エメラルドツリーボアは体色が美しくて高い観賞価値をもつにも関わらず、神経質な性格や噛みついてくる凶暴性、餌付けの難しさからペットとして人気はそこまで高くないヘビです。
今回はそんなエメラルドツリーボアの生態や特徴、毒性、適している温度と湿度など飼育方法について詳しく紹介していきます。
エメラルドツリーボアの特徴と生態
エメラルドツリーボアはボア科ツリーボア属に分類されるヘビの仲間です。南米を中心に幅広く分布しており、湿度が高い森林地帯を好んでいます。
名前の通り、光沢があるエメラルドグリーンの体色をしていますが、成長するにつれてくすんでくることが多いです。
ツリーボアとは樹の上で生活しているボア科のヘビのことをさします。この種類は地上に降りることはなく、ほとんどの時間を木の上で過ごしています。夜行性で昼間はほとんど動かず、夜でも待ちの体勢で近寄ってきた鳥や小動物を素早く捕食します。
爬虫類の中でも随一の鋭くて長い牙をもっています。2cm以上の鋭い歯がびっしりと並んでおり、人間でも噛まれると出血を避けられません。毒性はありませんが、この歯でしっかりと餌を捕まえて、確実に弱らせて逃がしません。
体の大きさ
エメラルドツリーボアの体の大きさは平均で180cm、最大だと200cmまで成長します。類似種にアマゾンベースエメラルドツリーボアという種類がおり、こちらは2.5mを超えてきます。
寿命の長さ
エメラルドツリーボアの寿命は平均で10年です。飼育下では短命になりやすく、8年ほどになることが多いです。
エメラルドツリーボアとグリーンパイソンの違い
※画像はグリーンパイソンです。
エメラルドツリーボアと見た目がそっくりな種類にグリーンパイソンがいます。この2種類には3つの違いがあります。
1つめは生息地の違いです。グリーンパイソンはインドネシアやオーストラリアなどの東南アジア付近に生息していますが、エメラルドツリーボアは南米に生息しています。
2つ目はピット器官の数です。ピット器官とは生体の熱を感知するためのセンサーで小動物を捕食するときに使います。エメラルドツリーボアは上あごから下あごまでずらっとピット器官が並んでいますが、グリーンパイソンはピット器官が下あごはあるものの、上あごには鼻先にしかピット器官がありません。
最後に繁殖方法が異なります。エメラルドツリーボアなどのボア科の生き物は子供を直接生みますが、グリーンパイソンなどのニシキヘビ科の生き物は卵を産みます。ボア科だと大蛇のアナコンダが有名ですが、こちらも卵胎生で直接子供を産みます。
なお、グリーンパイソンほど人気のヘビではないので、モルフの品種改良もされておらず、基本種のエメラルドグリーン1色になります。
グリーンパイソンの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
エメラルドツリーボアの飼育環境
エメラルドツリーボアは木の上で生活するため、飼育環境には止まり木をいれるなど少しだけ工夫が必要です。初期費用では5万円ほどみておくといいですよ。
ケージの大きさと選び方
エメラルドツリーボアは木の上で生活しているため、高さのあるケージを用意します。じっとしていることが多いので、大きなケージは必要ありません。
ケージの大きさの目安は横幅と奥行きがとぐろを巻いた時の直径の2倍、高さが3倍あれば大丈夫です。ケージは45cm(横幅)×45cm(奥行き)×60cm(高さ)があれば最後まで飼育することができます。動き出すとすこし窮屈に感じるため、ワンサイズ上もおすすめです。
おすすめの爬虫類用ケージで紹介しているので、ご参考ください。
ライトは観賞用に
エメラルドツリーボアは夜行性のため、日光浴をすることがなく、バスキング用の照明や紫外線を含んだUVライトは必要ありません。
しかし、光を浴びせないと体色がくすんでしまうので、観賞のためにも蛍光灯を入れておくといいですよ。
床材の選び方
床材は保湿性が高いヤシガラマットやウッドチップがおすすめです。フンをしたらこまめに取り換えるようにしてください。レイアウトにこだわらなければ、ペット用のトイレシートを使うことで、掃除が簡単になります。
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水容器
エメラルドツリーボアにとって水容器とは飲み水としてだけではなく、高い湿度を保つためにも重要になります。水浴びも行うので、深さのある虫かごなどを使うと便利です。
樹の上で生活している爬虫類は止まっている水を水と認識することが苦手のため、エアレーションで水を動かすことで、キラキラと光らせる必要があります。
水の中で糞をするため、毎日新鮮な水に交換してくださいね。
レイアウトには止まり木が必要
エメラルドツリーボアのレイアウトには必ず地面に平行にした止まり木をいれておきます。
高いところに上るのが好きなので、地面から1/3のところに1本、さらにそこから1/3のところに1本いれておくといいですよ。
止まり木はケージの横幅に合わせた木の棒を用意して、針金で上から吊り下げます。そして木の棒とガラスの壁面にゴムシートなどの詰め物をすることでしっかりと固定すれば大丈夫です。生体が大きくなると安定しなくなるので、最終的にはシリコン接着剤で固定しないといけません。
エメラルドツリーボアの飼育方法
エメラルドツリーボアは餌付けが悪かったり、多湿な環境を再現する手間があるため、中級者向けの爬虫類です。鋭い牙で取り扱いに注意が必要なので、安易に飼育を始めることはやめておきましょう。
値段と販売場所
エメラルドツリーボアの値段は10万円から15万円で販売されています。ベビーから生体まで価格はそれほどかわりません。体色の美しさによって変動があります。
WCのワイルド個体とBCの養殖個体の2つがあり、初心者は比較的飼育が簡単なCBの固体をおすすめします。エメラルドツリーボアの野生種は臆病な性格で人間の飼育環境に慣れず、拒食してしまったりとトラブルが多くなりがちだからです。
飼育の難しさからどこでの入手できるヘビではありません。爬虫類専門店に足繁く通うか、全国で行われているペット販売イベントに参加してみましょう。4月~8月にかけて入荷量が増えてくるので、その時期になったら探し始めてくださいね。
噛まれる可能性が高く、ハンドリングは出来ない
エメラルドツリーボアは臆病で神経質な性格をしているので、ハンドリングをすることはできません。手を入れるだけで噛みついてくることが多いです。どうしても触らないといけないときは牛革の手袋を着用してください。
長くて鋭い牙をもっており、一度噛まれると大量に出血してしまいます。人に慣れていても油断しないようにしてくださいね。
ケージを掃除するときはスネークフックも便利です。
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飼育に適している温度
エメラルドツリーボアの飼育には温度と湿度管理が大切なので、温湿度計は毎日チェックするようにしてください。
温度は27度~32度の高温の環境を好んでいます。昼夜の気温差が大切であり、夜は23度まで落とすようにします。冬は遠赤外線ヒーターか暖突を使って上部からケージ全体を温めます。
おすすめの爬虫類用ヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
飼育に適している湿度
湿度は60%~70%の多湿な環境を好みます。ケージ内の蒸れには弱いので、風を通しがいい環境を用意しつつ、湿度を保つことが大切になります。
毎日朝と夜に霧吹きをして、湿度を保ってあげましょう。湿度が足りないときは加湿器を導入したり、霧吹きの量を増やしてください。
餌は冷凍マウスがメイン
エメラルドツリーボアの主食は冷凍マウスになります。ビニール袋に入れて40度のお湯で解凍してから、ピンセットで目の前までもっていって直接食べさせます。
食べてくれれば、餌はマウスだけで問題ありませんが、野生種は鳥類やトカゲ、ヤモリなどの爬虫類をメインに食べており、マウスを食べてくれない個体もでてきます。そんな時はウズラや卵を用意して与えてみてください。
拒食が非常に多いので、最初から冷凍マウスに餌付いている固体を探すようにしましょう。
餌の頻度はベビーのころは体の成長のためにたくさん食べさせる必要があるので、毎日食べられるだけ与えます。大人になると2日に1回まで減らします。野生種はたくさんの餌を食べることはなく、捕食も待ちの体勢が多いです。そのため消化スピードは遅く、与えすぎると肥満になるので、注意して下さい。
ヘビにおすすめの餌で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
エメラルドツリーボアについてまとめ
今回は神経質な性格で飼育が難しいといわれている、エメラルドツリーボアについて紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
日常的にハンドリングをしたりすることはできないので、完全な観賞用となってしまうことが多い爬虫類です。それでも体色の美しさや野性味あふれる顔つき、捕食の動作などはエメラルドツリーボアにしかない魅力です。
興味を持った人はしっかりと知識をつけて、飼育に挑戦してみてくださいね。
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