魚など水中の生き物の飼育には水が必須になりますが、もっとも身近にある水道水にはカルキという塩素が含まれており、そのまま使用すると魚に大きな害を与えてしまいます。
今回はそんなカルキについて、カルキを抜かないといけない理由や抜く方法を詳しく紹介していきます。
カルキ(塩素)とは?
カルキとは正式名称を次亜塩素酸カルシウムといい、塩素を含んでいる石灰のことです。カルキはウイルスや細菌を殺菌する力が強く、水に混ぜることで無害なものへ変える力を持っています。
特に日本では水に塩素を含ませることが水道法で決められており、そのおかげでどこでも安心して水道水を使うことができます。海外の水を飲むとお腹を壊す理由はカルキが含まれていないからです。
観賞魚の飼育水にカルキ抜きをしないといけない理由
日本の水道水には100%カルキが入っています。このカルキが厄介で、水道水に含まれているカルキはわずかなので、人間には影響がありませんが、エラ呼吸を行うメダカや金魚、エビなどの生き物には猛毒で、呼吸器を破壊して、呼吸困難にしてしまいます。
カルキが含まれている水道水を使うと、短時間でほぼ確実に死んでしまいますので、そのまま飼育水として使用することはできないんですね。
カルキが抜ける仕組み
カルキが抜ける仕組みには大きく分けて2種類あります。
1つめはカルキは蒸発しやすい物質なので、酸素と触れることでどんどん水中から空気中へ気化していきます。2つめはカルキと化学反応をする物質を加えることで無害な物質へと変えてしまう方法です。
それではカルキを抜く方法をおすすめ順で紹介していきますね。
カルキを抜く方法
水道水のカルキを抜く方法を、使いやすい順で6つ紹介します。
汲み置きでカルキを抜く
カルキ抜きで最も使われる方法が汲み置きです。カルキは蒸発しやすいので、太陽の直射日光を6時間以上当てておくことで除去することができます。
水道水と空気の接地面の広さが大切なので、ペットボトルなどの細いものではなく、バケツなどの方が効果的です。
紫外線が多い夏だと最短で2時間、紫外線の少ない冬だと1日〜2日ほど汲み置きすればいいですよ。エアレーションをすることでさらに時間を短くすることができます。
中和剤でカルキを抜く
水道水のカルキ抜きでもっともおすすめする方法が液体のカルキ抜き剤を使うことです。なんといってもカルキが抜けるまでの時間が短く、液体を混ぜるだけで、確実に塩素を除去し、すぐに飼育水として使うことができるようになります。
製品はテトラ社のコントラコロラインが有名で、塩素を分解するチオ硫酸ナトリウムが主成分です。値段は1000mlが1500円前後で販売されています。規定量は水道水10リットルに対して2mlですので、5000リットル分ありますよ。
入れすぎると軽い中毒症状を引き起こすことがありますが、相当な量をいれないと影響はありません。
主成分は空気で蒸発するものではないので、使用期限はありませんが、メーカーサイトでは1年以内に利用してくださいと案内されています。
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ハイポ(固形物)でカルキを抜く
粒状のカルキ抜き製品としてハイポ(チオ硫酸ナトリウムを結晶化したもの)があり、こちらでもカルキを除去することができます。
1粒で水道水20リットル分のカルキを抜くことができます。ハイポ自体は魚に害がないので、2リットルの水道水に1粒いれても問題ありませんが、気になるときは20リットルに1粒入れて、残った水は捨ててしまいましょう。
値段は50粒を100円前後で販売されています。ホームセンターやネット通販で探すといいですよ。
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100均やダイソーにあるカルキ抜き
ダイソーなどの100円均一にも粒状のカルキ抜きが販売されています。こんなに安くて大丈夫なの?と心配になりますが、問題なくカルキを抜くことができます。
ただし、先に紹介したハイポのカルキ抜きよりも割高であり、おすすめはできません。
沸騰させてカルキを抜く
水道水を沸騰させるとカルキが有毒なトリハロメタンに変化し、さらに沸騰させることでトリハロメタンが気化して蒸発します。
沸騰し始めてから30分ほど沸騰状態を維持することで飼育水に使うことができますよ。
沸騰の時間が短いと、有害なトリハロメタンが残ったままになるので、リスクがあり、おすすめできる方法ではありません。お湯を冷ますのも結構な手間になってしまいます。
レモンの汁でカルキが抜ける?
レモンに多く含まれているビタミンCはカルキと化学反応を起こして、別の無害な物質(酸化ビタミンCと水と塩)に変えてしまうので、カルキ抜きに使うことができます。水道水20リットルに対して、1ccほど準備すればいいですよ。
カルキ抜きについてまとめ
今回は水道水のカルキの抜き方について紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
水換えの1日前には水道水をバケツに入れて日光に当てておけば、カルキは抜けますので、忘れずに汲み置きをしておけば大丈夫です。心配な方は中和剤を使うとすぐに用意できますし、確実です。
水量やベランダの広さなど、ご自身の環境に合わせてカルキの抜き方を決めましょう。
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