タツノオトシゴはドラゴンのような見た目がかわいらしく、水族館でよく見る生き物ですが、一般家庭でも飼育することができる魚です。そう、こんな見た目ですが魚なのです。
今回はそんなタツノオトシゴの生態や特徴、設備、おすすめの餌、寿命、水流の強さなど飼育方法について紹介していきます。
タツノオトシゴの生態と特徴
タツノオトシゴはトゲウオ目ヨウジウオ科に分類される生き物です。れっきとした魚の仲間です。エラ呼吸、小さい胸びれ、小さい尾びれ、尻びれは退化して長い尻尾に、鎧のような固いウロコで覆われています。
タツノオトシゴの見た目は竜に、顔つきは馬に似ています。「竜の落とし子」という書き方をしたり、漢字では「海馬」、英語ではシーホース(海の馬)と書かれています。
インド洋から太平洋の広大な海域に幅広く生息しており、海藻やサンゴに尻尾を巻き付けて、海藻に擬態しながらゆらゆらと揺れています。
完全な肉食性で小型のエビや小魚を吸い込むように丸呑みします。泳ぐのが苦手なので、待ちのスタイルで、目の前に餌が流れてくるまでじっとしています。届きそうで届かないときは、掴まっている枝から離れて必死に泳ぎ始める姿がかわいいです。
寿命の長さ
タツノオトシゴの寿命は平均して2年~3年です。
体の大きさ
タツノオトシゴの大きさは種類にもよりますが、観賞魚として普及している種類だと8cm~15cmほどの大きさになります。
タツノオトシゴの繁殖方法
タツノオトシゴは恋愛成就のシンボルとして知られており、求愛のために3日ほどダンスを踊ったオスとメスのペアは一生を添い遂げます。
メスはオスの腹部にある袋(カンガルーのような子育て用袋)に産卵を行い、オスが出産をして稚魚を育てます。メスがオスの袋に卵を産み付けているとき、体を寄せ合うので姿勢がハートに見えるのも有名です。
出産数が非常に多く、一回の産卵で500匹~2000匹の子供を生みます。オスは子育てをするわけではなく、20日ほどで孵化をして、稚魚は元気に海に飛び出します。
飼育下でも繁殖は難しくなく、オスとメスで飼育していれば、自然とペアが出来て繁殖してくれますよ。
タツノオトシゴの飼育に必要な水槽と設備
タツノオトシゴを飼育するために必要な物について紹介していきます。初期費用では5万円ほど必要になります。
水槽の選び方
タツノオトシゴは小型の海水魚なので、横幅が30cmもあれば十分飼育することができます。体高があるため、30cm(横幅)×30cm(奥行き)×40cm(高さ)など、高さのある水槽を選ぶと見た目にも綺麗です。
ただ、30cm水槽は水量が少なく、水温や水質の変化が激しいので、可能であれ横幅で60cmの水槽を用意することをおすすめします。
ろ過フィルターの選び方
ろ過フィルターは水槽の大きさに合った物を選びましょう。45cm水槽以下なら外掛け式フィルター、60cm水槽なら上部式フィルターになります。
強い水流は苦手なので、休憩場所に水の吐き出し口が向かないように注意してくださいね。
おすすめの外掛けフィルターやおすすめの上部フィルターで紹介しているので、ご参考ください。
ライトは海水をイメージした色合いを
ライトは海水をイメージした薄い青色のLEDライトがおすすめです。こちらのライトはゼンスイのホームページで光の色合いや組み合わせについて紹介されています。
商品情報と価格をチェック
点灯時間は8時間を守り、コケを発生させないようにしておきましょう。タイマーを使うと便利です。
商品情報と価格をチェック
必要な底砂の量
底砂はなくても問題ありませんが、見た目にも綺麗ですし、タツノオトシゴも落ち着いてくれるので、海水魚用の底砂を敷いておくといいですよ。
30cm×30cmのキューブ水槽だと、2kgあれば厚さで3cmほど敷くことが出来ますよ。それぞれの水槽に必要な砂の量は30cm水槽や45cm水槽、60cm水槽で詳しく紹介しています。
商品情報と価格をチェック
止まり木は必須です
タツノオトシゴは止まり木に掴まって休憩をするため、止まり木が必須です。死んだヤギ(サンゴ)やサンゴの細い枝、海藻、人工水草などをいれておきましょう。
海水を作る人工海水の素と比重計
人工海水の素と比重計は海水を作るために使用します。
バケツにカルキを抜いた水を張り、比重計で1.023になるように海水の素をいれて塩分量を調整していきます。
人工海水の作り方で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
タツノオトシゴの飼育方法
タツノオトシゴは水温や水質の変化に強いですが、最初は動いている餌にしか反応しないため、餌やりが大変です。
冷凍餌に慣すことで飼育はとても簡単になりますので、最初から餌付いている個体を購入することがとても大切です。
値段と販売場所
タツノオトシゴの生体の値段は3,000円~15,000円と円と幅広い価格帯で販売されています。
ペットショップで売られていることは少ないため、海水魚専門店やネット通販で探すといいですよ。
適している水温
タツノオトシゴに適している水温は23度~26度です。
冬は水中用のヒーターを入れて、25度前後を保ちます。おすすめの水槽用のヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
夏は水温を下げるための冷却ファンが必要です。高温に弱いので、夏は特に注意してください。
商品情報と価格をチェック
おすすめの餌と与え方
タツノオトシゴは動いている物に反応するため、人工飼料を食べることはなく、活き餌か冷凍餌を与える必要があります。
生き餌ではイサザアミというエビがメインの餌になります。しかし、イサザアミは1匹あたり30円~50円と餌にしては高価で、水温は15度を維持しなければいけないので、飼育がとても大変です。
稚魚餌で有名なブラインシュリンプの卵を孵化させるのもいいですが、体が小さいのでたくさん食べさせる必要があります。
そのため、飼育下では冷凍餌で飼育するのがおすすめです。
冷凍餌だと冷凍のホワイトシュリンプがメインになります。個体によっては食べてくれないので、最初から餌付いている個体を購入するようにしておきましょう。
泳ぐのが苦手なので、餌を与えるときはスポイトで目の前に餌を落としてあげてくださいね。結構時間がかかるので、余裕を持って与え始めます。
餌の頻度は1日2回、しっかりと与えてくださいね。餌不足にもまあまあ強く、4日程度なら絶食していても大丈夫です。
冷凍餌を食べてくれなかったとき用に、グッピーやアカヒレなど繁殖が簡単な熱帯魚の稚魚を増やしておくのも効果的ですよ。
商品情報と価格をチェック
混泳に向いている?
タツノオトシゴは大人しい性格で混泳相手を襲うことはほとんどありませんが、じっとしているため、襲われることがよくあります。また、餌取りも下手なので、餌不足になる可能性も高いです。
基本的にはタツノオトシゴ同士の混泳がおすすめですが、キイロサンゴハゼやスクーターブレニーなど臆病で小型の海水魚との混泳ならうまくいきやすいですよ。
タツノオトシゴについてまとめ
今回はタツノオトシゴについて紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
ドラゴンを思わせる見た目をしていますが、れっきとした魚で、繁殖させやすく、子育てをする姿も観察することが出来ます。
飼育に関しては水質や水温の変化にも適応してくれますが、餌が活き餌か冷凍餌しか食べてくれないので、慣れないうちは準備をするのがなかなか大変です。
それでも飼育自体は難しいことはありませんので、興味を持たれた方はぜひ飼育に挑戦してみてくださいね。