大きな口とたらこ唇がとってもかわいいヨシノボリ。川で遊んでいると大きな石の上で追いかけっこをしている姿をみたことがあるのではないでしょうか?
野生で捕まえてバケツに入れていたら、普通の生き物は落ち着かないのですが、他の生き物を食べまくるほどの獰猛さで驚きました。
今回はそんなヨシノボリについて生態や性格、混泳できる魚、水槽の環境、餌など飼育方法を詳しく紹介していきます。
ヨシノボリの特徴
ヨシノボリはハゼの仲間で、北海道を除く日本の河川や東南アジアに生息している川魚です。大きな河川であれば簡単に見つけられ、網で捕まえることができます。
胸ビレは吸盤のような形状になっており、強い水流がある場所でも岩場にくっつきながら泳ぐことができます。名前の由来は水底を這うようにして泳ぐ姿から、植物の葦(よし)にも登ることが想像され、ヨシノボリと呼ばれるようになりました。
高さのある背びれが特徴的で、茶色や黄土色など地味で目立ちにくい体色をしています。縄張り意識が強く、自分のテリトリーをパトロールして侵入者を撃退します。
体の大きさ
ヨシノボリは種類によって異なりますが、大きさはだいたい8cm前後になります。大型種だと12cmほどになります。
寿命の長さ
ヨシノボリの寿命は平均して3年〜4年です。最長だと8年は生きますよ。生後2年で成熟して繁殖が可能になります。
ヨシノボリの生態
ヨシノボリは肉食性が強く、大きな口と唇で自分よりも少しくらい小さな生き物でしたら丸呑みしてしまいます。特に昆虫や魚の稚魚などが大好物です。
湖や水田、沼などの水が淀んだ場所には生息している種類は少なく、河川上流や中流などある程度の流れがあって水が綺麗な場所を好んでいます。
繁殖は海で育つ種類が多い
ヨシノボリは気温が暖かくなる春〜夏にかけて繁殖を行います。繁殖期になるとオスの体色は鮮やかになる一方で、縄張り意識が強く、喧嘩が増えてきます。
繁殖方法には2タイプあり、カワヨシノボリは産卵から稚魚の育成まで淡水の川で行いますが、他種のヨシノボリは産卵を川で行い、稚魚は海で育ちます。
産卵は簡単ですが、塩分の準備と移行させていく工程が大変なため、飼育環境での繁殖はカワヨシノボリに限定しておくとよいでしょう。
ヨシノボリを捕まえるならペットボトルが簡単
ヨシノボリは河川に行けば比較的容易に見つかりますが、泳ぐのが上手で人の姿を見つけるとすぐに岩陰に隠れてしまいます。さらに岩場になっているため、網で閉じ込めるのも難しいです。
そんな時にはペットボトルを使って自動捕獲器を作るのがおすすめです。その作成方法を紹介しますね。
捕獲器の準備と捕まえ方
- 500mlのペットボトルを用意する
- ペットボトルの底にたくさんの小さな穴を開ける。水の流れを作るため。
- ペットボトルの上から8cmほどをカッターで切断する
- ペットボトルの底に重しになる小さい石をいれる
- 切断した上の部分をひっくり返して下の部分に差し込む
- ヨシノボリをおびき寄せる餌を入れる。匂いが強い肉食性の餌がおすすめ。メダカの餌でも大丈夫です。
- ペットボトルの底から蓋に向けて水が流れるように、水底に設置する。見つけた場所におきましょう。
- 30分ほど待ってから確認する
ヨシノボリの種類と特徴
日本に生息する代表的なヨシノボリは全部で14種類おり、生息地域や好む場所が変わってきます。ここでは見かける頻度が多い4種類を紹介しますね。
カワヨシノボリ
カワヨシノボリは中部地方から西の都道府県に生息しています。中流域の流れが早い場所を好んでおり、湖や沼には生息していません。他の種類よりも胸ビレが小さく、胸ビレの線の数は15本程度しかありません。
シマヨシノボリ
シマヨシノボリは体の側面にシマシマ模様がある種類です。ほっぺたには赤いミミズ状の模様があり、発情期には青く変色します。北海道を除く日本の、浅い河川を好んで生息しています。
クロヨシノボリ
クロヨシノボリは体の側面が黒色になっており、背びれの先端はオレンジ色になっている種類です。北海道と東北以外の細い河川に生息しています。
オオヨシノボリ
オオヨシノボリは最も大きいヨシノボリで最大で15cmの大きさになります。グレーをベースにはっきりとした黒い斑点模様がとても綺麗です。北海道を除く、日本の河川に生息しており、流れが早い環境を好んでいます。
トウヨシノボリ
トウヨシノボリは沖縄県を除く日本にの沼地に生息している種類です。比較的鮮やかな体色をしており、体はグレーをベースに黒の斑点模様ですが、背びれや尾びれには青色や黄色が入っています。
ヨシノボリの飼育に必要なもの
必要な水槽の大きさ
ヨシノボリの飼育に必要な水槽の大きさは横幅が45cmのものです。泳ぎ回る魚で縄張りも広いので、このくらいある方が満足に飼育できます。
飼育数は45cm水槽で5匹、60cm水槽で10匹を目安にしてください。
水槽サイズに合ったろ過フィルター
ヨシノボリのろ過フィルターはなんでもいいですが、酸欠には弱いので、飼育数が多い時は投げ込み式フィルターなどを追加することで酸素量を増やしてあげてください。
45cm水槽では外掛けフィルター、60cm水槽では上部フィルターを使うことが多いです。
水温を上げるためのヒーター
ヨシノボリは低水温に強いので、冬でも完全に水が凍らなければ越冬することができます。
しかし、まったく動かなくなり、鑑賞はできなくなってしまうので、必要に応じて水槽用のヒーターをいれてあげてくださいね。
ヨシノボリの飼育方法
ヨシノボリは体が丈夫でとても飼育しやすい川魚です。飼育にはエアレーションとバケツがあるだけでもよく、川遊びで採取して育てたことがある人も少なくないのではないでしょうか。
私には苦い思い出がありまして、川で採取したメダカやエビ、ヨシノボリを一緒にして自宅に持って帰ると、メダカとエビがいなくなった!という事件もありました。そのくらい肉食性が強く、大食いで、飼育には注意が必要な魚でもあります。
値段と販売場所
ヨシノボリの値段は1匹100円〜200円前後で販売されています。購入場所はホームセンターやネット通販を探してみましょう。
レイアウトは水流を強くして石組みする
ヨシノボリは流れの早い河川に生息しています。その環境に合わせるのであれば、水槽は水草などを入れず、底砂を厚めに敷いて、石を埋めたレイアウトが好まれます。ワンポントで流木を入れるといいでしょう。
水流はなるべく強くしてあげてくださいね。
餌は人工餌がメイン
ヨシノボリは餌の好き嫌いが激しいので餌には少し苦労します。ペットショップで販売されている個体なら、すんなり人工餌を食べてくれますが、野生で採集してきたら最初に冷凍赤虫や小魚などの生き餌が必要になることがあります。
まずは肉食魚用の沈下性の人工餌であるキャットなどを砕いて与えてみてください。食いつきが悪ければ冷凍赤虫を準備しましょう。
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肉食性が強く、混泳は注意が必要
ヨシノボリは気性が荒い性格をしているので、同じ水底に生息しているコリドラスやヤマトヌマエビには喧嘩をしかけることが多いです。
また肉食性が強いので、水面にいるメダカやネオンテトラなども追いかけて食べてしまいます。
おすすめの混泳相手は口に入らない大きさまで成長する金魚やグッピー、エンゼルフィッシュなどの魚です。川魚ならアブラハヤ、カワムツ、オイカワがおすすめです。
稚魚は確実に食べられてしまうので、繁殖は難しいと思っておきましょう。
ヨシノボリについてまとめ
ヨシノボリは混泳にだけ気をつけておけば、飼育自体は難しくない魚です。
また、日本の川魚で水底に生息するタイプは少なく、日本の渓流レイアウトを目指す人はぜひとも飼い慣らしてほしい種類です。熱帯魚とはまた違う、日本の川の美しさを再現してみてくださいね。
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