淡水魚とは異なり、海水魚の飼育水には塩を混ぜる工程があり、手間なんじゃないの?というイメージが強い方が多いかと思います。
海水魚に飼育が気難しい種類が多いことは事実ですが、海水を作ることに手間はほとんどありません。
今回はそんな海水の作り方や比重の計算方法、必要なものなど詳しく紹介していきます。
海水とは?
自然界の海水には塩分だけではなく鉄分を多く含んでおり、海水に生息している生き物は水中に塩分と鉄分の両方が必要です。一般的な海水の塩分濃度は3.5%程度です。これは水が500mlだと塩の量は1.75g、1Lだと3.5gほど含まれていることになります。
海水魚の飼育では天然海水と人工海水のどちらがいい?
海水には自然の海でとれる天然海水と自分で作る人工海水があります。
天然海水は自然のきれいな海があれば海水魚にも問題ありませんが、日本の海岸付近では汚れていることがほとんどなので、人工海水を用意するのがおすすめです。
きれいな場所で汲んできた海水なら、プロテインスキマーでゴミを除去してから使います。プロテインスキマーとは空気の力を使って、物理的にゴミを分離させるろ過フィルターです。海水は粘性の物質が多いので、飼育水槽でもこのプロテインスキマーをフィルターとして使って水をきれいにする方法がとられます。
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海水を作るために必要なもの
必要なもの
- 人工海水の素
- 比重計
- 計量カップ
- 水温計とヒーター
- バケツ
- エアレーション
- カルキ抜き
人工海水の素
海水魚用の人工海水の素には、海水魚の成長に必要なミネラルやカルシウムなどの成分を含んでいるため、必ず専用のものを購入してください。
各メーカーより販売されており、カルキ抜き不要、塩が溶けやすい、phを下げない、コスパを追及などさまざまありますので、お好みで選ぶといいですよ。
作れる海水の量はパッケージに記載されており、25L,50L,100L,200Lの単位で販売されています。必要な水量の計算方法は、幅(cm)×奥行き(cm)×高さ(cm)/1000で求めることができますよ。
規格水槽の大きさと水量をまとめておきますので、水替えの頻度を考えながら、購入するサイズの参考にしてください。※水面3cmほど余裕を持たせています。
30cm水槽 | 幅30cm×奥行18cm×高さ24cm | 水量12L |
---|---|---|
45cm水槽 | 幅45cm×奥行24cm×高さ30cm | 水量30L |
60cm水槽 | 幅60cm×奥行30cm×高さ36cm | 水量60L |
90cm水槽 | 幅90cm×奥行45cm×高さ45cm | 水量170L |
120cm水槽 | 幅120cm×奥行45cm×高さ45cm | 水量227L |
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比重計
海水魚に適している塩分濃度に合わせるために重要な比重を計測することができます。
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計量カップ
水に人工海水の素を入れるとき、グラム数を測るために使います。調理で使用するデジタルのキッチンスケール(計量器)でも問題ありません。
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水温計とヒーター
海水魚に適している水温に合わせるために使います。
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バケツ
海水を作るための容器が必要になります。バケツのように円形になっているとかき混ぜやすいです。
エアレーション
塩を完全に攪拌するために使います。手でも混ぜることができますが、溶け切らないときにはエアレーションで時間をかける必要があります。
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カルキ抜き
水道水に含まれている塩素(カルキ)を抜くために使います。商品によっては人工海水の素にカルキを抜く効果があるため、必須ではありません。
しかし、飼育水が蒸発した時の足し水が必要になるときもあるので、用意しておくことをおすすめします。
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海水の作り方
それでは、人工海水の作り方について紹介していきます。
カルキを抜いた水に、人工海水の素を入れ、適切な比重に合わせていくだけですので、難しいことはありません。
順番
- 水道水のカルキを抜く
- 水温を調整する
- 人工海水の素をいれる
- 水をしっかりと混ぜる
- 比重計で確認する
水道水のカルキを抜く
最初に水道水に含まれている塩素(カルキ)を無くします。
カルキを抜く方法は2つあり、1日中日光に当てておくか、専用のカルキ抜き剤を使うことです。水替えをする頻度は多いため、カルキ抜きを用意しておいたほうが楽ですよ。
カルキ抜きの方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
水温を調整する
次に水温計とヒーターを使いながら、飼育している海水魚に適している水温(24度~27度)に近づけます。
水温が低いと人工海水の素が溶けにくく、水温が上下することで比重も変わってしまうので、最初に合わせておく必要があります。
おすすめの水槽用のヒーターで紹介しているので、使用する水量に合わせてお選びください。
人工海水の素をいれる
海水の比重である1.023~1.025を目指し、人工海水の素を使い、しっかりとかき混ぜながら、比重計でこまめに計測しましょう。
比重は水10リットルに対して人工海水の素は380gほど使います。この割合はメーカーによって異なってくるので、使用している製品の必要量をチェックしてください。
魚を購入する予定のショップで設定している比重を確認しておき、塩分濃度差を減らしておけると魚の負担が少なくなります。
水をしっかりと混ぜる
人工海水の素が完全に溶けるまで、しっかりとかき混ぜてください。
バケツであれば手でかき混ぜればいいですが、水量が多い時はろ過フィルターで攪拌させます。1時間ほどかかるので、余裕をもって準備してください。
比重計で確認する
水の濁りが取れたら比重計を使って、計測を行います。比重計の使い方は簡単で、比重計に作った海水を入れることですぐに測れますよ。
海水の比重である1.023~1.025を目指しましょう。比重が低い時は人工海水の素を追加し、高い時は水道水を追加して、改めて攪拌してください。
海水の作り方まとめ
今回は海水魚の飼育に大切な海水の作り方について紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
淡水魚と比べても海水を作るのはそれほどの手間ではないので、海水魚の飼育も気軽に始めることができると思います。
しかし、比重にチェックをおろそかにすると、死んでしまうことがあるため、慎重に行なってくださいね。