テッポウウオは水鉄砲を発射する、珍しい習性をもっており、水族館でも人気の熱帯魚です。実は淡水で飼育できたり、自宅でも飼うことができる魚なんですよ。
今回はそんなテッポウウオの生態や特徴、習性、水鉄砲の仕組み、寿命、水作りなど飼育方法について詳しく紹介していきます。
テッポウウオとは?生態と特徴
テッポウウオはスズキ目テッポウウオ科に分類される熱帯魚です。インドや大西洋の沿岸や河川に広く分布しており、淡水と海水の間にある汽水を好んでいます。日本の西表島でも発見されたことがあります。
正式名称はアーチャーフィッシュといいます。テッポウオは和名で漢字では鉄砲魚と記載し、名前の通り水鉄砲が上手な魚です。
肉食性で小魚や昆虫を捕食します。水面付近をゆったりと泳ぎ回っており、昆虫を見つけると水鉄砲を発射し、気絶させて水面に落ちたところを丸呑みします。昆虫までの距離が近ければ、飛び跳ねて直接捕食することができます。
水鉄砲を出す仕組み
テッポウウオが水鉄砲を発射する仕組みは大きな口下にあり、ここに水をためてエラをポンプとして使うことで、勢いよく水を出すことができます。
水の飛距離は1m〜1.5mもあり、連射することもできるんですよ。
体の大きさ
テッポウウオの大きさは20cm~40cmになる中型魚です。現地ではフィッシングとして楽しんだり、食用として販売されていることがあります。
地上にいる虫を落とすほど目がいい魚なので、釣るのは難しく、水が濁っている雨などの次の日を狙って釣ることが多いです。
寿命の長さ
テッポウウオの寿命は平均で3年ほどです。淡水飼育だと短命で2年以下になることが多いです。
テッポウウオの種類と仲間
テッポウウオは生息場所によって体色や大きさが異なり、メジャーなのは3種類になります。
アーチャーフィッシュ
テッポウウオの代表種で体の大きさは20cmになります。銀色の体色をベースに黒のラインが5本あります。
セブンスポットアーチャーフィッシュ
スリランカやインドに生息してるテッポウウオで最大で40cmになります。セブンスポットは体の側面に黒のラインが7本あります。
性格はきつめで、水槽飼育でも20cmを超えるので、90cm水槽が必要です。
ゼブラアーチャーフィッシュ
ミャンマーなどの東南アジアに生息しています。最大で25cmになる種類で、不規則なゼブラ模様が特徴的です。体色が金色に近いことから、ゴールデンアーチャーフィッシュとも呼ばれています。日本での販売数は少なく、1匹4,000円以上で取引されています。
テッポウウオの飼育設備
テッポウウオの飼育環境は通常の淡水魚とは異なります。
汽水を用意したり、水鉄砲を楽しむために、陸地部分を作ることが多いです。
必要な水槽の大きさ
テッポウウオは最終的に15cm~20cmほどの大きさになると思っておきましょう。
かわいらしい見た目に反して、意外に大きくなるので最低でも60cm水槽が必要です。
群泳や水鉄砲を楽しむためのアクアテラリウムにするときは90cm水槽で3匹ほど飼育すると見栄えがいいですよ。
ろ過フィルターの選び方
フィルターは水槽の大きさと飼育数の多さによって、必要な濾過能力が変わります。
60cm〜90cm水槽だと濾過力がある上部フィルターを使います。
アクアテラリウをするときは上部式だと水位が足りないため、外部式フィルターが必要になります。
飛び出し防止の水槽の蓋
テッポウウオは水面付近を泳ぎ回っており、ジャンプするのが得意なので、飛び出し防止のために蓋はしっかりと固定しておきましょう。
テッポウウオの飼育方法
テッポウウオは体が丈夫なので、初心者にもおすすめです。汽水ということで難しい印象を持たれることがありますが、塩の量を計測する手間が増えるだけですので、そこまで難しいことはありませんよ。
値段と購入場所
テッポウウオの値段は1,000円〜2,000円で販売されています。
珍しい熱帯魚なのでホームセンターで見かけることは少なく、熱帯魚専門店かネット通販を利用しましょう。
淡水でも飼育できる?
テッポウウオは海水が少し混じった汽水に生息していますが、水質の適応範囲が広いので、慣らせば淡水でも飼育することが可能です。
しかし、寿命が短くなったり体調が悪くなりやすいので、なるべく汽水で飼育することをおすすめします。
淡水での飼育を成功させるには、水質を弱アルカリ性に保つことが大切です。そのためには海水水槽に使うサンゴ砂を使います。弱アルカリ性の水は多くの淡水魚や水草には適さないので、混泳が難しくなってしまう欠点もあります。
汽水の作り方
汽水とは海水と淡水が混ざっている水のことで、海水を1/3と淡水を2/3を混ぜて作ります。
導入初期の汽水の濃度は、購入したショップと同じにしておきましょう。
- 水道水にカルキ抜き剤をいれる
- 比重計を使いながら、1.008〜1.010を目指して人工海水の素をいれる
- 購入してきたテッポウウオを水ごとバケツに入れる
- 30分かけてバケツの水が倍になるように作った汽水をいれる
- バケツの水を半分捨てる
- 30分かけてバケツの水が倍になるように作った汽水をいれる
- テッポウウオを作った汽水に入れる
人工海水の作り方で紹介しているので、ご参考ください。
レイアウトはアクアテラリウムが似合う
テッポウウオの水鉄砲を観察するためには、水の量は半分にして、上半分は陸地にして石組みや流木をつかったアクアテラリウムにする必要があります。
枝先に生きた赤虫や昆虫をおいておくと、勢いよく水鉄砲を発射する姿が観察できます。ただ、普段から水鉄砲をする習慣をつけておかないと、なかなかしてくれません。
ジャンプ力があるので、飛びついて捕食できる距離ならそのままジャンプして食べてしまうこともあります。
飛び出し事故もおきやすいので、飛んでも出られないくらい水量を減らしておくか、蓋をしておいてあげましょう。
飼育に適している水温と水質
テッポウウオに適した水温は24度〜27度です。冬は水槽用のヒーターをかならず用意してください。
汽水に生息するということもあり、水質はph6.5〜8.0の弱アルカリ性を好みます。弱アルカリ性にするために、ph調整剤をいれるか海水魚用の砂を使ってください。
換水は1週間に1回、1/4ほど交換してあげてください。
水の状態がいいと、銀白色と黒のバンドのコントラストが鮮明にでてきて、とても見応えある魚になってくれますよ。
おすすめの餌と給餌方法
テッポウウオは肉食性が強く、飼育下ではメダカやエビなどの水生生物が主食です。
体が小さい時は冷凍赤虫がメインです。
水鉄砲を見たい時はコオロギやミルワームなどの活きた昆虫を用意してください。どちらも爬虫類専門店で購入できます。
人工飼料にはなかなか餌付いてくれないので、餌やりは大変です。慣らすことで乾燥オキアミなどを食べてくれます。ピンセットで掴んで目の前で動かしてみて、食べるかどうか試してみてください。
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混泳できる魚
テッポウウオの混泳には同じ汽水魚であるモノダクティルスセベエやキノボリウオという魚がおすすめです。
キノボリウオだとアクリアテラリウムにすることで、木にくっつきている姿を観察できるので、一石二鳥で楽しめます。
淡水で飼育するときは同じ大きさの熱帯魚と混泳できますが、テッポウウオの体色は比較的地味なので、テッポウウオの飼育を楽しみたい時にはおすすめできません。
性格はきついところがあるので、なるべく単独飼育か同種での群泳がいいですよ。
かかりやすい病気と治療方法
テッポウウオは丈夫な熱帯魚なので、あまり病気にかかりません。
唯一かかりやすいとしたら白点病です。体中が白い点々で覆われる病気で、寄生虫が原因です。導入初期の輸入された個体にくっつていることが多いので、最初の1週間は注意して観察してください。感染力強いので、発症している個体を見つけたらすぐに別の水槽に隔離してメチレンブルーで薬浴しましょう。
テッポウウオの繁殖方法
テッポウウオは水温が高くなり始める4〜5月に繁殖期に入ります。
繁殖に大事なポイントは餌をたくさん食べて健康に育った親魚がいることです。繁殖を狙うときは汽水で飼育してください。毎日しっかりと餌をあげるようにして、5匹ほど群泳させて自然にペアができるのを待ちましょう。
ペアができたら水草の上に数日かけて産卵を行います。産卵は比較的容易ですが、孵化までが難しいです。毎日換水を行なって新鮮な状態を保ち続けてくださいね。
稚魚が孵ったらブラインシュリンプをあげましょう。稚魚が食べやすい大きさで、栄養価も抜群に高いので、元気に育ってくれますよ。
テッポウウオについてまとめ
テッポウウオは水鉄砲をだす熱帯魚として水族館で人気者です。販売もされているので自宅で飼育することができます。
しかし、飼育水は汽水が必要であったり、陸地部分を作るために大きな水槽が必要です。肉食性で生き餌が欠かせません。
飼育設備の用意がなかなか大変ですが、きちんとレイアウトを作れると、見応えのある捕食姿をみせてくれるようになります。まさに憧れに一匹と言えますね。
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