ミルワームは両生類や爬虫類、小動物などのペットの生き餌として活用されている昆虫で、食いつきが抜群なので、餌と食べてくれないときや成長させたいときに便利です。しかし、生き餌を自宅にストックしたことがない人にとって、どのように保存すれば良いのかよくわからないと思います。
今回はそんなミルワームの特徴や必要な飼育ケージ、床材、おすすめの餌など飼育方法と繁殖方法について紹介していきます。
ミルワームとは?
ミルワームとはゴミムシダマシ科に分類されるチャイロコメノゴミムシダマシの幼虫で、成虫は黒色の体色をした甲虫です。
※画像はミルワームの成虫です。
狭い容器で過密飼育であり、飼育の手間はほとんど無く、繁殖も簡単です。ですので、鳥類や肉食魚、爬虫類、両生類、小動物などペットの生き餌として活用されています。人工餌を食べてくれない生き物は多く、与えやすい生き餌は非常に貴重です。
様々な大きさのミルワームが小さいカップで販売されています。ホームセンターや熱帯魚専門店、爬虫類専門店、ネット通販などペットを販売している場所であればたいてい見つけることが出来るので、入手も簡単です。
体の大きさ
普通のミルワームだと最大で3cm、ジャイアントミルワームだと5cmの大きさになります。
ミルワームの飼育方法
ミルワームの飼育はとても簡単で、小さいケージと専用の床材を入れておけば良く、ほとんど手間をかけることなく飼育することができます。
飼育に必要なものと環境
ミルワームの飼育は100均で売っているようなタッパやプラチックケースを使います。横幅で15cmもあれば500匹ほど飼育することができます。
多湿な環境に弱いので、風通しが良い状態を意識して、脱走しないようにしっかりと蓋をしておきましょう。
ミルワームは餌切れをすると共食いしてしまうため、床材は餌にもなるものを使います。最も人気なのが、小麦を製粉するときに出てくる「ふすま」で、500g~1kgの単位でミルワーム専用餌として販売されています。他にもドックフードやラビットフード、キャットフードなどの人口餌を電動ミキサーでバラバラにしたものも使えます。
床材の厚みは全てのミルワームが隠れられるくらいに敷いておきましょう。
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適している温度
ミルワームは幼虫を大きく成長させたくないときは15度~20度の低い温度にしておきます。野菜室の冷蔵庫であれば、一時的な仮死状態となり、常温にすることで動き回るようになります。1ヶ月もすると黒ずんで死に始めるので、長期保存は出来ません。
ゆっくりと成長させたいときは15度~20度、早く大きくさせたり、成虫にさせたり、産卵を促したい時は温度を27度~30度と高めにしておきます。
おすすめの餌
ミルワームは雑食性で野菜の切れ端や魚の切り身、米ぬか、パン粉、煮干し、熱帯魚の餌などなんでもよく食べます。
基本的には床材に餌になる物を使い、水分補給のために週に2回ほどニンジンやほうれん草などの野菜の切れ端や、栄養補給のために安価なラビットフード、ドックフード、昆虫ゼリーを与えます。
湿度には弱いので、野菜や魚を与えるときは水分を拭き取り、余ったときはすぐに取り除くようにしてください。放置しているとダニが繁殖する原因になります。
餌切れには注意しつつ、毎日2回は餌を与えるようにしてくださいね。
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床材の交換
ミルワームを飼育していると脱皮の殻や、たくさんのフンがたまっていくため、ゴミがたまってきたなと感じたら床材を交換する必要があります。死亡した個体は黒くなるので、それも除去しないといけません。
床材の交換をするときは、床材がすり抜ける編み目のざるを用意し、ミルワームごと入れることで、床材やゴミを落とします。
そして飼育容器に新しい床材をいれて、ミルワームを戻せば完了です。
ミルワームの繁殖方法
ミルワームは飼育ができていれば、放置していても自然と繁殖していきます。繁殖させるときは、繁殖用の成虫用ケージとミルワームの育成用ケージの2つがあると便利です。
成虫のケージは、虫かごや衣装ケース、タッパなど蓋付きの容器を使います。横幅で15cmほどのケースを用意して、100匹ほど入れて過密飼育にします。羽はありますが、飛ぶ心配はありません。
床材はミルワームと同じく「ふすま」を敷いておき、隠れ家になる落ち葉や流木を入れておきます。
温度を25度~30度にすることでどんどん繁殖してくれますので、たまに成虫の引っ越しを行い、床材に埋もれているミルワームを救出します。
あまりに過密飼育になると餌不足で共食いしたり、環境悪化で死んでしまうので、適度に容器を分けたり間引くことが大切です。
成虫の寿命は3ヶ月ほどで、生涯で500個近くの卵を産卵します。
ミルワームを餌として与えるときの注意点
ミルワームは生き餌の中でも癖があるので、ペットに餌として与えるときは注意が必要です。
それぞれ詳しく紹介していきます。
・ペットのケージに放置しない
・頭を取り除く
・ダスティングする
・ガットローディングする
ペットのケージに放置しない
ミルワームは雑食性で食欲旺盛で噛む力が強いため、逃げ出したミルワームがペットの皮膚を囓って傷つける可能性があります。
ミルワームは1匹1匹を確実にピンセットで食べさせるか、餌皿を用意して、逃げ出せないようにしてください。
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頭を取り除く
ミルワームの頭は固く、ペットによってはきちんと消化できなかったり、噛まれたときの痛い記憶でミルワームを嫌がることが出てきます。
丸呑みをするタイプの生き物であれば、内臓を食い破られる事例もあります。可能な限り頭は切断して、生きている状態で素早く与えるようにしてください。
ダスティングする
ミルワームは食いつきが良い餌ですが、カロリーが高く、ミルワームだけを与えていると肥満の原因になったり、栄養の偏りが起きてしまいます。
そこで対象のペットに適切な栄養分を含んだ物をミルワームに振りかけてから、一緒に食べさせることをダスティングと言います。
爬虫類だとカルシウムパウダーなど不足しがちな添加剤を振りかけます。
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ガットローディング
ガットローディングとは、ミルワームを餌として与える前日~当日にかけて、栄養バランスのいい餌を食べさせることで、栄養調整を行う方法です。
昆虫は長い間栄養を体に保持することが出来ないので、なるべく与える直前に栄養価の高い餌を与えることが重要です。
ペットに与えられる栄養価は多くはないので、必須ではありません。
ミルワームについてまとめ
今回はミルワームの飼育と繁殖方法について紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
ミルワームの繁殖では以下の3つのポイントを抑えれば、ほとんど世話の手間なく飼育することができますし、どんどん増やすことが出来ます。
・温度の調整
・適切な床材を選び、餌切れを防止
・湿度を上げない
飼育しているペットも生き餌を与えることで、人工飼料とはまるで違う、喜んだ様子を見てくれますので、抵抗がなければぜひ飼育と繁殖に挑戦してみてくださいね。