スネークヘッドは蛇のような細長い体型で、水槽内を素早く泳ぎ回ります。大型の魚の中でも捕食が上手で、食いっぷりもいいので、見ていて楽しい肉食魚です。
今回はそんなスネークヘッドについて種類や飼育のコツなど詳しく紹介していきます。
スネークヘッドの生態と特徴
スネークヘッドは元々は外来種でしたが、日本に帰化して雷魚(らいぎょ)として知られています。釣りをする人には馴染みがある魚でしょう
インドネシアや中国、スリランカなどの東南アジアに生息しています。酸欠に強く、泥が多く、淀んでいる沼地を好んでいます。
名前の由来は、頭部を上から見ると蛇の頭に似ており、体も細長く、空気呼吸のために水面に上がってくる様子が蛇に似ていため、スネークヘッドと名付けられました。
大きい品種だと最大で100cmを超えてきます。アロワナだと70cm程度なのでその大きさが想像できるのではないでしょうか。メーター級の魚を育て上げる楽しさを味わうことができますよ。
体の大きさ
スネークヘッドの大きさは種類によってかなり異なります。大きい種類だと最大で100cmの大きさを超え、小型種だと20cmほどの大きさです。後ほど種類別の大きさを紹介します。
寿命の長さ
スネークヘッドの寿命は平均して5年〜7年です。大型種だと10年ほど生きます。
スネークヘッドの小型の種類
ドワーフスネークヘッド
分布 | インドネシア |
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大きさ | 20cm |
寿命 | 5年〜7年 |
販売価格 | 1,000円〜3,000円 |
ドワーフスネークヘッドは小型のスネークヘッドで人工飼料への餌付けやすく、水質の変化に強いので初心者におすすめの種類です。しかし気性は荒いので混泳は難しくなります。
体色や模様の個体差が大きいので、コレクション性も楽しめます。日本にはベンガルオレンジというヒレの先端がオレンジ色の種類が多く販売されています。
18cm前後で成長が止まることが多いので、45cm水槽で生涯飼育することができまが、遊泳力があるので、60cm水槽で広々と飼育してあげてください。
レインボースネークヘッド
分布 | インド |
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体長 | 20cm |
寿命 | 5年〜10年 |
販売価格 | 3,000円〜5,000円 |
レインボースネークヘッドは体色がオレンジ、ブルー、グリーン、茶色が入っており非常に派手で美しい種類です。
底棲型のスネークヘッドでじっとしていることが多いため、60cm水槽で終生飼育することができます。30cmや45cmの小型の水槽では飼育できないので注意してください。
水槽のレイアウトでは流木や水草などの隠れ家をいれてあげると落ち着いてくれます。暗い環境を好んでいるため、水槽の光量を少なくしておくことで、色揚げ効果が期待できます。
捕食が苦手なので、餌不足で痩せやすく、一度痩せると体調を戻すのが難しいです。日頃から餌の食いつきは十分か観察しておきましょう。
コウタイ
分布 | 中国、台湾、石垣島 |
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体長 | 30cm |
寿命 | 5年〜10年 |
販売価格 | 500円〜1,500円 |
コウタイは中国から帰化した種類で、中国名は七星魚といいます。他のスネークヘッドと比べて腹ビレがありません。
体には横縞が入っており、散りばめられた白い点々が美しいですよ。
オセレイトスネークヘッド
分布 | インドネシア |
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大きさ | 40cm |
寿命 | 10年 |
販売価格 | 5,000円〜10,000円 |
オセレイトスネークヘッドはフラワートーマンという名前で販売されている種類です。
グリーンをベースにオレンジ色で縁取りされた点が美しく人気があります。成長をしていくとブルーの輝くが増していきさらに美しくなっていきます。
スネークヘッドの中ではおとなしい性格で混泳が可能です。
アフリカンスネークヘッド
分布 | 西アフリカ |
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大きさ | 40cm |
寿命 | 10年 |
販売価格 | 1,000円〜2,000円 |
性格が温和で混泳が可能な品種です。アジア産のスネークヘッドとの違いは鼻が長く、体色が幼魚と成魚であまり変わらないことです。
底棲型のスネークヘッドで底でじっとしていることが多いです。
スネークヘッドの大型の種類
バイオレットスネークヘッド
分布 | インド、バングラディッシュ |
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大きさ | 100cm |
寿命 | 10年 |
販売価格 | 5,000円〜15,000円 |
バイオレットスネークヘッドは大型になるスネークヘッドでカラフルなスポット模様がとても美しい種類です。気性は荒いので単独飼育しましょう。
レッドスネークヘッド
分布 | 東南アジア |
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大きさ | 120cm |
寿命 | 10年 |
販売価格 | 500円〜1,000円 |
レッドスネークヘッドは幼魚の体色が美しく、赤と黒と黄色のラインがはっきりと出ている種類です。成長とともに黒のラインが増えてきて、青黒く迫力ある個体になっていきます。
本種は遊泳型のスネークヘッドで、最低でも120cm水槽を準備する必要があります。
体長を大きくすることで魅力が増す魚なので、大きな水槽でたくさんの餌を食べさせてあげてくださいね。
幼魚のときは白点病、エラ病などの病気にかかりやすいため、水温を28度前後に設定して予防してあげましょう。
コブラスネークヘッド
分布 | スリランカ、インド |
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大きさ | 120cm |
寿命 | 10年 |
販売価格 | 500円〜1,000円 |
コブラスネークヘッドはスネークヘッドの中で最大種になり、現地では180cm以上の個体が発見されたことがある種類です。体は細く体色は黒っぽい地味なものから全身に褐色や白色の点が散りばめられた個体まで様々です。
幼魚のときはおとなしい性格をしているので、混泳が可能ですが、成魚になると攻撃性がまして単独飼育が必要になります。
スネークヘッドに必要な水槽と飼育設備
水槽の大きさ
スネークヘッドは100cmの大きさを超える大型種でも、水槽での飼育だと体長は60cmで成長が止まることが多いです。
水槽の大きさは小型種で60cm水槽、中型種で90cm水槽、大型種で120cmの水槽があれば十分です。
生後1年の成長速度はとても早く、1年で30cmを超える種類もいます。60cm水槽でもすぐに狭く感じるので、購入を検討している品種がどのくらいの大きさになるのか必ずチェックしましょう。
ろ過フィルターの選び方
スネークヘッドはたくさんの餌を食べて、フンをするので、定期的にろ過フィルターを掃除する必要があります。
そのためメンテナンス性に優れた上部フィルターがおすすめです。上部フィルターだと水槽に手を入れることなく、スポンジ部分を洗えばいいので簡単です。
水槽用のヒーター
スネークヘッドは低水温に強いですが、ヒーターなしでは弱ってしまうので、冬は水槽用のヒーターをいれてあげましょう。
温度調整機能と安全カバーがついたヒーターを選んでください。W数の目安は60cm水槽で150W、90cm水槽で300W、120cm水槽で500W必要です。
水槽の蓋
スネークヘッドは飛び出し事故がかなり多い熱帯魚です。
飛び出す時のパワーも強いので、隙間なく蓋をして、しっかりと固定しておきましょう。ガラス蓋やアクリル板の上にペットボトルを置くのが簡単です。フィルターの隙間からでも這い出してくるので、注意してください。
30分以内なら水槽に戻すことで元気を取り戻すことがあります。優しく捕まえて戻してあげてくださいね。
水槽の立ち上げ方法
立ち上げたばかりの水槽にはフンや餌の食べ残しなど有害物質を分解するバクテリアが生息しておらず、そのような環境でスネークヘッドを飼育すると短期間で水質悪化が進みます。
そのため、きちんと水槽の立ち上げを行って、バクテリアを十分に繁殖させる必要があります。
水槽の立ち上げ手順
- 水槽の置き場所を決める
- カルキを抜いた水を用意する
- 水槽と照明、フィルター、底砂、ヒーターをセットする
- 水を入れてフィルターを稼働させる
- 2日ほど置いておく
- パイロットフィッシュを1ヶ月飼育してバクテリアを増やす
- スネークヘッドをいれる
水槽の立ち上げ方で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
スネークヘッドの飼育方法
スネークヘッドは体が丈夫なので、初心者にも飼育しやすい熱帯魚です。水槽内を広々と泳ぎ回るので、なるべく大きな水槽を用意してあげてください。
水槽のレイアウト
スネークヘッドは小型種と大型種で性格が変わるので、水槽のレイアウトも異なります。
小型種であれば臆病な性格が多いので、隠れ家になる石、流木を多めに配置しましょう。大型種は突然暴れだすこともあり、障害物があると怪我をするので、何も入れないベアタンクがおすすめです。
底砂だけをいれたシンプルなレイアウトも好まれます。その場合は掃除のしやすいように、砂の量は2〜3cmほどの薄めに敷いておきます。底砂に潜る習性があるので、角が尖っている砂を選ぶとウロコが剥がれることがあります。角が丸くなっている砂を選んでくださいね。
水草や浮き草が生い茂っている場所を好むので、水草をいれると落ち着きやすく、発色がよくなります。暴れて抜いてしまうことがあるので、流木に活着できるアヌビアスナナやウィローモス、根を水底に埋めなくても大丈夫なマツモ、アナカリスなどの水草が候補になります。
飼育に適している水温と水質
スネークヘッドに適している水温は22度〜26度です。低水温に強いですが、冬はヒーターなしで飼育できないので、水槽用のヒーターで加温してください。
成長期の頃は水温を26度前後にして、病気の予防と成長を促進していきましょう。生後1年も経つと、成長が遅くなるので、そこから肥満防止のために22度前後の低水温で飼育することが長生きに大切です。
水質は弱酸性を好んでいます。水質の変化に強いため、特に気にする必要はありませんが、水質の悪化には注意して、週に1回は水槽の水換えを行ってください。
おすすめの餌と与え方
スネークヘッドは肉食性が強く、人工餌の餌付けが難しい個体が多いです。
小さいうちは食いつきが良い冷凍赤虫、メダカ、金魚、エビなどの生き餌を与えて、どんどん成長させていきます。
成長するにつれて肉食魚専用餌のカーニバルやクリルなど人工餌に慣らしていきます。最初はすぐに食べてくれないので、水面に叩きつけるようにして、生き餌と勘違いさせてみましょう。
食欲が旺盛なので、餌と思えばすぐに丸呑みしにいきます。喉に詰まらせないように餌の大きさには注意してあげてくださいね。
餌の頻度は1日2回、1〜2分で食べきれる量を与えてください。
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混泳の方法
スネークヘッドの小型種は協調性が高く、混泳しやすいです。スネークヘッド同士やポリプテルス、プレコ、オスカーとの混泳がおすすめです。
攻撃性が低い個体であればエンゼルフィッシュなど体高がある魚とも混泳できます。コリドラスなどの丸い魚は喉を詰まらせる危険があるので、さけておきましょう。
1mを超える大型種は攻撃的で、強力な顎と鋭い歯で混泳相手に噛み付くことが多いです。特に同属への攻撃意識が高く、形状が似ているポリプテルスやナマズ類との混泳は危険です。
単独飼育が基本となりますが、自分より大きな個体で生活層が異なるアロワナなどであれば混泳がうまくいくことがあります。
病気と治療方法
スネークヘッドは病気にかかりにくい魚ですが、薬に弱いため、一度病気にかかると治療まで時間がかかります。多くの病気の原因が水質悪化ですので、水換えをきちんとして予防してあげてくださいね。
白点病 | 全身が白い点々に覆われる病気です。輸入されて弱っている時にかかることが多く、購入してから1週間は注意深く観察してください。発症している個体を見つけたらすぐに別の水槽に隔離して水温を27度へ塩をひとつまみ入れます。1週間ほど様子を見て治らなければ、メチレンブルーを規定量の1/5で薬浴します。 |
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口ぐされ病 尾ぐされ病 |
口の周りやヒレの先端がボロボロになったり、溶けたようになる病気です。水質悪化がすすんで、カナムナリス菌が繁殖した時にかかります。水がかなり悪い状態ですので、すぐに全換水を行なって様子を見ましょう。完治が難しいので、予防が大切になります。 |
スネークヘッドの飼育の醍醐味!体を大きく育てるには?
スネークヘッドを大きく育てるには、成長期にどれだけたくさんの餌を食べられるかが大切です。
餌をたくさん食べる才能がある
餌をたくさん食べられるかどうかは食欲旺盛かどうかがもっとも大きな要素です。
餌を食べてもなかなかお腹が大きくならない個体がおり、そういった個体はたくさんの餌を食べることが出来ます。野生種だとハングリーで餌食いがいいので、大きくなる可能性が高いです。
好きな餌を与える
成長期に食べられるだけ餌を与えることが大切です。個体によって好みの餌が変わるので、よく観察をして食いつきがいい餌を積極的に与えましょう。
ショップで長く飼育されている個体は成長を抑制されている可能性があるので、入荷時期が浅い個体を探すと良いですよ。
大きな水槽を用意する
スネークヘッドは臆病な性格のため最初から大きな水槽で飼育するのではなく、体長にあった大きさを用意してください。
体長20cmで60cm水槽、体長40cmで90cm水槽、それ以上は120cm水槽を用意してあげてください。広々とした環境でたくさん運動をさせて、餌の食いつきをよくしていきましょう。
新陳代謝の活性化
スネークヘッドの食欲を増進するためにたくさんのエネルギーを使わせます。十分なエアレーションで酸素を増やし、週に1回は1/3の水換えをし、水温は26度と高めにします。
混泳して競争させる
スネークヘッドは混泳相手がいると、負けないように餌をたくさん食べるようになります。大食いのオスカーなどの熱帯魚と混泳させましょう。
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