ビーシュリンプはカラフルな体色と小さくてかわいい体、繁殖の簡単さから人気を集めているエビです。しかし水質変化に敏感で飼育は難しく、水槽での飼育に慣れている必要があります。
今回はそんなビーシュリンプについて人気の種類や混泳、おすすめの水草、繁殖など飼育方法を紹介していきます。
ビーシュリンプの特徴
ビーシュリンプはヌマエビ科カワリヌマエビ属に分類されているエビの仲間で、中国や台湾など東南アジアに生息しています。
最大の特徴は白色と茶色のしましま模様で、それが蜂のお尻に似ていることからビーシュリンプと名付けられました。体色や模様の個体差が激しく、繁殖が簡単なため、元々の茶色から赤色、青色、黄色と様々なカラーバリエーションが生み出されており、高いコレクション性が人気を集めています。
寿命の長さ
ビーシュリンプの寿命は平均して1年半~2年です。水質の変化に敏感で、病気にかかる前に死ぬことが多いです。水槽の飼育で長生きさせるには慣れが必要です。
繁殖を抑えたり、脱皮の回数を減らすことで寿命をのばすことができます。
体の大きさ
ビーシュリンプの体の大きさは3cmと淡水エビの中でも小型です。生後半年で大きさは1.5cmを超えて大人になり、繁殖が可能になります。
ビーシュリンプの生態
ビーシュリンプは草食性が強く、石や流木に付着したコケや微生物を食べています。体の大きさの割には多くの餌を必要としているため、常に前足を動かして餌を食べています。
魚などの天敵が多く、泳ぎが苦手なため、水の流れが弱く、落ち葉や泥が溜まっている場所や水草が生い茂っている環境を好んでいます。
脱皮をする
基本的にエビは硬い甲殻に覆われており、体の成長とともに脱皮を行います。しかし、ビーシュリンプは体が小さく、成長もしていかないのであまり脱皮を行うことがありません。
飼育下で脱皮をしているときは水質の悪化でストレスを感じている証拠です。水質チェックを行って、問題があれば水換えを行ってあげてくださいね。
ビーシュリンプの種類
ビーシュリンプの原種は1種類で、他の種類は全てビーシュリンプからの品種改良です。繁殖が容易で、様々な濃い色が出るため、養殖が盛んに行われています。基本的な種類のビーシュリンプを紹介していきますね。
ブラックビーシュリンプ
ビーシュリンプの原種といわれている種類です。他の種類と交配していない個体ほど、黒と白のしましまがはっきりと出て美しい姿を見せてくれます。
原種の美しい個体を見かけることは少ないので、人気が少なく、販売量も減ってきます。ビーシュリンプに力を入れているショップかネット通販を利用するといいでしょう。
レッドビーシュリンプ
レッドビーシュリンプはビーシュリンプの中で最も人気が高い種類です。ブラックビーシュリンプが原種で赤色に発色した個体をなんども交配させることで赤色を定着させていきました。
血が濃い個体ほど、赤と白のしましまがはっきりと出るようになり非常に美しく育ちます。バンドの柄や模様、発色具合でグレードが変わり、高いものでは10万円を超えることがあります。
繁殖が簡単でオリジナルの模様や高いグレードを目指して専用水槽を立ち上げている方が多くいます。コレクション性が高く、日本国旗の模様の個体なども見ることができますよ。
レッドビーシュリンプの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
チェリーシュリンプ
チェリーシュリンプはビーシュリンプと異なってバンド模様はなく、単色の種類です。
個体によって色の濃さが変わってきており、色が濃い個体はチェリーの名前がなくレッドシュリンプと呼ばれます。色が薄い個体や、違う色の個体と交配させると体色が薄くなっていくので注意してください。
カラーバリエーションが豊富で全色揃えるととてもカラフルな水槽が楽しめます。
それぞれ赤色のチェリーレッドシュリンプ、青色のチェリーブルーシュリンプ、白色のチェリーホワイトシュリプ、オレンジ色のチェリーオレンジシュリンプ、黄色チェリーイエローシュリンプ、茶色のチェリーチョコレートシュリンプと名付けられています。
レッドチェリーシュリンプの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
シャドーシュリンプ
シャドーシュリンプは体色がビーシュリンプにそっくりな種類です。違いはビーシュリンプのように白色がベースで黒いバンドが入っているのではなく、黒色をベースに白いバンド模様が入っていることです。
血を濃くするほどバンド模様はなくなって、ベースの色がはっきりと出てきます。
全身が真っ黒になっているブラックシャドーシュリンプや空色のターコイズシュリンプなどが人気です。
ルリーシュリンプ
チェリーレッドシュリンプの改良品種です。体の大半が透明で、頭部と尾扇だけが真っ赤になっており、透明と赤のコントラストが美しい種類です。
ビーシュリンプのグレード
ビーシュリンプは種類の他にも色の濃さや白色の多さグレードが決められています。個人の判断によって変わることがあるので、参考程度にしてください。
模様がないシャドーシュリンプはチェリーシュリンプはグレード分けがされておらず、色が濃いほどいい個体になります。
SSSランク | 全身の白色が濃く、ヒゲ先から足の先まではっきりと色が出ている。 |
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SSランク | 全身の白色が濃くて美しい |
Sランク | 白色が濃くて美しい |
Aランク | 全体的に美しい |
Bランク | 通常の個体 |
日の丸 | 上から見ると白色の中央に赤丸がある |
タイガーバンド | バンド柄で下の部分が2方向に分かれている。 |
進入禁止 | 上から見ると進入禁止マークになっている。 |
モスラ | 日の丸の赤丸が消えている |
丹頂 | 頭部が丹頂鶴のような模様になっている。 |
ビーシュリンプに必要な水槽と飼育設備
ビーシュリンプの飼育に必要な水槽の設備を紹介します。水槽は小型で良いのですが、水質維持のために特別な器具も必要で、初期費用だと5万円ほど必要になってきます。
必要な水槽の大きさ
ビーシュリンプは小型サイズの45cm水槽で飼育することができます。
60cm水槽で飼育することもできますが、小型水槽を3個以上用意しておくと便利です。飼育歴が長くなるにつれてどんどん繁殖していくので、稚エビの育成やグレードアップをしたくなることが多く、将来的に必要になってくるでしょう。
水槽は透明度が高くて傷がつきにくいガラス水槽がおすすめです。
ろ過フィルターの選び方
フィルターには底面フィルターがおすすめです。
底面フィルターは水を空気中に触れさせないため水質を弱酸性に維持しやすく、底砂にはたくさんのバクテリアが生息しているので、小型水槽でも高いろ過能力が期待できるからです。45cm水槽にぴったりです。
反対に60cm以上の水槽だとろ過能力不足になるので、さらに強力な外部フィルターが必要になります。高価なろ過フィルターなので、初期費用が上がることは覚悟しておいてください。
どちらにしてもビーシュリンプは強い水流を嫌うので、底に直接水流を当てるのはやめておきましょう。
ライト
ライトは光量が強いほど色揚げ効果があります。反対に薄暗い環境では体色が薄くなるので、必ずライトはつけておいてください。
少し高価ですが水温が上がりにくいLEDタイプがおすすめです。
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底砂はソイルがおすすめ
ビーシュリンプの飼育に底砂は必須です。理由は2つあり、水槽のガラス面などツルツルした場所を歩くのが苦手であり、底砂には水質維持には欠かせないバクテリアが多く繁殖してくれるからです。
底砂には弱酸性に保ってくれるレッドビーシュリンプ専用のソイルを使うことで飼育難易度をかなり下げることができます。
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添加剤
水中の硬度を上げてくれる各種添加剤を使います。ビーシュリンプの稚エビは水中からカルシウムを摂取するので、硬度が大切になります。ADAバクタ―100という添加剤やミネラル剤など産卵を促すものを準備できればよいでしょう。
ビーシュリンプの飼育方法
ビーシュリンプは熱帯魚の飼育に慣れている人でも飼育が難しい生き物です。もともとエビは水質の変化に敏感で、ビーシュリンプはさらに小型で環境の変化に弱いためです。入手方法も合わせて詳しく紹介していきますね。
値段
ビーシュリンプは体色によってグレードがあるので、価格はさまざまですが、200円から販売されています。ハイグレード個体の価格だと3,000円〜5,000円で販売されています。最高価格では20万円で取引されたこともあります。
グレードにこだわらなければ、安価な個体を5匹ほど購入し、繁殖で増やしていくのがおすすめです。
販売場所
ビーシュリンプは低グレードであればホームセンターや熱帯魚専門店など多くの場所で見つけることができます。グレード関係なしに1つの水槽で管理されていることが多いので、稀にいい個体を低価格で手に入れることができます。
ハイグレードの個体が欲しいときはレッドビーシュリンプ専門店かネット通販を利用します。ネット通販だとシュリンプ専門店のBeeQuestさんがおすすめです。
きちんと管理しているお店の方が血が濃いので、安定してハイグレードの個体を増やしやすくなります。しかし、同じ親で交配し続けていると血が濃くなりすぎて奇形や弱い個体が生まれやすくなります。信頼できるショップを見つけることが大切です。
良い個体の選び方
ビーシュリンプに限らず淡水エビは初期に死にやすいので、元気な個体を選ぶことが大切になります。以下の項目をチェックしましょう。
- 白、赤、黒の色がはっきりと出ているか。足先やひげの先まで色がしっかりと入っているか。
- 適度な大きさか。1cm以下のものは避ける
- 足はヒゲに欠損がないか
- 体にツヤがあるか。白く濁っていないか
- 足は元気に動かしているか
- 頭が大きくなっていないか。同血族との交配が進んでいる状態であり、死にやすい。
- 両親、そのさらに上の両親は同血族ではないか。
水槽の立ち上げ方法
ビーシュリンプは水質に敏感なので、熱帯魚のよりも水槽の立ち上げには注意が必要です。立ち上げは余裕をもって慎重に行なってくださいね。
- 45cm以上の水槽を準備する
- 底面式フィルターをおく
- 底面フィルターの上からソイルを2cmほどひく
- ソイルの上に添加剤をふりかける
- ソイルをさらに2cmほどひく
- スポンジフィルターとヒーターを設置する
- カルキを抜いた水をいれる
- フィルターを稼働させて水の濁りをとる
- 流木を入れたり水草を植える
- バクテリア繁殖のためにパイロットフィッシュをいれて1ヶ月飼育する
- 水質を毎日チェックして、水質安定まで待つ
- 水質が安定したら完成です。
水槽の立ち上げ方でも詳しく紹介しています。
飼育に適している水温
ビーシュリンプに適している水温は22度〜28度です。繁殖を狙うときは少し低めの22度〜24度を維持してください。
高水温に弱く、水温が30度を超える夏には冷却ファンが必要です。低水温に強いですが、18度を下回ると危険です。冬は水槽用のヒーターを設置しましょう。
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適している水質
ビーシュリンプは熱帯魚以上に水質に敏感なので、水質がどういう指標で決まっているのかをきちんと把握して、それぞれが正しい数値にあるのかをチェックしていきましょう。
●ph
最も基本的な指標でビーシュリンプに適応したpHは6.0〜6.5の弱酸性になります。飼育には弱酸性の維持が必須で、そのためにビーシュリンプ専用のソイルを使う人が多いです。
どうしてもohが下がらない時はphマイナスの添加剤を使いますが、水質変化が大きいのでバケツで薄めてから水槽に入れてくださいね。
●総硬度
軟水か硬水かを調べる指標で、カルシウムイオンとマグネシウムイオンの合計量が高いほど硬水となります。稚エビは水中からこの硬度を吸収しており、成長が遅いときは硬度不足が考えられるので、ミネラル添加剤を使います。
適した硬度は軟水で、日本の水道水は軟水なのでカルキ抜きをすれば問題なく使用ができます。水道水以外の井戸水や飲料水などは硬水であることが多いので、使用しないように注意しましょう。
●アンモニア(NH3/NH4)、亜硝酸(NO2)
アンモニアは残り餌やフンなどによって発生し、水槽内に徐々に蓄積していきます。非常に有害な物質ですが、水槽に発生しているバクテリアによって、亜硝酸、硝酸塩へと分解されて、無毒なものに変わっていきます。
バクテリアは生き物を飼育している水槽に自然と繁殖していきます。立ち上げたばかりの水槽ではバクテリアの数が少ないので、最初は飼育数を少なめにして、徐々に飼育数を増やしていくことが大切です。ビーシュリンプが少しづつ死んでいく時は、毒性の低い亜硝酸が発生している可能性があるので、バクテリア不足を疑ってください。
事前にパイロットフィッシュを飼育しておくことでバクテリアを増やしてくこともできますよ。パイロットフィッシュについてはパイロットフィッシュとは?おすすめの魚や入れるタイミング、期間はどのくらい?で詳しく紹介しています。
レイアウトにおすすめの水草
ビーシュリンプの水槽レイアウトでは、ウィローモスを活着させた流木をいれておきます。
ウィローモスは新芽がビーシュリンプの餌になったり、稚エビの隠れ家にもなるので、とても使い勝手の良いおすすめの水草です。
石は水質をアルカリ性に傾けることがあるので、あまり入いれないでおきましょう。
水草は虫食いを避けるために薬浴されていることが多く、ビーシュリンプには猛毒ですので、信頼のおけるショップで購入した水草だけを入れるようにしてください。水草専用の肥料など水質にかかわるものをいれないでくださいね。
おすすめの餌
おすすめの餌はビーシュリンプ専用のえび玉ソフトテイストです。硬い餌だと食べるのを諦めてしまいますが、この餌は水を含むと膨らんで柔らかくなり、稚エビも食べやすく人気があります。
成体であれば赤虫や茹でたほうれん草を好んで食べてくれます。スーパーで売っているほうれん草は農薬がかかっている場合があるので、自宅で栽培してみましょう。
稚エビにはさらに小さいエビ専用の酵素が必要です。餌のバリエーションが多いほど、食いつきがよくなるので、栄養バランスを考えて与えてくださいね。
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おすすめの混泳相手
ビーシュリンプは温和な性格のため、小型熱帯魚と混泳を楽しむことができます。
おすすめの混泳相手は同じく温和な性格のネオンテトラ、メダカ、グッピー、小型no
プレコ、コリドラス、ミナミヌマエビなどです。別カラーのビーシュリンプ同士で混泳させるのも楽しいですよ。
混泳させると稚エビが確実に餌になってしまうので、繁殖ができなるため注意が必要です。
ビーシュリンプの繁殖方法
ビーシュリンプは飼育ができている環境であれば、5匹以上いれておくことで自然と繁殖をさせることができます。生後3ヶ月ほどで繁殖が可能になり、1回の産卵数は20個〜30個程度になります。
繁殖を促すためには一定の水温、水質を保つことが必須になります。日頃から定期的に水質をチェックしたり、水換えの時に水温の変化がおきないように注意してください。抱卵後も水質の管理は怠らずにしておけば、無事に孵化を迎えることができます。
子供の育て方!生存率をあげるコツは?
ビーシュリンプの稚エビの生存率を上げるためには3つのポイントを押さえておく必要があります。基本的には親エビを飼育できている環境であれば問題ありません。
●水温、水質管理
稚エビは環境の変化に弱く、少しの水温、水質の変化で死んでしまうことがあります。成体以上に注意してください。水換えの時には必ず新しい水の水温と水質をチェックして、大きな変化が起こらないようにします。
●餌
稚エビの死亡原因で最も多いのは餓死です。常に餌を食べられる状態をキープしないといけません。主食となる緑ゴケを入れられるだけ入れておき、人工飼料のえび玉ソフトテイストを与えてください。
●飼育環境
隠れ家となるウィローモスなどの水草や流木、石を多めに配置してあげましょう。フィルターでの吸い込み事故も多いので、底面式を設置して水流が強くならないように調整します。稚エビに気づかないこともあるので、レイアウト変更や掃除はやめておきましょう。
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レッドビーシュリンプの飼育方法|繁殖や寿命、水温は?