ピラニアは非常に鋭い牙をもっており、凶暴な肉食魚のイメージが強いですが、実際はとても臆病な性格をしており、家でも簡単に飼育することができる熱帯魚です。現地では大量に繁殖しており、フィッシングや食用として利用されています。
今回はそんなピラニアについて生態や特徴、種類、餌、値段、混泳、水槽のレイアウトなど飼育方法について詳しく紹介していきます。
ピラニアの特徴
ピラニアはカラシン目セルラサルムス科に分類される熱帯魚です。
アマゾン河を中心に南米大陸に広く分布しており、肉食性の熱帯魚として多くの人に知られています。特徴的な牙の鋭さから恐ろしい肉食魚や人食い魚として知られていますが、凶暴な種類は少なく、どちらかというと臆病な性格をしています。
人間がピラニアのいる川で遊んでいても、襲ってくることはないので、危険性は高くありません。しかし、血の臭いには敏感で、少しでも出血していると興奮して噛みついてくるので、怪我をしているときには注意が必要です。
キラキラと輝く銀色のウロコをベースにしたオレンジ色は肉食魚のイメージから想像ができない見応えのある体色であり、飼いこむほど美しさが増してきます。ピラニアを群泳させた水槽は、肉食魚としての迫力だけでなく、体の巨大化と美しさを兼ね備えはじめ、その美しさは圧巻の一言です。
性格はどう猛で危険な魚なの?
ピラニアは凶暴な性格の魚のイメージが強いですが、熱帯魚店でよく販売されているピラニア・ナッテリーは神経質で飼育しやすい熱帯魚です。慣れないうちは木陰や水草に隠れていることが多く、水槽内に手をいれると水槽の奥に隠れてしまいます。
ピラニア・ナッテリィやブランディ・ピラニアを除いては単独飼育が必要な凶暴なピラニアたちであり、安易に水槽内に手を入れると非常に危険です。なるべく水槽内に手を入れなくても大丈夫なように、掃除のしやすさやなど設備を整えていくことが大切です。
寿命の長さ
ピラニアの寿命は平均して5年、大型の種類だと15年です。病気やストレスに強く、水槽の飼育でも長生きさせやすいです。
ピラニアの釣り方
野生のピラニアは10匹以上の群れで生活をしています。現地では人が水浴びするような場所でも生息しており、釣り針に小魚をつけて、たらせばあっというまに簡単に釣ることができます。
釣り針は普通の物では簡単に噛みちぎられてしまうので、太い針金など強力な物を使います。
体の大きさは20cm~30cmとまあまあ大きくなるので、釣りがいのある魚です。しかしながら、あまりにも数が多いので希少価値が低く、わざわざ釣りに行こうと思う人は少ないです。日本でいうブルーギルのような立ち位置であり、それ以上に鋭い牙でルアーや糸を噛みちぎるため、邪魔者扱いされがちです。
ピラニアの種類と特徴
ピラニアには5つの種類がおり、ピゴプリスティス亜属とプリストブリコン亜属、タディエラ亜属に分類されます。
その中でもピゴプリスティス亜属やプリストブリコン亜属は歯が発達しておらず、植物の種子などを食べて生活しています。この種は南米の熱帯雨林をつくるのに役立っています。食べられた植物の種子が消化されず、広い範囲に運搬され、南米の熱帯雨林をさらに大きくしているのです。
熱帯魚店でよく販売されているピラニア・ナッテリィが所属しているタディエラ亜属はピラニアらしいピラニアであり、鋭い牙が発達しています。
ピラニアナッテリー
分布 | アマゾン川 |
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体長 | 25cm〜30cm |
寿命 | 3年〜5年 |
販売価格 | 500円〜3,000円 |
ピラニアナッテリーは日本で最もポピュラーなピラニアです。肉食性ですが、デリケートな性質をもっており水槽飼育に向いている熱帯魚です。3〜4cmサイズの幼魚がコンスタントに販売されています。
幼魚は全身が銀色ですが、成長するにつれて褐色を帯び、下顎から腹部にかけて橙色から赤橙色に変わってきます。弱酸性の水槽で長年飼育をしていると発色がどんどんよくなっていくので、大切に飼育してあげてください。
水槽で混泳できる数少ないピラニアで、臆病な性格をしているので、5匹以上で群泳すると落ち着きやすくなります。飼育には90cm水槽を用意してあげてくださいね。
ウィンプル・ピラニア
分布 | パラグアイ川、アマゾン河南部 |
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体長 | 15cm |
寿命 | 5年 |
販売価格 | 1,000円〜3,000円 |
ウィンプルピラニアは他の魚のウロコを食べるスケール・イーターと言われる種類です。大きく張り出した下顎を使って、魚に体当たりして素早くウロコを食べます。体色は銀色を基調として尾びれは黒いです。背びれと尻びれの先端が伸長して尻びれの先端が橙色になります。
飼育は単独なら45cm水槽、群泳なら75cm以上の水槽を用意してあげてください。基本的には単独飼育が望ましいですが、群泳するときに隠れ家になる水草を多く植えることで可能になります。餌はウロコだけでなく小魚なイトミミズ、アカムシなども食べてくれますよ。
ダイヤモンド・ピラニア
分布 | アマゾン河 |
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体長 | 20cm以上 |
寿命 | 10年 |
販売価格 | 10,000円〜30,000円 |
ダイヤモンドピラニアは体高があり、非常に美しく育つピラニアです。体色は暗い灰色でウロコが銀色に輝いています。成長すると目が赤色になり、美しさに磨きがかかります。
本種は鋭く長い歯をもっており、凶暴な性格をしているため、単独での飼育が望ましいです。そのさいには60cm水槽を用意してあげてください。水槽に手を入れると危険なため、フィルターには上部式かパワーフィルターを用意しておきましょう。他のピラニアと違い小魚を食い散らかすことはしないので、水質が汚れにくい熱帯魚ですが、定期的な水換えは必要になります。
ピラニア・ピラヤ
分布 | サンフランシスコ |
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体長 | 45cm |
寿命 | 15年 |
販売価格 | 10,000円〜30,000円 |
ピラニアピラヤは大きな魚体と美しい体色をもった大型のピラニアです。体の6割ほどがオレンジ色に染まるのが特徴的です。
餌は生き餌を好みますが、慣らすことで牛ハツも食べてくれます。この餌は脂肪分が少ないため、しっかりとした肉付きの体型に育ってくれます。慣らせば人工飼料も食べてくれるようになりますよ。オレンジ色の部分が多いので、赤系の発色を良くするクリルを積極的にあげていきましょう。
ホワイト・ピラニア
分布 | ネグロ川 |
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体長 | 25cm |
寿命 | 15年 |
販売価格 | 5,000円〜10,000円 |
ホワイトピラニアは銀発色がベースになっているピラニアで、オレンジ色の部分はかなり少ない種類です。
幼魚は丸みを帯びた体つきをしていますが、成魚になるにつれて口先が尖ってきます。他のピラニアほど派手さはないので、一部の熱心な愛好家が飼育している程度です。
ピラニアの飼育に必要な水槽設備
ピラニアの飼育は一般的な熱帯魚専用の飼育設備を使います。
必要なもの
- 60cm以上の水槽
- ろ過装置(上部式フィルターがおすすめです)
- 温度調整機能付きヒーター
- 蛍光灯
- 棒付きのスポンジ(ガラス面の掃除)
- ホース(水の交換)
- バケツ(水の交換)
- 網(食べ残しを取り除く)
- 底砂
- 流木・石
水槽の大きさ
ピラニアの飼育に必要な水槽の大きさは、幼魚であれば45cm水槽で飼育が可能ですが、最終的には60cm水槽か90cm水槽が必要になります。
水槽内を元気に泳ぎ回るので、なるべく大きな水槽を用意してください。
ろ過フィルターの選び方
ピラニアは餌の食べ残しが多いため、水質悪化しやすく、物理ろ過が強力な上部フィルターが必須です。
毎週こまめにスポンジ部分にたまったゴミを掃除しましょう。
水槽のレイアウトはシンプルにする
ピラニア水槽のレイアウトには掃除のしやすさを優先して、流木と底砂だけをおいたシンプルなものが好まれます。
個体によっては水槽の環境に慣れてくると噛み癖がひどくなることがあります。ヒーターのコードやエアレーションのホースは噛みついて壊されることがあるので、カバーをつけるなどの工夫が必要になってきます。
ピラニアの飼育方法
ピラニアは丈夫な熱帯魚で飼育しやすいですが、鋭い牙を持っているため、水換えや水槽の掃除など油断はしないようにしてください。一度噛みつかれるとなかなか離してくれず、出血はさけられません。
入手方法
人気のピラニアナッテリーであれば、ホームセンターや熱帯魚専門店など比較的多くの場所で見かけることができます。他の種類は販売数が少ないので、熱帯魚専門店になんども足を運ぶかネット通販を利用してください。
秋から春にかけて幼魚がまとまって輸入されてくるので、購入を考えている人はこの時期を狙いましょう。
持ち帰るときの注意点として、ピラニアは牙が発達しているため、普通のビニール袋の二重重ねでも穴を開けてしまうことがあります。可能であればなるべく目の届く範囲に置いて運搬してあげてくださいね。
飼育に適している水温
ピラニアに適している水温は24度~27度です。低い水温に弱いので、冬は水槽用のヒーターを用意してください。
飼育に適している水質
ピラニアに適している水質は弱酸性です。養殖個体であれば水質に敏感ではありませんが、野生で採集された個体は適応力が低いので、こまめに水質のチェックが必要です。
弱酸性を維持するために、底砂にソイルと敷いたり、流木を入れたり、各種ウォーターコンディショナーを使って状態のよい水質を作ってあげてください。どのピラニアも適切な水質をまもることで非常に美しい発色をみせれくれるようになりますよ。
1週間に1回は1/3ほど水槽の水換えをしてあげてください。
おすすめの餌と与え方
野生のピラニアの餌は小型の哺乳類や小魚です。
水槽飼育では餌に和金(金魚)やメダカなどの生き餌をメインに与えます。体が大きくなってくると、スーパーで販売されているワカサギやアジの切り身もおすすめです。
人工餌だと乾燥オキアミを食べれくれますが、慣れるまで時間がかかるので、可能な限り生の魚肉を与えてあげたいです。
餌の頻度は1日2回しっかりと餌を与えてあげましょう。
ブラック・ピラニアやピラニア・ピラヤなどは小魚を丸呑みしますが、ナッテリィやイエロー・ピラニアは小魚を食いちぎるので、水質が悪化しやすくなります。食べ残された餌はすぐに水槽から取り出すようにしてくださいね。
繁殖と産卵方法
ピラニアの水槽内での繁殖はナッテリーとイエローピラニアだけが日本国内で事例があります。特にナッテリーは東南アジアでも普通に繁殖が行われており、90cm水槽を用意して10匹ほど群泳させることで、一般の方でも繁殖させることができます。
1年以上飼育して、体長が16cmを超えたら親魚として産卵できる状態になります。群泳させていると自然に寄り添って泳ぐペアができるので、別水槽に移動させてあげましょう。水底にあるウィローモスなどの水草や砂上にバラまくように産卵します。卵には粘着性があり、2~3日程度で孵化します。
稚魚にはスポイトでブラインシュリンプを与えましょう。成長速度は1ヶ月で2cm、2ヶ月で5cm、3ヶ月で10cmほどになりますよ。
混泳はできるの?
ピラニアはうまく飼育すれば混泳できます。しかし、混泳相手が傷付くことを覚悟して混泳させる必要があります。
混泳相手にはピラニア同士かピラニアよりも大きな魚を選ぶようにしましょう。プレコやポリプテルスなど固いウロコの熱帯魚が選ばれやすいです。
混泳を始めるときは、縄張りが出来ないように新しい水槽に混泳相手と同時に入れることをおすすめします。
ピラニア同士の混泳は共食いに注意
ピラニア同士で水槽で混泳させるときは、人工餌だけで育てることが大切です。
金魚やメダカなどの生き餌をピラニアに与えると共食いしやすいです。なぜなら、動いている生物を食べる習慣がついてしまうからです。
また、空腹も共食いの原因になるので、毎日しっかりと餌を与えておきましょう。
ピラニアについてまとめ
ピラニアはどう猛な肉食魚のイメージがありますが、意外にも群れで行動したり、美しい体色を持っていたりと鑑賞価値が高く、ペットとしても人気があります。
丈夫な魚なので、飼育自体は難しくありませんが、最初は肉食魚特有の餌である金魚やメダカなどの生き餌を用意するのに手間取るかもしれません。長く飼育するほど体色の美しさに磨きがかかってくるので、大切に飼育してあげてくださいね。
最後に、購入時は幼魚であることが多く、そこからかなり大きくなります。飼育できなくなったからといって絶対に放流してはいけません。
ピラニアは南米産の暖かい水温を好む魚のため、日本の川では冬を超えることができません。暖かい時期には繁殖をすることもありますが、死んでしまいます。しかし、温暖な地域では生き残ることもありますし、なにより暖かい時期だけでも日本の自然環境に大きな影響を与えてしまいます。餌を食べる姿が汚いという理由で放流する方がいますが、最後まで責任を持って飼育してあげてくださいね。
ピラニアのような鋭い牙をもっている肉食魚に興味がある方にはタライロンもおすすめです。タライロンの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
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