田んぼの水をじっと見つめていると、オタマジャクシやタニシだけではなく足が多く生えた奇妙な生き物を見たことはないでしょうか?ホウネンエビは日本の田んぼに長年生息しており、日本人に馴染みが深い生き物です。
今回はそんなホウネンエビの繁殖方法や飼育のコツを詳しく紹介していきます。
ホウネンエビってどんなエビなの?
ホウネンエビは漢字で豊年蝦と書き、文字通り、穀物などの収穫量が多い時期に発生する甲殻類の仲間です。別名でタキンギョやオバケエビと呼ばれています。
日本の水田では初夏にかけて泳ぎ始めて、梅雨には姿を消します。体の大きさは15mm〜20mmほどになります。歩くための脚をもっておらず、逆さに泳いでいるのが特徴的です。
小型容器でも飼育できる手軽さと繁殖が簡単なので、子供向けの自由研究用としてホウネンエビ飼育セットが500円程度で販売されていたりもします。
同じく夏休みの飼育セットで見た目がそっくりなシーモンキーがいますが、これは別の生き物ですよ。
ホウネンエビはどこからくる?
ホウネンエビは田んぼに卵を生んでおり、卵は水がない時期は土の中に埋まっています。田んぼの水が入ると3日程度で孵化します。
ホウネンエビの寿命
ホウネンエビの寿命は平均して40日です。繁殖しやすい生き物なので、きちんと飼育していれば、寿命がくるまでに卵を産んで、新しい子供が誕生してくれます。水温と水質を正しくできれば、年中増やしていくことができますよ。
ホウネンエビの生息地
ホウネンエビは水温が18度以上になる4月から水中を泳ぎ始めます。水温が低い東北地方にはおらず、北は茨城県から南は鹿児島県まで暖かい地域に広く分布しており、流れの穏やかな河川や池、田んぼで見つけることができますよ。
カブトエビとホウネンエビは同じ時期に発生して、同じ地域に住んでいます。カブトエビがいればホウネンエビがいる確率も高いので、どちらかを探すといいでしょう。カブトエビの特徴と飼育方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
ホウネンエビの飼育方法
必要な飼育容器と設備
ホウネンエビはコップや瓶など小さな容器でも問題なく飼育することが可能です。その場合は酸素を供給するために10cmほどに切った水草をいれておきます。水質悪化に強く、必要な光量が少ないアナカリスがおすすめです。
水草がなければ、水を交換する時にしっかりとかき混ぜて酸素を含ませた水にしておけば大丈夫です。
水中に酸素が取り込まれやすいように、コップや瓶には蓋をせず、水面は空気に触れるようにしておきます。ただし、飼育数が5匹以上になると、エアレーションが必要になります。
飼育水はどうやって準備すればいいの?
飼育水は近くに田んぼや川があればその水を使いましょう。
水道水でも飼育が可能ですが、その場合は含まれている殺菌効果のあるカルキをなくす必要があります。1日以上日光を当てておくか、専用のカルキ抜きを使ったら簡単に抜くことができますよ。カルキ抜きの方法で詳しく紹介しているので、ご参考ください。
適している水温と水質
ホウネンエビに適した水温は22度〜30度です。夏場に日光に当てるとすぐに30度を超えるので注意しましょう。冬に飼育するときはヒーターをつけてあげます。
水質は特に意識する必要はありませんが、調整するのであれば、弱酸性〜中性の軟水がおすすめです。週に一回は1/3ほど水を交換してあげてくださいね。
水槽のレイアウト
ホウネンエビは田んぼに住んでいる生き物なので、底には泥を敷くと落ち着いてくれます。一般的な熱帯魚用の砂でも問題ありません。
水草はカボンバやアナカリスなどの安価なもので十分です。ホームセンターなどで売られていますが、近くに川があれば採取することも可能です。
おすすめの餌
野生のホウネンエビの食べ物は田んぼの泥に多く含まれている植物性プランクトンを主食にしています。
飼育下での餌は苔や藻類になるので、バケツに水を張って日光の下に置いておきましょう。2週間もすれば、自然と餌になる苔が発生してきますよ。熱帯魚やメダカの餌をすり潰したものもよく食べてくれます。
ホウネンエビの繁殖方法
ホウネンエビは水草に卵を生みつけます。繁殖を狙う時は、隠れ家になるカボンバなどの水草を入れてあげましょう。水槽は余裕をもって30cmのものを用意してあげてください。
5匹以上で飼育しているとメスが抱卵している様子を見ることが出来るようになります
産卵は泥の中で行いますので、田んぼなどで泥を採取していれておいてあげましょう。泥がなくてもガラス面に産卵してくれますが、孵化する可能性が低くなってしまいます。
オスとメスの見分け方
ホウネンエビのオスは頭の部分に丸まった触覚のようなものがあり、第二触覚と言われています。メスにもありますが、かなり細いので見比べると簡単に判別することができますよ。
卵を産んだらどうすればいいの?
ホウネンエビが産卵を確認したらすぐに親を別の水槽に移動させるか、卵を綿棒で回収しましょう。放置していると親が卵を壊してしまうことがあります。
水につけておけば卵は5日程度で孵化します。乾燥に強く、日に当てて乾燥させることで来年の春に改めて孵化させることもできますよ。
卵を孵化させるポイントは?
ホウネンエビは田んぼに生息しているので、その環境に近づけてあげることが大切です。
チェックポイント
- 新鮮な水を用意してください。古い水は孵化率が低くなります
- 水は毎日半分は交換する
- 水温は25度前後にする
- 適度に日光をあてる
- 卵の泥は取らない。泥が吸水の役割を果たします
- 乾燥させるときは泥を残したまま水分を抜いて、日光にあてます
孵化しない原因は?
ホウネンエビが孵化しない一番の原因は水温が低いことです。20度を下まわると孵化率が悪くなるので、一度水温計で計測してみましょう。
ホウネンエビの子供の育てかた
ホウネンエビは植物性のプランクトンを食べているため、植物性プランクトンが多く含まれている田んぼの水をいれてあげるのがおすすめです。近くにない時は、メダカの餌があれば、それをすり潰したものをあげてくださいね。
ホウネンエビが消えると感じた時は、餌不足で共食いをしている可能性があるので、なるべく飼育数を確認しておいてください。
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子供の成長スピード
孵化から3日で1mm、4日目で2〜3mm、8日目で10mmほどに成長していきます。生後2週間で体長が15mmほどになり産卵が可能になります。
一生涯で1,000個以上の卵を産んでくれますよ。
ホウネンエビはメダカや金魚といっしょに飼えるの?
ホウネンエビとメダカや金魚と混泳することはできません。ホウネンビの体は小さくて、泳ぎが苦手のため攻撃されてしまいます。
メダカとは生活スペースが同じなので、攻撃されることが多く、特に金魚は成長すると20cmを超えてくるので、大きなストレスです。
他の熱帯魚とも混泳できないので、ホウネンエビだけで飼育してあげましょう。タニシなどの貝類であれば大丈夫です。
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