水槽の立ち上げは水をいれればいいというものではなく、きちんとコツを抑えておかないと、せっかく購入して来た魚が1週間もしないうちに死んでしまうことがあります。熱帯魚に限らず、金魚やメダカなど初心者向けと言われている魚を飼育する時にも知っておいてほしい内容です。
それでは水槽の立ち上げ方法を詳しく紹介していきますね。
水槽の立ち上げではバクテリアの存在が不可欠
立ち上げた水槽に魚をいれたときに、1週間もしないうちに魚が死んでしまうことがあります。原因の一つとして立ち上げたばかりの水槽にはバクテリアが十分におらず、急激に水質の悪化が進むからです。バクテリアの存在を知ることは、魚の生存率を上げるためにとても大切なことです。
バクテリアの役割とは?
魚を飼育しているとフンや餌の食べ残し、死骸などから魚にとって有害なアンモニアが発生します。
バクテリアには2種類いて、アンモニアを害の少ない亜硝酸に分解するバクテリアと亜硝酸を無害な硝酸塩に分解するバクテリアです。
この2つのバクテリアがいないと有害なアンモニアが水槽にたまり続けるので、あっという間に魚が生活できない環境になってしまいます。
ちなみに水草はバクテリアとは関わりが少ないので、いついれても問題ありません。
パイロットフィッシュを使ってバクテリアを増やす
バクテリアは魚のフンや餌の食べ残しを餌にして自然と増えていきます。なので、バクテリアを増やすためには実際に魚を飼育する必要があります。
バクテリアが繁殖する前の水槽は水質悪化が早いため、敏感な生き物だとすぐに死んでしまいます。そこで、大事な本命の魚を入れる前にパイロットフィッシュとしてネオンテトラやメダカなどの安価で丈夫な魚を実際に飼育することが多いです。
またバクテリアの繁殖には酸素が必要です。エアレーションを動かし、水槽全体に酸素が届くようにしてください。
水槽立ち上げの最初は水換えをこまめに行う
最初から本命の魚を入れるときは、水質悪化のスピードを抑えるために、3日に1回のペースで水換えを行います。
どちらにせよ最初は飼育数と餌の量を少なめにしてフンが溜まるのを防ぎつつ、水換えの頻度を増やすことで、新鮮な水を維持していく必要があります。
生体を投入するタイミングは立ち上げて何日後?
生体を投入できるタイミングは、バクテリアの数が十分になっている状態です。具体的には亜硝酸を計測して、0になっていることを確認してからです。
しかし、亜硝酸計測器は1,500円ほどするので、購入する人は少ないです。期間の目安としてパイロットフィッシュを飼育し初めてから1ヶ月が生体を投入していいタイミングとなります。
1ヶ月経過しても、多くの飼育数に対応できるほどバクテリアはいませんので、1週間に2〜3匹ずつ体の丈夫な魚から増やしていくのがベストです。
水槽の立ち上げに必要な器具
熱帯魚の飼育に必要となる基本的な器具を紹介します。水槽の立ち上げ前に準備しておきましょう。
生き物を入れるための水槽
熱帯魚の飼育では市販のアクリル水槽やガラス水槽を使います。
ガラス水槽は透明度が高くて傷がつきにくいので鑑賞に優れています。最近ではインテリア重視のフレーム無しタイプや球形の水槽が販売されています。
基本的には水量が多いほど水質の水温の変化が小さくなるので、魚への影響も小さくなります。可能な限り大きい水槽を選んでください。
メダカや金魚など日本の四季に適応した魚であれば、温度調整が難しいプラケースや金魚鉢でも飼育できますが、熱帯魚は水温の変化に敏感なので、専用のガラス水槽を用意してあげてくださいね。
一般的な水槽の大きさは30cm水槽、45cm水槽、60cm水槽、90cm水槽の4種類に分けられます。
水を綺麗にするろ過フィルター
ろ過フィルターは酸素の供給やゴミの除去、水の流れを作ることで淀みをなくす役割があります。
飼育数が多かったり水槽が大きい時には比例して大きなフィルターを用意してあげましょう。45cm以下なら外掛けフィルターか底面フィルター、90cm以下なら上部フィルター、それ以上ならオーバーフロー式がおすすめです。
飼育が簡単な熱帯魚であればこだわらなくてもいいですが、水質に敏感な熱帯魚だと水質維持のためにワンランク上のフィルターを選んだり、サブで追加することがあります。
水温を上げる水槽用のヒーター
熱帯魚は熱帯に生息している魚ですので、水温が22度を下回り始めたら水槽用のヒーターが必要になります。
飼育する熱帯魚によって設定温度の細かな調整が必要なため、汎用性が高い温度調整機能をもったヒーターがあると便利です。魚が火傷しないように安全カバーがついたものがあるといいですよ。
脱走防止の水槽の蓋
水槽の蓋は魚の飛び出しやホコリの侵入、水の蒸発を防ぐ役割があります。隙間なく蓋をできるように、ぴったりのものを選びましょう。
温度をチェックする水温計
水温計は水温を計測するために使います。
魚の体調が悪くなる大きな原因として水温と水質の変化があり、それを迅速に察知する必要があります。毎日欠かさずにチェックしましょう。
発色をよくする蛍光灯
蛍光灯は鑑賞用だけではなく、水草の成長や熱帯魚の発色をよくするためにも大切です。
1日8時間以上を目安に、決めた時間に点灯、消灯をすることで魚の体調をよくして、コケの発生を防ぐことができます。
水槽の立ち上げの手順
必要な道具が揃ってきたらいよいよ水槽の立ち上げです。詳しく手順を紹介していきます。
1.水槽の設置場所を決める
水槽の置き場所を決めるときは、電源が近くにあるか、水槽の重さに耐えられるか、水道が近くにあるか、土台は安定しているかが大切になります。
特に水を入れた水槽はそれなりの重量になります。30cm水槽で重さ25kg、45cm水槽で重さ40kg、60cm水槽で重さ60kg、90cm水槽で重さ200kg程度になります。水槽を置く台や床の耐荷重は事前に確認しておきましょう。
2.水槽をセットする
水槽を簡単に水洗いして、タオルで拭き、水槽台の上に置きます。
3.底砂をひいて、石や流木をおく
砂にはゴミが入っていることが多いため、一度バケツにいれて水道水でゴミが出なくなるまで洗い流します。その後水槽に底砂を入れます。砂の量は2〜4cmが目安です。
4.ろ過フィルターをセットする
フィルターにバクテリア繁殖用のろ材をいれて水槽に取り付けます。この時に水槽の隅においたり、電源コードをすっきりさせておくことで見た目も綺麗になります。
5.水を入れる
カルキ抜き剤で水道水のカルキを抜いて、レイアウトを崩さないように水槽にゆっくりといれていきます。水を入れ終えたらヒーターを設置しましょう。
カルキの抜き方で詳しく紹介しています。
6.器具の電源を入れる
ろ過フィルター、蛍光灯、ヒーターを稼働させます。この時に濾過フィルターから水漏れしていないか確認してください。ヒーターは空気中で電源を入れると発火する危険性があるため、必ず水につけてから電源を入れてくださいね。
7.空回しをして濁りが取れるまで待つ
最初は水草や砂、フィルターに含まれているゴミが水中をまっており、水が白く濁ります。
24時間ほどフィルターを空回しておけば落ち着いて透明な水に変わっていきますので、放置しておきましょう。早く綺麗にしたいときは、フィルターのスポンジを細かいものに交換するか、水を半分ほど変えてください。水はゆっくり入れてくださいね。
綺麗になった後に砂を掘り返すとまたゴミが舞って白く濁るので注意しましょう。
8.水槽に魚を入れる
水の濁りが取れたら魚を入れることができます。最初は2〜3匹程度におさえて、徐々に飼育数を増やしていきます。
水槽の立ち上げを早くする方法
バクテリア剤を使う
生きているバクテリアが含まれている添加剤を使うことで、早くバクテリアを繁殖させることができます。立ち上げたばかりの水槽や水換え後、掃除後などに使うといいですよ。
商品情報と価格をチェック
他の水槽にある水や飼育材を使う
すでに魚を飼育している水槽の飼育水やろ材、底砂には多くのバクテリアが繁殖しているため、そこからもってくるのも効果的です。
水槽の掃除をしっかりするとろ材や底砂に付着したバクテリアが流されて減ってしまいます。古い飼育水を残しておいたり、ろ材や底砂は軽い水洗いにとどめておくといいですよ。
水槽の立ち上げについてまとめ
私も最初は購入してきた熱帯魚が次々に死んでしまうということを経験しており、知識不足で申し訳ないことをしてしまったと反省しています。
原因がバクテリアの数が不足しているということを知ってから、最初の導入で死んでしまうことはほとんどなくなりました。魚をすぐに飼育したい!という気持ちをぐっと抑えて、いい環境を作るためにしっかりと準備してあげてくださいね。
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