スネールは2cmほどの小さな貝で、高い繁殖力で水槽の景観を悪くしてしまうため、嫌われています。繁殖しだすと手がつけられなくなり、駆除するのが大変です。
今回はそんなスネールについて発生の原因や駆除できる魚、対策方法を詳しく紹介していきます。
スネールとは?
スネールとはカタツムリや巻貝の英語表記であるsnailから名付けられています。水槽内に繁殖する貝類を総称してスネールと呼びます。正式な生体名はトランペットスネールやサカマキガイ、モノアラガイなどです。どの貝も3cm以下の大きさで驚異的な繁殖力を持っているのが特徴です。
数が少ないときは水槽に生えたコケ取りをしてくれる良い生き物ですが、高い繁殖力で爆発的に増殖し、ガラス面がスネールまみれになると美しい景観が失われてしまいます。
スネールとタニシの違い
※画像はタニシです。
スネールは外国産の貝類の仲間を総称しており、タニシは日本の田んぼに生息する貝類です。
繁殖方法が異なり、スネールは卵を水草に産みますが、タニシは卵胎生なので稚貝がそのまま生まれてきます。
スネールの方が繁殖力が高いため、嫌われ者になっています。
金魚やメダカに害はある?
スネールは金魚やメダカの生体だけではなく、卵を食べることもないので、直接的な害はありません。
しかし、無駄に生体の飼育数が増えて水質悪化が早くなったり、水草を食べてしまうため、増えすぎると手間が増えます。
スネールがどんどん増える理由
スネールは繁殖力がとても高いので、どんどんと卵を産み、水槽内を稚貝まみれにしてしまいます。卵は2週間程度で孵化して、稚貝は2ヶ月ほどで産卵が可能になります。
2匹以上いれば確実に増えますし、1匹でもすでに抱卵していたら、増殖はさけられません。
子供は小さいのでフィルターや砂底の中に隠れ込み、完全に駆除するのが難しいです。そうしているうちに子供が次の子供を産み、スネールまみれになっていきます。
発生原因や侵入経路
スネールのメインの侵入経路はショップで購入してくる水草や採取した流木、水草になります。水草の購入前に、水草が入っている水槽に微生物がいないかしっかりと確認しておきましょう。
購入してきた水草は水道水で綺麗に洗い流してください。卵は透明で見つけるのが難しいため、可能であれば一度別の水槽に植えて、1週間ほど様子をみるといいですよ。
水槽に発生したスネールを駆除する方法
スネールを駆除する方法は大きく分けて3つあります。
チェックポイント
- スネールが繁殖しずらい環境を作る
- スネール駆除製品を使う
- スネールを食べる生き物をいれる
すでに水槽には熱帯魚がおり、新しい生き物を入れることは検討しにくいと思いますので、環境作りか駆除製品がメインです。
スネールが繁殖しずらい環境を作る
1:水槽の大掃除
まず最初にスネールが大繁殖してしまった水槽は底砂から水槽、水草と全掃除を行い、可能な限りスネールを手動で除去していきます。
中途半端にやっても生き残りが出てくるので、水草以外の物を5分間60度のお湯につけて1日以上天日干ししましょう。これで相当な数のスネールを駆除することができます。
2:餌の抑制
スネールは水槽に発生したコケを餌であるため、コケが発生しにくい環境を作ること餌不足に陥ります。対策としては週に2回の水替えを行うことで新鮮な水を維持することが大切です。
3:苦手な水質の維持
スネールは弱アルカリ性の水質で繁殖を積極的に行い、弱酸性の水槽だとあまり繁殖しなくなります。弱酸性を維持するために水槽に流木を入れたり、底砂にソイルを敷くことで繁殖力を抑えることができます。
しかし、ソイルはお金がかかりますし、弱酸性の維持は飼育している魚にも影響があるので、使いどころを選びます。
スネールを駆除する道具
次にスネールを駆除したり繁殖を抑える商品を紹介していきます。水槽の掃除ほど効果は見込めませんが、掃除ができない複雑なレイアウトを作っているときの検討にしてください。
どの方法でもスネールの死骸が底砂にたまることになります。死んだスネールは有害物質である亜硝酸を発生させるので、迅速に取り除くようにしてください。
スネールバスター
スネールバスターは貝類全般を駆除できる粉状の薬剤です。効果が高く水槽にいるスネールはどんどん減少していきます。水草やエビ、熱帯魚に害はないので飼育環境を選ばず、熱帯魚がスネールの死骸を食べても問題ありません。水草を水槽に導入する前にスネールバスターで薬浴するのもおすすめです。
値段は1,700円前後でネット通販で手に入れることができますよ。
スネイルカット
スネイルカットはスネールバスターと同じく粉状の薬剤です。高い効果を発揮してくれますが、一部の水草には影響があるので、水草水槽ではおすすめできません。計3回の薬剤を投入して、10日もあれば水槽のスネールはいなくなりますよ。
塩でも駆除できる
スネールは塩分濃度が高い環境では生きていけないので、淡水魚でも生活できる塩分濃度0.5%の食塩水にしましょう。塩分濃度0.5%の食塩水を作るには、水1リットルに対して、塩を5gいれます。
デメリットはエビ類や水草が塩水に弱く、
水草水槽には使いにくいことです。
スネールを駆除してくれる生き物
スネールを完全に駆除するのであればスネールの天敵である生き物を入れるのがもっとも効果的です。なんだかんだで、先に紹介した方法では完全なる撲滅には時間がかかってしまいます。
その点、天敵はスネールを餌として認識するので、みるみるうちに数を減らすことができます。
水槽の環境や群泳している魚の種類によっておすすめの駆除役は変わってきます。ここではスネールを食べてくれる生き物を紹介するので、自分に合った魚を選んでくださいね。
アベニーパファー
アベニーパファーは世界最小の淡水フグとして人気があります。貝類が大好物で最もスネールを食べてくれる魚です。しかし、体が大きくなると気性が荒くなるので、他の魚を攻撃することがあります。小さなエビも食べられるので、混泳相手には注意が必要です。
アベニーパファーの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
キラースネール
キラースネールは小型の貝を食べる2cmほどの貝の仲間です。水草を食べたり、混泳相手にトラブルを与えることがないので、安心してスネール退治をさせることができます。
肉食性なのでスネールがいなくなった後は熱帯魚の餌をあげましょう。
オトシンクルス
オトシンクルスはスネール自体を食べませんが、ガラス面に付着したスネールの卵を食べます。
直接スネールを食べるわけではないので、数が減るのが遅いですが、稚貝は素手で潰し、卵を食べさせるというコンボで確実に数を減らしていけます。
なんといってもオトシンクルスのメリットは水槽のコケ掃除であり、スネール退治後も混泳相手として理想的な働きをしてくれます。
オトシンクルスの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
スカーレットジェム
スカーレットジェムは真っ赤な体色が特徴的で泳ぐ宝石と呼ばれている小型の熱帯魚です。貝類が好物ですが、体が小さいので、生まれたばかりの貝類しか食べられません。
温和な性格で観賞魚としても優れているので、撲滅後も飼育しやすい熱帯魚です。販売量が少なく入手しずらいのがデメリットです。
スカーレットジェムの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
チェリーバルブ
チェリーバルブは綺麗な紅色をしている小型の熱帯魚です。スカーレットジェムと同じようにスネール駆除に活躍してくれます。こちらは入手も簡単なので、スネール駆除薬として人気があります。
チェリーバルブの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
トーマシー
トーマシーは体長5cmほどになるシクリッドの仲間です。貝類が好物で口に入る大きさのスネールをどんどん食べてくれます。エビも好物なので混泳には注意してください。繁殖期になると発色がよくなり攻撃性が増すので、駆除役でサブの熱帯魚としてはおすすめしにくいです。
クラウンローチ
クラウンローチは最大で30cmにもなる中型の熱帯魚です。
貝類をよく食べて、水草の食害や、エビを食べることがないので、人気があります。体が大きくなるので混泳には注意してください。
クラウンローチの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
害虫駆除をしてくれる生き物については害虫駆除してくれる生き物一覧で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
スネールについてまとめ
今回はスネールの生態と駆除の方法についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
スネールは貝の仲間でありながら、コケを食べる量は少なく飼育するメリットはありません。それ以上に水槽の美しい景観を汚してしまうので、害虫として嫌われる生き物です。
駆除する方法は3つあり、自分の水槽飼育に合わせた方法を試していってください。私自身も2回ほどスネールの爆殖にやられましたが、全掃除でも微妙に数が残るを繰り返し、1ヶ月ほど気長に減らすための手段をとり続けたことで撲滅することに成功しました。
最後は稚貝だけになって、手で潰して柔らかくなったところをトーマシーが喜んで食べる姿をニヤニヤしながら見ていました。
みなさんの水槽でもスネールの駆除がうまくいくことを祈っております。
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