タナゴは日本では知らない人はほとんどいないほど日本人になじみの深い川魚です。繁殖方法がとても美しく、綺麗な婚姻色を見せてくれたり、二枚貝に産卵したりをおもしろい生態をしています。
今回はそんなタナゴの生態や特徴、水槽のレイアウト、寿命、産卵など飼育方法について紹介していきます。
タナゴの生態と特徴
タナゴはコイ科に分類される淡水魚の仲間です。日本の固有種が多く、種類によって生息する地域が異なります。用水路や湖などの水の流れが穏やかで、水草などの隠れ家が多くて、底が泥で餌になる昆虫がたくさんいる環境を好んでいます。
コイ科の仲間であるように、口先にはしっかりと見ないとわからないほどの小さなひげが生えています。
全身は銀色に輝くウロコに覆われており、繁殖時期には青色、桃色、紫色、赤色の美しい婚姻色を見せてくれるため、観賞魚としても人気があります。
タナゴの種類
タナゴは日本に生息しているだけでも10種類以上を超えており、種類数が豊富な川魚です。
今回は観賞魚として入手しやすい3種類について紹介していきます。
紹介する種類
- タイリクバラタナゴ
- ヤリタナゴ
- イチモンジタナゴ
タイリクバラタナゴ
分布 | 東南アジア、台湾 |
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体の大きさ | 8cm |
寿命 | 3年~4年 |
タイリクバラタナゴは東南アジアに生息している外来種で、日本全国の用水路や河川に見かけることが出来ます。
バラタナゴには2種類おり、日本に生息しているニッポンバラタナゴとアジア大陸に生息するタイリクバラタナゴに分けられなす。
どちらも繁殖期には赤色や黄色などカラフルな体色になり、タナゴの中で最も人気がある種類です。
タイリクバラタナゴの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考下さい。
ヤリタナゴ
分布 | 本州、四国、九州、朝鮮半島 |
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体の大きさ | 10cm |
寿命 | 4年 |
ヤリタナゴは比較的大きく成長する種類で、すらっとした体型をしています。
繁殖期にはヒレが赤黒くなり、熱帯魚にも負けない色の濃さを見せてくれるようになります。
ヤリタナゴの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
イチモンジタナゴ
分布 | 近畿、中国、四国地方 |
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体の大きさ | 8cm |
寿命 | 3年~4年 |
イチモンジタナゴは名前の通り、体の側面に青緑色の一本のラインが入っています。
普段は薄い体色をしていますが、繁殖期には体は桃色に、ヒレは赤色に見事な輝きを魅せてくれますよ。
タナゴの飼育方法
タナゴは水温と水質の変化に強く、餌はなんでもよく食べ、安価で入手しやすいため、初心者向けの淡水魚です。
さらに長く飼い込むことで美しい体色を見せてくれるようになるので、じっくりと楽しむことが出来ます。
飼育に必要な水槽と器具
タナゴは最大でも10cmの小型の熱帯魚のため、45cm水槽で飼育することができます。群泳させたいときは、60cm水槽を用意して、8匹ほどで泳がせてあげると良いですよ。
ろ過フィルターは水槽の大きさに合ったフィルターを選ぶことが大切です。45cm以下の水槽なら外掛けフィルター、60cm水槽なら上部フィルターを選びます。
底砂を敷くと落ち着いてくれるので、川砂を購入してきて、2cmほどの厚みで敷いておくと良いですよ。
必要なもの
- 45cm~60cm水槽
- ろ過フィルター
- ライト
- ヒーター
- 底砂
- 水槽の蓋
値段と販売場所
タナゴは1匹あたり100円~200円と安価で大量に販売されています。
しかし、4月からの暖かい時期にしか販売されておらず、冬は入手が困難です。
販売場所は川魚の販売に力を入れているペットショップかネット通販を使うと便利ですよ。
適している水温
タナゴに適している水温は23度~27度です。水温の変化に強いため、屋外でも簡単に飼育することができます。
低水温に強く、水が完全に凍らなければ越冬することも出来ます。10度を下回るとほとんど動かなくなるので、鑑賞するのであればヒーターをいれておきましょう。おすすめの水槽用のヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
冬眠させるのなら、保温効果が高い発泡スチロールに移動させ、気温差の少ない屋外に水槽を置いておくことをおすすめします。
夏に30度を超えてくるようなら、冷却ファンで水温を下げておきましょう。
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適している水質
タナゴに適している水質は弱酸性~弱アルカリ性と幅広いです。水質への適応力が高く、飼育する上で水質をあまり気にする必要はありません。それでも長期間の水換えによる水質悪化はよくありませんので、2週間に1回は水換えをしてあげましょう。
水槽のレイアウト
タナゴには天敵が多いため、レイアウトは水草などの隠れ家が多い環境を好んでいます。背丈が長くて飼育が簡単なアヌビアスナナやカボンバなどの水草をたくさんいれておきましょう。
他にも河川を意識して、丸くて中くらいの石をいくつか置いておくと雰囲気が出てきます。
おすすめの餌と給餌方法
タナゴは食欲旺盛なので、どんな人工餌でもしっかりと食べてくれます。
メインは一口で食べられる大きさの川魚専用の粒状の餌を与え、繁殖期になると赤色の色揚げ効果があるディスカス専用の餌やクリルを与えると、美しく育ってくれますよ。
餌の回数は1日1回、朝に与えてくださいね。夜に与えなければならないときは、消化不良にならない様に消灯の1時間前には与え終えておきましょう。
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混泳について
タナゴは大人しい性格をしているので、多くの生き物と混泳を楽しむことが出来ます。
タナゴを飼育する水槽はタナゴを主役とした群泳がメインになると思いますので、脇役として水底で生活するヤマトヌマエビやヨシノボリ、どじょう、ハゼの仲間などがおすすめです。
混泳をすると、稚魚を食べられてしまうため、繁殖は出来なくなると思っておきましょう。
繁殖させる方法
タナゴは生後1年以上のオスとメスで飼育をしていると、自然とペアが出来て繁殖をしてくれます。繁殖力が強いので、慣れてくると複数回にわたって産卵を行います。
水温は20度以上にして、餌を毎日与えてしっかりと成熟させましょう。
ペアが出来ると別の水槽に移動させ、産卵場所となるイシガイ、タテボシガイ、ドブガイ、カタハガイ、シジミ、なければ人工貝などを2個ほど入れておきます。メスは産卵管という管を使って二枚貝の中に卵を産み付けます。
稚魚が生まれてくると栄養価が高くて食いつきが抜群のブラインシュリンプを餌にして育てます。ブラインシュリンプの与え方で詳しく紹介しているので、ご参考下さい。
生後3ヶ月もすれば親魚と同じ水槽に戻すことが出来ますよ。
タナゴについてまとめ
今回はタナゴの生態や飼育方法について紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
日本の川魚とあなどるなかれ、繁殖期には熱帯魚にも負けない美しい体色を見せてくれるので、観賞魚としての価値がとても高い生き物です。
日本の河川を再現したレイアウトで日本の川魚を飼育し、それが熱帯魚よりも美しいとくれば、ロマンではないでしょうか。体が丈夫で飼育しやすいので、初心者にもおすすめです。
少しでも興味を持たれて方はぜひ飼育に挑戦してみてくださいね。
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