スジエビはヌマエビに比べると観賞用として人気は低く、どちらかと言うと値段の安さから餌用として人気があります。
それらの理由も含めて、スジエビの生態や性格、混泳、寿命、繁殖など飼育方法を詳しく紹介していきます。
スジエビの生態と特徴
スジエビはテナガエビの仲間で、スジのような黒い帯状の模様が複数入っていることからスジエビと名付けられました。
鑑賞エビとして人気が高いヤマトヌマエビと比べると頭部が大きく、ザリガニのようなハサミがある手は長く伸長しています。また泳ぐのも得意で他のエビの餌を横取りできるほどの力を持っています。
肉食性が強く、自分よりも小さな生き物は積極的に襲って食べようとします。ヤマトヌマエビやミナミヌマエビであれば観賞魚水槽のコケ取り要員として活躍してくれますが、スジエビは小魚を襲う可能性が高いので、混泳には向いていません。
生息地
スジエビは東南アジアや日本の河川や湖、沼、汽水域など様々な場所に生息しています。汽水付近の淡水で最も多く見かけることがあり、子供の時は汽水に、親になると淡水で生息しています。
採取しに行く時は海水近くに川で、水草が多くある場所を漁ってみるといいですよ。
体の大きさ
スジエビはオスとメスで体の大きさが違います。オスは小さく、最大でも3.5cm、メスは5cmほどの大きさになります。
寿命の長さ
野生のスジエビは初夏に生まれて、翌年の夏には死ぬため、寿命はちょうど1年になります。飼育下で低水温を体験させなければ平均で2年〜3年は生きることができます。
スジエビとミナミヌマエビの違いは?
※画像はミナミヌマエビです。
スジエビとミナミヌマエビは同じ場所に生息しており、川に行くと同時に捕獲することがあります。
スジエビには名前の通り黒色のスジが入っているので、簡単に見分けることが出来ます。
行動を比較するのもわかりやすく、ミナミヌマエビは大人しい性格をしておりゆったりと動いていますが、スジエビは肉食性が強くせわしく泳ぎ回ります。
ミナミヌマエビの特徴と飼育方法で紹介しているので、ご参考ください。
スジエビを入手する方法
川で捕獲する
スジエビは水草が生い茂っている河川で簡単に捕まえることが出来ます。
強度がしっかりとしているタモ網を用意して、水草の奥の方まで手を伸ばして何度かごそごそしてみましょう。餌は必要なく、良い場所であれば大量に捕獲することが出来ますよ。
ショップでの値段はどのくらい?
スジエビは釣具屋とホームセンター、ネット通販で購入することができます。
釣具屋にいるスジエビは海水に生息する種類と淡水に生息する種類の2種類いますので、どちらの種類か確認しましょう。ホームセンターでは淡水用の種類がほとんどですので、問題なく飼育することができます。
1匹の値段は20円前後ですが、数匹単位での観賞用としては販売されておらず、50匹単位の餌用としてなので大量に手に入ってしまうことが難点です。
ヤマトヌマエビやミナミヌマエビの水槽に混ざって販売されていることもありますので、少し値段は高くなりますが、探してみるものいいかもしれません。
スジエビの飼育方法
水槽と周辺器具
スジエビは体が小さいので、最小の30cm水槽から飼育することができます。他にも金魚鉢や発泡スチロールなどどのような容器でも問題ありません。
飼育数の目安は30cm水槽で2匹、45cm水槽で4匹、60cm水槽で8匹ほどです。過密飼育すると共食いするので、注意してください。
水質悪化に弱いので、食べ残しやフンなどはこまめに取り除くようにして、可能であればろ過フィルターを設置しましょう。
飼育に適している水温
スジエビは日本に生息しているエビなので、低水温に強く、水が凍らなければ越冬することができます。冬眠は難しく全く動かなくなってしまうので、観賞用に飼育するときは18度〜28度を保ってあげてください。
ミナミヌマエビの水温で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
水質変化に弱いので、しっかりと水合わせして
スジエビは水温と水質の急激な変化には弱いので、水槽を移動させる時や購入してきたばかりで新しく水槽に入れるときは注意が必要です。しっかりと水合わせをして、大きな変化がおきないようにしましょう。
水合わせの順番
- スジエビを袋の入れて水槽に浮かべる
- 30分程度で水温が同じになる
- 袋の水を1/3ほど捨てて、水槽の水を入れる
- 15分ごと↑の作業を3回繰り返す
- スジエビを水槽に入れる
レイアウトは隠れ家をたくさん作る
スジエビなどのエビ類は魚から攻撃されやすいので、隠れ家になる水草や流木をたくさん入れたレイアウトがおすすめです。
葉が小さくて量が多い、ウィローモスやアナカリス、カボンバなどの水草がおすすめです。
餌は人工餌がメイン
スジエビは雑食性ですが、自然環境では植物食性で石や流木に付着したコケを食べて生活しています。
熱帯魚の餌である肉食性の人工餌でも食べてくれますが、短命になりやすいので、餌は同じく植物性のプレコの人工飼料がおすすめです。餌の頻度は2日に1回、1かけらほどの量を上げるといいですよ。
与え方や餌を食べないときの対策などはヤマトヌマエビの餌で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
かかりやすい病気と治療方法
スジエビは病気にかかった?と気づく頃には死んでいることが多いです。原因は水質悪化が進んだり、水質変化が大きくなったときで、細胞が壊死して体が赤くなります。こうなると治療することはできません。
飼育環境に注意して、予防に努めてください。
スジエビの繁殖と産卵方法
スジエビは春から夏の暖かい時期に繁殖を行います。繁殖方法はヤマトヌマエビと同じく、稚エビは汽水で育つことで大人になります。
しかしながら、海からほど遠い川でも生存を確認されており、生存率は下がりますが淡水水槽でも繁殖することが可能です。淡水での繁殖方法はミナミヌマエビと同じですので、ミナミヌマエビの繁殖方法を参考にしてください。
赤ちゃんの育て方
スジエビの赤ちゃんは魚に襲われやすいので、隠れ家になる水草をたくさんいれておきましょう。新芽が餌になるウィローモスをいれておくと餓死する可能性も減ります。
餌は親と同じように熱帯魚の餌を食べますので、専用の餌を用意する必要はありません。
スジエビは混泳に向いている?
スジエビよりも大型になる金魚やどじょう、熱帯魚などであれば問題なく混泳することができます。
前述した通り、他のエビと比べると肉食性が強く、餌不足になるとメダカなどの小魚や同じエビを襲うことがあります。なのでコケ取り要因として使うのは難しく、餌不足になりやすい屋外飼育でのメダカのビオトープでもリスクがあります。
小型のエビであるミナミヌマエビは確実に餌にされてしまうので、混泳はやめておきましょう。しっかりと餌をあげられる環境を用意するか、スジエビよりも少しだけ体の大きな相手を混泳に選んでくださいね。
スジエビについてまとめ
今回はスジエビについて生態や飼育方法などまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。熱帯魚店で見かけると、ヤマトヌマエビとかよりも安くていいなと思うことがあると思いますが、安易に混泳水槽にいれるのは危険であることがわかっていただけたかと思います。
混泳相手さえ間違えなければコストパフォーマンスもよく、コケ掃除役として活躍してくれるので、いい相手を見つけてあげてくださいね。
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ヤマトヌマエビの飼育方法|水温や寿命、大きさは?