アフリアンシクリッドは海水魚を思わせる強い発色と、水槽を広々と泳ぎ回る遊泳力で、飽きることがありません。特に群泳させた時の泳ぎは見事で、ぜひ大きな水槽で飼育してあげたいものです。しかし、通常の熱帯魚と違って海水に近い環境を好むので、飼育にはコツが必要です。
今回はそんなアフリカンシクリッドの人気種や混泳相性、体の大きさ、寿命、水草や底砂のレイアウト、繁殖など飼育方法を詳しく紹介していきます。
アフリカンシクリッドってどんな熱帯魚なの?
アフリカには多くの湖が点在しており、そのなかでもマウライ湖、ヴィクトリア湖、タンガニイカ湖に生息するシクリッドをアフリカンシクリッドと呼んでいます。マウライ湖は長さが600kmもある巨大な湖で、多くの生き物が独自の成長を遂げてきました。透明度が高く、平均水温25度、pH7.8〜8.5の弱アルカリ性を維持しています。
体色のバリエーションが豊富なだけでなく、卵を口にくわえて繁殖をする種類がいたりと、生活スタイルも様々で、いろんな姿で楽しませてくれます。
アフリカンシクリッドの種類
スキアエノクロミス・フライエリィ(アーリー)
分布 | マラウイ湖 |
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体長 | 16cm |
寿命 | 3年〜5年 |
販売価格 | 500円〜1,000円 |
マラウイ湖のシクリッドの中で最も人気がある種類です。販売量はすくなく、めったに見ることがありません。口下が広がっている独特な顔つきと、細い体形、深みにあるメタリックブルーは一度見ると忘れらない体色です。
ドイツやオランダ、東南アジアで養殖された個体が輸入されてきますが、雑種であることが多いため、純粋な個体が欲しい時は、ヨーロッパ産の個体を購入することをおすすめします。
アウロノカラ・マレリーゴールド
分布 | マラウイ湖 |
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体長 | 12cm |
寿命 | 3年〜5年 |
販売価格 | 500円〜1,000円 |
アウロノカラ・マレリーゴールドは全身が黄色で、薄い横縞のある小型種です。繁殖期になるとオスは攻撃的になるため、なるべく大きな水槽で混泳させましょう。
ニムボクロミス・フスコタエニアートゥス
分布 | マウライ湖 |
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体長 | 25cm |
寿命 | 5年〜10年 |
販売価格 | 1,000円〜3,000円 |
水草が多い場所に生息している大型のシクリッドです。全身がメタリックブルーに発色してヒレ先はオレンジ色と繊細な美しさをもっています。見た目とは裏腹に性格は荒く、同種の魚を激しく攻撃します。単独でじっくりと飼育してあげたい熱帯魚です。
ゴールデンゼブラ・シクリッド
分布 | マラウイ湖 |
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体長 | 10cm |
寿命 | 3年〜5年 |
販売価格 | 200円〜500円 |
藻を主食にした植物食性が強い、シクリッドの小型種です。ムブナと呼ばれるシクリッドの種類で約50種いるなかで最もポピュラーな品種です。
オスは全身が黄色に覆われていますが、メスは薄い青色をベースに黒の縞がはいっており、同種には見えません。小柄な見た目とは裏腹に気性が荒く、単独飼育か5匹以上の群泳が望ましいです。
アフリカンシクリッドの飼育に必要なもの
水槽の大きさ
アフリカンシクリッドは5匹以上の群れで飼育することが多く、遊泳力があるため、大きめの水槽が必要です。体長が15cm以下の小型種なら60cm水槽、それ以上なら90cm水槽を用意してください。
大型種なら120cmの水槽を用意して、すらっとした体形を維持できると理想的です。
水槽内を泳ぎ回るので、体長10cmほどの小型種でも30cm水槽などの小型水槽で飼育することはできません。
ろ過フィルターの選び方
アフリカンシクリッドのフィルターは上部フィルターがおすすめです。
アフリカンシクリッドはたくさんの餌を食べ、たくさんのフンをするので、掃除の回数が重要になってきます。上部フィルターはフンなどをろ過する物理ろ過に優れており、ろ過部分が上部にあるため掃除が簡単です。ろ材にはサンゴ砂をいれることで、水質を弱アルカリ性を保つこともできます。
おすすめの上部フィルターでメリットや選び方についてはで紹介しているので、ご参考ください。
水槽用のライト
アフリカンシクリッドの蛍光灯は水槽の大きさに合わせた幅を選びます。派手な体色の種類だと、光量が強いほど発色が良くなる傾向があります。
ライトの点灯時間は1日8時間を目安にし、電源を入れる時間と消す時間は決めておきましょう。
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水槽用のヒーター
アフリカンシクリッドは冬の低水温に弱いため、20度を下回りだしたら水槽用のヒーターを用意してください。
水槽の大きさ別に必要なヒーターのワット数は以下の通りです。
60cm水槽 | 150W |
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75cm水槽 | 200W |
90cm水槽 | 300W |
他にもヒーターの電気代や設置位置などについてはおすすめの水槽用ヒーターで詳しく紹介しているので、ご参考ください。
底砂はサンゴ砂を使う
アフリカンシクリッドの底砂は海水魚に使うサンゴ砂がおすすめです。
サンゴ砂はアフリカンシクリッドが好んでいる弱アルカリ性の水質に保つことができるからです。どうしてもサンゴ砂が嫌な場合は、人工海水を規定量の1/5に薄めて使うことで弱アルカリ性を維持できるので、その場合は他の底砂を使えます。
底砂を掘り返す習性があるため、体が傷つかないように、粒が丸いものを選んでください。
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アフリカンシクリッドの飼育方法
購入場所
アフリカンシクリッドはホームセンターでは見かけることが少ないので、熱帯魚専門店で探しましょう。ネット通販で探すと珍しい種類を見つけることができるのでおすすめです。
だいたい3cm〜5cmサイズの個体が販売されていますよ。
ネイチャークラブ | 東京都板橋区桜川2-21-11 |
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アクアショップイブ | 埼玉県越谷市増林2-537-3 |
キャッスル castle | 東京都大田区蒲田1-3-1 |
ネット通販 | charm(チャーム) |
レイアウトは石組みがメイン
アフリカンシクリッドの水槽レイアウトは石組みと砂で行うことが多いです。
水質が弱アルカリ性で、アフリカンシクリッドが水草を食べることがあるので、水草の飼育には適していないからです。しかし、アヌビアスナナなどの丈夫で葉が硬い水草ならうまくいくこともあります。
レイアウトでは大きな石を多用することで、マウライ湖の環境に近づけることが多いです。アフリカンシクリッドが掘り起こすことがあるので、石が崩れないように、底に石を置いて、隙間は発泡スチロールで固定しましょう。
適している水温
アフリカンシクリッドに適している水温は22度~26度と、比較的低い水温を好んでいます。日本は冬になると気温が0度近くになるため、無加温での飼育は出来ません。
冬は水槽用のヒーターを使えば、適温にするのは簡単ですが、夏に温度を下げるのは大変です。夏は水槽用の冷却ファンを使うか、エアレーションを多めにして、水温を下げてあげましょう。
おすすめの餌
アフリカンシクリッドにおすすめの餌はシクリッド用の人工餌です。「テトラシクリッド」は栄養バランスがよく、餌を準備する手間もないで、積極的に与えていきましょう。
好き嫌いは少なく、生き餌から人工飼料までなんでもよく食べてくれます。いつくかの餌を用意して、飽きないようにバリエーションを組んであげましょう。
稚魚の時や、繁殖を狙いたい時は、食いつきが良い冷凍赤虫を使います。どんどん食べさせて栄養をつけてあげましょう。
餌を食べない時は、体調が悪い可能性が高いです。水質が弱アルカリ性になっているのか、水質悪化していないかチェックしてあげてください。水換えの頻度を増やすことで元気になってくれることがありますよ。
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繁殖の方法
アフリカンシクリッドの繁殖は難しくありません。稚魚の時からしっかりと餌をしっかりと与えて、大きく成長させましょう。
同種を5匹以上で群泳させていると自然とペアができますよ。別種と混泳していると雑種が生まれることがあるので、発色が強くなる産卵期には同種だけの混泳に切り替えていきましょう。
ペアができるとオスは砂を掘り起こして、産卵場所を作り始めます。メスはそこに20個〜60個の卵をうえつけて、オスが上から精子をかけます。卵が受精するとメスがすぐに口にくわえて、稚魚が孵化するまでの3週間、メスは何も食べずに卵の世話をし続けます。
稚魚は大きいので最初から冷凍赤虫を食べることができます。
病気と治療方法
アフリカンシクリッドは弱アルカリ性を好むので、多くの寄生虫が生きていける環境ではなく、体も丈夫なので病気にかかることはあまりありません。しかし、長い間水換えをしていないと弱ってしまうので注意が必要です。
かかりやすい病気はエロモナス病です。エロモナスは目が飛び出すポップアイやウロコが逆立つ松かさ病、ヒレが溶けてくる穴あき病などを引き起こす病気です。
水質の悪化が原因で、水換えを怠った時にかかりやすくなります。症状を確認したらすぐに全ての水を交換して水槽を掃除しましょう。感染した個体は別の水槽に移動させてエルバージュで1週間ほど薬浴してあげてくださいね。
アフリカンシクリッドの混泳方法
アフリカンシクリッドは混泳に向いておらず、単独飼育が基本です。
もともと気性が荒い魚ですが、特に繁殖期は縄張り争いが激しくなります。さらに弱アルカリ性を好むので、それに適応できる魚が多くありません。
ただ、水槽のコケ掃除役として、生活スペースの異なり、体が丈夫なセルフィンプレコと混泳させることはあります。
同種混泳の注意点
アフリカンシクリッドは飼育数が3匹以下の時には上下関係ができやすく、一方的に攻撃して弱らせてしまいます。
縄張りを作らないように広い水槽で同種5匹以上で群泳させましょう。飼育数を増やすと水質の悪化が早くなるので、ワンサイズ上のフィルターを使うか水換えの頻度を増やす必要があります。
他にも隠れ家になる石組みを多めにしてあげてくださいね。
アフリカンシクリッドについてまとめ
今回はアフリカンシクリッドについて紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
アフリカンシクリッドはカラフルな体色が美しく、海水魚のような派手な水槽を楽しむことができます。また遊泳力があるので、鑑賞していて楽しいです。
水質は弱アルカリ性を好んでいるため、通常の熱帯魚水槽と異なっており、レイアウトには注意しておきましょう。
非常に多くの種類がいますので、専門店で多くの種類を見て、お気に入りの1匹が見つかるといいですね。
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