ガーパイクは獰猛な見た目から、肉食魚の中でもアロワナに次ぐ人気を誇っていましたが、現在では飼育の規制がかかっており、新たに飼育することはできなくなってしまいました。
今回はそんなガーパイクの生態や特徴、飼育の規制、水流、餌など飼育方法について紹介していきます。
ガーパイクの生態と特徴
ガーパイクはガー科に分類される唯一の種類です。1億1千年以上前から姿を変えていない古代魚です。
最大の特徴は長く伸びた口先で、これを吻(ふん)といいます。口の中には鋭い歯が並んでおり、捕らえた獲物を逃さない構造になっています。全身はガノイン鱗という非常に硬い鱗に覆われており、身を守るのに適しています。そのために体は硬く、Uターンが苦手です。
水流の穏やな水域を好んでおり、ヒレを使って泳ぐよりも、スーッとゆっくりと全身をスライドさせるように泳ぎ回ります。水面を波立たせずに、餌となる小魚に接触し、そのまま大きな口で丸呑みしてしまいます。
ガーパイクの飼育規制について
ガーパイクは体が大きくなることと長寿であることから、飼育しきれなくなった人が増加して、川に放流する問題が起きていました。
酸欠や低水温に強く、魚が住めないような用水路で見つかったり、日本の冬を越冬したりと、丈夫さも兼ね備えています。そのため、日本の生態系を破壊することを危惧されていました。
そして、とうとう2018年4月からガーパイクの全種類が特定外来生物に指定されたため、それまで飼育していた人は飼育許可を環境省に申請する必要がでてきました。2018年10月が期限となっていましたが、申請を忘れていた方はすぐに自治体に問い合わせしましょう。
それ以降は販売や譲渡の一切が禁止されています。ショップでの引き取りも出来ませんので、飼いきれなくなったガーパイクは自分で処理する必要があります。
現在は新しく入手・購入する方法はなく、残念ですが飼育は諦めるしかありません。
申請の手続きは環境省の「飼養等に関する手続き」で紹介されています。
ガーパイクの人気の種類
ガーパイは大きく分けて2種類に分けられます。
- アトラクトステウス属
- レピゾステウス属
アトラクトステウスには小型種のスポッテッドガー、ショートノーズガー、ロングノーズガーなどがいます。レピゾステウス属には大型種のアリゲーターガー、トロピカルジャイアントガー、キューバンガー、マンファリなどがいます。
今回は観賞魚として人気の3種類について紹介します。
紹介する種類
- スポッテッドガー
- ロングノーズガー
- アリゲーターガー
スポッテッドガー
分布 | テキサス、フロリダ |
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体長 | 60cm |
寿命 | 20年~30年 |
スポッテッドガーはもっとも人気のガーパイクです。
体には黒色のスポット模様が入っており、鑑賞に優れています。また、大人しい性格で存在感を主張してこないため、アロワナや淡水エイなどの古代魚水槽の混泳相手としても人気があります。
体は丈夫で飼育しやすく、それほど大きくならないので初心者向けの古代魚といえますよ。
スポッテッドガーの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ロングノーズガー
分布 | ミシシッピ川 |
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体長 | 120cm |
寿命 | 20年 |
ロングノーズガーは名前の通り、口先が長く伸張するガーパイクです。他のガーと比べると倍ほどの大きさになります。
子供の頃は茶褐色ですが、成長するにつれて銀色のウロコが輝くようになり、成長とともに美しさが増してきます。
ロングノーズガーの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
アリゲーターガー
分布 | ミシシッピ川 |
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体長 | 200cm~300cm |
寿命 | 30年 |
アリゲーターは最大のガーパイクで、現地では300cmを超える個体も発見されています。
突然変異で真っ白なプラチナ色の輝くアリゲーターも発見されており、100万円以上の値段がつけられました。
体が大きくなるので、ピラルクと同じく飼育には巨大水槽が必要となり、水族館向けの熱帯魚です。
日本で放流されて問題になっている種類はこのアリゲーターガーです。体の大きさから釣り人からフィッシングの対象として人気があります。
ガーパイクの飼育方法について
ガーパイクは丈夫で飼育しやすく、屋外飼育でも問題ないほどに頑丈です。
飼育に必要な水槽と器具
ガーパイクの飼育で最も大切なのは水槽の大きさです。体は細長く、急成長しますので、水槽が小さいと体はまっすぐにならず、曲がってしまいます。
水槽は最低でも横幅で体長の2倍、奥行きは体長と同じくらいの大きさが必要です。体長が100cmのガーパイクだと200cm(横幅)×100cm(奥行き)は用意しましょう。横幅もしかり奥行きもかなり大きいので、オーダーをする必要があります。
ろ過フィルターは上部フィルターかオーバーフロー式などろ過能力が強力なものが必要になります。
必要なもの
- ガラス水槽
- ろ過フィルター
- 蛍光灯
- 水槽の蓋
- ヒーター
- ホース、バケツ
適している水温
ガーパイクに適している水温は20度~26度です。
低水温に強く、5度でも耐えることが出来ますが、全く動かなくなるので、鑑賞するのであれば20度は維持するようにしてください。
水槽が150cmを超えてくると水中用ヒーターを入れるよりも暖房をいれて部屋全体を暖めた方が電気代が安くなりますよ。
ヒーターの電気代や設置場所についてはおすすめの水槽用のヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
適している水質
ガーパイクに適している水質はph6.0~7.0の中性です。
肉食性の餌を与えていたり、たくさんのフンをすることでphは酸性に傾きやすくなります。毎週1回は1/3ほど水換えをするようにしてください。
混泳にむいている?
ガーパイクは大人しい性格をしているので、口に入らない大きさの生き物であれば混泳を楽しむことが出来ます。しかし、牙がむき出しになっているので、擦り傷がつくことは覚悟しておきましょう。
おすすめの混泳相手は同じ肉食魚のアロワナやオスカー、アクセントになる赤色のパロットファイヤー、コケ掃除をしてくれるカラープロキロダスなどになります。
水底で生活するポリプテルスや淡水エイだと小競り合いが起きる可能性はさらに低くなって安心です。
ガーパイクの餌の種類と与え方
ガーパイクの餌は小魚やエビなどを食べる肉食性です。
飼育下では熱帯魚専門店で販売されているメダカや和金(金魚)などの生き餌が主食になるので、体の大きさに合わせて変えていきましょう。
子供の頃は食いつきが良い小魚を食べられるだけ与えて、しっかりと成長させていきます。大人になるとクリルやカーニバルなどの人工飼料に慣していき、餌の量を2日に1回まで減らして肥満予防に努めます。
食べる餌はアロワナとほとんど同じですので、アロワナの餌の種類をご参考ください。
商品情報と価格をチェック
ガーパイクについてまとめ
今回は長く伸びた吻が人気のガーパイクについて紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
鋭い歯で獲物にかぶりつく姿はまさに肉食魚!と言えるもので、餌をあげる時間の楽しさはガーパイクならではです。
水槽は通常の大型魚よりも大きいものが必要で、初期費用がかかりますが、体が丈夫なので飼育自体は難しくありません。
すでに飼育規制がされているため、ペットショップで入手することは出来ず、姿を見たい人は水族館に行くしかないというのが現状です。いつになるかわかりませんが、飼育の規制が解除されるのを待っておきましょう・・
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