ボアコンストリクターは3mを超える大蛇で、飼育できるペットとしては最大級の大きさになるヘビです。おとなしい性格をしていますが、油断をすると締め付けたり噛んできたり、飼育には危険が付きまといます。
今回はそんなボアコンストリクターの特徴や生態、モルフ、値段、飼育設備など飼育方法について詳しく紹介していきます。
ボアコンストリクターの特徴と生態
ボアコンストリクターはボア科ボア属に分類されるヘビの仲間です。メキシコなどの南米の森林地帯に生息しており、マニアの間ではボアコンの愛称で親しまれています。
肉食性でカエルなどの両生類から中型の動物を捕食します。コンストリクターには締め付ける者という意味があります。その名の通り、獲物を締め付けて、弱らせてから丸呑みします。鋭い牙や毒性はありませんが、締め付ける力が強力です。
繁殖では子供を直接生む卵胎生です。繁殖が容易なので、モルフ(カラーバリエーション)の開発も世界中で盛んにおこなわれています。白色がベースになったインペラトール、グレーがベースになったアマラリ、しっぽが長いロンギカウダ、全身が真っ白で薄い模様があるスノー、色素が薄く黄色っぽいアルビノ、白色をベースにオレンジの体色が入ったサングローあたりの種類が人気です。
体の大きさ
ボアコンストリクターの体の大きさは個体差が激しく、小さい固体だと2m以下、最大だと3mちょっとまで成長します。体の大きさは餌や運動量によって変わってきますが、飼育下では2.5m以下になることが多いです。体重は15kg、胴体の太さは直径で12cmほどになります。
寿命の長さ
ボアコンストリクターの寿命は平均して25年~30年です。最大だと35年を超えたこともあります。飼育下では肥満や運動不足で短命になりやすく、20年前後になることが多いです。
ボアコンストリクターの危険性と事故
ボアコンストリクターはおとなしい性格をしていますが、機嫌が悪いこともあり、安易に手を近づけたりすると飼育者でも噛みつかれることがあります。特に体が大きいので本気で噛まれると病院に行かなければなりません。
アメリカではペットとして飼育されていた3.9mの個体が、飼い主を窒息死させる事故がありました。その力は強力で、大人でも抵抗しずらく、子供や犬や猫などの小動物が締め付けられるとそのまま死亡する危険性があります。
ペットとしては飼育禁止へ
ボアコンストリクターは日本では動物愛護法で特定動物(危険な動物)に指定されており、都道府県知事か市長の許可があれば飼育が可能でした。
しかし、2020年6月1日より特定動物の取り扱いに関して変更があり、ペットとして飼育することが禁止されました。新規での販売は全て禁止されており、すでに飼育している場合は、行政へ飼育の手続きを行う必要があります。
ボアコンストリクターを見たい方は動物園の展示を見に行きましょう。以下の10カ所で展示されています。
展示している動物園
- 東北:大森山動物園
- 関東:かみね動物園、埼玉こども動物公園
- 中部:いしかわ動物園、日本平動物園、東山動物園
- 近畿:京都動物園、天王寺動物園
- 中国:池田動物園、安佐動物公園
参考ページ
ボアコンストリクターの飼育に必要なもの
ボアコンストリクターはその体の大きさから、大きな飼育設備が必要になります。しかし、ケージ以外には安いものばかりですので、初期費用では5万円もあれば十分です。
ケージの大きさ
ボアコンストリクターのケージは横幅が必要です。最終的には150cm(横幅)×60cm(奥行き)以上のケージが必要になります。この大きさのケージは一般サイズで市販されていないので、自作するか特注で制作してもらいましょう。
ケージについては事前に自治体に相談して、必要な仕様を確認しておいてください。
木の上によく登りますが、必須ではないので、ケージの大きさと相談しましょう。
ライトは観賞用に
ボアコンストリクターは夜行性で日光浴をしないため、バスキング用の照明や紫外線を含んだUVライトは必要ありません。観賞用に蛍光灯をいれておくといいですよ。
床材の選び方
ボアコンストリクターの床材はウッドチップ、ヤシガラマット、新聞紙、ペット用のトイレシートが候補になります。ウッドチップなどの床材は保湿性が高く、環境の維持が簡単ですが、通気性が悪く掃除が大変です。
新聞紙は掃除が簡単ですが、固体によってはボロボロにしてしまうこともあるので、様子を見ながら床材を検討してください。
水容器
ボアコンストリクターの飼育には全身が浸かる大きさの水容器が必要です。体の大きさに合ったプラスチック製のタッパかトラ舟を置いておきましょう。飲み水としても使いますので、毎日新鮮な水に交換してあげてくださいね。
力があるので、倒されないように重みがあるものがおすすめです。
ボアコンストリクターの飼育方法
ボアコンストリクターは十分な大きさのケージを用意することと、取り扱いに注意することを忘れなければ、飼育自体は難しくありません。それでも餌代や電気代など体の大きさに比例してお金はかかり、寿命も長いですので、飼育には覚悟が必要です。
値段と販売場所
ボアコンストリクターは模様の美しさによって価格が大きく変わりますが、だいたい5万円~10万円で販売されています。
人気のペットではないので、爬虫類専門店の店員さんと仲良くなって入荷時期を連絡してもらうか、日本全国で行われているペット販売イベントに参加してみましょう。イベントではたくさんのペットが販売されており、運次第ではありますが、珍しいモルフも見つけやすいです。
ハンドリング向きの大人しい性格
ボアコンストリクターはおとなしい性格をしているので、ハンドリングを楽しむことができます。最初に手を近づけるなどして、襲ってこないことを確認しておきましょう。特におなかが空いているときは危険性が高くなります。
腹部から一気に持ち上げて、肩にのせてしっかりとささえてあげてください。
適している温度
ボアコンストリクターに適している温度は27度~32度と高温を好みます。冬には暖突を設置して、上部からケージを温めるようにします。温度が上がりきらないときは暖房を作動させて部屋全体を暖めましょう。
おすすめの爬虫類用ヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
適している湿度
ボアコンストリクターは60%~70%を多湿な環境を好んでいます。適応範囲は広いので神経質になる必要はありませんが、50%を下回ると脱皮不全などを引き起こすので、乾燥しやすい冬などには霧吹きで湿度の調整をしてください。
餌は冷凍ラットがメイン
ボアコンストリクターの餌は冷凍ラットが主食になります。餌の大きさや頻度は、固体によって変わってきますので、最初は購入するペットショップに確認して合わせておきましょう。
最終的にはLLサイズを月に3匹ほど与えることになります。大蛇は消化が遅く、カロリー消費量が少ないため、与えすぎると肥満や吐き戻しをしてしまうので、少な目が基本です。
ラット1匹でだいたい1,000円ほどですので、月の餌代は3,000円になります。餌を与えるときはビニール袋に入れて40度のお湯で解凍します。水気を拭きとって、皮手袋をした手で目の前までもっていきましょう。
ヘビにおすすめの餌でも詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ボアコンストリクターについてまとめ
ボアコンストリクターは飼育できるペットの中では最大の大きさになるヘビです。
機嫌が悪い時には噛みつかれて大けがをしてしまったり、大きなケージが必要だったりと飼育は簡単ではありませんが、その図体の大きさからくるハンドリングの重量感や餌を食べるときの豪快さはボアコンストリクターにしかない魅力です。
少しでも興味を持った方は初期費用や維持費、寿命の長さと相談の上、飼育にチャレンジしてみてくださいね。
最後にボアコンストリクターに興味を持っていただいた方には、同じくらいの胴回りで迫力がありながらも、大きさは最大でも180cmと小型で、おとなしい性格のボールパイソンもおすすめです。ボールパイソンの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
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