デュビアは爬虫類の餌用昆虫として人気があるゴキブリです。飼育と繁殖が簡単なので、自宅で生き餌をストックするのに向いています。さらに餌用でありながら、もぞもぞとした動きがかわいいと好きになる人もいるほどです。
今回はそんなデュビアの特徴や飼育に必要なもの、繁殖方法、餌用としてメリットやデメリットなど飼育方法について紹介していきます。
デュビアの特徴
デュビアは中南米の森林地帯に生息するゴキブリの仲間で、正式名称はアルゼンチンモリゴキブリといいます。
落ち葉や倒木、土の中に集団で隠れていることが多く、動物の死骸や植物、果物などなんでも食べる雑食性です。体が大きくなるたびに脱皮を繰り返します。脱皮直後のデュビアは体が白く、柔らかいため天敵に狙われやすいです。
ゴキブリには珍しく、卵胎生でお腹の中で卵を孵化させてから産卵します。
オスの成虫には羽がある
※画像はオスのデュビアです。
デュビアのオスの成虫は羽が生えてくるため、日本に生息するゴキブリに見た目が近いですが、空を飛ぶことはできません。反対にメスは羽がなく、大きくて平らなダンゴムシのような見た目をしています。
体の大きさ
デュビアの大きさは平均して5cm、最大だと6cmになります。餌用昆虫としては大きく、中型の爬虫類にも与えやすいです。
寿命の長さ
デュビアの寿命はオスが1年、メスだと2年です。体が丈夫なので、飼育下では長生きさせやすいです。
デュビアを餌用にするメリット
デュビアは最高の餌用昆虫と言われており、餌用にするメリットについて紹介していきます。同じ餌用昆虫であるコオロギと比較しています。
5つのメリット
- 繁殖が簡単
- 鳴かない
- 臭くない
- 脱走されにくい
- 小型の飼育容器でストックできる
繁殖が簡単
デュビアは飼育ができていれば、自然と繁殖をしてくれます。繁殖用の特別な飼育環境も必要なく、過密飼育をしているだけで繁殖してくれるため、上手にやれば爬虫類の餌代は必要なくなります。
鳴かない
デュビアはコオロギと違って鳴くことがないので、静かに飼育できます。しかし、カサカサという足音がするので、寝室で飼育するのはやめておいた方が良いです。
臭くない
デュビアは臭いはほとんどありません。しかし、タンパク質の多い餌を与えるとフンの臭いが強くなるため、植物食性の餌を中心に与える必要があります。
脱走されにくい
デュビアはプラスチックのツルツルのカベを登れず、飛ばないため、ケージから脱走される心配がありません。
もし、ケージの外に逃げ出しても、動きが遅いので、簡単に捕まえることが出来ます。ピンセットでつかんで、爬虫類に直接食べさせるのも簡単です。
小型の飼育容器でストックできる
デュビアは過密飼育でも共食いや環境悪化による死亡がほとんどありません。むしろ、過密飼育をした方が繁殖しやすく、小型の飼育容器で大量に飼育するのがおすすめです。
デュビアを餌用にするデメリット
デュビアを餌用にするデメリットは見た目がゴキブリで気持ち悪いというわかりやすいものだけではなく、明確なデメリットがあります。
成長速度が遅い
デュビアは成長速度がとても遅いです。成長速度の目安は生後1ヶ月で2cm、生後3ヶ月で3cm、生後4ヶ月~6ヶ月で4cmを超えて成虫になります。
フトアゴヒゲトカゲなど中型以上の爬虫類の餌として使う場合、成虫が必要になるため、大量のデュビアをストックしておかないと餌がなくなってしまいます。
置き餌として使いにくい
デュビアは床材に潜る習性があるため、置き餌をしていると床材の中に隠れてしまいます。
ピンセットから直接デュビアを食べてくれる爬虫類であれば問題ありません。ヤスデやタランチュラ、人に慣れていない爬虫類にデュビアを与えるときは餌皿が必要になります。
デュビアの飼育に必要なもの
デュビアはストックするだけなら小型のケージで飼育できるため、初期費用では2,000円もかかりません。ある程度の繁殖を考えるときは5,000円前後を目安にしてください。
必要なもの
- 飼育容器
- 餌皿
- 足場
飼育容器
デュビアの飼育容器はプラスチックケースや衣装ケースを使います。デュビアは立体移動しないのでケージの高さは必要ありません。
餌用として一時的なストックであれば小型の虫かごで十分です。大量のデュビアを飼育して繁殖を狙うときは衣装ケースを使いましょう。
デュビアはケージ内の蒸れに弱いので、通気性が大切です。衣装ケースで密閉すると通気性が悪いため、蓋の内側をカッターナイフでくり抜き、鉢底ネットに変更します。
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餌皿
餌をケージ底に直接置くと汚れてしまうので、餌皿を使います。デュビアはツルツルした餌皿は登れないため、フチが浅い容器を使います。さらに道を作ってあげるか、側面をザラザラにして、登りやすくしてあげましょう。
足場を作る
デュビアがひっくり返った時に起き上がったり、狭いケージで歩ける範囲を広げるために足場を作っておきます。
足場には卵のトレーを使うことが多いです。卵のトレーは表面がザラザラしており、デュビアが好きな暗い環境を作るのに適しています。しかし、何ヶ月も使っているとボロボロになったり、臭いがつくのでメンテナンス性が悪いです。
代用品として園芸用の鉢底ネットが人気です。洗って何度も使えますし、臭いがなく、腐ることがありません。結束バンドで固定して、円筒のようにしたものを何個も入れておきましょう。
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デュビアの飼育と繁殖方法
デュビアは体が丈夫で簡単に飼育できます。注意点としてはケージ内の蒸れに弱いので、風通しが良い環境を作ることを忘れないでください。
値段と販売場所
デュビアの値段は1cm以下の個体が10匹あたり150円前後、2cm前後の個体だと10匹あたり400円前後で販売されています。
人気の餌なので、爬虫類を扱っているホームセンターや爬虫類専門店、ネット通販などで簡単に入手できます。安く手に入れたければ、爬虫類専門店を利用すると良いでしょう。
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繁殖に適している温度
デュビアに適している温度は25度~28度です。
繁殖を狙うときは28度前後の温度にすることで、繁殖が活性化します。反対にデュビアが増えすぎたときは23度前後の温度にすることで繁殖数を抑えることができます。
冬の寒さには弱いので、爬虫類用のパネルヒーターを使ってケージの底から保温してください。パネルヒーターはケージの底面の1/3だけを保温し、暑くなったときの逃げ場を用意しておきます。
ヒーターの詳しい使い方やおすすめの商品などは爬虫類のヒーターで紹介しているので、ご参考ください。
おすすめの餌
デュビアの餌は植物性の人工餌であるラビットフードがおすすめです。
餌を与えるときはラビットフードに少し霧吹きをして湿らせます。人工餌をふやかすことで食べやすくしたり、デュビアの水分補給もかねています。
他にもドックフードや鯉の餌などの人工餌を食べてくれますが、タンパク質の多い餌を与えるとフンが臭くなってしまいます。ニンジンやカボチャなどの野菜の切れ端は余った分を与えると良いでしょう。
餌の量は全ての個体が食べられるように、多めに与えます。餌の頻度は毎日与えてください。餌切れに強いため、3日程度の旅行であれば餌なしでも大丈夫です。
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水やりをする
デュビアは飲み水が必要なので、餌に水を含ませないときは、ケージ全体に霧吹きを行います。ケージの蒸れが苦手なので、風通しが良い環境を用意して、毎日1回霧吹きしてあげましょう。
ケージを掃除する
デュビアを飼育していると床にフンがたまるので掃除が必要です。フンを放置していると小バエが沸いてきます。
掃除をするときはデュビアとフンを同時に園芸用のフルイにかけて、デュビアとフンを分離していきます。デュビアのベビーが落ちない程度の目が細かいフルイを使います。このときにデュビアの死体も一緒に捨てておきます。
最後にデュビアだけ飼育容器に戻せば掃除は完了です。ケージは汚れていれば水洗いをし、水気を拭き取ってから使います。
人間のアレルギー反応の1つにゴキブリもあります。フンなどの排泄物を吸い込むとくしゃみや涙が止まらなくなるため、不安な方はマスクや使い捨て手袋を用意しておきましょう。
掃除の頻度は飼育数にもよりますが、2週間から1ヶ月に1回を目安にしてください。
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デュビアの飼育のトラブル
脱皮不全の原因
デュビアは成長のたびの脱皮をしますが、脱皮不全になると脱皮の皮が綺麗にとれなくなります。デュビアが脱皮不全になるとそのまま死んでしまう可能性が高いです。脱皮不全の主な原因は水分不足なので、霧吹きの量を増やしたり、水分を含んでいる餌を多めに与えてください。
卵を産み落とした
デュビアは卵胎生のゴキブリなので、産み落とされた卵が孵化することはありません。ゴミになりますので、すぐに取り除いてください。
扁平になっている
デュビアは栄養不足か水分不足が原因で扁平(へんぺい)になることがあります。扁平になると他のデュビアに比べて横幅が広く、薄っぺらくなります。
餌としては何の問題もありませんが、繁殖力が悪く、短命になります。治療は考えずに、そのまま餌にしてしまいましょう。
デュビアについてまとめ
デュビアはまさにゴキブリといった見た目をしているので、嫌がる方が多いですが、繁殖が簡単でストックしやすいため、餌用昆虫としては最高の生き物です。
飼育の際にはこまめにケージをして、毎日きちんと餌やりをしておけば、どんどん繁殖して増えていってくれます。愛する爬虫類が生き餌を追いかける姿は非常にかわいいです。ぜひ自宅でデュビアを繁殖させて、好物の生き餌をいつでも食べられるようにしてあげてくださいね。
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