カブトエビは2億年以上前から姿を変えていない「生きた化石」として知られていますが、日本の田んぼで見つけられる身近な生き物です。
今回はそんなカブトエビの生態や特徴、成長スピード、生息地、おすすめの餌、水温など飼育方法について紹介していきます。
カブトエビの特徴
カブトエビは鰓脚綱(さいきゃくこう)背甲目(はいこうもく)カブトエビ科に分類される甲殻類の仲間です。
鰓脚とはエラ呼吸の機能がある足を持っている生き物を指しており、ホウネンエビやミジンコ、シーモンキーが同じグループに属しています。
淡水の生き物で、背中は硬い甲羅に覆われており、40本近くの足を使って泥の上を歩き回ります。頭部にはヒゲのような触覚があり、これをつかって周りの環境を把握しています。
カブトエビは2億年も前からその姿を変えておらず、生きた化石として知られています。長生きの秘密は繁殖にあり、カブトエビの卵は乾燥卵と呼ばれており、数年間水がなくても卵のままで耐えることができます。そして水をかけると数時間で孵化して、すぐに繁殖を行います。
日本においても身近な生き物で、田んぼで生きた化石を簡単に見つけることができることから、理科の授業や自由研究でよく使われています。また、日本だけではなくアジアやアメリカ、ヨーロッパにも生息しています。
体の大きさ
カブトエビは2cm~3cmの大きさになる小型の生き物です。成長スピードはとても速く、幼虫は生後2週間で2cmの大きさになり、繁殖が可能になります。
しかし、北アフリカのモロッコではこの3倍以上にもなる、10cm近くの巨大なカブトエビが見つかっており、世界最大のカブトエビとして知られています。
寿命の長さ
カブトエビの寿命は平均して30日です。飼育環境を整えて、上手に育てると60日は生きることができます。産卵後に体力を使い果たして死んでしまうため、長生きさせたいときは単独で飼育しましょう。
カブトエビの生態
カブトエビは東北と北海道を除く、日本全国に幅広く分布しており、田んぼなど泥が多い環境を好んでいます。
陸にあがったり空を飛んだりは出来ないので、移動する力はほとんどなく、特定の田んぼでしか姿を見かけることが出来ません。
雑食性で泥の中に潜んでいる微生物や小型の昆虫、おたまじゃくしやミジンコを捕食したり、水草の柔らかい新芽などを食べたりします。
この習性から田んぼの雑草を取ってくれる益虫として知られており、田んぼの雑草処理を目的にした「カブトエビ農法」という言葉があるほどです。
水田に水を張る6月から孵化が始まり、9月には水がなくなるため、その間の時期に見つけることが出来ますよ。夏の暑い季節は活動量が減るので、みたいときは春に探しに行きましょう。
カブトエビの飼育方法
カブトエビはとても丈夫な生き物なので、初心者でも飼育しやすいです。
しかし、水温の変化には敏感な一面があり、夏場の一時的な高温などでそのまま死んでしまうことも少なくありません。
きちんと飼育環境を整え、お世話をしていきましょう。
飼育に必要な水槽と器具
カブトエビの飼育容器は横幅で20cm程度の「虫かご」や「風呂桶」があれば飼育することができます。
酸素欠乏に強いのでエアレーションは必要ありませんが、隠れ家になる水草を1本~2本いれておくと落ち着いてくれます。
水が汚れやすいので、2週間に1回は半分ほど水の交換を行います。水道水には生物に有害な塩素が含まれているので、必ずカルキ抜きをした水を使ってくださいね。
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値段と販売場所
カブトエビは田んぼで採集してくるのが簡単ですが、近くに田んぼがないときは、自由研究用に乾燥卵がついた飼育セットが販売されているので、それを購入するといいですよ。
値段は1,000円~1,500円ほどで、乾燥卵と小さい水槽がセットになっています。水を入れから3日程度で孵化するので、容易に飼育を始めることが出来ます。
卵だけでは販売していないので、注意してください。
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適している水温
カブトエビに適している水温は20度~25度です。
それ以上や以下の水温が長期間続くと死んでしまいます。特に卵を孵化させたいときは水温の調整が必要不可欠なので、春~夏にかけて飼育を始めることをおすすめします。
長く飼育したいときは水中用のヒーターを使って水温を調整しましょう。
水温を維持するためには水量の多さが大切であり、なるべく大きな飼育容器で育てると失敗しにくくなります。
おすすめの餌と給餌方法
カブトエビは雑食性でどんな餌でもよく食べてくれます。
飼育下ではメダカや金魚、熱帯魚の餌に使われる人工飼料がおすすめです。赤ちゃんは孵化して、3日程度で泳ぎ始めるので、そこからすりつぶした餌を与えましょう。
家にあるものだと、鰹節やお米を食べてくれますが、栄養が不足するので長生きはできません。どうしても餌がないときは、水路や水田に生えている水草を入れておくことで葉を食べたり、付着している微生物を食べるようになります。
餌の頻度は1日1回、2分程度で食べきれる量を目安に与えてくださいね。
混泳について
カブトエビは食欲旺盛で、積極的に生き物を襲うため、カブトエビ同士で共食いすることも珍しくありませんが、泳ぐのが苦手なので魚を捕まえることは出来ません。
なので、メダカや小型の金魚、熱帯魚などと問題なく混泳することが出来ます。
しかし、病気で弱っている個体やメダカの稚魚などは襲われる可能性が高いと思っておきましょう。
カブトエビについてまとめ
今回は生きた化石といわれるカブトエビについて紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
さすが、生きた化石と呼ばれるだけあって、乾燥卵や体の特徴などユニークな生態をもっています。
さらにはそんな珍しい生き物なのに、日本の田んぼでよく見かけることができ、寿命も30日ほどですので、自由研究として飼育されることが多いです。
熱帯魚やメダカ用の餌があれば飼育できるので、難しいこともありません。水温にだけ注意して、大切に育ててあげてくださいね。
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