ポリプテルスはおとなしい性格でかわいらしい姿をしているため、初めての肉食魚として飼育されることが多い熱帯魚です。くりくりとしたつぶらな瞳にゆったりと泳ぐ姿はとても可愛らしいですよ。
今回はそんなポリプテルスについて人気の種類や値段、混泳できる魚など、飼育のコツなど詳しく紹介していきます。
ポリプテルスの特徴
ポリプテルスはポリプテルス目ポリプテルス科に属している魚で、シーラカンスやハイギョの近縁種と考えられています。
名称の由来はポリ(多く)とプテルス(ひれ)からきており、背中にある10枚ほどの背びれが特徴的です。エナメル質に覆われた硬いウロコが、まるで爬虫類を想像させます。えら呼吸と肺呼吸を行うので、酸欠にも強い魚です。
寿命の長さ
ポリプテルスの寿命は平均して10年になります。体が丈夫なので病気にかかりにくく、水槽飼育でも長生きさせやすいです。
大切に飼育していると最長で15年はいきます。長期飼育になるので、飼育前に最後まで責任を持って飼えるように準備してください。
ポリプテルスの生態
ポリプテルスは大きな河川で流れが穏やかな場所を好んで生息しています。
肉食系の大型魚でありながら、泳ぎが苦手のため小魚を捕まえるのが上手ではありません。夜行性で夜になると前についたヒレをパタパタと動かしながらゆったりと泳ぎはじめます。
自然の環境では寝静まった小魚やエビ、カニといった甲殻類を食べています。
ポリプテルスの種類とそれぞれの特徴
ポリプテルスは観賞魚として流通していない種類も合わせると全部で17種類います。その全てがザイールやセネガルなどアフリカを生息地としています。
ポリプテルスエンドリケリー
ポリプテルスエンドリケリーはニジュールやスーダンなどの西アフリカに生息する種類です。輸出国の関係で販売される数量が制限されることがあるため、日本では東南アジアでの養殖個体が広く出回っています。
体長は最大で70cmを超える大型の品種です。水槽飼育では40cm〜50cmでとまります。
体色や模様の個体差が激しく、赤褐色の地肌にはっきりとした黒のバンドが入っている個体が人気です。エンドリケリーはポリプテルスの中でも最も人気が高い種類です。
ショートボディの個体もおり、体が前後からキュッと押しつぶされて腹部が山のよう膨れています。こちらの体長は最大でも40cmほどにしかなりません。
野生種だとワイルドという名前で販売されています。こちらは養殖の個体と違って赤褐色の発色が強く、大型魚とは思えないほどの、体色の美しさを感じることができますよ。
ポリプテルスエンドリケリーの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ポリプテルスセネガルス
ポリプテルスセネガルスはセネガルやニジュールなどの西アフリカに生息する種類です。ポリプテルスの入門種的な存在で、多くの熱帯魚店で500円〜2,000円前後の値段で販売されています。
緑褐色で地味な体色をしていますが、20cm前後の大きさで止まる小型のポリプテルスなので、60cm水槽で飼育できる手軽さが人気です。丸みを帯びた可愛らしい種類です。
体が白いアルビノ個体も多く見かけます。
ポリプテルスセネガルスの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ポリプテルスパルマス
ポリプテルスパルマスはギニアやリベリアなどの西アフリカに生息する種類です。こちらもセネガルスと同様に大きさは20〜30cmしかならない小型の種類です。
値段は1,000円〜3,000円と少し高くなりますが、セネガルスと比べて黒い斑点模様があるので、地味な体色では味気ないという人におすすめです。
熱帯魚専門店でも見かけることが少ないので、ネット通販で探してみましょう。
ポリプテルスデルヘッジ
ポリプテルスデルヘッジはザイールなどの西アフリカに生息する体長40cmほどの中型のポリプテルスです。上顎が突出するタイプで、緑褐色の地肌にエンドリケリーのような黒のバンド模様があります。
エンドリケリーほど大きなポリプテルスは飼育できないけど、美しいバンド模様を楽しみたい!という方から人気が高く、上顎突出タイプでは最も人気がある種類です。
光量が強い水槽で、飼い込むほど緑色の発色が濃くなるため、大切に飼育してあげてくださいね。
ポリプテルスデルヘッジの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ポリプテルスレトロピンニス
ポリプテルスレトロニピンニスはザイールなど西アフリカに生息する種類です。別名でポーリーやコンギカスspという名前で販売されていることがあります。
最も小さいポリプテルスで最大でも20cmにしかなりません。60cm水槽でも十分に楽しむことができるので、初心者の方にもおすすめです。
しかし、入荷数は少なく値段は5,000円〜10,000円と高価です。店舗で見かけることは少ないので、ネット通販で探した方が早いです。
ポリプテルスアンソルギー
ポリプテルスアンソルギーはギニアなどの西アフリカに生息する最も大きくなる種類です。ワイルド個体で80cm、ブリード個体でも60cmまで成長するため、水槽サイズは最低でも120cmは必要になります。
ブロッチ模様と呼ばれる、茶褐色のバンド模様が途切れ途切れに入っています。
流通量は少なく、値段は20,000円〜50,000円になります。アンソルギーの魅力はなんといってもその大きな体ですので、ぜひワイルド個体を手に入れて、大きな水槽で飼育してあげてくださいね。
ポリプテルスの飼育に必要な水槽の大きさは?
ポリプテルスは種類によって水槽の大きさが変わってきます。水槽の大きさ別に飼育できる種類を紹介していきます。個体によって大きさが変わってきますので、目安としてご参考ください。
昼間はあまり泳いでいないので、あまり大きな水槽は必要ないと感じますが、夜は遊泳しているので、十分なスペースを確保してあげる必要があります。
60cm水槽(奥行き30cm)
60cm水槽だと体長が25cmまでのポリプテルスを飼育することができます。飼育できる種類は小型のポリプテルスレトロニピンニスやポリプテルスセネガルスです。
90cm水槽(奥行き45cm)
90cm水槽だと体長が40cmまでのポリプテルスを飼育することができます。対象はポリプテルスパルマス、ポリプテルスデルヘッジ、ポリプテルスウィークシー、ポリプテルスオルナティピンニスになります。
120cm水槽(奥行き60cm)
120cm水槽だと体長55cmまでのポリプテルスを飼育することができます。対象は大型のポリプテルスエンドリケリー、ポリプテルスコンギクス、ポリプテルスビキールなどになります。
ポリプテルスの飼育方法
ポリプテルスはとても丈夫な魚なので、初心者でも簡単に飼育することができます。
目立った注意点も特にありませが、しいてあげるのであれば、夜行性で日中はあまり動かないので、積極的に捕食をする肉食魚ではないというところでしょうか。
水槽のレイアウト
ポリプテルスの水槽にはベアタンクという砂や流木などいっさい置かないレイアウトか、ガーネットといわれる赤色の砂をひくだけが主流となっています。物を置かない理由は古代魚はびっくりして急に動くことがあり、体が傷つかないようにしないといけないからです。また肉食魚は餌の食べ残しや糞の量が多いため、水換えを簡単にするためです。
どうしても水草をレイアウトしたいときは、引き抜かれにくく、移動させやすい、アヌビアスナナやミクロソリウムがおすすめです。
適している水温と水質
ポリプテルスに適している水温は25度〜30度です。低温に弱いのでヒーターなしで越冬することはできません。冬には必ず水槽用のヒーターを準備してください。
水質は弱酸性〜中性を維持しましょう。水換えを週に1回、1/3ほど交換していれば水質管理は問題ありませんよ。
おすすめの餌と与え方
ポリプテルスは餌の好き嫌いが少なく、人口餌もよく食べてくれます。
しかし、幼魚のうちはたくさんの餌を食べさせてしっかりと体を作る必要がありますし、人工餌をあまり食べてくれません。最初はメダカや金魚(和金)などの生き餌を与えて、成長スピードが遅くなったらキャットなどの肉食魚用の人工餌に切り替えてください。
最終的には人工餌を主食にして、ドジョウや牛ハツ、鳥のササミなどおやつにあげると喜んでくれますよ。
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水槽でも繁殖できる?
ポリプテルスは国内でも人口繁殖がされており、よいペアを入手できれば、初心者でも繁殖は可能です。パルマスなら60cmの標準水槽でも飼育できるので、狙ってみてください。
かかりやすい病気と治療方法
ポリプテルスは丈夫な魚なので、水質悪化がすすんでも簡単に病気にかかることはなく、日頃から水換えを行なっていると病気の心配はありません。飼育し始めの時だけ注意して観察してあげるといいですよ。
マクロギロダクティルス・ポリプティ
ポリプテルスを宿主とする寄生虫で、野生の個体にはほぼ100%感染している病気です。死に至ることがありませんが、嫌がって暴れてたりして体を傷つけたり、飛び出し事故がおきたりします。
寄生虫はあっというまに他のポリプテルスに広がっていきますので、寄生されている個体を見つけたらすぐにグリーンFゴールドで薬浴してあげましょう。古代魚は薬に弱いため、規定量の半分程度から薬浴してあげてくださいね。
飛び出し事故
古代魚はすべてにいえることですが、水槽からの飛び出し事故が多いです。蓋の隙間をなくして、重しをのせておきましょう。埃まみれで水槽の裏で、ギリギリ生きている状態で見つかることもあります。そんなときは慌てずに水槽にもどしてあげましょう。
ポリプテルスの混泳
基本的にポリプテルスなどの古代魚は体が大きく、傷も目立ちやすいので、単独飼育でしっかりと育成してあげるのがいいでしょう。ただ、温和な性格なので混泳もとても容易です。
おすすめの混泳相手は上層を生活スペースにしているアロワナ、ガーパイク、オスカー、スネークヘッド、パロットファイヤーなどになります。
ポリプテルス同士も縄張り争いをしないので、問題なく混泳ができます。
反対に混泳に向かない相手はプレコです。プレコの歯がポリプテルスのウロコをボロボロにしてしまうからです。
混泳の注意点
ポリプテルスは泳ぐのが苦手なので、他の魚に餌を取られてしまうことが多いです。十分に餌が与えられているか注意して観察してあげてください。また大型魚は多くの酸素を必要としているので、飼育数が多いとエアレーションの追加を検討する必要がありますよ。
ポリプテルスについてまとめ
今回はポリプテルスの生態や飼育方法について紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
恐竜のような顔つきに、長い体についている大きな背びれがとてもかっこよく、体もそこまで大きくならないので、肉食魚の入門種としても親しまれています。
初めて飼育をしたときは、餌の金魚を捕まえるのが本当に下手で、肉食魚??とも思いましたが、豪快な餌の食べっぷりや小さいヒレをパタパタとして泳ぎ回る姿はとてもかわいいです。
興味を持たれて方はぜひ飼育に挑戦してみてくださいね。
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