありますよ。
飛び出し事故
水に手を入れたり顔を近づけると驚いて水面まで跳ね上がることがあります。そのときに蓋の隙間から外へ飛び出してしまうことがあるので注意しておきましょう。蓋は隙間なく置いて、上に重石を置いて固定しておいてくださいね。
ポリプテルスセネガルスの混泳相手
ポリプテルスセネガルスは下層に生息しているので、上層の生息する熱帯魚と相性良く混泳することができます。体長が30cmと小さいので、他の大型魚と混泳させると食べられてしまう危険性もあります。
混泳には同種のポリプテルスデルヘッジがもっともおすすめですが、上層にどうしてもほしい時はオスカーかエンゼルフィッシュなどの中型の熱帯魚も可能です。
ポリプテルスセネガルスについてまとめ
ポリプテルスセネガルスは比較的体も小さく、安価で丈夫なので、手軽に飼育を始められる肉食魚として初心者の人気を集めています。さらに飼い込むことで体色の緑色に深みが増して、美しく育ってくれます。
個人的には金魚などの生き餌を猛烈に追いかけて捕食するということはないので、野性味ある肉食魚を求めるならばおすすめはできません。そのかわいらしい顔とひれのかわいい動きに魅了されることの方が多いのではないでしょうか。
寿命は10年とかなり長いので、飼育を始める時は責任を持って最後まで飼える準備を整えてあげてくださいね。
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ポリプテルスの種類と飼育方法|水槽サイズや混泳、大きさは?