クレステッドゲッコーはペットとしての歴史が長く、初心者にもおすすめの飼育しやすい爬虫類です。
今回はそんなクレステッドゲッコーについてモルフや多頭飼いの注意点、餌やり、鳴く理由、必要なケージの大きさなどの飼育方法を詳しく紹介していきます。
クレステッドゲッコーの生態と特徴
クレステッドゲッコーはヤモリ科イシヤモリ亜科に分類されるトカゲの仲間です。ニューカレドニアの南部生息しています。ニューカレドニアでは数十の小さな島が集まっており、豊かな森とサンゴ礁が広がる自然が豊富な熱帯の島です。
名前の由来は頭部から尻尾にかけてウロコが変化したトゲトゲがあり、これがクレスト(鳥の冠羽)に見えたからと言われています。日本名ではオウカンミカドヤモリとも呼ばれており、トゲトゲが王冠をかぶっているように見えます。
環境によって体色が変化する生き物です。湿度や気温、擬態、健康状態、驚いたときなどに変化しやすいです。特に黒ずんでいるときは怖がっているときなので、注意してください。
1800年代後半に発見されました。当時は発見数が著しく少なく、絶滅説も流れ、取引価格は100万円を超えていました。今では安定して養殖が行われて、人気の爬虫類として地位を確立しています。
性格
クレステッドゲッコーは大人しい性格をしています。自分から人の手に噛みつくことはありませんが、ストレスや刺激を与えると威嚇して噛むことがあるので、注意してください。
体の大きさと体重
クレステッドゲッコーの大きさは平均して17cmです。最大サイズだと20cmを超え、体重は40gほどになります。ヤモリの中では中型種になります。
寿命の長さ
クレステッドゲッコーの寿命は平均して15年と比較的長生きです。最長だと18年はいきます。寿命が近くなるとへばりつく力が弱くなるので、平らで休めるエリアを増やしてあげましょう。
クレステッドゲッコーの生態
クレステッドゲッコーは木の上を好んで生息する樹上棲のヤモリです。
足の裏にある趾下薄板(しかはくばん)で樹皮やコンクリート面だけではなく、ガラスやプラスチックの上も自由に歩き回れます。
夜行性で昼間は木陰に隠れており、夜になると動き始めます。雑食性で餌は昆虫や果物を好んで食べています。
身の危険を感じると尾を自切りする
クレステッドゲッコーはトカゲと同じく、尻尾を押さえつけられると尾切りをして逃げようとします。一度切れると2度と生えてこないので、触らないように注意してください。
ストレスで鳴き声を出す
自発的に鳴くことはありませんが、上からおさえつけると嫌がってギュウウウと鳴きます。ストレスですので、やめてあげましょう。
クレステッドゲッコーはモルフ(模様)が豊富
クレステッドゲッコーはカラーバリエーションが豊富なので、コレクション性が高さも人気の一つです。品種改良で定着した模様をモルフといい、大きく分けて8種類あります。
そのなかでもダーク系、レッド系、ホワイト系、アルビノなどのカラーパターンがあります。単色をソリッド個体、模様付きで2色展開されているのをバイカラーといいます。
爬虫類では頻繁に使われる用語なので、覚えておきましょう。
クレステッドゲッコー ノーマル
特徴的なカラーパターンがないモルフをノーマルと言います。
クレステッドゲッコー パターンレス
パターンレスは模様がないモルフで、背中から腹部まで単色カラーです。
クレステッドゲッコー ダルメシアン
多くの黒いスポット模様(斑点が)が入っているモルフをダルメシアンと言います。その中でもスポットが100を超える個体はスーパーダルメシアンを呼ばれます。
クレステッドゲッコー ファイア
ファイアは体の側面に炎のような模様が出てくるモルフです。横腹や四肢には模様がありません。
クレステッドゲッコー ハーレクイン
ファイアをさらに品種改良したモルフで、横腹や四肢にも炎の模様がはいります。
クレステッドゲッコー ピンストライプ
背中のトゲトゲに明るいクリーム色がはいるモルフです。ピンストライプとは細い縦模様のことをさしています。
クレステッドゲッコー タイガー
タイガーは背中にバンド模様が入るモルフです。
クレステッドゲッコー ブリンドル
ブリンドルは背中に濃いまだら模様が入っているモルフです。
クレステッドゲッコーの飼育に必要な設備
クレステドゲッコーの飼育に必要な設備を紹介していきます。全てのセットを揃えるためには、初期費用で2万円〜3万円をみておくといいでしょう
必要なもの
- ケージ
- 床材
- シェルター
- 餌入れ
- 水入れ
- ライト
必要なケージの大きさ
クレステッドゲッコーは木の上で生活しているので、高さがあるケージを使います。ケージの大きさの目安は幅30cm×奥行30cm×高さ40cm以上です。
おすすめの爬虫類用ケージで紹介しているので、ご参考ください。
床材の選び方
クレステッドゲッコーの床材は保湿性が高いヤシガラマットがおすすめです。たまに床材に潜っている姿を観察することもできますよ。
キッチンペーパーや新聞紙、ペットシーツでも代用できますが、湿度を保つのが難しいので、一時的な利用してしておきましょう。
砂や土は趾下薄板に入り込んで、ガラス面を登れなくなるのでやめてください。
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隠れ家になるシェルター
クレステッドゲッコーは夜行性で暗い場所を好むので、光を遮るシェルターが必要になります。レイアウトを工夫して、影をつくってあげてもいいですよ。
エサ入れ
デュビアやコオロギなどの昆虫を与えるときは、逃げ出さないように餌入れがあると便利です。これらの昆虫がケージ内で逃げ出すと、死骸が不衛生であったり、ケージから脱走してしまうことがあるからです。
水飲み用の水入れ
いつでも水が飲めるように、水入れを用意しておきましょう。水やりの方法は2つあり、ガラス面に霧吹きして水滴をつけるか、水入れにいれておくかです。まれに水入れからだと飲まない個体もいるのでよく観察してください。
舌が薄いピンク色になっていると水不足なので、様子を見ながら、与え方を変えていきましょう。
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ライトは観賞用に
クレステッドゲッコーは夜行性のヤモリなので、バスキングライトや紫外線ライトは必要ありません。明るすぎる環境は苦手なので、観賞用にLEDライトを入れるときは、隠れ家になる観葉植物をいれておきましょう。
レイアウトは立体移動できるようにする
クレステッドゲッコーは木の上で生活しているので、コルクや木の枝は必ず入れてあげてください。倒れないように太さがしっかりとしたものを選びましょう。
観葉植物をいれると見た目が華やかになるだけではなく、水滴がたまって飲み水としても使えるので便利です。飼育が簡単なガジュマルやポトスが人気です。安価な観葉植物は農薬がついているので、爬虫類専門店で買うようにしてください。
クレステッドゲッコーの飼育方法
クレステッドゲッコーはもっとも飼育しやすいヤモリと言われており、その理由はほとんどの個体が人工飼料を食べてくれるようになるからです。生きた昆虫しか食べてくれない爬虫類はたくさんいます。
繁殖も容易で養殖個体が多いので、性格は大人しく、飼育環境や人にも慣れやすいため、とても飼いやすいヤモリです。
価格と販売場所
クレステッドゲッコーの値段は10m以下のベビーで15,000円前後、それ以上の大人になると3万円前後です。
野生種は輸出が規制されているので、アメリカで養殖されたブリード個体(CB個体)が出回っています。
ハンドリングに向いている
クレステッドゲッコーはおとなしい性格で、動きもゆったりしているのでハンドリング背にりのるねを楽しむ事ができます。
ハンドリングするときは、お腹からすくい上げるように持ち上げて、尾切りしないように注意しましょう。
飼育に適している温度
クレステッドゲッコーに適している温度は25度〜32度です。理想は27度前後をキープすることです。
寒さに弱いので、冬にはヒーターを入れて、ホットスポットを作ってあげましょう。ヒーターはケージの側面や下に設置して、部分的に温めてあげるといいですよ。
爬虫類のヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
飼育に適している湿度
クレステッドゲッコーの湿度は最低でも40%以上必要です。60%を維持できると理想的な環境で発色もよくなるので、ぜひ目指してくださいね。
湿度を保つために、1日1回19時頃に霧吹きをして、翌朝には完全に乾いているくらいが理想です。湿度計もチェックして水分量が足りているかこまめに確認していきましょう。
フンの臭いが強い
クレステッドゲッコーが糞をしたらこまめに取り除いてください。フンは刺激臭で大型の爬虫類に匹敵する臭いがあります。
餌を昆虫ゼリーにしたり、ジクラの消臭パウダーを床材に混ぜる事で匂いを抑える事ができますよ。
多頭飼いができる
クレステッドゲッコーは温和な性格をしているので複数飼育することが可能です。オス同士だと縄張り争いで喧嘩してしまうので、オスは1匹にしてメスの数を増やすようにしてください。
ベビーの育て方
クレステッッドゲッコーの子供は親と一緒に飼うこともできますが、餌を横取りされるので、別々に飼育したほうが育てるのが楽になります。
子供でも人工飼料を食べてくれますが、食いつきはよくないので、小さいサイズの冷凍コオロギを用意しておいたほうが安心です。餌は食べられるだけ与えて成長を促進させていきましょう。
昆虫食は栄養が偏るので、マルベリーCaというカルシウム剤をまぶして与えるようにしてください。
環境の変化に弱いので、湿度は60%、温度は25度〜30度をしっかりとキープしておきましょう。
かかりやすい病気と治療方法
脱皮不全 | 指先の脱皮不全になることが多いです。放置していると壊死していくので、早めの対応が必要です。湿度が低すぎることが原因なので、管理を徹底するようにして下さい。 |
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便秘、下痢 | 気温が低くなると便秘や下痢など胃の調子が悪くなって消化不良になってしまいます。そんなときは30度くらいのぬるま湯で15分ほど温浴して体を温めてあげましょう。 |
クル病 | クル病は栄養が偏っているときになりやすく、カルシウム不足で骨が弱くなる病気です。症状は動きが鈍くなり、骨折しやすくなります。治療のためには餌にカルシウム剤を混ぜ、バスキング(日光浴)させることが大切です。 |
フロッピーテール | 登る場所が少ないと、頭を下にした状態でガラス面にへばりつく事が増え、尾曲がりの原因になります。これをフロッピーテールと言います。設置した木に登らないときはレイアウトが気に入らないときなので、配置を変えてあげましょう。 |
ダニ対策 | 爬虫類の飼育環境ではダニが発生しやすく、爬虫類ショップから連れてきてしまうことも珍しくありません。殺虫剤はクレステッドゲッコーにも大きな負担を与えてしまうので使用できません。生体についたダニはスネークレスキューで落とし、ケージや餌入れは水洗いをしてしっかりと乾燥させましょう。 |
クレステッドゲッコーの餌と与え方
クレステッドゲッコーは人工飼料を食べてくれます。専用の餌であるレパシーのスーパーフードを与えてください。栄養も十分なので、これ一つで繁殖から生涯飼育することができます。
たまに冷凍ゴキブリをピンセットで与えたり、生きたデュビアやレッドローチなどのゴキブリ、コオロギをおやつとして食べさせるといいですよ。昆虫以上に果物が大好物なので、マンゴーやイチジク、昆虫ゼリーなども喜んで食べてくれます。
餌の頻度は3日に1回、腹八分を目安に与えてくださいね。
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餌を食べない時の対策方法
餌を食べない原因は、餌に飽きているか、飼育環境にストレスを感じていることが多いです。
食いつきがいい生きた昆虫を用意したり、レイアウト変更、湿度と温度のチェックを行なってください。
クレステッドゲッコーについてまとめ
クレステッドゲッコーの生態や飼育方法について紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
とても飼育しやすいヤモリで、モルフも豊富で楽しめるため、爬虫類が初めての方にもおすすめの種類です。ぜひお気に入りの1匹を見つけて、爬虫類ライフを楽しんでくださいね。
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