カーペットパイソンは大人しい性格でペットとして人気の大蛇です。種類数やモルフが豊富でお気に入りの体色をコレクションする楽しみがあります。餌は丸呑みで捕食シーンは豪快と、野生の魅力を味わうことができます。
今回はそんなカーペットパイソンの生態や特徴、寿命、繁殖方法、飼育環境など飼育方法について詳しく紹介していきます。
カーペットパイソンの生態と特徴
カーペットパイソンは有鱗目ニシキヘビ科オマキニシキヘビ属に分類されるヘビの仲間です。別名でカーペットニシキヘビと呼ばれています。
名前の由来はカーペットのようにカラーバリエーションや模様が豊富であることから名付けられました。
森林や草原地帯に生息しており、森林では木に登っていますが、陸の移動も得意です。完全な肉食性で、鳥の卵やうさぎやネズミなどの小型哺乳類を捕食しています。夜行性ですが、日中にバスキングしていることがあります。しかし、紫外線の必要量は多くないため、飼育下では紫外線ライトは必要ありません。
大型のヘビはアナコンダなど危険性が高い種類もおり、飼育に許可が必要な場合もありますが、カーペットパイソンは許可なく飼育することができます。
寿命は20年
カーペットパイソンの寿命は平均して20年です。狭いケージで飼育していると運動不足で短命になりやすいです。
大人しい性格
カーペットパイソンの性格は大人しく、ハンドリングに向いています。むしろ神経質の個体が多く、人慣れするのに時間がかかることがあります。人慣れしていないときは指を入れるだけで噛みついてくることがあり、鋭い牙があるので、注意してください。
カーペットパイソンのモルフ(種類)と値段
カーペットパイソンの種類にはベースとなる野生に生息している原種と、そこから品種改良されたモルフ(カラーバリエーション)があります。
モルフは突然変異やカラーの組み合わせで新しい体色を定着させた個体のことです。爬虫類の体色には優性遺伝子と劣性遺伝子があります。優性遺伝子同士の親なのに、その体色を引き継いでいない個体をジブリングといい、これが大きな体色差を生み出すきっかけになります。
カーペットパイソンは別種のカーペットパイソンとも交雑することができ、そうやって生み出された新しいカラーの個体をデザイナーズカーペットパイソンと呼びます。普通は○○×○○と掛け合わせの元になる種類名が記載されていますが、名前の表記がないときは掛け合わせ名がわかっていないことが多いです。
ノーザンカーペットパイソン
生息地 | インドネシア |
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大きさ | 250cm |
値段 | 2万円~3万円 |
ノーザンカーペットパイソンは別名でコモンカーペットパイソンやダーウィンカーペットパイソンとして販売されている種類です。他のカーペットパイソンと比べて大人しい性格をしていることから、人気が高く、最も販売量が多いです。
体色はオレンジ色をベースに黒色のまだら模様が入っており、全体的に地味です。他種よりも体は細いので、90cmの中型ケージしか用意できないならおすすめです。
木に上るのが好きですが、木を入れてレイアウトすると気性が荒くなるので、ハンドリングしたいときはやめておきましょう。
モルフには、はっきりしたまだら模様が失われて、きめ細かくなったグラニットカーペットパイソンがいます。こちらは劣勢遺伝子なので、販売量は少なく入手は困難です。
ジャングルカーペットパイソン
生息地 | オーストラリア |
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大きさ | 200cm |
値段 | 3万円~6万円 |
カーペットパイソンの中で最も有名な種類で、黒色をベースに黄色のまだら模様が入っています。ベビーの頃は全体的に黒っぽいですが、成長するにつれてはっきりとした色合いになってきます。
個体によって発色度合いが異なり、コレクション性が高いです。ベビーの頃から体色がはっきりとした個体は非常に高価です。
モルフにゼブラカーペットパイソンがおり、黄色のまだら模様が雷のようにギザギザになっています。
ダイヤモンドカーペットパイソン
生息地 | オーストラリア |
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大きさ | 250cm |
販売価格 | 15万円前後 |
ダイヤモンドカーペットパイソンは黒色をベースに黄色の小さいダイヤモンドのようなひし形模様がちりばめられている美しい種類です。
入荷量が少なく、値段は高価です。ジャングルカーペットパイソンと同じように、ベビーの頃は地味ですが、成長するにつれて体色にメリハリが出て美しくなっていきます。
コースタルカーペットパイソン
生息地 | オーストラリア、ニューギニア |
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大きさ | 200cm |
値段 | 2万円~4万円 |
コースタルカーペットパイソンはグ灰色をベースに黒色のまだら模様が入った、比較的地味な種類です。
突然変異で最も有名なモルフでもあるジャガーカーペットパイソンの原種でもあります。横にバンド柄が入っており、地味な体色のコースタルの印象を一変させました。ここからジャガー×○○というデザイナーズカーペットパイソンが多く生み出されております。
インランドカーペットパイソン
生息地 | オーストラリア |
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大きさ | 250cm |
値段 | 10万円前後 |
インランドカーペットパイソンは灰色をベースに黒色の体色をした種類です。体色は黄色の色素が欠乏して、黒色と白色、灰色の3色で構成されたアザンティックという人気モルフを思わせ、非常に人気があります。販売量は少なく、価格も高価です。
サウスウェスタンカーペットパイソン
生息地 | オーストラリア |
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値段 | 250cm |
大きさ | 10万円前後 |
サウスウェスタンカーペットパイソンは濃い茶褐色をベースに薄い茶褐色のバンド模様が入っている種類です。国内販売はほとんどなく、入手するのは極めて困難です。
カーペットパイソンの飼育環境
カーペットパイソンの飼育に必要な器具について紹介していきます。初期費用では4万円ほどあれば十分ですよ。
必要なもの
- ケージ
- ライト
- 床材
- シェルター
- 水容器
必要なケージの大きさ
カーペットパイソンのケージの大きさは床面積の広さが大切です。
ケージの大きさの目安はとぐろを巻いたときの3倍です。全長が1.8m以下だと90cm(横幅)×45cm(奥行き)のケージで飼育できます。結構ギリギリなので用意できるなら横幅で120cmは欲しいです。
2mを超えてくると120cm(横幅)×45cm(奥行き)のケージは必須です。2mを超えるかどうかは個体差があるので、大きくなりそうなら用意してあげましょう。
120cm以下のケージであれば規格サイズで販売されているため、簡単に入手することができます。
おすすめの爬虫類用ケージで紹介しているので、ご参考ください。
紫外線やバスキングライトは必要?
カーペットパイソンは日光浴をすることはほとんどなく、体を温めるためのバスキングライトや紫外線を浴びるためのライトも必要としていません。
なぜなら、ヘビの仲間は餌からの栄養吸収率が優秀で、他の爬虫類のように紫外線を浴びて、不足する栄養素を作り出す必要がないからです。
観賞用に蛍光灯をいれておくといいですよ。
床材の選び方
おすすめの床材はウッドチップやヤシガラマットなど水分の吸収率が高く、乾燥を維持できる床材です。フンをしたらこまめに取り除いてください。
レイアウトを気にしなければ、他にもペット用のトイレシートや新聞紙でも代用できます。シート全体を交換するのが簡単なので、清潔な状態を保つことができ、管理が楽です。トイレシートで飼育している人はかなり多いです。
体がぴったりおさまるシェルター
ヘビは体に何か触れている状態が落ち着くので、とぐろを巻く習性があります。なのでシェルターも体がぴったりと収まる大きさの物を選ぶ必要があります。大きすぎたり小さすぎてはいけません。
シェルターの大きさが気に入らないときはガラス面とシェルターの間に体をいれたりするので、シェルターに入る様子がなければ、大きさの変更をしていきましょう。
水容器
カーペットパイソンは水を飲み水としてだけではなく、水浴びとしても使うので、全身が浸かることのできる水容器が必要です。シェルターと同様に、とぐろを巻いたときにぴったりをはまる大きさの物を用意してください。料理で使う保存用のタッパを使うことが多いです。
カーペットパイソンの飼育方法について
カーペットパイソンは餌やりの頻度は1週間に1回で、フンの量は少ないとほとんど飼育の手間がないヘビです。管理の楽さから気を抜いてしまうことが多いため、注意してください。
販売場所
カーペットパイソンは人気のヘビなので、比較的容易に入手することができます。サイテス2という絶滅が危惧される生き物一覧に登録されているため、野生種の販売は制限されており、ほとんどが養殖個体です。性格も荒い個体が多いので、最初は養殖個体がおすすめです。
爬虫類は動物愛護法で対面販売が義務づけられているため、ネット通販で購入することはできません。爬虫類専門店か時期が合えば全国で行われているペット即売会に参加しましょう。イベントでは販売数が多く、珍しいモルフやお気に入りの1匹が見つかる可能性が高いですよ。
暖かくなる春から夏にかけて入荷数が増えてくるので、欲しいときはその時期に狙ってみましょう。飼育も暖かい時期から始めた方が楽ですよ。
ハンドリングは出来るの?
カーペットパイソンは大人しい性格のヘビなので、ハンドリングすることができます。
それでも、飼育を始めたばかりの時は飼育者の臭いになれておらず、警戒しているため、威嚇してくることが多いです。
何度も餌をあげたりお世話をしていくことで、ケージに手を入れても怒らないようになったら、ハンドリングに挑戦していきましょう。
飼育に適している温度と湿度
カーペットパイソンに適している温度は27度~32度と高温を好んでいます。飼育下では昼間は30度前後を保ち、夜間は26度まで落とします。
冬は暖突を設置して、ケージ全体を暖めるようにしてください。温度が十分に上がらないときは遠赤外線ヒーターで上部から暖めましょう。遠赤外線ヒーターなどは巻き付いて火傷する可能性があるので、ケージ外から照射してください。
おすすめの爬虫類用ヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
湿度は50%~60%を好みます。湿度が足りないときは霧吹きをして補ってあげましょう。
環境の管理はとても大切ですので、温度と湿度は計測器を入れて毎日チェックするようにしてください。
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餌はピンクマウスをメインに
カーペットパイソンのメインの餌はピンクマウスになります。栄養価をバランス良く含んでいるため、これ一つで最後飼育することができます。
冷凍マウスは袋にいれて40度のお湯で解凍し、水分を拭き取ってから与えましょう。餌やりのコツはマウスをピンセットでつかみ、目の前で左右にちょこちょこと動かすことで、生きているかのように錯覚させることです。
餌の大きさは丸呑みできるギリギリの大きさを見極めてサイズアップしていきます。頻度はベビーの頃は3日に1回あたえ、大人になると1週間に1回まで減らします。
飼い始めたときは新しい環境に慣れておらず、拒食で餌を食べないことが多いです。まずは1週間ほど様子を見ていきましょう。舌をだして動き回るようになったら餌を欲しがっている合図です。
どうしても餌を食べないときは消灯前にケージの真ん中に置き餌をして一晩様子をみてください。
蛇の餌についてはペットにおすすめの餌で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
繁殖方法について
カーペットパイソンは国内でも繁殖が盛んで、一般家庭の飼育でも狙うことができます。飼育になれてきたら挑戦してみましょう。
生後3年で性成熟して繁殖が可能になります。
繁殖の手順
- クーリングを2週間行う。夜間の温度を22度~24度まで下げて昼との気温差をつける。急に下げると風邪を引くので徐々に下げる
- ペアリングを行う。メスのケージにオスをいれる。オスはテリトリーをもっているので、メスを後からいれると攻撃してしまいます
- ペができると交尾を始めます。交尾はオスとメスが絡まり合うので、簡単にわかります。
- 交尾が終了したらすぐにオスを元のケージに戻します。1週間たっても交尾しなければオスを元のケージに戻して、1週間後に再挑戦してください。
- 受精したメスは脱皮をするときにお腹を上に見せるようになります。
- 産卵をしたらメスをどかします。
- 孵化環境は蒸れないように風通しを良くします。温度を28度前後、湿度70%を保つことで2ヶ月ほどで孵化します。
カーペットパイソンについてまとめ
カーペットパイソンは美しい体色でコレクション性が高く、ハンドリングしやすい大人しい性格やマウスをよく食べてくれる餌付けの良さなど飼育のしやすさからペットとして人気がある蛇です。
飼育を検討している方には、ボールパイソンと比較されることが多いですかね。見た目はほとんど同じですが、体型はボールパイソンは体長が150cmで胴体が太く、カーペットパイソンは体長が180cmで細いです。お気に入りのモルフがいるかどうか、あとは体型の好みで選びましょう。
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